子育て

【解説】子どもの言葉が遅いときの発達支援|家庭でできる言葉の育て方と声かけ・絵本活用法

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お子さんの言葉の発達について、「周りの子と比べてちょっと遅いかも…」と感じてドキッとしたことはありませんか。保育園やこども園で同じクラスのお友だちはたくさんおしゃべりしているのに、うちの子はまだ単語が少ない。健診で「もう少し様子を見ましょう」と言われたけれど、本当に大丈夫なのか不安が消えない。そんな思いを抱えているお父さん、お母さんは少なくありません。

 ご両親は忙しい生活の中で、お子さんの小さな変化に気づきながらも、「このまま見守っていてよいのか」「すぐに専門機関に相談したほうがいいのか」と揺れ動きます。ネットで検索すればするほど、いろいろな情報や体験談が目に入り、安心するどころか、かえって不安が増してしまうこともありますよね。

 幼児教育の知見をもとにすると、子どもの言葉の育ちにはもともと大きな個人差があります。早くからたくさん話すお子さんもいれば、じっくり時間をかけて少しずつ言葉が増えていくお子さんもいます。ただ、「そのうちしゃべるよ」という言葉だけで片づけてしまうのも、親御さんとしては心配が残るものです。

 大切なのは、「言葉が遅いかどうか」だけを見るのではなく、その背景にあるお子さんの姿をていねいに見取ることです。視線は合っているか。ジェスチャーや指さしは出ているか。声や表情で人に働きかけようとしているか。こうした土台の部分を知ることで、今の状態を落ち着いて受け止めやすくなります。

 そしてもう一つ大切なのが、家庭でできる発達支援を知っておくことです。特別な教材や長いトレーニング時間がなくても、日常の中の声かけや遊び、絵本の読み方を少し工夫することで、お子さんの言葉の育ちを支えることができます。

 この記事では、「子どもの言葉が遅いときの発達支援」「家庭でできる言葉の育て方」「声かけ」「絵本活用法」というキーワードを軸に、ご両親が今日から取り入れやすい関わり方を、わかりやすくまとめていきます。専門用語はできるだけかみ砕きながら、実際の事例も交えてお伝えしますので、肩の力を少し抜いて、読み進めてみてください。

子どもの言葉が遅い?と感じたときに知っておきたいこと

こんな様子はありませんか?気になりやすいサイン

 まずは、「言葉が遅いかもしれない」と感じる場面を整理してみましょう。たとえば次のような様子はありませんか。

・同じ月齢の子と比べて、意味のある言葉がとても少ない
・名前を呼んでも、なかなか振り向かない
・欲しいものがあっても、指さしやジェスチャーより先に泣いてしまう
・「ちょうだい」や「もっと」など、やりとりにつながる言葉がなかなか出てこない
・好きなフレーズや歌だけはよく口ずさむけれど、会話にはなりにくい

 これらは、保護者さんや園の先生が「少し気になるな」と感じやすいポイントです。ただし、一つでも当てはまるからといって、すぐに大きな心配につながるわけではありません。月齢や環境、その子の性格によっても姿は変わります。

 ここで大切なのは、「できていないところ」だけに目を向けるのではなく、「今どんなやりとりができているか」を探していくことです。たとえば、言葉は少なくても、目線で伝えようとしているかもしれません。手を引いて連れていこうとするかもしれません。そうしたささやかなコミュニケーションの姿を見取ることが、最初の一歩になります。

「様子見」でよいケースと、相談したいケースの目安

 子どもの言葉の発達について調べていると、「○歳でこのくらい話せていないと要注意」といった目安が目に入ることがあります。こうした情報は参考にはなりますが、数字だけでお子さんを判断してしまうと、ご両親の不安ばかりが膨らんでしまいがちです。

 目安としてよく言われるのは、
・1歳半ごろまでに、意味のある単語が少しずつ出始める
・2歳ごろには、単語がいくつかあり、二語文(「ママ、きて」など)が出てくる
・3歳ごろには、簡単な会話が成り立つことが増えてくる
といった流れです。ただし、これはあくまで「おおまかな目安」です。

