
「モンテッソーリ教育ってよさそうだけど、結局なにをすればいいのかよく分からない」
「うちの子にも合うのかな?家庭で実践できるって本当?」
そんなモヤモヤを抱えながら、情報を調べては閉じてしまうお父さん、お母さんも多いと思います。
SNSや本には素敵なお部屋や、すらすらおしごとをこなすお子さんの姿が並びますが、実際の子育ては、泣いたり、怒ったり、片づかなかったり…きれいごとだけでは済みませんよね。
モンテッソーリ教育とは?と聞くと、特別な教材や環境が必要に思えて、
「うちの家では無理かも」「忙しくて続けられる気がしない」と感じることもあるでしょう。
でも、幼児教育の知見をもとにすると、モンテッソーリ教育の土台はとてもシンプルです。
お子さんが「自分でやってみたい」という気持ちを大切にして、その育ちを支えるように環境と関わり方を整えていくこと。
その考え方さえつかめれば、家庭の広さや完璧さに関係なく、少しずつ取り入れていくことができます。
ここでは、モンテッソーリ教育を家庭で実践できる方法と子どもへの効果という視点から、
基本の考え方と子どもへの良い影響、そしておうちでできる具体的な工夫までを、やわらかく解説していきます。
ご両親が明日から「これならやってみようかな」と思えるヒントを、一緒に整理していきましょう。
モンテッソーリ教育とは?家庭で実践できる方法と子どもへの効果の全体像
モンテッソーリ教育とは?基本の考え方をやさしく解説
モンテッソーリ教育は、イタリアの医師マリア・モンテッソーリが提唱した教育法です。
彼女は、多くの子どもたちを観察するなかで、「子どもには自分で自分を成長させる力がある」ということに気づきました。
この教育では、大人が一方的に教え込むのではなく、
・お子さんが興味をもてる環境を用意すること
・自分で選び、自分のペースで取り組めるようにすること
・できている姿を丁寧に見取って、その育ちを支えること
を大切にします。
難しい専門用語で言えば「自己教育力」と呼ばれますが、
かみ砕くと「子どもは本来、自分で成長していく力を持っている」ということです。
大人は、“教える人”というよりも、“環境を整えて見守る人”。
この役割の違いが、モンテッソーリ教育を理解するうえでの大きなポイントになります。
一般的な幼児教育との違い
一般的な集団の保育や教育では、どうしても「一斉に同じことをする」場面が多くなります。
もちろん、それにも良さがありますが、モンテッソーリ教育では少し見方が違います。
・同じ年齢だから、同じことを同じペースで…ではなく、
それぞれのお子さんのタイミングや興味に合わせて活動を選ぶ
・「できたかどうか」よりも、「どのように取り組んだか」というプロセスを見る
・大人主導ではなく、子ども自身の選択と集中を尊重する
こうした違いから、モンテッソーリ教育は「自由にさせる教育」と誤解されることもありますが、
実際には「きちんと整えられた環境の中で、自発的な活動を大事にする教育」と言えます。
家庭でも、少し視点を変えるだけで、
「言われたことをやる子」から「自分で考えて動いてみる子」へと、育ちの方向づけが変わっていきます。
家庭でモンテッソーリ教育を取り入れる意味
モンテッソーリ園やモンテッソーリ小学校に通っていないと、
モンテッソーリ教育とは関係がない、と感じる方もいるかもしれません。
ですが、家庭でできるモンテッソーリ教育には、園や学校とはまた違う良さがあります。
・ご両親が日々の暮らしの中で、お子さんの姿をじっくり見取る時間が増える
・生活の場そのものが「学びの環境」になり、育ちを支える場になる
・お父さん、お母さんが「できたね」「がんばっていたね」と言葉をかけることで、お子さんの自信が積み重なる
特別な教室に通わせることが難しくても、
台所、リビング、玄関など、いつもの場所に少し工夫を加えるだけで、お子さんの育ちを支えるモンテッソーリ的な環境を作ることができます。
「モンテッソーリ教育とは?」というキーワードで情報を探すと、
どうしても「完璧な実践例」に目がいきがちですが、
家庭では“全部をまねする必要はない”というのも大事な視点です。
