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【解説】保育の5領域のわかりやすい説明と具体的な活動

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「保育の5領域って大事なのはわかるけれど、いざ説明してと言われると自信がない…」
「計画や要録に5領域を書いているけれど、毎回同じような文になってしまう」
「実習生や新人に『これって何の領域ですか?』と聞かれて、言葉に詰まってしまう」

そんなもやもやを抱えながら、日々の保育に向き合っている保育士も多いのではないでしょうか。
園児や子どもたちの育ちを支えるうえで、保育の5領域はとても大切な枠組みです。けれど、教科書的な説明だけでは、実際の活動とどう結びつければいいのかイメージしにくいものです。

幼児教育の知見をもとに見ると、保育の5領域は「子どもの学びのチェックリスト」ではなく、「育ちを多面的に見取るためのレンズ」として位置づけられています。レンズの使い方がわかると、いつもの遊びや生活が、ぐっと意味のあるものとして見えてきます。

この記事では、保育の5領域のわかりやすい説明と具体的な活動を、できるだけわかりやすく整理していきます。
読み進める中で、「この活動はこんな領域も育てていたんだ」「ここに気づけば、記録が書きやすくなりそう」と感じてもらえたらうれしいです。

保育の5領域とは?全体像をやさしく整理

5領域が示している「子どもの育ちの広がり」

まずは、「保育の5領域」と呼ばれている内容を、シンプルに整理してみます。

  • 健康

  • 人間関係

  • 環境

  • 言葉

  • 表現

この5つは、それぞれ別々の教科のように分かれているわけではなく、「子どもの育ちのいろいろな側面」を表しています。幼稚園教育要領や保育所保育指針でも、この5領域は「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」につながる大切な土台として位置づけられています。

たとえば、園庭で鬼ごっこをしている場面を思い浮かべてみてください。
体をのびのびと動かしている姿は「健康」の領域に関わります。友だちとルールを確認したり、鬼を交代しながら遊ぶ姿は「人間関係」の領域です。風や日の光、地面の感触を味わったり、園庭の環境を自分なりに使いこなしている姿は「環境」の領域が見えてきます。走りながら「待ってよ」「こっちだよ」と声を掛け合う場面は「言葉」の領域ですし、「きゃー」「つかまっちゃう!」と全身で楽しんでいる姿には「表現」の領域も含まれます。

このように、一つの活動の中にも、保育の5領域が重なり合って存在しています。
「これは何の領域か?」と一つに決める必要はありません。むしろ、「この場面では、特にどの領域の育ちを大切にしたいか」を意識しておくことで、子どもたちの姿を多面的に見取ることができるようになります。

5領域はバラバラではなく「つながっている」

現場でよくあるのが、「これは健康の活動」「これは言葉の活動」と、時間ごとに分けて考えてしまうパターンです。もちろん、「今日は特にこの領域を意識しよう」と決めること自体は悪いことではありません。ただ、保育の5領域は、本来バラバラに切り分けるものではなく、子どもの生活の中で自然につながっているものです。

たとえば、朝の身支度。
自分で靴を脱いだり、ロッカーに荷物を入れたりする姿は「健康」や「環境」の領域に関わります。同じクラスの友だちに「おはよう」と挨拶したり、「一緒に遊ぼう」と声をかけたりする姿は「人間関係」や「言葉」の領域です。お気に入りのカバンや上靴を大事そうに扱う姿には、「自分らしさの表現」という側面も含まれます。

このように、一つひとつの行動を「5領域のどこかに当てはめる」のではなく、「今の姿にはどんな領域が重なっているかな」とそっと照らしてみるイメージを持つと、子どもたちの育ちを支える視点が広がっていきます。

保育士が5領域を押さえておくと得られるメリット

保育の5領域を押さえておくと、現場ではどのようなメリットがあるのでしょうか。

1つめは、計画や記録が整理しやすくなることです。
「なんとなく良さそうだから」ではなく、「この活動では特に人間関係の育ちを支えたい」「この遊びでは環境への興味を大切にしたい」と意図を持って計画することで、記録を書くときにも「どんな姿を見取ればよいか」がはっきりしてきます。

2つめは、保護者さんへの説明が具体的になることです。
「楽しく遊んでいました」だけでなく、「友だちとルールを確認しながら、ボール遊びをしていました。人と関わる力や、順番を守る力が育ってきています」と伝えられると、保護者さんも子どもの育ちをイメージしやすくなります。

3つめは、職員や同僚との話し合いで共通言語が生まれることです。
「このクラスは、今は健康と人間関係の領域の土台をしっかり整えたいね」
「この子は表現の領域が豊かだから、そこから言葉の育ちにつなげていけそうだね」

といった話し合いができると、クラス運営や個別支援の方向性も見えやすくなります。

このように、「保育の5領域のわかりやすい説明と具体的な活動」を押さえることは、書類のためだけではなく、園児や子どもたちの育ちを支えるうえで大きな意味を持っています。次の章では、現場で実際によく聞かれる「5領域」に関する悩みを取り上げながら、「なぜモヤモヤしやすいのか」を一緒に整理していきます。

現場でよくある「5領域」に関する悩み

とりあえず書類に5領域を当てはめているだけかも…

「日案や週案の5領域の欄、とりあえず何か書いて埋めているだけかもしれない」
そんな感覚を持っている保育士は少なくありません。

活動を考えたあとに、「これは健康で…人間関係も入るかな…」と、後から無理やり当てはめていく。結果として、どの計画書にも似たような言葉が並び、「これでいいのかな」とモヤモヤしてしまうこともあります。