 一方で、次のような場合は、早めに相談を検討してもよいでしょう。

・2歳を過ぎても、意味のある単語がほとんど聞かれない
・名前を呼んでも振り向かないことが多い
・指さしやジェスチャーが少なく、人への働きかけが弱い
・3歳を過ぎても、単語だけで意思表示していて、会話がほとんど成り立たない

 これらが続いているとき、ご両親だけで悩み続けるのは、とても苦しいことです。地域の保健センターの発達相談や、小児科、ことばの教室などに相談することで、「今の姿」を一緒に整理してもらうことができます。

 相談することは、「問題があると決めつけること」ではありません。お子さんの育ちを支えるために、情報や視点を増やす大切な機会だと受け止めていただけたらと思います。

ご両親が抱えがちな不安と、周りからの言葉のつらさ

 言葉が遅いかもしれないと感じるとき、ご両親の心にはさまざまな感情が生まれます。「自分の関わり方が悪かったのでは」「もっと早く気づいてあげればよかったのでは」と、自分を責めてしまう親御さんも少なくありません。

 周りからの何気ない言葉に傷つくこともあります。「男の子は遅いものよ」「そのうちしゃべるから心配しすぎ」と言われると、「心配している自分がおかしいのかな」と感じてしまうこともありますよね。反対に、「まだしゃべらないの?」「ちゃんと教えているの?」と責めるような言葉をかけられることもあるかもしれません。

 こうした中で、ご両親は「心配だけど、心配していると言いにくい」という板挟みの状態になりがちです。その気持ちを抱えたまま、毎日お子さんと向き合っていること自体が、とても大きながんばりです。

 幼児教育の知見をもとにしても、親御さんの安心感やゆとりは、お子さんの育ちを支えるうえで欠かせない要素だとされています。一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家と気持ちを分かち合いながら、無理のないペースで関わり方を整えていけるとよいですね。

 次の章では、子どもの言葉が育つ仕組みと、家庭でできる土台づくりについて、もう少し具体的に見ていきます。「まだ話さない」ことだけでなく、その前段階にある大切な力に目を向けることで、お子さんの姿を新しい角度からとらえ直していきましょう。

子どもの言葉が育つ仕組みと、家庭でできる土台づくり

言葉の前に育てたい「やりとりの土台」

 「子どもの言葉が遅い」と感じると、どうしても「言葉」という結果だけが気になってしまいます。でも、言葉が出る前には、とても大切な準備の時期があります。ここをていねいに育てることが、発達支援として大きな意味を持ちます。

 たとえば、こんなやりとりの姿はどうでしょうか。

・お父さん、お母さんと目が合うとニコッとする
・同じおもちゃを見て、「あっ!」と顔を向けてくる
・欲しいものがあると、大人の手を引っ張って連れていこうとする
・「ばいばい」「ちょうだい」といったジェスチャーが少しずつ出てくる

 これらは、まだ言葉ではありませんが、「人と気持ちを通わせようとする力」の表れです。幼児教育の知見をもとにすると、言葉は突然あふれ出るのではなく、こうした土台の「やりとり」が積み重なることで、少しずつ形になっていくとされています。

 だからこそ、ご両親には「話さないお子さん」ではなく、「どんな形で人とつながろうとしているのか」という姿を見取る視点を持っていただきたいと思います。言葉が遅いように見えても、目の表情が豊かだったり、しぐさで一生懸命伝えようとしていたりすることもあります。その小さなサインを受け止めていくことが、家庭でできる発達支援の第一歩です。

日常生活がそのまま発達支援になる関わり方

 家庭でできる言葉の育て方は、「特別な時間」を用意しなくても大丈夫です。むしろ、毎日の生活そのものが、すてきな発達支援の場になります。

 たとえば、ご飯の時間。
「おいしいね」「あったかいね」「にんじんだね」など、見えているもの・感じていることをゆっくり言葉にしてあげるだけでも、お子さんの頭の中では「音」と「意味」が少しずつ結びついていきます。これは、難しい専門用語でいう「ラベリング」(名前付け)ですが、やっていることはとてもシンプルです。