今のお子さんに合う部分を少しずつ取り入れ、家族にとって心地よい形に調整していく。
それが、家庭でモンテッソーリ教育を続けていくいちばん現実的でやさしい方法だと言えます。
モンテッソーリ教育が子どもにもたらす主な効果
自分で選び、自分でやり遂げる力が育つ
モンテッソーリ教育の大きな特徴の一つが、「自分で選ぶ」という経験を大切にしていることです。
棚に並べられたおしごとの中から、自分がやりたい活動を選んで取り組む。
それを続けることで、お子さんの中には「自分で決めていいんだ」という感覚が少しずつ根づいていきます。
家庭でも、
・どの服を着るかを二択から選んでもらう
・おやつのお皿やコップを自分で準備してもらう
・遊ぶおもちゃを自分で決めて片づけまで担当してもらう
といった小さな選択の積み重ねが、「自分でやり遂げる力」の土台になります。
「もう少し見ていたいな」「もう一回やってみたいな」という姿を見取ったとき、
その気持ちに寄り添ってあげることが、育ちを支える大事な関わりになります。
集中して取り組む姿勢と、落ち着きのある行動
モンテッソーリ教育では、子どもが一つの活動にぐっと集中している状態を、とても大切にします。
これを「集中現象」と呼ぶこともありますが、
難しい言い方をしなくても、お父さん、お母さんも見たことがあるでしょう。
・黙々と積み木を積み続ける
・同じパズルを何度も何度も繰り返す
・水をコップからコップへ真剣な表情で移し続ける
こうした姿が見られているとき、お子さんの中では「自分で自分に集中をかける力」が育っています。
この経験が、やがて机に向かう力や、気持ちを整える力にもつながっていきます。
家庭でモンテッソーリ教育を取り入れると、
「ちゃんと座らせる」ことよりも、「夢中になれる活動を用意してあげる」ことに意識が向くようになります。
その結果として、落ち着いて過ごせる時間が少しずつ増えていくことも多いです。
生活の中での自立と、自分でできた喜び
モンテッソーリ教育では、「日常生活の練習」と呼ばれる活動がとても重視されています。
洋服を畳む、水を注ぐ、床を掃く、ボタンをとめる…。
大人から見ると単純な動作でも、お子さんにとっては大切な成長のステップです。
家庭でも、
・低い位置にハンガーをかけて、自分で上着をかけられるようにする
・小さな水差しや布巾を用意して、こぼしたら自分で拭けるようにする
・靴箱の一角を「自分のスペース」にして、自分で出し入れできるようにする
といった工夫を取り入れることで、「自分でできた」という実感が増えていきます。
その積み重ねは、お子さんの自信を育ちを支える、何よりの栄養になります。
他者を思いやる心や社会性が育ちやすくなる
モンテッソーリ教育では、自分のことだけでなく、周りの人を気づかう場面も大切にされています。
例えば、年下の子にそっと道具を渡してあげたり、終わったおしごとを次の人のためにきれいに整えたりする姿です。
家庭では、兄弟姉妹やご家族とのやりとりの中で、こうした社会性が育っていきます。
・一緒に使う道具を譲り合う
・使い終わったら「次に使う人」のために戻しておく
・困っている人に「どうしたの?」と声をかける
こうした小さな行動を、お父さん、お母さんが見逃さずに言葉にしてあげることで、
お子さんの中に「人のことを考えるって気持ちいい」という感覚が少しずつ育っていきます。
ここまでが、モンテッソーリ教育とは何か、その基本と子どもへの主な効果の全体像です。
次は、家庭で実際にどのように取り入れていけるのか、環境づくりや関わり方の具体的なステップについてお話していきます。
家庭で実践できるモンテッソーリ教育の基本ステップ
子ども目線の環境づくりから始める
家庭でモンテッソーリ教育を始めるとき、最初の一歩は「環境を子ども目線で見直してみること」です。
大人の目線だと気づきにくいのですが、
おもちゃが高い棚の上に積まれている
どこに何があるのか、お子さん自身には分かりにくい
片づける場所がはっきり決まっていない
ということはよくあります。
モンテッソーリ教育の考え方では、
自分で見える
自分で届く
自分で戻せる
