
「IB教育がいいらしい」「国際バカロレアの学校が増えている」と耳にすることが増えた一方で、中身まではよく分からない…という親御さんは多いのではないでしょうか。お子さんには、これからの時代を生きる力を育ててあげたい。できれば英語力や考える力も伸ばしてあげたい。でも、インターナショナルスクールや海外のイメージが強く、「わが家には関係なさそう」と感じてしまうこともありますよね。
ご両親としては、「日本の教育だけで大丈夫かな」「受験にも影響するのかな」と不安になることもあると思います。ネットでIB教育を調べてみると、専門用語が多くて難しそうに感じたり、「ハードルが高い」「宿題が大変」という声も目にします。一方で、「子どもが主体的に学ぶようになった」「自分の意見をはっきり言えるようになった」といった前向きな口コミもあり、どちらを信じたら良いか迷ってしまいます。
そこでこの記事では、幼児教育の知見をもとに、IB教育とは何か、国際バカロレアとはどんな仕組みなのか、その特徴やメリット・注意点をやさしい言葉で整理していきます。「IB校に入れるかどうか」だけでなく、「家庭でIB教育のエッセンスを取り入れるにはどうしたらいいか」という視点も大切にしながら、お父さん、お母さんのモヤモヤを少しずつほぐしていきたいと思います。
読み終わるころには、「IB教育は特別な子だけのものではなく、わが家の子育てにも参考になる部分がありそう」「この考え方なら、明日から家庭で試してみられそう」というイメージが持てるはずです。まずは、IB教育の基本から一緒に見ていきましょう。
IB教育とは?国際バカロレアの基本をわかりやすく解説
IB教育が生まれた背景と世界的な広がり
IB教育は、正式には「国際バカロレア(International Baccalaureate)」と呼ばれる教育プログラムにもとづいた学び方です。もともとは、海外を行き来する家庭の子どもたちが、どの国でも質の高い教育を受けられるようにと考えられた仕組みで、1960年代にスイスで始まったと言われています。世界共通の「学びのものさし」をつくることで、国や言語が違っても、子どもたちの育ちを支えようとしてきた歴史があります。
現在では、世界中の多くの国と地域でIB教育が実践されており、日本でも認定校の数は少しずつ増えています。文部科学省も、グローバル人材育成の一つの柱として、国際バカロレアの導入を後押ししています。「海外の一部のエリートのための教育」というよりも、「多様な子どもたちが、自分の力で考え、対話し、学び続けるための教育」として広がってきていると言えるでしょう。
国際バカロレア機構と認定校のしくみ
IB教育を運営しているのは、「国際バカロレア機構(IBO)」という非営利団体です。この団体が定めた教育理念やカリキュラムに沿っていると認められた学校が、「IB認定校」として登録されます。認定校になるには、教員研修やカリキュラム整備など、いくつかの基準をクリアする必要があり、数年かけて準備を進める学校も少なくありません。
日本には、インターナショナルスクールだけでなく、公立・私立の小学校、中学校、高校、幼児教育施設の中にも、国際バカロレアのプログラムを導入しているところがあります。全ての授業が英語という学校もあれば、日本語と英語を組み合わせて学ぶ学校もあり、スタイルはさまざまです。大事なのは、「IBの考え方にもとづいて、お子さんの学びをどうデザインしているか」という点です。
IBの4つのプログラム(PYP・MYP・DP・CP)の違い
国際バカロレアには、年齢に応じた4つのプログラムがあります。
・PYP(Primary Years Programme):3〜12歳ごろを対象とした初等教育プログラム
・MYP(Middle Years Programme):11〜16歳ごろを対象とした中等教育プログラム
・DP(Diploma Programme):16〜19歳ごろを対象としたディプロマプログラム
・CP(Career-related Programme):職業教育に焦点を当てたプログラム
お子さんがまだ未就学〜小学校低学年くらいの場合は、主にPYPがイメージしやすいかもしれません。PYPでは、教科ごとに勉強するというより、「自分や家族」「世界」「自然」「社会」といった大きなテーマにもとづいて、探究的に学びを進めていきます。
たとえば、「水」というテーマなら、理科の視点だけでなく、生活との関わり、環境問題、文化や歴史とのつながりなど、さまざまな角度から考えます。このような学び方は、教科ごとに時間割が分かれている日本の一般的な授業とは少し違うイメージかもしれません。