 お風呂の時間なら、
「頭あらうよ」「ゴシゴシするよ」「じゃーってお湯が出るね」
というように、動きとことばをセットにして伝えることができます。

 お出かけの前なら、
「くつ、はくよ」「カバン、もって」「バイバイしようか」
というように、行動の順番をことばでなぞることもできます。

 このように、「今、この瞬間にお子さんがしていること」「感じていそうなこと」を短く言葉にするだけで、家庭でできる言葉の育て方になっていきます。子どもの言葉が遅いときの発達支援だからといって、特別な教材ばかりに頼る必要はありません。ご両親の穏やかな声かけが、何よりの教材になります。

やってしまいがちなNG関わりと、その言い換え例

 一生懸命なお父さん、お母さんほど、良かれと思ってやっている関わりが、お子さんにとって少し負担になってしまうことがあります。ここでは、やりがちなパターンと、それをやさしく言い換えるコツをまとめてみます。

 たとえば、質問攻めになってしまうケースです。

「これは?」「これなに?」「どこいくの?」
と矢継ぎ早に聞かれても、言葉が出にくいお子さんにとっては、「テストされている」ような気持ちになってしまうことがあります。うまく答えられないと、「また失敗した」という感覚が残ってしまうこともあります。

 そんなときは、
「りんごだね。赤いね。おいしそうだね」
というように、大人が「説明する」「感じたことを言う」スタイルに変えてみるのも一つの方法です。お子さんがまねして言ってくれたらラッキー、くらいの軽い気持ちでかまいません。

 また、「ダメ!」「やめなさい!」など、否定だけの声かけも増えがちです。
危ない行動を止めるときには必要な言葉ですが、それだけだと、お子さんは「何をしたらいいのか」が分からないままになってしまいます。

 そんなときは、
「走らないでね」ではなく「ゆっくり歩こうね」
「さわらない!」ではなく「これは見てるだけにしようね」
のように、「してほしい行動」を短く伝える表現に変えてみると、お子さんも理解しやすくなります。

 このように、言葉が遅いお子さんの発達支援では、「どんな言葉を覚えさせるか」よりも、「どんな雰囲気のやりとりが積み重なっているか」がとても大切です。あたたかい声かけの中で、お子さんの育ちを支える関係づくりから始めていけるとよいですね。

 次の章では、さらに一歩踏み込んで、家庭でできる具体的な言葉の育て方や、声かけのコツ、遊びの工夫についてお伝えしていきます。「何を話すか分からない」「黙ってしまうことが多い」という親御さんにも、今日から試しやすいアイデアをまとめていきます。

家庭でできる言葉の育て方|声かけのコツと遊びの工夫

「短く・ゆっくり・くり返す」基本の声かけ

 子どもの言葉が遅いときの発達支援では、「どんな難しい言葉を教えるか」より、「どんなふうに話しかけるか」がとても大切です。ここでは、家庭でできる言葉の育て方として、基本になる声かけのコツをお伝えします。

 ポイントは、とてもシンプルです。

  • 短く

  • ゆっくり

  • くり返す

 たとえば、お水を飲む場面なら、
「おみず、のむ?」
「ごくごく、のむね」
といった短いフレーズで、ゆっくり伝えます。長い説明よりも、意味のかたまりごとに区切ってあげるほうが、お子さんの耳に届きやすくなります。

 また、お子さんが何か言ったときには、その言葉を少しだけふくらませて返すのがおすすめです。

子ども:「ぶーぶー」
大人 :「ぶーぶー、くるまきたね」
子ども:「わんわん」
大人 :「わんわん、ねんねしてるね」

 このように、「お子さんのことば+一語」くらいのイメージで返してあげると、自然な形で新しい言葉に出会うことができます。幼児教育の知見をもとにすると、このようなやりとりの積み重ねが、語彙(知っている言葉の数)を増やしていくうえでとても効果的だとされています。

 注意したいのは、「はっきり聞かせなきゃ」と思うあまり、早口になったり、強い口調になったりしてしまうことです。ご両親がゆっくり呼吸を整え、「伝わるといいな」という気持ちを込めて話しかけることで、お子さんの心にも届きやすくなります。

