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【解説】教育・保育要領を軸にした振り返りの習慣づくりと園内研修での活用法

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「教育・保育要領は大事だと分かっているけれど、日々の保育の振り返りや園内研修でどう生かしたらいいのか分からない」と感じる保育士や職員の方は多いのではないでしょうか。園児の姿を見取ることの大切さは理解していても、忙しい毎日の中では「とりあえず今日の活動を書き出すだけ」で終わってしまうこともありますよね。

教育・保育要領は、本来「子どもたちの育ちを支えるためのコンパス」のような存在です。けれど、文言が難しく感じられたり、ページ数の多さに圧倒されたりして、「年度初めの職員会議で確認しただけ」「研修資料として配られたまま棚に眠っている」という声もよく耳にします。

この記事では、幼児教育の知見をもとに、教育・保育要領を軸にした振り返りの習慣づくりと、園内研修での具体的な活用方法を分かりやすく解説します。日々の保育を「やりっぱなし」にせず、園児の育ちを見取りながら、保育士同士で学び合える土台づくりを一緒に考えていきましょう。

教育・保育要領を軸にした振り返りとは何か

教育・保育要領を起点にする意味を整理する

教育・保育要領を軸にした振り返りとは、単に「国が定めた文書に沿っているかどうか」をチェックする作業ではありません。保育の5領域や「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を手がかりにしながら、日々の遊びや生活の中で、園児のどのような育ちが見取れたかを丁寧に振り返ることです。

例えば、友達と力を合わせてブロックを高く積み上げた場面を振り返るとき、「楽しく遊んでいた」で終わらせるのではなく、「人間関係」領域の中のどの姿が見えたのかを考えてみます。「協同性」「思いやり」「粘り強さ」など、教育・保育要領の言葉と子どもたちの姿がつながると、同じ出来事でも見え方が変わってきます。

教育・保育要領を起点に振り返ることで、保育士自身の視点も少しずつ豊かになります。「今日は落ち着かなかったな」「うまくいかなかったな」と感じる日こそ、要領のどの部分と関わっていたのかを確認することで、新しい気づきが生まれやすくなります。

「反省会」で終わらない振り返りの視点

多くの園で行われている振り返りは、ときに「反省会」になりがちです。「配慮が足りなかった」「声かけが遅れた」と、できなかった点ばかりに目が向いてしまうことはありませんか。もちろん、改善点に気づくことも大切ですが、それだけでは保育士の心がすり減ってしまいます。

教育・保育要領を軸にした振り返りでは、まず「どんな良い姿が見取れたか」に目を向けます。たとえトラブルが起きた場面でも、「自分の気持ちを言葉にしようとしていた」「保育士の話を聞こうと耳を傾けていた」など、子どもたちの育ちのプロセスに目を向けることができます。

そして次に、「この姿をさらに育ちを支えるために、明日からどんな関わりができるだろう」と考えていきます。振り返りが「反省」だけで終わらず、「次へのアイデア」につながると、保育士も前向きな気持ちで日々の保育に向き合いやすくなります。

よくあるつまずきと、その背景にあるもの

振り返りを続けようとしても、途中で止まってしまうことは珍しくありません。例えば、次のような声がよく聞かれます。

・忙しくて、じっくり書く時間がない
・書こうと思っても、何から書けばいいか分からない
・要領の文言と園児の姿がうまく結びつかない
・振り返りが「チェックされる書類」のように感じてしまう

こうしたつまずきの背景には、「完璧に書かなければいけない」というプレッシャーや、「教育・保育要領は難しいもの」という思い込みがあることが多いです。最初から完璧な振り返りを目指すのではなく、「短い一言からでもいい」「一日の中で印象に残った一場面に絞ってもいい」と、自分たちに合ったスタートラインを決めていくことが大切です。

現場で感じる振り返りの悩みと教育・保育要領とのギャップ

時間がとれない・続かないという現実

保育の現場では、日中は子どもたちと全力で関わり、帰りの時間帯には保護者さん対応や事務作業も待っています。その中で、毎日丁寧な振り返りを書く時間を捻出するのは簡単なことではありません。