日本でIB教育が注目されている理由
では、なぜ今、日本でIB教育が注目されているのでしょうか。背景には、社会の変化があります。AIの発達や国際化が進む中で、「決められた答えを早く出す力」だけではなく、「自分で問いを立て、情報を集め、考えをまとめ、他者と対話しながらよりよい答えを探していく力」が求められるようになってきました。
国際バカロレアは、まさにこうした力を育てることを目指した教育です。知識を覚えること以上に、「なぜ?」「本当にそうだろうか?」と考える姿を大切にし、自分の意見を持ち、他者の考えも尊重しながら学ぶ時間が多く設計されています。
日本の大学の中には、DP(ディプロマプログラム)の修了生を対象とした入試制度を設けているところも増えてきました。海外大学への進学を視野に入れているご家庭だけでなく、「これからの日本社会の中で、お子さんが自分らしく生きていく力を育てたい」というご両親にとっても、IB教育は一つの選択肢として関心を集めています。
ここまで、IB教育とは何か、国際バカロレアの基本的な仕組みを見てきました。次の章では、「IB教育の特徴と、どんなお子さんの育ちを支えようとしているのか」という点を、もう少し具体的に見ていきます。
IB教育の特徴と「どんな子どもを育てたいのか」
詰め込みではなく「探究型学習」を大事にする
IB教育の大きな特徴の一つが、「探究型学習」です。
これは、先生が一方的に教えるのではなく、子どもたちが自分で問いを立て、調べ、考え、まとめていく学び方です。
たとえば、「食べ物」というテーマがあったとします。
国語なら「食べ物の名前を覚える」、理科なら「栄養」だけを学ぶ、という切り分けではなく、
「どうして食べ物は国によって違うのかな?」
「食べ物はどこから来るのかな?」
「食べ物が捨てられると、地球にどんな影響があるのかな?」
といった問いをみんなで考えながら、調べたり、インタビューしたり、実際に料理をしてみたりします。
こうした探究型学習は、知識をただ覚えるだけではなく、「つながり」を意識して学ぶ力を育ちを支えることにつながります。
ご両親から見ると、「そんなに遠回りしなくても、教科書を覚えたほうが早いのでは?」と感じるかもしれません。
しかし、幼児教育の知見をもとにすると、自分で考え、試し、失敗もしながら学ぶ経験は、長い目で見て「学び続ける力」の土台になります。IB教育とは、こうした探究の積み重ねを大切にしている教育だと言えます。
IBが大切にする10の学習者像とは?
国際バカロレアには、「こんな人に育ってほしい」というイメージを表した「10の学習者像」があります。
すべてを覚える必要はありませんが、雰囲気を感じてみましょう。
たとえば、
・よく考える人(考える力)
・進んで学ぶ人(主体的に学ぶ姿)
・心を開いている人(違いを受け入れる姿勢)
・思いやりのある人(人へのまなざし)
・振り返りができる人(自分を見つめる力)
などが含まれます。
どれも、「テストで高得点を取る子」ではなく、「社会の中で、人と協力しながら生きていける人」をイメージしているのが伝わるのではないでしょうか。
お子さんの姿を見取るとき、「うちの子は算数が得意かどうか」だけでなく、「人の気持ちに気づこうとしているか」「自分の失敗から学ぼうとしているか」といった視点も、IB教育ではとても大事にしています。
ご両親が日常の中で、「今日はこんな優しさが見えたね」「こんなふうに工夫していたね」と声をかけてあげることも、10の学習者像につながる育ちを支える一歩になります。
「振り返り(リフレクション)」を通して学びを深める
IB教育の特徴として、よく出てくる言葉に「リフレクション(振り返り)」があります。
これは、学びが終わったときに「何をしたか」だけではなく、「どう感じたか」「何がうまくいって、何がうまくいかなかったか」「次はどうしたいか」を、自分のことばで振り返る時間のことです。
たとえば、グループで調べ学習をしたあとに、
「今回、どんなことが楽しかった?」
「大変だったことは何だった?」
「次にもう一度やるなら、どうしてみたい?」
といった対話をします。
最初はうまく話せなくても、少しずつ「言えた」「わかってもらえた」という経験を重ねる中で、自分の内側を見つめる力が育っていきます。
お父さん、お母さんの立場からすると、家でできる簡単な振り返りとして、「今日の楽しかったことを一つ教えて」「明日はどんな一日にしたい?」と寝る前に話す時間をつくるのもおすすめです。IB教育とは、こうした小さなリフレクションの積み重ねを、とても大切にしている教育でもあります。