待つ力と、子どもからの発信を引き出す工夫

 子どもの言葉が遅いときの発達支援では、「どれだけたくさん話しかけるか」と同じくらい、「どれだけ待てるか」も重要なポイントです。

 真面目な親御さんほど、お子さんが困らないようにと、先まわりして用意してしまいがちです。

  • 喉がかわいていそうだから、何も言う前にコップを渡す

  • 何をしたいか察して、言葉を引き出す前に行動してあげる

  • おもちゃを取ろうとしたら、すぐに手渡してしまう

 こうした関わり自体は、とてもやさしさにあふれています。ただ、「困る前に全部かなえてもらえる」状態が続くと、お子さんが自分から「伝えてみよう」とする経験が減ってしまうこともあります。

 そこで、たとえば次のような小さな工夫を試してみるのもおすすめです。

  • コップを手の届く場所に置き、お子さんが指さしや声で知らせるのを少し待ってみる

  • おもちゃの箱を開けたままにせず、「あけてほしい」と訴えるきっかけをつくる

  • 「これ?」「こっち?」と、お子さんがうなずいたり、手を伸ばしたりしやすい聞き方をする

 もちろん、長く待つ必要はありません。5〜10秒ほど、「何かサインが出るかな?」と見守ってみて、それでも難しければ大人がフォローしてあげれば大丈夫です。大切なのは、「お子さんからのサインが出る余地」を生活の中につくってあげることです。

 指さしや視線、表情、身振り。これらも立派なコミュニケーションです。言葉ではなくても、「いま、この子はこうやって伝えようとしているんだな」という姿を見取ることで、ご両親自身の安心感も少しずつ変わっていきます。

遊びながら言葉を増やすアイデア

 子どもの言葉が遅いときの発達支援は、「勉強」のような時間だけで行う必要はありません。むしろ、お子さんがいちばん生き生きしている「遊び」の中でこそ、言葉は育ちやすくなります。

 たとえば、ごっこ遊び。
 お店屋さんごっこやおままごとの中で、

  • 「いらっしゃいませ」

  • 「ください」

  • 「どうぞ」

  • 「ありがとう」

 といった言葉が自然に出てくるような場面を、一緒につくってみるのもおすすめです。最初は大人がセリフを担当し、お子さんは「うなずく役」でもかまいません。遊びに慣れてきたら、「ありがとうだけ言ってみる?」と、短いフレーズからチャレンジしてみましょう。

 積み木やブロック遊びなら、

  • 「つんつん」「ドーン」「くずれた」

  • 「たかいね」「ながいね」「おおきいね」

 など、動きや形を表す言葉を添えることで、自然に語彙が増えていきます。

 車遊びが好きなお子さんには、

  • 「ぶーぶー、はしる」

  • 「とまる」「まつ」「まてまて」

 というように、動作と言葉をセットにしてあそぶのもよいですね。

 ここでも大切なのは、「言わせよう」とするより、「楽しいね」「おもしろいね」という気持ちを共有することです。お子さんの表情を見取りながら、一緒に笑ったり、「もう一回しようか」と誘ったりする中で、言葉が育ちやすい安心した雰囲気が生まれていきます。

 次の章では、家庭でできる言葉の育て方として、とくに取り入れやすい「絵本活用法」についてご紹介します。子どもの言葉が遅いときの発達支援として、絵本をどのように選び、どんな読み方をするとよいのか、やさしく整理していきます。

絵本活用法|言葉が遅いお子さんへの読み聞かせのコツ

言葉が遅いときに選びたい絵本のポイント

 絵本は、家庭でできる言葉の育て方の中でも、とても取り入れやすい方法です。ただ、「どんな絵本を選べばいいか分からない」という声も多く聞かれます。子どもの言葉が遅いときの発達支援として絵本を活用するなら、次のようなポイントを意識してみてください。

  • 絵がはっきりしていて、背景がごちゃごちゃしていない

  • 同じフレーズやリズムが何度もくり返される

  • 一ページあたりの文章が短い

  • 日常の生活や、身近なものがテーマになっている

 たとえば、「くつ」「ごはん」「ねんね」など、お子さんの日常とつながりやすい言葉がよく出てくる絵本は、生活の中で使える語彙を増やすうえでも役立ちます。逆に、ストーリーが複雑で登場人物が多すぎる本は、理解のハードルが高くなってしまうことがあります。

 年齢表示はあくまで目安です。「○歳向け」と書いてあっても、その子にとって難しすぎることもあれば、反対に「赤ちゃん向け」の本を3歳、4歳になってから好むお子さんもいます。大切なのは、お子さんがどのくらいの時間、どのくらい集中して楽しめるかという点です。