この3つがとても大切です。
低い棚やカゴを使って、おもちゃや絵本を少し減らし、
「今のお子さんがよく使うもの」を選んで並べてみてください。
それだけでも、「自分で選べる」「自分で戻せる」経験がぐっと増え、
お子さんの育ちを支える環境としての力が高まっていきます。
お子さんの今の姿を見取って、ちょうどいい難しさを用意する
モンテッソーリ教育では、「少し頑張ればできそう」という難易度がとても大切です。
簡単すぎると飽きてしまい、難しすぎると投げ出したくなってしまいます。
例えば、コップに水を注ぐ活動なら、
最初は小さな水差しと少なめの水から
慣れてきたら、少し大きな容器や量を増やしてみる
といった具合に、少しずつ段階を上げていきます。
家庭でも、
もう一人で袖を通せそうな服にしてみる
ボタンが大きくて留めやすいものを選んでみる
片づける場所のラベルに絵や写真をつけて分かりやすくする
など、今のお子さんの姿を見取ってから、
「これなら自分でできそう」という工夫をしてあげることが、育ちを支えることにつながります。
「手伝う」前に「どうしたいか」を聞いてみる
困っていそうなお子さんを見ると、
つい大人がすぐに手を出したくなることがありますよね。
でも、モンテッソーリ教育の視点では、
その前に一度「どうしたい?」と聞いてみることを大切にします。
「やってみたいけど、うまくいかないだけ」の場合
「今は手伝ってほしい」と感じている場合
この二つは、外から見ただけでは分からないことも多いからです。
「自分でやってみる?」
「ここだけ手伝おうか?」
とたずねて、お子さん自身に選んでもらうことで、
「自分で決めた」という感覚も一緒に育っていきます。
全部を任せる必要はありませんが、
少しずつ“決定権”を渡していくことが、自立心の芽生えを支えることになります。
家庭で意識したい大人の関わり方
大人の関わり方も、モンテッソーリ教育では重要なポイントです。
やっている途中で、「こうした方が早いのに」「ちょっと違うな」と感じても、
すぐに口を出さず、「どんなふうに工夫しているのかな」と一呼吸おいて見守ってみます。
そして終わったあとには、
「自分で最後までやっていたね」
「さっきよりこぼす量が少なくなったね」
「ボタン、一つひとつゆっくり留めていたね」
というように、結果ではなく“プロセス”を言葉にしてあげると、
お子さんは「がんばっていた自分」に気づくことができます。
このプロセスを認める言葉かけが、
お子さんの育ちを支える大きな力になっていきます。
日常生活の中で取り入れやすいモンテッソーリ教育的な活動
生活習慣の中で「自分でできる」を増やす工夫
モンテッソーリ教育とは?と考えたとき、
特別な教具やおしゃれなインテリアを思い浮かべる方もいるかもしれません。
けれど、家庭でいちばん取り入れやすいのは、実は「生活の中の小さな仕事」です。
朝、タオルを自分でかける
テーブルにスプーンやお箸を並べる
食後に自分の食器を下げる
脱いだ服を洗濯かごに入れる
こうした動作を、お父さん、お母さんが「早くやってあげる」のではなく、
「自分でできるように準備しておく」ことが、モンテッソーリ的な家庭実践のポイントです。
失敗しても大丈夫な場面から始めて、
「自分でできた」という小さな成功体験を積み重ねていくことで、
お子さんの中に自信が少しずつ育っていきます。
手先を使うおしごと遊びで集中力を育てる
モンテッソーリ教育では、手先を使う細かな動きも、とても大切にされています。
手を動かすことは、脳の発達とも深く関わっているからです。
家庭でできる手先のおしごととしては、例えばこんなものがあります。
スプーンで豆やビーズをすくって別の容器に移す
トングでスポンジやポンポンをつまんで移動させる
ひも通しや、ボタンはめのおもちゃで遊ぶ
洗濯ばさみを箱や紙に並べてつけていく
どれも特別な道具ではなく、身近なものを工夫して始められます。
大切なのは、「途中で口を出しすぎないこと」と、
「くり返し取り組める時間をゆったりと用意してあげること」です。
真剣な表情で手を動かしている姿が見られるとき、