点数だけではない「評価」の考え方
IB教育には、「評価」に対する独特の考え方があります。もちろん、テストや成果物もありますが、それだけで良し悪しを決めるのではなく、「プロセス(過程)」も含めて見ていきます。
・どんなふうに計画を立てたか
・友だちとどう協力しようとしたか
・失敗したときに、どう立て直そうとしたか
こうした姿も、評価の大切な対象です。
点数が高いかどうかだけでなく、「どんな学び方をしているか」を見守り、その成長の過程を丁寧に支えていこうとするのが、IB教育の考え方です。
ご両親の中には、「そんな評価だと、結局どれくらいできているのか分かりにくいのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。
確かに、数字だけを見るよりも、先生のコメントやポートフォリオ(作品や記録をまとめたもの)を読み解く必要があります。その分、お子さんの小さな変化や、努力の積み重ねに気づきやすくなるというメリットもあります。
「テストの点だけでは見えにくい成長をどう見取るか」。
それを丁寧に言葉にしていくことが、IB教育の評価の大きな特徴です。
ここまで、IB教育の特徴と「どんな子どもを育てたいのか」という全体像を見てきました。次は、子育て目線でもっと具体的に、「IB教育のメリットとデメリット」「わが家との相性」について考えていきます。
子育て目線で見るIB教育のメリット・デメリット
IB教育のメリット:思考力・表現力・多様性へのまなざし
IB教育のメリットとしてよく挙げられるのが、「自分の頭で考える力」と「自分のことばで伝える力」です。
探究型学習では、先生から教わるだけでなく、お子さん自身が「なぜ?」「どうして?」を大切にしながら学びを進めます。そのため、
・理由をセットで説明しようとする
・友だちの意見を聞いて、自分の考えを言い直してみる
・失敗から学びを見つける
といった姿が育ちやすくなります。
また、IB教育では、世界のさまざまな文化や価値観に触れる機会が多く、「自分と違う相手」を理解しようとする視点も育ちを支える大切なポイントです。ニュースで海外の出来事を見たときにも、「あの国ではどんな暮らしをしているのかな?」とお子さんが自分から問いを立てるきっかけになるかもしれません。
向いている子・合いやすい家庭の雰囲気
IB教育は、「特別に優秀な子だけのもの」というわけではありません。ただ、相性という意味で、「合いやすい傾向」はあります。
・興味をもったことをとことん調べるのが好き
・一つの正解よりも、「いろいろな考え方」を知るのが楽しい
・人前で話したり、友だちと相談したりするのが苦手ではない
こうしたお子さんは、IB教育のスタイルに乗りやすいことが多いです。
ご家庭の雰囲気としては、
・「こうしなさい」より「どう思う?」という会話が多い
・ニュースや本の内容について、家族で話し合う機会がある
・失敗しても、「なにがうまくいかなかったかな?」と一緒に振り返る
といったやり取りがあると、IBの学び方と自然につながりやすくなります。
逆に、「指示されたことを素早く、正確にこなすこと」が主な評価軸になっていると、お子さんが最初は戸惑うかもしれません。
知っておきたいデメリットや注意点
一方で、IB教育には注意しておきたい点もあります。
一つは、「学習量と時間の負担」です。探究型学習では、調べものやレポート作成、プレゼンテーションの準備など、自宅での作業が増えることがあります。部活動や習いごととの両立が大変になるケースも珍しくありません。
もう一つは、「評価のわかりにくさ」です。テストの点数だけでなく、プロセスや態度も含めて評価されるため、親御さんが一目で「何点」と把握しにくい場面もあります。その分、先生からのコメントや面談を通して、お子さんの学びの姿を丁寧に見取る必要があります。
また、学校によっては授業の一部または多くが英語で行われるため、言語面での負担を感じるお子さんもいます。英語力がすぐに高くならなければいけない、というわけではありませんが、「わからない」「ついていけない」という不安をどう支えるかは、ご両親と学校が一緒に考えていく大切なポイントです。
日本の受験や進学との関係
IB教育は海外大学への進学に有利なイメージがありますが、日本国内でも、IBディプロマ(DP)を評価する大学が増えています。ただし、まだすべての大学に広く浸透しているわけではなく、日本の一般的な入試と仕組みが違う部分も多いのが現状です。
