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【解説】『自律する子の育て方』に学ぶ ― 自ら考え行動する力を育てる保育実践

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保育園やこども園で日々子どもたちと関わる中で、「もっと自分で考えて動けるようになってほしい」と願う場面は多いのではないでしょうか。園児の中には、先生の指示がないと行動できない子や、自分の気持ちを言葉にできずに困ってしまう子もいます。そうした姿に向き合うとき、保育士や職員として「どうすれば子どもたちが主体的に行動できるのか」と悩むこともあるはずです。

近年注目されているのが「非認知能力」や「社会的能力」です。これらは学力以上に、将来の生きる力を支える大切な要素だと言われています。

書籍『自律する子の育て方』では、このような非認知能力をどう育てるかについて多くのヒントが示されています。本記事では、この本の内容を参考にしながら、自ら考え行動する力を育てるための保育実践について、事例や具体的な工夫を交えて解説します。

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なぜ今「自律する子の育て方」が保育現場で注目されるのか

社会で求められる力の変化と非認知能力の重要性

社会は今、単に知識を持っているだけでは通用しません。協力して課題を解決したり、自分の気持ちをコントロールしたりする力が欠かせない時代です。これが「非認知能力」、いわゆる学力テストでは測れない力の重要性です。

非認知能力が高い子は、自分や他者の気持ちに気づき、状況に合わせて行動を変えることができます。これは園児の遊びや友だちとのやりとりの中でも育まれていきます。

保育要領との関連 ― 「育ちを支える」視点から

保育所保育指針や幼稚園教育要領でも、「自立心」や「協同性」が大切にされています。つまり、自律する子どもの育成は制度的にも求められているのです。職員が日常の中で園児の姿を見取り、その育ちを支えることが、結果的に要領に沿った保育実践となります。

保護者さんから期待される「主体性ある子どもたち」

保護者さんからも「小学校に上がる前に自分のことは自分でできるようになってほしい」「自分の意見を言える子になってほしい」という声が多く聞かれます。現場の先生方がこの期待に応えられるようにするためにも、『自律する子の育て方』の視点は大切です。

現場で感じる課題と悩み

園児が指示待ちになる場面

「これしていい?」「次は何するの?」と常に先生の指示を仰ぐ園児がいます。安心して過ごせる反面、自分で考えて行動する経験が不足しているのかもしれません。

自由遊びでのトラブル対応の難しさ

ブロック遊びやごっこ遊びの中で「順番を守れない」「思い通りにならずに泣いてしまう」といった姿もあります。こうしたときにどう支えるかは職員にとって悩みどころです。

保護者さんからの「もっと自分で」の声

家庭でも「自分のことを自分でやってほしい」と感じている保護者さんは多いです。園での姿をどう共有し、家庭と連携していくかが課題になります。

『自律する子の育て方』から学べるポイント

「考える力」を育てる関わり方

本書では、子どもにすぐに答えを与えるのではなく「どうしたらいいと思う?」と問いかける大切さが示されています。園児が自分で考える時間を持つことで、主体的な学びが生まれます。

「行動の選択」を促す環境づくり

選択肢を与え、「どちらにする?」と選ばせることも効果的です。服を選ぶ、遊びの内容を決めるといった小さな積み重ねが、自律の第一歩になります。

職員や同僚が共有すべき視点

一人の先生が「考えさせよう」としても、他の職員が「すぐ答えを教える」対応をしてしまうと、子どもたちは混乱します。同僚と共通理解を持つことが保育実践には欠かせません。

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保育実践に取り入れる具体的な工夫

園児の姿を見取る記録と振り返り

「自分から片づけを始めた」「友だちに道具を譲った」などの姿を見取り、職員同士で共有することが、自律する子の育ちを支える第一歩です。

小さな成功体験を積み重ねる活動

係活動や当番活動を通して「自分の役割を果たす」経験を持つことが、自信につながります。失敗しても挑戦できたことを認める声かけが効果的です。

保護者さんとの連携

園での自律の姿を伝えることで、家庭でも同じ姿勢で支えてもらえるようになります。「園ではこういう関わりをしています」と具体的に伝えることが、保護者さんに安心感を与えます。

実際の事例紹介

係活動で「考えて動く」姿が見られたケース

お当番を決めるときに、自ら手を挙げて役割を担った園児がいました。最初は戸惑いながらも、「どうやったら早く配れるかな」と考えながら取り組む姿がありました。先生が「工夫したね」と声をかけたことで、その子は次も挑戦するようになりました。

自由遊びで非認知能力が育ったエピソード

積み木の取り合いでトラブルになったとき、先生が「どうしたら一緒に使えるかな?」と問いかけました。子どもたちは相談し、交代で遊ぶルールを作りました。こうした経験は非認知能力を高める貴重な学びです。

保護者さんと連携した自律心の成長

園で「自分で靴をそろえる」習慣を始めたところ、保護者さんから「家でも自分でやるようになりました」と報告がありました。園と家庭のつながりが、子どもの自律を大きく支えた例です。

まとめ

  • 『自律する子の育て方』は、園児の社会的能力や非認知能力を育て、自ら考え行動する力を支えるヒントを与えてくれる。

  • 職員が日常の中で子どもたちの姿を見取り、小さな挑戦や選択を認めることが、自律につながる。

  • 保護者さんとの連携を大切にしながら、園と家庭が同じ方向を向くことで、育ちを支える力が一層大きくなる。

明日からの保育実践で、園児の小さな工夫や挑戦に目を向け、「自分で考えて動けたね」と声をかけていきましょう。その積み重ねが、子どもたちが自律する姿を育てていくことにつながるといいですね。

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  • この記事を書いた人

ポジティブ園長

田舎の自然の中で、のんびりと9歳の娘と6歳の息子と暮らすパパ。 保育 × 心理学 × 脳科学をヒントに、職員と子どもたちが共に成長できる園づくりをしています。 “答えのない時代”だからこそ、楽しみながら考え、失敗を恐れず挑戦する──そんな姿を大切に、みんなと歩んでいる園長です。

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