保育

【解説】『マインドセット やればできるの研究』に学ぶ ― 園児の挑戦を支える保育実践と声かけの工夫

※アフィリエイト広告を利用しています

保育の現場では、園児が「できない」とすぐに諦めてしまう姿に出会うことがあります。一方で、何度失敗しても挑戦し続ける子どもたちもいます。この違いは生まれつきの能力の差ではなく、「マインドセット(考え方のクセ)」 に大きく関係しているといわれています。

キャロル・S・ドゥエック著『マインドセット やればできるの研究』は、この「マインドセット」の違いが学びや挑戦の姿勢にどのように影響するのかを解説した一冊です。本書が示す「固定型マインドセット」と「成長型マインドセット」の違いを理解し、保育実践に取り入れることで、園児の挑戦心を育て、自己肯定感を高める関わりが可能になります。

本記事では、『マインドセット やればできるの研究』のエッセンスをもとに、園児の挑戦を支える具体的な保育実践や声かけの工夫を紹介します。

👉 『マインドセット やればできるの研究』を詳しく見る

『マインドセット やればできるの研究』とは

固定型マインドセットと成長型マインドセットの違い

ドゥエックは、人の考え方には大きく2つのタイプがあると述べています。

  • 固定型マインドセット
    能力は生まれつき決まっていて変わらないと考える。失敗を恐れ、挑戦を避けがちになる。

  • 成長型マインドセット
    能力は努力や経験によって伸びると考える。失敗を学びのチャンスと捉え、挑戦を前向きに受け止める。

保育現場でも、同じ課題に直面したときに「自分はできない」と諦める園児と、「次はできるかも」と工夫する園児がいます。この違いを理解することで、保育士は適切な声かけや環境を整えることができるようになります。

努力や挑戦をどう評価するかが未来を変える

「すごいね、頭がいいね」という声かけは一見良さそうに思えますが、固定型マインドセットを強めるリスクがあります。子どもは「頭がいいと思われたいから失敗できない」と挑戦を避けるようになってしまうのです。

一方「よく頑張ったね」「工夫して考えたね」という声かけは、努力や過程に注目しており、成長型マインドセットを育てます。

👉 『マインドセット やればできるの研究』をチェックする

園児の挑戦を支えるために必要な視点

「できる・できない」ではなく「挑戦する姿を見取る」

子どもたちにとって挑戦は大きな学びのチャンスです。結果だけに注目せず「やってみようとした姿」「諦めずに繰り返す姿」を見取ることで、園児の育ちを支えることができます。

成長の過程に目を向けて「育ちを支える」

「まだできない」という段階も大切な過程です。その時間を肯定してあげることで、子どもは自分の成長を実感し、さらに挑戦したくなります。

小さな成功体験を積み重ねる環境を整える

大きな挑戦をいきなり求めるのではなく、小さな成功体験を積み重ねる場をつくることが重要です。「今日は最後まで粘り強く取り組めた」という経験が、次の大きな挑戦につながります。

保育現場での具体的な声かけの工夫

「すごいね!」より「頑張ったね!」

結果を評価するよりも、努力や工夫を言葉にして伝えることが大切です。「昨日より早く片付けできたね」など具体的に認めると、自信につながります。

失敗したときに「まだできないだけ」と伝える

「できない」で終わらせず、「まだできないだけ。これからできるようになるよ」と声をかけると、挑戦を前向きに捉えることができます。

努力や工夫を言葉にして認める

「考え方を変えて挑戦していたね」「何度もやり直して工夫していたね」と具体的に努力を認めることで、成長型マインドセットが育ちます。

事例紹介 ― マインドセットを取り入れた保育実践

運動会で転んでも最後まで走りきった園児

運動会で途中で転んでしまった園児に対して「転んだけど最後まで走りきったね」と声をかけると、園児は自分の頑張りを認められ、自信を深めることができました。

製作活動で諦めかけた園児

折り紙で難しい形を折る途中で「もう無理」と言った園児に、「まだできないだけ。もう一度挑戦してみよう」と励ましたところ、最後まで取り組むことができました。

保護者さんとの連携で挑戦を支えたケース

「うちの子はすぐに諦めてしまう」と悩む保護者さんに、成長型マインドセットの声かけを伝えたところ、家庭でも「よく頑張ったね」と過程を認める習慣ができ、子どもの挑戦意欲が高まりました。

職員同士で意識したいマインドセット

新人とベテランの違いを否定せず学び合う

新人のアイデアを「まだ未熟」と切り捨てず「新しい視点だね」と受け止めると、園全体の保育実践が広がります。

失敗を責めず「改善の機会」として共有する

行事準備で失敗があったときも「誰の責任か」ではなく「どう改善できるか」を話し合うことで、成長型マインドセットを園全体に広げられます。

園全体で「挑戦を応援する文化」を育む

園児だけでなく職員も挑戦を歓迎する文化を大切にすることが、働きやすい園づくりにつながります。

まとめ

  • 『マインドセット やればできるの研究』は、園児の挑戦を支える保育実践に役立つ考え方を提示している。

  • 固定型マインドセットではなく、成長型マインドセットを意識することで、子どもたちの努力や挑戦の姿を見取れるようになる。

  • 職員自身も成長型マインドセットを実践することで、園全体に「挑戦を応援する文化」を広げられる。

明日からの保育で、園児の「できたかどうか」ではなく「挑戦する姿」に注目して声をかけてみましょう。その積み重ねが、子どもたちの挑戦心と自己肯定感を育み、保育現場をより豊かにしていけるといいですね。

👉 『マインドセット やればできるの研究』を詳しく見る

  • この記事を書いた人

ポジティブ園長

田舎の自然の中で、のんびりと9歳の娘と6歳の息子と暮らすパパ。 保育 × 心理学 × 脳科学をヒントに、職員と子どもたちが共に成長できる園づくりをしています。 “答えのない時代”だからこそ、楽しみながら考え、失敗を恐れず挑戦する──そんな姿を大切に、みんなと歩んでいる園長です。

-保育