お子さんの中では集中力の芽が育っているところです。
その姿をそっと見守り、終わったあとに一言、「よく頑張っていたね」と伝えてあげてください。
このように、モンテッソーリ教育は、
特別な場ではなく、家庭の日常の中で少しずつ実践していくことができます。
次は、こうした考え方をさらに広げるために役立つ知育玩具や書籍の選び方について、
より具体的に紹介していきます。
モンテッソーリ教育の考え方を活かした知育玩具の選び方
モンテッソーリ教育の視点から見た知育玩具のポイント
「モンテッソーリっぽいおもちゃ」と書かれているものは増えていますが、選ぶときに大切なのはラベルよりも中身です。
モンテッソーリ教育の考え方を活かすなら、次のようなポイントで見てみてください。
形がシンプルで、色も多すぎない
何をするおもちゃなのか、目的が分かりやすい
お子さんが自分で手を動かして試行錯誤できる
ボタンを留めるボード、紐を通すおもちゃ、同じ形を合わせるパズルなどは、
「手先を使う」「集中する」「順番を考える」など、育ちを支える要素がぎゅっと詰まっています。
一方で、光ったり音が鳴ったりして自動で動き続けるおもちゃは、
どうしても刺激に“見せられているだけ”になりがちです。
もちろん全てがだめというわけではありませんが、
モンテッソーリ教育とは?家庭で実践できる方法を考えたとき、
「自分で動かして、自分で結果を確かめられる」知育玩具を中心にそろえていくと、学びが深まりやすくなります。
お子さんの興味と発達段階に合わせた選び方
良さそうな知育玩具を見つけると、つい「これもあれも…」と集めたくなってしまいますよね。
ですが、いちばん大事なのは「今この子に合っているかどうか」です。
ものを並べることが好きな時期
運ぶ・移すことに夢中な時期
小さなものをつまむ動きに挑戦している時期
ひらがなや数に興味が出てきた時期
こうしたお子さんの姿を見取ってから、
「今の興味をもう一歩広げてくれる玩具はどれかな」と考えてみてください。
対象年齢は一つの目安ですが、
実際には年齢より「どんな遊び方をしているか」の方が大切です。
早く先取りするよりも、今の育ちを支える道具を選ぶ方が、結果的に力になっていきます。
親子で一緒に楽しむ使い方
どんなに良い知育玩具でも、棚に置かれたままでは力を発揮できません。
最初は、お父さん、お母さんがそっと遊び方を見せてあげてください。
道具の持ち方や、動かす順番をゆっくり見せる
一通りやってみせたあと、「やってみる?」と声をかける
お子さんがやり始めたら、口を挟まずに見守る
そして終わったあとに、
「ここ、ていねいにやっていたね」
「さっきより早くできたね」
と、がんばっていた姿を言葉にして伝えてあげると、
お子さんの中で「もっとやってみたい」という気持ちが大きく育っていきます。
知育玩具は、「買っておけば賢くなるもの」ではなく、
親子で一緒に使い方を育てていく道具です。
モンテッソーリ教育の考え方をそっと添えることで、同じおもちゃでも学びの深さが変わっていきます。
親子で一緒に“楽しさ”を共有しよう
知育玩具を与えるだけでは、集中力は育ちません。
大切なのは、「一緒に楽しむ時間」です。
たとえば、
「どっちが高く積めるかやってみよう!」
「次はどんな形にしてみる?」
と声をかけながら、親も一緒に夢中になることで、お子さんの集中時間は格段に伸びます。
子どもは「見てもらえている」と感じると、挑戦する意欲が増します。
集中の持続には、「安心」と「共感」が欠かせません。
また、知育玩具は“長く遊べるもの”を選ぶのもポイントです。
単なる一時的なブームで終わらず、年齢や発達に応じて遊び方が変化していくものを選びましょう。
1.テンヨー 『脳ブロック』
手のひらサイズから始まる“遊びの旅”。テンヨーの知育ブロックシリーズは、形や色を自分で選びながら創り出す楽しさが詰まっています。小さなお子さんが「やってみたい!」と手を伸ばす瞬間が、集中力や想像力の育ちを後押しします。親御さんも一緒に遊ぶことで、笑顔と達成感を共有できるのも魅力。家庭での遊び時間を、子どもの“育ちを支える”時間に変えてみませんか?
