「宿題を始めてもすぐに立ち歩いてしまう」
「食事のときに椅子からすぐ降りてしまう」
このように、子どもが机にきちんと座れず、悩んでいる保護者さんは多いのではないでしょうか。大人から見ると「落ち着きがない」と映る姿も、実は発達段階や環境が原因であることが少なくありません。
「座ってほしいのに、注意すると余計に嫌がってしまう」「他の子と比べて落ち着きがないのではと不安」などのお話をうかがいますが、“叱って座らせる”のではなく、“環境を整え、少しずつ習慣化”することで、無理なく机に座れるようになります。
本記事では、子どもが机に座れない理由・座れるようになる工夫・親の声かけのコツ を詳しく解説します。
子どもが机に座れないのはなぜ?
発達段階による集中時間の短さ
幼児期の子どもは、発達的に長時間座り続けることが難しいです。
-
3〜4歳:数分〜10分程度が限界
-
5〜6歳:10〜15分程度
-
小学校低学年:15〜20分程度
大人の感覚で「30分以上座ってほしい」と思っても、子どもの年齢では無理なことも多いのです。
姿勢が保ちにくい
机や椅子の高さが合わず、足が床につかないと、体を支えるのに余計な力が必要になり、長く座れません。
周囲の環境が集中を妨げる
机の上におもちゃがあったり、近くでテレビがついていたりすると、子どもの注意はすぐに散ってしまいます。
親の声かけがプレッシャーになる
「ちゃんと座って!」「早くやりなさい!」という言葉は、子どもにとってプレッシャーに。結果的に座ること自体を嫌がってしまうケースもあります。
机に座る習慣をつけるための工夫
椅子と机の高さを調整する
-
足が床につく椅子を用意する
-
肘を曲げたときに机の高さと合うようにする
正しい姿勢が取れることで、子どもが楽に座れるようになります。足置き台を用意するのも効果的です。
短時間から始めて伸ばす
最初は5分間座るだけでも十分です。「できた!」という成功体験を積み重ねることで、座れる時間が自然に伸びていきます。
遊び感覚で机に向かう
勉強だけでなく、お絵描きや工作、シール貼りなど、子どもが楽しいと感じる活動から始めると、机に座ることへの抵抗が減ります。
褒めて自信をつける
「最後まで座れたね」「自分で頑張れたね」と具体的に褒めることで、机に座ることがポジティブな体験になります。
家庭でできる環境づくり
集中しやすい学習スペース
机の上には必要なものだけを置き、周囲も整理整頓。余計な刺激を減らすことが集中力アップにつながります。
照明と座り心地を工夫する
暗い照明や硬すぎる椅子は、集中力を下げる原因に。快適に座れる環境を整えてあげましょう。
リビング学習を活用する
小さな子どもの場合、1人で机に向かうのは不安に感じやすいです。リビングに机を置き、親のそばで学習させることで安心して座れるようになります。
学習前に体を動かす
軽くストレッチやジャンプをしてから机に向かうと、体が落ち着き集中しやすくなります。
親の関わり方のポイント
「座りなさい!」より「一緒にやろう」
命令口調ではなく、親が隣に座って一緒に取り組むと、自然と机に座る習慣が身につきます。
小さな目標を一緒に決める
「今日はここまでやってみよう」と子どもに選ばせることで、自発的に机に向かう姿勢が育ちます。
結果よりも過程を褒める
「きれいに書けたね」「最後まで座れたね」と努力や姿勢を認めることが、次の集中につながります。
机に座る習慣が育つメリット
学習習慣が自然に身につく
机に向かうこと自体が当たり前になると、学習習慣がスムーズに形成されます。
集中力が少しずつ伸びる
「座れる時間=集中できる時間」。短時間でも積み重ねることで集中力は確実に育ちます。
生活リズムが安定する
食事・勉強・遊びといった「座る活動」が整うと、生活のリズムが安定し、子どもに安心感が生まれます。
よくある質問Q&A
Q:全く座れないときはどうすればいい?
→ 机に向かう前に「1分だけ座ろう」とハードルを下げてみましょう。座れたら大いに褒めることが大切です。
Q:姿勢が悪くてすぐ疲れてしまいます
→ 椅子の高さや机の環境が合っていない可能性があります。クッションや足置きを活用してください。
Q:小学生になっても座れないのは問題?
→ 個人差はありますが、極端に座れない場合は発達特性の影響も考えられます。不安が強い場合は専門機関に相談を。
まとめ
-
子どもが机に座れないのは「発達」「環境」「関わり方」が大きく影響している。
-
無理に座らせるのではなく、机や椅子の調整・環境づくり・短時間からの習慣化がポイント。
-
親は「座れること自体」を褒め、楽しく机に向かえる工夫をする。
-
座る習慣がつくと、集中力や生活リズムが整い、学習習慣にも良い影響を与える。
叱って座らせるのではなく、“座りたくなる工夫”を家庭に取り入れましょう。小さな一歩の積み重ねが、子どもの集中力と学習意欲を育てます。