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【解説】要領と指導計画 ― 週案・日案にどう反映する?

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保育教諭にとって「教育・保育要領」を理解し、それを日々の指導計画に反映させることは欠かせない仕事です。しかし現場では「ねらいと活動のつながりが曖昧で不安」「週案や日案にどう落とし込めばいいのか分からない」と感じる人も多いのではないでしょうか。

先生方も週案の「ねらい」の欄に何を書けばいいのか悩み、主幹に「活動と同じことを書いてしまっている」と指摘されています。頭では「ねらいと活動は違う」と分かっていても、実際の計画書になると混乱しがちですね。

この記事では、教育・保育要領の視点を活かしながら、週案・日案に「ねらい」と「活動」をどうつなげるかを実践的に解説します。新人から中堅まで、現場ですぐに役立つヒントをお届けします。

要領と指導計画の関係とは?

教育・保育要領の位置づけ

教育・保育要領は、国が定めた「保育の基本指針」です。幼稚園教育要領、保育所保育指針、認定こども園教育・保育要領が一本化されたものとも言えます。ここには「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」や「5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)」が整理され、保育教諭が子どもの育ちを支えるための基盤が示されています。

指導計画(年間指導計画・月案・週案・日案)は、この要領に基づいて具体的に展開されるものです。つまり「要領が理論編」「週案・日案が実践編」という関係になります。

「ねらい」と「内容」の違い

教育・保育要領には「ねらい」と「内容」という言葉があります。

  • ねらい:子どもに育ってほしい力や姿(目標)

  • 内容:その姿を育むために経験する活動や環境

例えば「健康な心と体を育む」というねらいに対して、「戸外で十分に体を動かす」という活動が内容になります。この「ねらいと活動のつながり」を意識すると、週案や日案がぐっと書きやすくなるのです。

週案・日案が果たす役割

年間・月案が「大きな流れ」を示すのに対し、週案・日案は「今、この子たちに必要な経験」を具体的に書き出す役割を持ちます。毎日の保育は予想外のことがたくさん起こりますが、計画を持っているからこそ臨機応変に調整できるのです。

週案・日案にどう反映する?

「ねらい」から活動を考える流れ

一番オーソドックスなのは、教育・保育要領にある「ねらい」をもとに活動を計画する方法です。

  • ねらい:協同性を育む

  • 活動:友達と協力してリレーを行う

このように「ねらい」が先にあると、活動の意味が明確になり、職員間で共通理解しやすくなります。

活動から「ねらい」を見出す流れ

一方で、現場では「子どもが興味を持っていること」を出発点にすることも多いです。その場合は、活動を決めてから「要領にあるどのねらいにつながるか」を考えます。

  • 活動:砂場で山を作る

  • ねらい:「思考力の芽生え」「協同性」

この方法を使うと、子どもの主体性を尊重した計画になります。

複数の領域につながる書き方

1つの活動は、複数のねらいに関連していることがほとんどです。


「鬼ごっこ」

  • 健康:体を十分に動かす

  • 人間関係:友達とルールを守る

  • 言葉:声をかけ合って遊ぶ

無理に1つに絞らず、複数の領域を意識して書くと幅が広がります。

実践的な書き方の工夫

短く明確に書くポイント

「ねらい」や「活動」は、誰が読んでも分かる簡潔な言葉にしましょう。
NG例:「社会性を高めるための活動」
OK例:「友達と順番を守って遊ぶ」

子どもの姿を根拠に書く

計画はあくまで「子どもの姿」から導き出すことが大切です。
例:「最近ごっこ遊びが盛り上がっている → 協同性を育む活動を計画する」

保護者説明にも活用できる計画の書き方

週案や日案に「ねらい」を書いておくと、保護者に説明する際にも役立ちます。
例:「ただ遊んでいるのではなく、要領に基づいた『協同性を育む遊び』です」と伝えられると、保護者の理解が深まります。

現場でよくある悩みと解決のヒント

「ねらい」と活動が形だけでつながっている

→ 解決策:活動を考えるときに「子どもの姿」と「要領のねらい」を必ずセットで確認する。

「書くのに時間がかかる」

→ 解決策:定型フォーマットを使う/ICTを活用する/職員同士で共有して負担を減らす。

「振り返りが次につながらない」

→ 解決策:評価欄を「できた/できない」ではなく、「次に取り入れたいこと」として書く。

みんな最初は迷う

私自身も新人の頃、「この書き方で合っているのか」と不安でした。実は、多くの保育教諭が同じ壁に直面しています。ベテランの先生でも「計画と実践がずれることはよくある」と話してくれました。大切なのは、完璧を目指すことではなく、子どもの姿を見て振り返る習慣を持つことです。

今日からできること

  1. 活動を書いたら「なぜこの活動をするのか」を一言添える
    → 例:「鬼ごっこ(ねらい:協同性)」

  2. 1つの活動を2つ以上の領域に関連づけてみる
    → 活動の幅が広がり、計画が豊かになる。

  3. 振り返り欄に「次にやりたいこと」を書く
    → 改善が自然に次の週案につながります。

まとめ

教育・保育要領と指導計画は切り離されたものではなく、週案・日案は要領を実践に落とし込むための大切なツールです。ねらいと活動をきちんと結びつけることで、子どもの育ちを見通した計画になります。

大切なのは「正しい書き方」よりも、「子どもの姿を基に考える」こと。今日からまず、活動の横に「ねらい」を一言添えてみましょう。それだけで週案や日案の見え方が変わり、保育の質も少しずつ高まっていきます。

次の計画を立てるとき、ぜひ「ねらい」と「活動のつながり」を意識してると気づきがあるかもしれませんね。

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  • この記事を書いた人

かつおう

田舎の自然の中で、9歳の娘と6歳の息子をのびのびと育てるパパ。 IT × 脳科学 × 心理学を活かし、職員と子どもたちが共に成長できる園運営に取り組んでいます。 変化の速い“答えのない時代”において、職員と子どもたちが自ら考え、失敗を恐れず挑戦しながら答えを探究している、こども園の園長です。

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