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子育てのすすめ

【解説】IB PYP認定までのスケジュールと導入における課題と対策

国際バカロレア(IB)の初等教育プログラム PYP(Primary Years Programme) を導入したいと考える園が、日本でも増えつつあります。しかし実際に取り組み始めると、園長や主幹が必ず直面するのが 「IB認定までのスケジュールが見えにくい」 という課題です。

「やることが多すぎて何から始めればいいのか分からない」
「認定までにどのくらいかかるのか職員や保護者に説明できない」

このような悩みを抱えている園は少なくありません。

「導入の方向性は理解できても、認定までの道のりが不透明で不安」というお話を伺いますが、IB認定までの流れをステップごとに整理し、園全体でスケジュールを“見える化”することが認定取得の近道となります。

本記事では、IB PYP認定までのステップとスケジュール、園長・主幹が担う役割、導入における課題と解決策 を具体的に解説します。

IB PYP認定とは?

IBとPYPの概要

IB(国際バカロレア)は、世界150カ国以上で採用されている国際的な教育プログラムです。その初等教育にあたるのが PYP。3歳〜12歳を対象に、「探究的な学び」「国際的な視野」「学習者像の育成」を重視しています。

IB認定校になるメリット

  • 教育の質の保証:国際基準に基づく教育が提供できる

  • 職員研修の充実:IB主催の研修に参加可能

  • 保護者からの信頼:グローバル教育に取り組む園として認知度が向上

認定プロセスの全体像

認定は一度で終わるのではなく、候補校申請 → コンサルタント訪問 → 認定申請 → 認定訪問 という流れを経て実現します。

IB認定までのスケジュールの流れ

ステップ1:候補校申請(Application for Candidacy)

  • IBの公式サイトから申請書を提出

  • 教育理念や施設の概要、財政的な安定性を示す必要あり

  • 候補校となることで、正式にIBのサポートを受けながら準備を進められる

目安:申請から承認まで半年〜1年程度

ステップ2:コンサルタント訪問(Consultation Visit)

  • IBから派遣されるコンサルタントが園を訪問

  • カリキュラム設計、職員研修、保護者説明の状況を確認

  • 改善点や次のステップに向けたアドバイスが提示される

目安:候補校承認から1〜2年以内

ステップ3:認定申請(Application for Authorization)

  • カリキュラムの全体像(POI)、各ポリシー(言語・評価・学問的誠実性など)の提出

  • 職員が必要なIB研修を受講済みであることを証明

  • 子どもたちの探究学習の事例やドキュメンテーションも求められる

目安:コンサルタント訪問から1〜2年程度

ステップ4:認定訪問(Verification Visit)

  • IBの訪問チームが実地で教育の質を確認

  • 子どもたちの活動、職員の理解度、保護者との連携を総合的に評価

  • 改善点があればフィードバックされ、条件付きで認定となる場合もある

目安:申請から半年〜1年程度

認定までの全体期間

一般的に、候補校申請から認定まで3〜5年 を見込むのが現実的です。

スケジュール管理のポイント

3〜5年計画を立てる

年度ごとに「何を優先するか」を整理することが重要。
例:

  • 1年目:候補校申請・理念整理・職員研修開始

  • 2年目:POI草案作成・保護者説明会実施

  • 3年目:コンサルタント訪問・ポリシー文書整備

  • 4年目:認定申請・職員研修完了

  • 5年目:認定訪問・最終調整

園長・主幹の役割

  • 園長:方向性を示し、外部との調整役を担う

  • 主幹:現場のリーダーとして職員を支え、実践と書類整備を推進

職員の負担軽減

  • 既存の指導計画を活用し、IB形式に整える

  • チームで役割分担を行い、無理なく取り組む

導入時に直面しやすい課題と解決策

課題1:職員の理解不足

解決策:定期的な園内研修や小さな実践事例を共有し、段階的に浸透させる。

課題2:文書整備の膨大さ

解決策:既存の計画や保育方針をベースに再構築。ゼロから作らない工夫をする。

課題3:保護者説明の難しさ

解決策:子どもの成長エピソードを交えて具体的に伝える。専門用語ではなく分かりやすい言葉を使う。

園長・主幹への具体的提案

園長への提案

  • 認定までの「道しるべ」を示し、職員の不安を減らす

  • 外部コンサルタントや研修の機会を積極的に活用する

主幹への提案

  • 職員が取り組みやすいよう日常保育との接点を意識する

  • 成功事例をこまめに共有し、現場のモチベーションを高める

小さな成功体験を積む

  • 一部の学年や行事からIB的なアプローチを導入

  • 成果を共有して園全体に広げる

よくある質問Q&A

Q:IB PYP認定までにどのくらいの年数がかかる?

A:平均で3〜5年が目安です。園の準備状況によって前後します。

Q:候補校から認定校になれないこともある?

A:改善が必要と判断される場合は再申請が求められることもあります。ただし、多くの園は修正を経て認定を受けています。

Q:小規模園でも認定は可能?

A:可能です。むしろ少人数だからこそ職員間の連携が取りやすい利点もあります。

まとめ

  • IB PYP認定は 候補校申請 → コンサルタント訪問 → 認定申請 → 認定訪問 の流れで進む。

  • 認定までには 3〜5年のスケジュール を見込むのが現実的。

  • 園長は方針を示し、主幹は現場を支え、職員全体で取り組む体制づくりが必要。

  • 課題は多いが、小さな成功体験を積み重ねることで園全体が前向きに進める

IB認定の道のりを園全体で共有し、スケジュールを“見える化”することが、認定への最短ルートになります。

  • B!