読み聞かせを「テストの場」にしない読み方

 がんばり屋のお父さん、お母さんほど、読み聞かせの時間を「言葉を教える時間」にしようとして、知らないうちに「テストの場」にしてしまうことがあります。

「これはなに?」「この色は?」「これは誰?」

 質問が多くなりすぎると、お子さんは「当てなきゃいけない」「間違えたらいけない」という気持ちになってしまうことがあります。言葉が遅いお子さんにとっては、これが負担になってしまい、絵本そのものが苦手になってしまうこともあります。

 そこでおすすめなのが、「コメント読み」です。
 たとえば、

「わぁ、ケーキおいしそう」
「ねんねしてるね。ぐっすりね」
「バスがいっぱい。どこに行くのかな」

 というように、大人が自分の感じたことをそのまま言葉にしていく読み方です。お子さんに答えを求めるのではなく、「一緒に見て、一緒に感じる」ことを大切にします。

 お子さんが何か指さしたり、「あっ」と声を出したりしたら、その動きに合わせて、

「あ、ワンワン見つけたね」
「ここが気になったんだね」

 と、気持ちを言葉にして返してあげるのも良いですね。こうしたやりとりは、「ことばのキャッチボール」の準備になります。言葉だけでなく、視線やジェスチャーを含めたコミュニケーションの育ちを支える時間にもなります。

くり返しを味方にする読み聞かせの工夫

 言葉が遅いお子さんの中には、「同じ絵本ばかり何度も読みたがる」という姿がよく見られます。大人からすると、「またこれ?」と感じてしまうこともあるかもしれませんが、実はこの「くり返し」が、言葉の定着にとても役立っています。

 同じフレーズを何度も聞くことで、お子さんの中で「音」と「意味」が少しずつ結びついていきます。最初はじっと聞いているだけだったのが、ある日突然、最後の一語だけまねして言ってくれることもあります。

 くり返しを味方にするために、次のような工夫も試してみてください。

  • 同じフレーズのところで、毎回同じ調子・同じタイミングで読む

  • 決まった言葉の前で、少し間をあけて、お子さんの反応を待ってみる

  • お子さんが口を動かしそうなときには、その瞬間をさえぎらず見守る

 たとえば、「どんどこ どんどこ…」とくり返しがある絵本なら、「どんどこ」のところで、ゆっくりリズミカルに読んであげます。何度か読むうちに、その部分だけ一緒に言おうとする姿が見られることもあります。

 絵本の読み聞かせは、「きちんと最後まで読むこと」が目的ではありません。途中でページを飛ばしても、同じページばかり見ていても大丈夫です。お子さんが楽しそうにしているか。集中している時間が少しでもあるか。その姿を見取ることが、家庭でできる発達支援の大事なポイントです。

 次の章では、こうした家庭での言葉の育て方や絵本活用に加えて、「家庭療育を無理なく続けるためのヒント」と、「どんなときに外部のサポートを取り入れるとよいか」についてお伝えしていきます。ご両親が一人で抱え込みすぎないための視点も、あわせて整理していきましょう。

家庭療育を無理なく続けるためのヒントとサポートの選び方

親ががんばりすぎないための「時間」と「期待値」の調整

 子どもの言葉が遅いときの発達支援を考えると、「毎日しっかりやらなきゃ」「さぼったら成長が止まってしまうのでは」と、自分に厳しくなってしまう親御さんが本当に多くおられます。

 けれど、家庭でできる言葉の育て方は、「毎日30分のトレーニング」ではなく、「生活のあちこちにある5分をいかす」イメージで十分です。

・朝の支度のときに、服を選びながら「どっちにする?」と一言添える
・ごはんの前に、「いただきます」「おいしいね」をゆっくり言ってみる
・寝る前に、好きな絵本を1冊、短くてもいいので一緒にめくる

 こうした小さな時間の積み重ねでも、お子さんの育ちを支えることはできます。大事なのは、「毎日完璧にやれたか」ではなく、「今週、ちょっとでも楽しくやりとりできた時間があったか」という視点で自分を見てあげることです。