2.カワダ 『ナンスピ』
「遊びながら夢中になれる」その瞬間が、集中力を育てる大切な出発点です。KAWADAのこのボードゲームは、数字カードやライトの順番を記憶してチャレンジする3つのモードを備え、遊びながら集中力・注意力・記憶力を鍛えられます。対象年齢6歳以上、コンパクトなサイズなのでご家庭のリビングでも楽しめ、お子さんと一緒に「できた!」という達成感を分かち合えるのも魅力。家庭時間を、育ちを支える“遊び時間”に変えてみませんか。
3.マテルゲーム ブロックス トライゴン
この知育ボードゲームは、「遊びながら賢くなる」家庭時間を実現します。2〜4人で遊べる仕様で、対象年齢7歳以上。三角形のピースを交互にボードに配置し、最終的に多くのマスを埋められたプレイヤーが勝利というルールで、視覚-空間能力や計画力、集中力を育てる工夫が詰まっています。遊びが終わったら「どこが難しかった?どう変えた?」と話すことで、お子さんの“考える力”を育ちを支える時間にもなります。
4.アルゴ ベーシック (頭のよくなるゲーム)
数学と論理的思考を楽しく伸ばせる一冊です。カードを使って「何が隠れているの?」と推理しながら遊ぶ教材で、遊びの中に集中力や分析力が自然と育まれます。お子さんが「気になる!」「もう一回やってみたい!」という瞬間を増やせるのも魅力。お父さん・お母さんがそばで声をかけながら、「今日の発見はね」と子どもの育ちを支える時間になる一冊です。
モンテッソーリ教育を家庭で実践するときの注意点とデメリットも含めて考える
「完璧なモンテッソーリ家庭」を目指しすぎない
写真や動画で紹介されるモンテッソーリ環境は、とても美しく整っています。
それを見ると、「うちの家は全然ダメだ」と落ち込んでしまう親御さんもいるかもしれません。
けれど、お子さんにとって大事なのは、完璧な部屋ではなく、
自分のペースを大切にしてくれる大人の存在です。
今日はできなかったね、また今度やってみよう
少しずつ変えていけばいいよね
そんな言葉がある家庭は、それだけでお子さんの育ちを支える環境になっています。
モンテッソーリ教育の全部を一度に取り入れようとすると、
ご両親が疲れてしまいます。
一か所の棚、一つの活動、一つの声かけ。
小さな一歩からで十分です。
やらせすぎ・干渉しすぎになっていないかを振り返る
「モンテッソーリ教育がいい」と思えば思うほど、
「もっとやらせなきゃ」「この活動もさせなきゃ」と焦ってしまうこともあります。
でも、お子さんは大人の期待に敏感です。
本当は遊びたいのに、いつもおしごとを勧められる
うまくできないときに、何度も直されてしまう
こうした経験が重なると、
モンテッソーリ教育そのものが、お子さんにとって「苦しいもの」になってしまうこともあります。
時々立ち止まって、
楽しそうな表情が増えているか
以前よりも自分からやろうとする姿が増えているか
を振り返ってみてください。
その姿を見取ることが、方向性を調整する大切な手がかりになります。
兄弟姉妹がいる家庭ならではのむずかしさ
下の子が活動を邪魔してしまう、
おもちゃの取り合いになってしまう、
そんな悩みもよく聞かれます。
モンテッソーリ教育の考え方を活かすなら、
一人で集中したい子のための“特等席”をつくる
みんなで使うおもちゃと、一人ずつの道具を分ける
「順番を待つ」ことを、短い時間から練習してみる
といった工夫が役に立ちます。
兄弟姉妹がいるからこそ育つ力もたくさんあります。
うまくいかない場面も含めて、ゆっくり育ちを支えるつもりで見守っていけると安心です。
モンテッソーリ教育だけが正解ではないという視点
最後にとても大切なのは、「モンテッソーリ教育だけが正解ではない」ということです。
園や学校の方針、ご家庭の考え、お子さんの個性。
どれも大事にしながら、モンテッソーリ教育の考え方を“借りてくる”くらいの気持ちで大丈夫です。
モンテッソーリ教育とは?家庭で実践できる方法と子どもへの効果を理解したうえで、
お子さんやご家族に合う部分を選び取っていく柔軟さが、いちばんの安心材料になります。
次は、よくある質問を通して、実際に取り入れるときの不安や疑問を、
もう少し具体的に整理していきます。
よくある質問とその答え
Q:モンテッソーリ教育は何歳から始めればいいですか?