小さいうちから「将来はIBで海外大学に」と強く決めすぎてしまうと、ご家庭にも大きなプレッシャーがかかります。
IB校を検討する場合は、
・その学校の卒業生の進路
・国内大学・海外大学へのサポート体制
・日本のカリキュラムとの両立の工夫
といった点も合わせて確認しておくと安心です。
大切なのは、「IB教育を受けること」そのものよりも、「IB的な学びのスタイルが、お子さんの育ちをどう支えるか」を、ご家族で納得して選べることです。
家庭でもできる!IB教育のエッセンスを取り入れた子育て
「正解を教える」から「一緒に考える」への声かけ
IB教育のエッセンスは、IB校に通わなくても、家庭で少しずつ取り入れることができます。第一歩としておすすめなのが、「すぐに答えを教えない」という関わり方です。
お子さんが、
「なんで雨が降るの?」
「どうして国によって言葉が違うの?」
と聞いてきたとき、「それはね…」とすぐに説明するのではなく、
「どうしてだと思う?」
「一緒に調べてみようか」
と問い返してみます。
大人にとっては少し回り道に感じるかもしれませんが、お子さんにとっては「自分で考える入口」になります。間違っていてもかまいません。「そう考えたんだね」と一度受けとめてから、「じゃあ、こんな見方もあるかもね」と広げていくと、「考えるって楽しい」という感覚を、日常の中で育ちを支えることができます。
日常会話でできる「問いかけ」と「振り返り」
IB教育で大事にされている「リフレクション(振り返り)」も、ご家庭で簡単に取り入れられます。
たとえば、夕食や寝る前の時間に、こんな会話をしてみます。
「今日、一番楽しかったことはなに?」
「ちょっとイヤだったことはあった?それはどうしてかな?」
「明日はどんな一日にしたい?」
短い一言でも大丈夫です。
「何もない」と答える日もあるかもしれませんが、ご両親が「話してくれてありがとう」と受けとめることで、お子さんは「自分の一日を振り返る習慣」を少しずつ身につけていきます。
このようなやり取りの中で、「友だちにこうしてあげた」「今日はうまくいかなかったから、明日はこうしたい」といった言葉が出てきたら、それはIB教育が目指す「自分と相手、社会とのつながりを意識する姿」の一つだと考えられます。
日常の小さなつぶやきから、お子さんの姿を見取る視点を持てると、親御さん自身の安心にもつながります。
遊びながら探究心を育てる関わり方
IB教育とは、特別な教材だけでなく、身近な遊びの中にもエッセンスが詰まっています。
たとえば、
・ブロック遊び:なぜ倒れた?どうしたら高く積める?
・お店屋さんごっこ:どうしたらお客さんが来てくれるかな?
・お絵かき:どうしてその色を選んだの?どんな気持ちの絵?
といったふうに、遊びの中で「問い」を添えることで、自然と探究のモードに入っていきます。
お父さん、お母さんが「上手だね」「すごいね」だけで終わらず、「ここを工夫したんだね」「この部分がおもしろいね」と具体的に声をかけると、お子さんは「自分の考えやアイデアを認めてもらえた」と感じやすくなります。それが次の挑戦へのエネルギーになり、育ちを支える大切な土台となります。
多様な視点に触れられる環境を用意する
IB教育では、「違いを知り、尊重すること」も大切にしています。家庭でできることとして、絵本や動画、遊びの中で、いろいろな国や文化に触れる機会を意識的につくるのもおすすめです。
・世界の子どもが出てくる絵本を読む
・旅行やニュースの話題から、地図や地球儀を一緒に見る
・外国の料理を家で一緒につくってみる
こうした体験は、「自分とは違う誰か」に興味をもつ入口になります。
「この子はどんなことが好きかな?」「この国ではどんな遊びをしているのかな?」といった問いを一緒に考えることで、お子さんのまなざしが少しずつ外の世界へ広がっていきます。
ここまでが、家庭で取り入れられるIB教育のエッセンスです。
次の章では、こうした関わりをさらに深めていくために役立つ「知育玩具」や「書籍」について、ご両親目線で選び方のポイントや活用法を紹介していきます。
IB教育への理解を深めるおすすめ知育玩具・書籍
探究心を刺激する知育玩具の選び方
PYP的な学びを家庭で取り入れるとき、頼もしい味方になるのが知育玩具です。
PYPの基本は「探究」。つまり、子どもが自分で考え、試し、発見することを大切にします。
そのため、答えがひとつに決まらないおもちゃ——自由に発想できる玩具が理想的です。
