「同じ年の子はもうペラペラ話しているのに、うちの子はまだ単語だけ…」
「保育園や幼稚園の先生に“ちょっと言葉がゆっくりかもしれません”と言われて不安になった」
子どもの言葉の発達は個人差が大きいと分かっていても、比べてしまい心配になる保護者さんは少なくありません。
でも安心してください。言葉の育ちは「待つ」だけではなく、「ちょっとした関わり方」を工夫することでサポートできます。家庭での声かけや絵本の読み聞かせといった身近な工夫が、子どもの言葉を育てる大切なきっかけになるのです。
本記事では、発達支援の視点から 「子どもの言葉が遅いときに家庭でできること」 をやさしく解説します。声かけや絵本の活用法、生活の中での工夫を具体的に紹介しますので、今日から実践できるヒントが見つかりますよ。
子どもの言葉が遅いときによくある悩み
周囲の子と比べて不安になる
子育てをしていると、どうしても周囲の子と比べてしまいます。「隣の子は二語文を話しているのに、うちの子はまだ単語だけ」「園で他の子は先生と会話しているのに…」と不安になるのは自然なことです。
何歳でどのくらい話せるのが目安？
発達の目安を知っておくと安心できます。
1歳頃：初めての単語（「ママ」「ブーブー」など）が出る
2歳頃：二語文（「ママ きて」「ワンワン いた」など）が出る
3歳頃：簡単な会話ができる
ただし、これはあくまで目安です。1歳半でまだ言葉が出なくても、その後一気に伸びる子もいます。
保護者さんが「自分のせいでは」と悩む
「私がちゃんと話しかけてこなかったから」「スマホを見せすぎたから」と自分を責めてしまう保護者さんもいます。でも、言葉の発達は家庭環境だけで決まるものではありません。気質や興味、発達特性などさまざまな要因が関わっています。
言葉の発達には大きな個人差がある
発達の流れを知って安心しよう
言葉の育ちは段階的です。
赤ちゃんの頃は「あー」「うー」と声を出す（喃語）
次に「ママ」「ブーブー」など意味のある単語が出る
二語文 → 短い会話 → 複雑な会話へと発展していきます
子どもによってスピードは違うので、周囲より遅い＝問題とは限りません。
遅れではなく「特性」として捉える
言葉が少なくても、運動や音楽、絵を描くことが得意な子もいます。言葉以外の表現方法で豊かに自分を表している場合もあります。
発達支援の視点
発達支援では「できないことを直す」のではなく、「できる方法で伝えられるようにする」ことを大切にします。子どもの特性を理解して、その子に合った関わりを工夫するのが基本です。
家庭でできる言葉の育て方（発達支援の実践）
声かけの工夫
短く、具体的に伝える：「ごはん 食べよう」「靴 はこう」
子どもの気持ちを代弁する：「悔しかったんだね」「もっとやりたかったんだね」
質問攻めにしない：「これは？あれは？」と聞きすぎるとプレッシャーになるので、「リンゴだね、おいしそうだね」と自然に添える言葉が◎。
絵本の活用法
一緒に指差しながら読む：「ワンワンだね」「赤い車だね」と共感する
繰り返しフレーズのある絵本（「だるまさんが」シリーズなど）は、子どもが真似しやすい
読み聞かせを会話の時間にする：ただ読むのではなく、子どもの反応に合わせてやりとりする
遊びや生活の中での工夫
ごっこ遊び：「いらっしゃいませ」「これください」など自然な会話を楽しめる
生活の実況：「靴をはいてるね」「スプーンでごはん、ぱくっ！」
歌や手遊び：リズムと一緒に言葉を体験でき、楽しみながら身につく
こちらもCHECK
-
【解説】発達が気になるお子さんとパパ、ママのための四谷学院「療育55レッスン」
「同じ年齢の子どもと比べると、少し発達がゆっくりしている気がする…」「言葉がなかなか出ない」「こだわりが強い」「集団でのやりとりが難しい」――そんな悩みを抱える親御さんは決して少なくあり ...
続きを見る
保護者さんができるサポートの心構え
言葉だけでなく全体の成長を見守る
言葉の数が少なくても、理解力や表現力が育っている子もいます。言葉以外の成長にも目を向けましょう。
焦らず「待つ」と「ほめる」を意識
できることに注目し、「ここまでできたね」と認める声かけが子どもの自信になります。
専門機関に相談するのも安心につながる
2歳を過ぎても単語がほとんど出ない
3歳を過ぎても二語文が出にくい
言葉の遅れと一緒に「表情が乏しい」「やりとりが少ない」と感じる
こんなときは、早めに相談すると安心できます。「心配しすぎかな？」と思っても相談は悪いことではありません。
こちらもCHECK
-
【解説】療育センター・児童発達支援事業所とは？公的機関の仕組みと利用方法・メリットまとめ
「子どもの発達が少し気になるけれど、どこに相談したらいいんだろう？」「言葉が遅いみたい…」「集団になじめない…」と悩む保護者さんは少なくありません。 そんなときに頼りになるのが、療育センターや児童発達 ...
続きを見る
事例・体験談から学ぶ
2歳半の男の子のケース
言葉が少なく心配していたが、母親が毎日「おいしいね」「楽しいね」と実況するように声かけを意識したら、少しずつ単語が増えた。今では「ママ いっしょ」など二語文が出るように。
3歳女の子のケース
絵本を繰り返し読んでいたら、好きなフレーズを真似するようになった。保育園でも同じ絵本を読むように先生と連携したところ、言葉が安定し、会話が広がってきた。
まとめ
子どもの言葉の発達は個人差が大きく、遅いからといって必ずしも問題ではない。
家庭でできる発達支援は、声かけの工夫・絵本の活用・生活の中でのやりとり。
保護者さんが関わり方を変えれば、子どもの言葉は少しずつ育っていく。
不安なときは、専門機関に相談するのも大切なサポートのひとつ。
今日から「子どもの気持ちを代弁する声かけ」と「お気に入りの絵本の読み聞かせ」を習慣にしてみましょう。それが、子どもの言葉の芽を育てる最初の一歩になります。
こちらもCHECK
-
【解説】発達が気になるお子さんとパパ、ママのための四谷学院「療育55レッスン」
「同じ年齢の子どもと比べると、少し発達がゆっくりしている気がする…」「言葉がなかなか出ない」「こだわりが強い」「集団でのやりとりが難しい」――そんな悩みを抱える親御さんは決して少なくあり ...
続きを見る