「何歳から始めるか」というより、「どんな姿が見られてきたか」で考えると安心です。
例えば、
スプーンを自分で持ちたがる
何度も同じ遊びを繰り返したがる
大人のまねをして掃除や料理をしたがる
こうした姿が見えてきたら、すでにモンテッソーリ教育の入口に立っていると言えます。
乳児さんなら、触る・握る・なめるといった感覚あそびから。
幼児さんなら、日常生活のお手伝いや簡単なおしごと遊びから。
幼児教育の知見をもとにすると、大切なのは「早く始めること」よりも、
お子さんの今の育ちに合った関わりを、無理なく続けていくことだと考えられています。
Q:通っている園がモンテッソーリ教育ではなくても意味はありますか?
もちろん意味があります。
園や学校がモンテッソーリ園でなくても、家庭での関わり方には十分にモンテッソーリ教育のエッセンスを生かせます。
朝の身支度を自分でできるように工夫する
帰宅後、落ち着いて遊べるコーナーを一つ用意する
「自分で選べる」場面を少し増やしてみる
こうした小さな積み重ねは、どの園に通っていてもお子さんの育ちを支える力になります。
園での生活と家庭での関わりがつながることで、お子さんにとっても安心した毎日になっていきます。
Q:家が狭くても、モンテッソーリ的な環境づくりはできますか?
広いスペースがなくても大丈夫です。大切なのは「量」ではなく「質」です。
例えば、
リビングの棚一段だけを「子どもの棚」にする
カゴを一つ用意して、その中だけを自分で選べるおもちゃにする
フックや小さなかごを活用して、身支度コーナーを作る
など、ほんの小さなスペースから始められます。
「ここは自分の場所」「ここなら自分でできる」という感覚が育つと、
お子さんの姿を見取る場面も増え、育ちを支える関わりがしやすくなっていきます。
Q:続けられるか不安です。途中でやめても大丈夫でしょうか?
大丈夫です。モンテッソーリ教育とは?家庭で実践できる方法を考えるとき、
「一度始めたらやめてはいけない」という決まりはありません。
忙しい時期にはお休みして、少し落ち着いたらまた再開する。
季節や生活リズムに合わせて、できる範囲を調整する。
そのくらいの柔らかさでちょうどいいのだと思います。
大切なのは、「ちゃんと続けたか」ではなく、
お子さんの育ちを支える関わりを、ご両親が大事にしたいと思い続けていることです。
できた日も、うまくいかなかった日も含めて、親子の歩みになっていきます。
まとめ:家庭でモンテッソーリ教育を始める第一歩と、これから試してみたい工夫
ここまで、【モンテッソーリ教育とは?家庭で実践できる方法と子どもへの効果】というテーマで、
基本の考え方やお子さんにもたらされる変化、そして家庭での具体的な取り入れ方についてお話ししてきました。
あらためて要点をぎゅっとまとめると、
モンテッソーリ教育は「子どもには自分を成長させる力がある」という見方に立っている
大人の役割は、教え込む人ではなく「環境を整え、育ちを支える人」
生活の中で「自分で選ぶ」「自分でやってみる」経験が、自信や集中力につながる
知育玩具や書籍は、“親子で一緒に楽しみながら学びを深める道具”として活用できる
完璧を目指さず、家庭に合った形で少しずつ取り入れていくことが大切
これから試してみたい工夫として、例えばこんな一歩があります。
おもちゃ棚を一段だけ見直して、「自分で選べる・戻せる」配置にしてみる
朝や寝る前など、1日のどこかで「自分でやってみるおしごと」を一つ用意してみる
お子さんが夢中になっている姿を見取って、「がんばっていたね」と具体的に声をかけてみる
モンテッソーリ教育の考え方が分かる本を一冊手もとにおいて、気になったときに少しずつ読んでみる
どれも、いきなり大きな変化を求めるものではありません。
ご両親の今の生活リズムに合わせて、「これならできそうかな」と感じるところからで十分です。
幼児教育の知見をもとにすると、お子さんの育ちは、焦らず、比べず、
その子なりのペースを尊重するときに、いちばん豊かに育まれていきます。
モンテッソーリ教育は、そのための“道具”であり“考え方”の一つです。
どうか完璧を目指しすぎず、お父さん、お母さんご自身の心地よさも大切にしながら、
親子で一緒に「こうしてみたらどうかな?」と試していってほしいなと思います。