「こうしなければいけない」というルールが少なく、手を動かしながら試行錯誤できるものを選びましょう。
たとえば、ブロックや構造系玩具は、自分の考えを形にできる“探究のツール”。
お子さんが「どうすれば倒れない?」「これを足したら動く?」と考え始めるとき、それはすでにPYP的な学びの姿です。
親御さんが「面白いね」「その形、どうやって思いついたの?」と声をかけてあげることで、思考を深め、表現する力を育てられます。
親子で一緒に考える時間をつくるアイテム
マテルゲーム ブロックスシャッフル ポケモンエディション ボードゲーム HHM20
人気のブロックスがポケモン仕様になった知育ボードゲーム。
カラフルなピースを交互に配置して陣地を広げながら、論理的思考力と空間認識力を楽しく育てます。
キャラクターが登場することで、遊び慣れていないお子さんも夢中になりやすく、親子での対話も自然に生まれます。
「どこに置く?」「次はどうしよう?」と考える時間が、まさにPYP的な探究の一歩です。
アルゴ ベーシック(頭のよくなるゲーム)|学研ステイフル
数字の並びをヒントに、相手のカードを推理する思考型カードゲーム。
ルールはシンプルなのに、論理的思考力・記憶力・集中力を同時に鍛えられます。
PYPの探究学習にも通じる「仮説→検証→考え直し」のプロセスを、遊びながら体験できるのが魅力。
親子で一緒に推理を楽しむ時間は、対話的な学びのきっかけにもなります。
「どうしてそう思ったの?」と問いかけながら、考える過程を共有してみましょう。
セイコー 知育掛け時計 KX617W
「時計を読む力」を学びの出発点にできる知育アイテム。
長針・短針が色分けされ、0〜59分の数字が入っているので、初めて時間を学ぶお子さんにもぴったり。
PYPが重視する“自立した学び”を支え、日常の中で時間の感覚をつかむ力を育てます。
親子で「何時に出発する?」「あと何分?」と会話する時間が、自然な学びの習慣につながります。
コサイン 子ども時計 CW-14
木の温もりを感じるデザインが魅力の知育時計。
長針・短針の色や形が見やすく、インテリアとしても優しい印象です。
PYPが重視する「環境は第3の教師」という考えのもと、子どもの視界に入る環境がそのまま学びを引き出します。
「今何時かな?」と自分で確認する習慣が、“自分で考えて行動する”力を育てます。
PYP的な考えを学べる書籍
『探究プロジェクトの最前線 国際バカロレア(PYP)の理論と実践』
PYPの理論を実際の教育現場にどう活かすかを、具体的なプロジェクト事例を通して紹介する一冊。
「探究とは何か?」「子どもが主体的に学ぶとは?」という問いに、理論と実践の両面から丁寧に答えています。
教育者だけでなく、家庭で探究型の学びを取り入れたい親御さんにも理解しやすく、実践のヒントが豊富。
PYPを“知る”から“一緒に育てる”へとつなげてくれる良書です。
『探究の達人 子どもが夢中になって学ぶ!「探究心」の育て方』
「探究ってどうやって育てればいいの?」という親御さんの疑問に、実践的に答えてくれる一冊です。
著者の神田昌典氏と学修デザイナー協会が提唱する“探究のサイクル”は、PYPの考え方と通じる部分が多く、家庭での学びにも応用できます。
お子さんが「もっと知りたい!」と感じる瞬間をどう支え、どう広げるか。その具体的な関わり方がわかりやすく紹介されています。
親子で“学びの楽しさ”を再発見できる内容です。
『自分の頭で考える子に育つ 学ぶ力の伸ばし方』
「考える力」を育てたいお父さん・お母さんにおすすめの一冊です。
知識を詰め込むのではなく、子ども自身が“なぜだろう”と感じ、考え、行動する力を育む方法を、具体的なエピソードとともに紹介しています。
PYPの探究学習とも重なる「自分で問いを立てる」姿勢を家庭でどう支えるかが、やさしく解説されています。
お子さんが自分の頭で考え、学びを楽しむ姿を見取りたい方にぴったりです。
家庭での学びを深めるために
知育玩具や書籍は、“学びを広げるためのツール”です。
大切なのは、お子さんが「やってみたい」と感じた瞬間をどう支えるか。
親御さんが一緒に驚き、考え、喜ぶことで、学びの時間が特別な体験になります。
たとえば、ブロックスで戦略を考える姿や、時計を見て時間を読もうとする姿を「考える力が育ってるな」と見取ること。
その瞬間を見逃さず、「あなたの考え、いいね」と言葉で伝えるだけで、子どもの自信がぐっと深まります。
IB教育についてのよくある質問Q&A
Q1:IB校に通わないと、IB教育のメリットは得られませんか?