「毎日びっしり書かなければならない」「すべての活動について記録を残さなければならない」と考えるほど、振り返りは負担に感じられてしまいます。その結果、「数日は頑張るけれど、忙しくなると続かない」「月末にまとめて思い出しながら書く」という状態になりやすくなります。

この悩みを和らげる鍵は、「時間を増やすこと」ではなく、「振り返りのハードルを下げること」です。教育・保育要領を軸にした振り返りも、最初はごく短いメモからで構いません。「今日心に残った子どもたちの姿を一つ書く」というところから始めるだけでも、見取りの感度は少しずつ高まっていきます。

同僚との視点の違いから生まれるモヤモヤ

同じ出来事を見ていても、「ここを評価したい」と感じるポイントは保育士によって異なります。ベテランの職員は集団としての姿を重視し、若手の保育士は目の前の一人ひとりの表情に目が向く、ということも多いでしょう。

教育・保育要領の読み取り方が人によって違うと、「なぜその記録の書き方になるのか」「なぜその評価になるのか」が分かりづらくなり、モヤモヤした気持ちが積み重なってしまうことがあります。特に園内研修やクラス会議の場面で、「あの先生とは話がかみ合わない」と感じた経験がある方もいるかもしれません。

こうしたギャップを埋めるには、「誰が正しいか」を決めるのではなく、「教育・保育要領のどの部分を手掛かりに考えているのか」をお互いに言葉にしていくことが大切です。同僚がどの項目を意識しているのかが分かると、「視点の違い」が「学び合いの材料」へと変わっていきます。

子どもたちの姿と要領の文言が結びつかない

教育・保育要領の文言は、どうしても抽象的な表現が多くなります。「主体性」「協同性」「思いやり」といった言葉は、頭では理解できても、「実際の保育現場でどんな姿として見えるのか」がイメージしにくいこともあります。

その結果、「今日一日、子どもたちはよく遊んでいたけれど、要領のどの部分と関係しているのだろう」「この活動は、どの領域として書けばいいのだろう」と迷ってしまうことが増えていきます。迷うたびに要領の本文を最初から読み直すのは、忙しい現場では現実的ではありません。

ここで大切なのは、「すべてを一度に完璧に結びつけようとしない」ことです。例えば、「今日は人間関係の領域に注目して振り返ろう」「今日は『思いやり』につながる姿だけを探してみよう」と、あえて焦点を絞ってみると、少しずつ文言との結びつきが見えやすくなります。

園内研修が「聞くだけ」で終わってしまう

教育・保育要領について学ぶ園内研修を実施しても、「講義を聞いて終わり」「資料を配って終わり」になってしまうことがあります。研修のその場では「なるほど」と思っても、翌日からの保育にどう生かすのかが見えないままだと、学びが日常に根付きにくくなります。

また、研修のテーマが現場の悩みや振り返りとつながっていないと、「忙しい中で参加したけれど、自分のクラスにはあまり関係ない話だった」という感想につながりやすくなります。園内研修こそ、教育・保育要領を軸にした振り返りと連動させることで、より実感をもって学びを深められる場にしていきたいところです。

教育・保育要領を軸にした振り返りの進め方

1日5分から始めるシンプルなステップ

振り返りの習慣づくりで大切なのは、「短い時間でも続けられる形」にすることです。最初から完璧な記録を目指すのではなく、「1日5分でできること」をゴールに設定してみましょう。

例えば、次のような流れがおすすめです。

1.その日、心に残った子どもたちの姿を一つ選ぶ
2.その出来事を、具体的な言葉で短くメモする
3.教育・保育要領のどの領域・どの姿と関わりがありそうかを考える
4.明日以降の関わりで意識したいことを一言書く

ここまでで、長くても数分で終えられます。最初は簡単なメモでも、同じフォーマットで続けていくことで、自分の中に「教育・保育要領を軸にした見取りの型」が少しずつ育っていきます。

「出来事→姿→日々の保育で試してみたい工夫」で整理する

振り返りを書くときは、「出来事」「子どもたちの姿」「日々の保育で試してみたい工夫」という三つの視点で整理する方法が分かりやすく、おすすめです。

・出来事:そのとき何が起きたのか、誰がどのように関わっていたのか
・子どもたちの姿:教育・保育要領のどの領域や姿として見取れるか
・日々の保育で試してみたい工夫:次にどんな環境構成や声かけをしてみたいか

