「うちの子は数字をなかなか覚えない」
「ドリルをやらせても嫌がってしまう」
そんな悩みを抱える保護者は少なくありません。
実は、数の勉強は「机に向かって練習すること」から始まるわけではなく、生活の中で自然に数に触れる体験を積み重ねることが大切です。
「遊びや生活の中で自然に学んでほしい」「勉強嫌いにならないように数に親しませたい」などのお話をうかがいますが、家庭でできる身近な工夫を取り入れれば、子どもたちは遊びながら数の世界を楽しく学んでくれます。
本記事では、子どもが数を理解する発達段階、数の勉強を始める時期の目安、家庭でできる工夫や遊び、親の関わり方のポイントを具体的に解説します。
子どもと数の勉強の関係
発達段階に応じた数の理解
数の理解は一気に進むものではなく、段階を経て発達していきます。
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2〜3歳:「1、2、3」と唱えられるが数量の理解はまだ曖昧
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4歳ごろ:10まで数を数える経験が増える
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5〜6歳:数の大小や簡単な加減を体験的に理解し始める
「数える」から「数量を理解する」へ
最初は単なる暗唱ですが、「りんごが3つある」と数量と結びつけられるようになると、本当の意味で数を理解したことになります。
無理に早めないことが大切
早期にドリル学習をさせても逆効果になることもあります。子どもが興味を持ち始めたときが学びのベストタイミングです。
数の勉強を始める時期と目安
2〜3歳:数にふれる入口
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階段を登りながら「1、2、3」と数える
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お菓子を分けながら「1人に2個ずつ」と数える
4〜5歳:数を使った生活体験
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買い物で、たまごの数を一緒に数える
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カレンダーで「今日は5日」と日付を読む習慣
小学校入学前:基礎固め
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10や20までの数を理解
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大小や多少を比較
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簡単なたし算・ひき算を遊びの中で体験
家庭でできる数の勉強の工夫
身近な生活で数える習慣
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階段をのぼるときに一緒に数える
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テーブルを囲むときに「椅子が何脚あるか」を数える
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おやつの数を数えて平等に分ける
料理や買い物を活用
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「10個入り」パックの卵を数える
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「トマトを3つ選んで」と買い物を任せる
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前を走る車のナンバーを読む
カレンダーや時計を使う
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毎朝「今日は何日?」とカレンダーを確認
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時計の針を見ながら「長い針が12で1時間」と遊び感覚で教える
歌やリズム遊びで覚える
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「いち、にの、さん」とリズムに合わせて数える歌を活用
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手遊び歌や数を使った童謡は、自然に数を定着させる効果があります。
数に親しめる遊び・教材アイデア
積み木やブロック
「1つ積んだ、2つ積んだ」と数を確認しながら遊ぶことで、自然と数の概念が身につきます。
トランプやカードゲーム
数字を探したり、順番を並べるゲームは楽しく数を理解できる教材です。
すごろくやボードゲーム
サイコロの数だけ進む、順序を守るといった体験を通して「数=順番」という概念を学べます。
知育玩具やアプリ
年齢に合った知育玩具や学習アプリも活用できます。ただし時間を決めて、保護者と一緒に取り組むことが大切です。
親の関わり方のポイント
過程を褒める
「5まで数えられたね」と結果を評価するより、「一緒に数えられたね」と過程を褒めることが効果的です。
失敗を責めない
数え間違えても「惜しいね、もう一回やってみよう」と寄り添う言葉をかけましょう。
興味を尊重する
子どもがブロック遊びや料理に夢中になっているときが学びのチャンスです。その場で数を結びつける声かけをすると吸収が早くなります。
よくある悩みとQ&A
Q:数に興味を示さないのは大丈夫?
A:問題ありません。無理に教えるのではなく、生活の中で少しずつ触れさせましょう。
Q:兄弟で習得スピードが違うのは?
A:発達には個人差があります。比べずにそれぞれのペースを尊重しましょう。
Q:数の勉強を嫌がるときは?
A:机での勉強をやめ、遊びや生活に取り入れて楽しく学べるよう工夫してください。
まとめ
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数の勉強は生活と切り離すのではなく、身近な体験の中で自然に学ぶことが大切。
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発達段階に応じて「数える」→「数量理解」→「簡単な計算」へとステップアップする。
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家庭では、料理・買い物・遊び・会話を通して数を学べる機会を増やす。
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親は「結果より過程を褒める」「子どもの興味を尊重する」ことで、学びを前向きにサポートできる。
数の勉強は“勉強”ではなく“生活の一部”。毎日のちょっとした工夫で、子どもの数の力は自然に育ちます。