 幼児教育の知見をもとにすると、親御さんが笑顔でいられること自体が、お子さんにとって大きな安心になります。疲れている日は、「今日はゆっくり話せなかったな」と責めるのではなく、「また明日、少しだけやってみよう」と自分をゆるめてあげてください。

こんなときは専門機関に相談してみましょう

 家庭でできる工夫はたくさんありますが、「それでも心配が続く」「どう関わればよいか分からない」というときは、専門機関に相談してみることも大切です。

 たとえば、次のような様子が続くときには、一度相談を考えてみてもよいでしょう。

・2歳半を過ぎても、意味のある単語がほとんどない
・名前を呼んでもほとんど振り向かず、指さしもほとんど見られない
・言葉の遅れに加えて、かんしゃくやこだわりがとても強く、生活に大きな支障がある
・ご両親が「このまま見守るのは不安」と強く感じ続けている

 相談先としては、地域の子ども家庭支援センターや保健センターの発達相談、小児科、ことばの教室、ことばの発達を専門とする言語聴覚士などがあります。「診断してほしい」というよりも、「今の姿を一緒に整理してほしい」という気持ちで扉をたたいてみるだけでも、気持ちが少し軽くなることがあります。

 専門機関は、ご両親の不安を責める場所ではありません。お子さんのことを思って悩んでいる親御さんと一緒に、育ちを支える方法を探していくパートナーのような存在です。

家庭療育を支えるプログラムを上手に取り入れる

 子どもの言葉が遅いときの発達支援について、ここまで家庭でできる工夫をお伝えしてきました。一方で、「頭では分かっていても、具体的に何をどう続ければよいか分からない」という声も多くあります。

・どの遊びを、どの順番で進めると良いのか
・どんな声かけが、お子さんにとってわかりやすいのか
・今の発達の段階で、大切にしたいポイントはどこなのか

 こうした疑問を、ご両親だけで整理し続けるのは、とても大変です。そこで役立つのが、家庭療育をていねいにサポートしてくれる情報やプログラムです。

 たとえば、感覚やコミュニケーションの特性もふまえながら、「家庭での関わり方」を整理して紹介している記事として、

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のようなページがあります。お子さんの行動の背景を理解しながら、家庭でできる具体的な工夫を知りたいときに、一度じっくり読んでみる価値があります。

 ご両親が一人で背負い込まず、「こういう考え方もあるんだ」「こんな工夫もあるんだ」と視点を増やしていくことは、お子さんの育ちを支えるうえでとても大切です。必要に応じて、こうした情報源をうまく取り入れながら、「わが家なりのやり方」を一緒に探していきましょう。

事例で見る「言葉が遅い」お子さんへの関わり方

2歳台で言葉が少ないお子さんのケース

 2歳を過ぎても、意味のある単語がいくつかしか出てこないお子さんの場合、「やっぱり遅れているのでは」とご両親の不安は大きくなりがちです。

 あるご家庭では、まず「ことばそのもの」より、「やりとりの土台」を意識するようにしました。テレビの時間を少し短くし、代わりに、

・一緒にボールを転がす
・簡単な「いないいないばあ」を繰り返す
・おやつを渡す前に「ちょうだい」のジェスチャーを待つ

 といった遊びや関わりを増やしていきました。すると、最初は声もほとんど出さずに遊んでいたお子さんが、だんだん「ん!」「あ!」と声を出す回数が増え、やがて「まんま」「あーと(ありがとう)」といった短い言葉が出てくるようになりました。

 このケースでは、「言葉が出ない」ことだけに注目せず、「伝えようとする姿」をていねいに見取り、それを受け止める関わりが整理されていったことが、大きな支えになりました。

園では話すのに、家ではほとんど話さないお子さんのケース

 なかには、「園ではよく話していると先生から聞くのに、家ではほとんど話してくれない」というお子さんもいます。この場合、言葉そのものの遅れというより、「家での関係のパターン」が影響していることもあります。

 たとえば、家では親御さんが先回りして何でもやってくれるため、お子さんが自分から言葉を使う必要があまりなかったり、「家=くつろぐ場所」として静かに過ごしたいと感じていたりすることもあります。

 このようなケースでは、「もっと話して」「なんで話してくれないの」とせかすのではなく、

・じっくり話せる時間を、少し長めにとる
・話したくないときは、無理に引き出そうとしない
・話してくれたときには、最後までさえぎらず、うなずきながら聞く

 といった関わりを意識することで、少しずつ家庭での会話も増えていく可能性があります。お子さんなりのペースで心を開けるよう、「安心していられる場」としての家を意識していただけるとよいですね。

よくある質問Q&A|言葉が遅いお子さんへの対応

Q1:何歳までに話さないと心配ですか?