例えば、「片付けの時間に、年長児が年少児に優しく声をかけていた」という出来事があったとします。このとき、

出来事:年長児Aくんが、片付けに戸惑っている年少児Bちゃんに『いっしょにやろう』と声をかけ、一緒に棚まで運んでいた。
子どもたちの姿:人間関係領域の「思いやり・協同性」が表れていた。自分より小さい友達を気にかける姿が見られた。
日々の保育で試してみたい工夫:異年齢で協力しやすい片付け環境をつくる。言葉をかけられた年少児の気持ちにも注目して見取り、次の場面で声をかけてみる。

というように整理できます。こうして言葉にしてみることで、「ただのほほえましい場面」が、「教育・保育要領にそった育ちの一コマ」として共有しやすくなります。

キーワードメモで「要領の言葉」に慣れていく

教育・保育要領そのものを毎回じっくり読み返すのは大変です。そこでおすすめなのが、「自分たちの園でよく使うキーワード」のミニ一覧を作り、振り返りのそばに置いておくことです。

例えば、
・健康:体を十分に動かす、生活リズム、自分の体に気づく
・人間関係:協同性、思いやり、自分の気持ちを伝える
・環境:興味・関心、探究、試行錯誤
・言葉:言葉でやりとりする、聞く力、言葉にして表す
・表現:感じたことを表す、イメージを広げる、工夫して表現する

といった形で、要領の文言をかみくだいた言葉にしておきます。振り返りを書くときにこの一覧を眺めながら、「今日の出来事は、どの言葉に近いだろう」と考えるだけでも、教育・保育要領の内容がぐっと身近に感じられるようになります。

ミニ振り返りミーティングで視点を共有する

個人での振り返りに慣れてきたら、次は職員同士で短時間の「ミニ振り返りミーティング」を取り入れてみるのもおすすめです。例えば、週に1回、10〜15分だけ時間を決めて、次のような流れで行います。

・一人ひとりが、今週心に残った子どもたちの姿を一つ紹介する
・その姿が、教育・保育要領のどの領域・どの姿と関わるかを一緒に考える
・「日々の保育で試してみたい工夫」を一言ずつ出し合う

このとき大切なのは、「正解探しをしない」ということです。同じ場面でも、保育士によって見取り方は少しずつ違って構いません。教育・保育要領の文言を手がかりに、「そんな見方もあるんだね」とお互いの視点を尊重し合うことで、園全体の学びが深まっていきます。

園内研修で教育・保育要領を「生きた学び」にする方法

テーマを振り返りとリンクさせる

園内研修のテーマを決めるときには、日々の振り返りで出てきたキーワードと結びつけることがポイントです。例えば、「最近、子ども同士のトラブルが増えている」という振り返りが多いなら、「人間関係領域とトラブル場面の見取り」をテーマにする、といった具合です。

教育・保育要領の該当箇所を確認しながら、「今、現場で困っていること」と「要領に書かれているねらい」や「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を照らし合わせていくと、研修内容が一気に自分ごととして感じられるようになります。

実践事例をもとにしたグループ対話

園内研修では、講義形式だけでなく、実際のクラスでの出来事をもとにしたグループ対話を取り入れると、学びが深まります。例えば、次のような流れが考えられます。

1.事前に、各クラスから「印象に残った場面」を1つずつ出してもらう
2.研修当日、その出来事の簡単な記録を共有する
3.グループごとに、「どの領域・どの姿として見取れるか」「どんな関わりがあったか」を話し合う
4.教育・保育要領の文言と照らし合わせながら、言葉にしてまとめる

このプロセスを繰り返すことで、「要領の言葉を、子どもたちの姿に引き寄せて考える」感覚が少しずつ育っていきます。また、他クラスの事例を知ることで、「自分のクラスでもやってみたい」と思えるアイデアが増えていきます。

観察と記録のスキルを研修で高める

教育・保育要領を軸にした振り返りと園内研修は、「観察」と「記録」の力を育てることにもつながります。ただ活動の結果だけを見るのではなく、子どもたちがその過程でどのように考え、感じ、動いていたのかを丁寧に見取る視点が大切です。