必ずしもそうとは限りません。
国際バカロレアのカリキュラムそのものはIB認定校で学ぶ必要がありますが、IB教育が大切にする「探究」「対話」「振り返り」といった考え方は、ご家庭や一般的な学校教育の中でも意識して取り入れることができます。
たとえば、
「どう思う?」「どうしてそう考えたの?」と問いかける
失敗したときに、「次はどうしたい?」と一緒に振り返る
世界のニュースや出来事について、親子で話し合う
といった関わりは、IB校でなくても今すぐ始められるものです。
IB教育とは、特別な場所だけで完結するものではなく、日常の中での関わり方とも深くつながっています。
Q2:英語が得意でないと、IB教育は難しいでしょうか?
国際バカロレアには英語で学ぶプログラムも多いですが、近年は日本語を主な言語として学ぶコースや、日英二言語で学ぶコースも増えています。
英語力は確かに大切な要素の一つですが、「最初から完璧な英語力が必要」というわけではありません。
むしろ、「わからないことをそのままにしない」「少しずつ慣れていこうとする姿勢」をどう育ちを支えるかが重要です。
お子さんが不安を抱えている場合は、学校の先生と相談しながら、補助的な教材やサポートの方法を検討すると安心です。
Q3:日本の学校教育と、IB教育はどちらを優先したら良いですか?
「どちらか一方を選ばなければならない」というよりも、「わが家の子育ての軸に、どの部分を取り入れたいか」を考えるイメージが近いかもしれません。
日本の学校教育にも、基礎学力をしっかり育てる良さがありますし、IB教育には、自分で問いを立てる探究の良さがあります。
大切なのは、
お子さんの性格や興味に合っているか
家庭として、どのような育ちを大切にしたいか
現実的な通学や費用の負担を含めて、納得できる選択か
を、ご家族で話し合って決めていくことです。
どちらかが「正解」で、どちらかが「間違い」というわけではありません。
Q4:IB教育を始めてから「合わない」と感じたらどうすればよいですか?
実際に通い始めてから、「思っていたイメージと違う」「わが家の生活リズムと合わない」と感じることもあるかもしれません。
そのときは、まずお子さんの気持ちと姿をよく見取ることが大切です。
学び自体は楽しんでいるのか
宿題や課題の量に苦しんでいないか
クラスメイトや先生との関係はどうか
こうした点を、先生との面談などを通じて一緒に整理していきます。
場合によっては、学年の途中やタイミングを見て進路を見直す選択肢もあるでしょう。それは「失敗」ではなく、「わが家らしい子育てを探すプロセス」として前向きにとらえて大丈夫です。
まとめ|わが家の子育てにIB教育をどう生かすか
ここまで、「IB教育とは?国際バカロレアの仕組み・特徴・メリットをわかりやすく解説」というテーマで、IB教育の基本から、特徴、メリット・デメリット、家庭で取り入れられる工夫、知育玩具や書籍の活用、よくある質問まで見てきました。
IB教育は、特別な子や特別な家庭だけのものではありません。
「正解を早く出す」ことよりも、「自分で考え、対話し、振り返りながら学び続ける子ども」を育てたいという願いは、多くのご両親に共通するものではないでしょうか。
今日からできる、わが家の「これから試してみたい工夫」としては、たとえば次のようなものがあります。
お子さんの「なぜ?」に、すぐ答えを教えるのではなく、「どう思う?」「一緒に調べてみようか」と問いを返してみる
一日の終わりに、「今日楽しかったこと」「明日やってみたいこと」を親子で話す時間をつくる
正解が一つではない知育玩具やゲームを取り入れて、「どうしたらもっと面白くなるかな?」と一緒に考えてみる
IB教育や国際バカロレアについての入門書や絵本を一冊選び、少しずつ読みながら、家庭の子育てと結びつけてみる
こうした小さな工夫の積み重ねが、お子さんの「学びを楽しむ姿」を育ちを支えることにつながります。
IB校に通う・通わないにかかわらず、IB教育が大切にする視点を知っておくことは、これからの時代を生きるお子さんの力強い支えになるはずです。
お父さん、お母さんご自身も、「完璧な親でいなきゃ」と力を入れすぎる必要はありません。
「今日はこんな関わりができたな」「明日はこんな声かけを試してみようかな」と、少しずつ歩んでいく中で、親子の時間そのものが、何より豊かな学びの場になっていきます。