A:よく「○歳までに二語文が出ていないと…」という言い方がされますが、実際には個人差がとても大きい部分です。
 月齢ごとの目安は一つの参考になりますが、それだけで判断するのではなく、

・人への興味はあるか
・目が合うか
・指さしやジェスチャーはあるか

 といった点も合わせて見ていくことが大切です。「少し気になる」「不安が消えない」と感じたときが、相談のタイミングだと考えてよいでしょう。

Q2:兄弟と比べてしまってつらいです…

A:きょうだいでも、言葉の育ち方やスピードは全く違うことがあります。上の子は早口でよく話していたのに、下の子はじっくりタイプ、ということもよくあります。

 比べてしまうお気持ち自体は、とても自然なものです。そのうえで、比べる対象を「きょうだい」から「昨日のわが子」にそっと変えてみませんか。

・昨日より、目が合う時間が増えた
・前より、絵本を聞く時間が少し長くなった
・新しいジェスチャーが一つ増えた

 こうした小さな変化を見取ることで、お子さんの育ちを支える視点が少しずつ育っていきます。

Q3:動画やアプリは言葉の発達に悪いですか?

A:動画やアプリそのものが「悪い」というより、時間や使い方が大きなポイントになります。長時間、ひとりで見続ける状況が続くと、人とのやりとりの機会が減ってしまい、その分、言葉の育ちに影響が出ることがあります。

 もし使うのであれば、

・時間を決めて利用する
・できるだけ大人がそばで一緒に見て、コメントを添える
・見終わったあと、動画の内容をまねした遊びにつなげる

 といった工夫をしてみてください。「画面を見る時間」だけでなく、「人と一緒に過ごす時間」を意識的に増やしていくことが大切です。

Q4:バイリンガル環境だと、言葉が遅くなりますか?

A:二つの言語に触れる環境では、一時的に言葉が少なく見えることがありますが、長期的にはメリットも多いと言われています。重要なのは、

・どちらの言語でも、人とのやりとりがあるか
・ジェスチャーや表情で気持ちを伝えようとしているか

 といった点です。「言葉の数」だけに注目するのではなく、全体としてコミュニケーションが育っているかどうかを見ていきましょう。不安が強い場合は、バイリンガル環境に詳しい専門家に相談してみるのも安心材料になります。

まとめ|これから試してみたい工夫

 子どもの言葉が遅いとき、ご両親の心は不安でいっぱいになります。でも、その不安の裏側には、「この子の育ちを支えたい」という大きな愛情があります。

 今日から試してみたい工夫としては、

・日常の中で、短く・ゆっくり・くり返す声かけを意識してみる
・お気に入りの絵本を一冊決めて、くり返し一緒に楽しむ
・お子さんの「伝えようとする姿」をていねいに見取り、言葉だけでなく、ジェスチャーや表情も大切なサインとして受け止める
・不安が続くときは、専門機関や信頼できる情報源に相談し、家庭だけで抱え込まない

 といった小さな一歩からで大丈夫です。

 お子さんに合った家庭での関わり方を、もう少し体系的に知りたいと感じたときには、

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のような情報も参考にしながら、「わが家らしい関わり方」を一緒に探してみてください。

 完璧な親である必要はありません。お子さんの今の姿を見つめ、「できたね」「がんばっているね」と声をかけてあげようとする、その気持ちこそが、何よりも大切な発達支援です。ゆっくりであっても、一歩ずつ、親子で歩んでいけますように。

  • この記事を書いた人

ポジティブ園長

田舎の自然の中で、のんびりと9歳の娘と6歳の息子と暮らすパパ。 保育 × 心理学 × 脳科学をヒントに、職員と子どもたちが共に成長できる園づくりをしています。 “答えのない時代”だからこそ、楽しみながら考え、失敗を恐れず挑戦する──そんな姿を大切に、みんなと歩んでいる園長です。

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