研修の中で、短時間のビデオ観察やロールプレイを取り入れ、「どんな言葉がけがあったか」「子どもたちの表情やしぐさはどう変化したか」を職員同士で言語化していくと、日々の保育に戻ったときにも自然と観察の質が高まっていきます。

園全体で「共通言語」を育てる

教育・保育要領の文言や、園独自のキーワードを園内研修で繰り返し使っていくことで、少しずつ園全体の「共通言語」が育っていきます。「この場面は、まさに『環境を通して行う教育』だよね」「今の姿は、『主体的に遊びに関わる姿』として記録しておこう」など、同僚同士で自然に言葉を交わせるようになると、保育の方向性も共有しやすくなります。

共通言語があると、園長やリーダーと保育士との間で話し合うときにも、「なんとなくいい感じ」ではなく、「教育・保育要領のこの部分を意識して取り組んでいる」と説明しやすくなります。これは、保護者さんへの説明や第三者評価の場面でも、大きな力になります。

振り返りと園内研修を続けるための注意点

形式だけの振り返りにならないようにする

振り返りを習慣化しようとすると、「とにかく毎日書類を埋めること」が目的になってしまうことがあります。そうなると、教育・保育要領を軸にした見取りよりも、「空欄を埋めること」自体がゴールになってしまい、職員の負担感だけが増えてしまいます。

大切なのは、「たくさん書く」ことではなく、「子どもたちの姿をどう見取るか」「その育ちをどう支えるか」を考える時間を確保することです。園長やリーダーは、量だけでなく内容を肯定的にフィードバックし、短い振り返りでも価値があることを伝えていけるといいですね。

否定的なフィードバックに偏らない

園内研修や振り返りの場面で、つい「ここが足りなかった」「もっとこうすべきだった」という指摘ばかりになってしまうことがあります。もちろん改善点を話し合うことも必要ですが、それだけでは保育士が「また注意されるのではないか」と身構えてしまい、本音を出しにくくなります。

まずは、「よかった点」「子どもたちの育ちが見えた点」を意識的に言葉にして共有することから始めてみましょう。そのうえで、「次はこんな工夫をしてみるのはどうだろう」と前向きな提案として改善点を話し合うと、職員同士の関係性もより良いものになっていきます。

立場の違いを尊重しながら対話する

園長、主幹、リーダー、若手の保育士など、園にはさまざまな立場の職員がいます。教育・保育要領の読み方や、振り返りで重視するポイントも、立場によって自然と変わっていきます。

園内研修や振り返りの場では、「どの立場の意見が正しいか」を決めるのではなく、「それぞれの立場からどのように子どもたちの姿を見取っているのか」を丁寧に聞き合うことが大切です。立場の違いが、そのまま視点の多様さにつながり、子どもたちの育ちを支える保育の幅を広げてくれます。

教育・保育要領の理解を深める関連書籍の活用法

全体像をつかみたいときに役立つ本

教育・保育要領を軸に振り返りを進めるためには、まず全体像をつかんでおくことが大切です。細かい文言を暗記する必要はありませんが、「どんなねらいがあり、どのような考え方に基づいているのか」を押さえておくと、日々の保育を位置づけやすくなります。

基礎から整理してくれている解説書は、初めて教育・保育要領をしっかり読み直す保育士にとって心強い味方になります。園内研修のテキストとして数冊そろえておき、職員同士で気になった部分に付箋を貼りながら読み進めるのもおすすめです。

『幼保連携型認定こども園教育・保育要領ハンドブック (Gakken保育Books) 』

保育現場で必携の一冊が 『幼保連携型認定こども園教育・保育要領ハンドブック (Gakken保育Books)』 です。要領の内容をわかりやすく整理し、日々の保育や指導計画にどう生かすかを丁寧に解説しています。園児の育ちを支える視点を確認したい新人から、中堅・ベテランの先生まで役立つ実践書です。教育・保育要領を日常の保育に落とし込みたい方にぜひおすすめです。

実践を助けてくれる

実践を続ける中で「この関わりで合っているのか」「もっと良い方法はないか」と迷うこともあると思います。そんなときに役立つのが、理論と事例を学べる関連書籍です。ここでは特におすすめの3冊を紹介します。

まずは、この本に書かれている内容をどんどん真似してみてほしいです。日々の保育の負担がぐっと減ります。
その分できた心の余裕で、自分なりの工夫を加えながら保育を改善し、子どもたち一人ひとりの育ちを支えていきましょう。

遊びが学びに欠かせないわけ―自立した学び手を育てるで学べる視点

子どもにとって「遊び」は単なる楽しい時間ではなく、主体的に学びを深める大切な営みです。『遊びが学びに欠かせないわけ―自立した学び手を育てる』は、保育要領の理解を実践につなげたい保育士さんにおすすめの一冊。遊びの価値を理論と事例でわかりやすく解説し、保護者さんへの説明にも役立ちます。

『0・1・2歳児の発達と保育:乳幼児の遊びと生活』で広がる事例

乳児期の育ちを理解するために役立つ一冊が 『0・1・2歳児の発達と保育:乳幼児の遊びと生活』 です。月齢ごとの発達の特徴や、遊びや生活を通した支援のポイントがわかりやすくまとめられています。授乳・睡眠・食事など日常の生活場面をどう保育に結びつけるかを学べるので、新人の方から経験を重ねた先生まで必携の実践書です。

『3・4・5歳児の発達と保育:乳幼児の遊びと生活』で広がる事例

就学前の子どもたちを支える先生におすすめの一冊が 『3・4・5歳児の発達と保育:乳幼児の遊びと生活』 です。年齢ごとの発達の特徴や、遊びや生活を通じた支援のヒントがわかりやすくまとめられており、日々の保育実践にすぐ役立ちます。新人の方から経験を重ねた先生まで、子どもたちの育ちを深く理解し保育の質を高めたい方にぜひ読んでほしい一冊です。

よくある質問とそのヒント

Q1.忙しくて毎日は振り返りを書けません。それでも効果はありますか?

A.毎日びっしり書く必要はありません。まずは週に1〜2回、「心に残った場面だけ」を短くメモするところから始めてみてください。大切なのは量ではなく、教育・保育要領を意識しながら子どもたちの姿を見取ろうとする視点です。慣れてくると、自然と頻度も増えていくことが多いです。

Q2.若手とベテランで、教育・保育要領の捉え方が違っていて不安です。

A.捉え方の違いは、必ずしも悪いことではありません。園内研修やミーティングの場で、「どの項目を手掛かりに考えたのか」「どうしてそう見取ったのか」をお互いに言葉にしていくことで、視点の違いが学び合いにつながります。教育・保育要領の本文を一緒に確認しながら、共通の言葉を育てていけるといいですね。

まとめ ー 日々の保育で試してみたい工夫

教育・保育要領を軸にした振り返りや園内研修は、決して特別なことではありません。日々の遊びや生活の中で見えてくる子どもたちの姿を、「要領のどの部分とつながっているだろう」と立ち止まって考えてみる。その小さな積み重ねが、園全体の保育の質を少しずつ高めていきます。

これから試してみたい工夫として、例えば次のようなことが挙げられます。

・1日5分、「今日心に残った子どもたちの姿」をメモする時間をつくる
・月に1回、教育・保育要領の一項目をテーマにミニ研修を開いてみる
・クラスだよりや懇談会で、保護者さんに「園で大切にしている育ちの視点」をやさしく伝えてみる

完璧を目指す必要はありません。小さな一歩から始め、子どもたちの育ちを支える視点を、同僚とともに少しずつ育てていけるといいですね。教育・保育要領は、現場の保育士や職員の皆さんが、日々の実践を振り返り、より良い保育を紡いでいくための心強いパートナーになってくれます。

  • この記事を書いた人

ポジティブ園長

田舎の自然の中で、のんびりと9歳の娘と6歳の息子と暮らすパパ。 保育 × 心理学 × 脳科学をヒントに、職員と子どもたちが共に成長できる園づくりをしています。 “答えのない時代”だからこそ、楽しみながら考え、失敗を恐れず挑戦する──そんな姿を大切に、みんなと歩んでいる園長です。

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