この背景には、「5領域=書類のために必要なもの」というイメージが強くなりすぎていることがあります。本来は、園児や子どもたちの姿を多面的に見取るための枠組みなのに、「欄を埋めるための項目」になってしまうと、負担だけが残ってしまいます。

どの活動がどの領域なのか、イメージしにくい

もう一つよく聞かれるのが、「これは環境? 表現? どっち?」という迷いです。
実習生や新人から「今の活動は何の領域ですか?」と聞かれて、言葉に詰まってしまうこともあります。

たとえば、散歩の途中で見つけた花をスケッチする活動。
「自然に関心を向ける」という意味では環境の領域ですし、「絵に表す」という意味では表現の領域にもなります。さらに、友だちと「同じだね」「ちょっと違うね」と話しながら描いていれば、人間関係や言葉の領域も含まれていると言えます。

このように、保育の5領域は重なり合っているため、「正解は一つ」とは限りません。それなのに、「どれか一つを選ばなければ」と考えると、苦しくなってしまいます。

5領域を意識すると、保育が窮屈になる気がする

「この活動は何領域か」を常に考えていると、「今の遊びで本当にいいのかな」と不安になることもあります。
自由遊びの時間に、5領域のどれにもきれいに当てはまらないように見えて、「ちゃんとした活動を用意しなきゃ」と焦ってしまうこともあるかもしれません。

しかし、幼児教育の知見をもとに考えると、子どもたちの自由な遊びや、何気ないやり取りの中にも、5領域は自然に存在しています。
「5領域のために遊びを用意する」のではなく、「今の遊びには、どんな領域の育ちが見えているかな」と、そっと照らし合わせるイメージを持てると、少し気持ちが楽になります。

園内で5領域の理解がそろっていない

同じ園の中でも、5領域への意識は職員によってばらつきがあります。
ベテランの保育士は感覚的に理解していても、言葉で説明するのは苦手なこともあります。一方、新人や実習生は、教科書的な知識はあるものの、現場でどう結びつけていいのか戸惑うことが多いです。

また、「うちは書類に領域を書かなくてもいいから、あまり意識していない」「うちは細かく書かないといけないから大変」という園ごとの文化の違いもあります。その結果、職員や同僚の間で、「5領域はあまり重要視しない人」と「しっかり押さえたい人」の温度差が生まれることもあります。

こうしたギャップがあると、話し合いの場でも、「なんとなく話がかみ合わない」「目指しているものがそれぞれ違う」と感じてしまいがちです。

こうした悩みやモヤモヤは、「自分だけがうまくできていないから」ではありません。保育の5領域は、抽象的な概念と日々の具体的な活動を結びつける必要があるため、誰にとっても難しさを含んでいます。

次の章では、そうした悩みをふまえながら、領域ごとにわかりやすい説明と具体的な活動例を整理し、「この活動はこの領域の育ちを支えているんだ」と実感できるヒントを見ていきます。

領域別:保育の5領域のわかりやすい説明と具体的な活動例

「健康」:心と体の土台をつくる領域

「健康」は、からだをたくさん動かすことだけでなく、生活のリズムや気持ちの安定も含んだ、心身の土台をつくる領域です。
幼児教育の知見をもとに考えると、「よく食べ・よく眠り・よく遊ぶ」経験が、学びのすべてのベースになります。

たとえば、こんな活動があります。

  • 戸外遊び(かけっこ・鬼ごっこ・遊具あそび)

  • マットや平均台を使ったサーキット遊び

  • 着替え・手洗い・排泄・食事などの生活習慣の練習

  • 季節に合わせた体操やリズム運動

ここで大事なのは、「できた・できない」だけで見ないことです。
園児や子どもたちの表情や息づかい、動き方をていねいに見て、「自分の体の動きを楽しんでいるか」「少しずつ自分の体調に気づけているか」といった姿を見取ることがポイントになります。

たとえば、汗をかいたことに気づいて「タオル取ってくる」と自分から動けたなら、それは健康の領域の大切な育ちです。
生活の場面でも、「手を洗うのを忘れていたね」と指摘するだけでなく、「今はごはんの前だね。体を守るために何をするんだった?」と問いかけることで、自分で考える力の育ちを支えることができます。

「人間関係」:人とつながる力を育てる領域

「人間関係」の領域は、友だちや保育士とのかかわりを通して、人を信頼し、気持ちをやり取りする力を育てる部分です。
一緒に笑ったり、ケンカしたり、仲直りしたりする経験の中で、「人と一緒にいるって心地いいな」「相手にも気持ちがあるんだな」と少しずつ感じていきます。

具体的な活動のイメージとしては、

  • ごっこ遊び(お店屋さんごっこ・家族ごっこ・ヒーローごっこ など)

  • ルールのある簡単なゲーム(イス取りゲーム・ジャンケン列車 など)

  • ペアや小グループでの制作活動

  • 当番活動(給食当番・お花の水やり当番 など)

が挙げられます。

人間関係の領域では、「友だちと一度もトラブルにならない」ことがゴールではありません。
「貸してほしい」「いやだ」「あとでね」といった気持ちのぶつかり合いを経験しながら、どうやって折り合いをつけていくかを学んでいきます。

保育士は、トラブルが起きたときにすぐに解決してあげるのではなく、

「どうしていやだったのか、教えてもらえる?」
「なんて言ってお願いしてみる?」

と、やり取りを少しだけ言葉にする手助けをします。
その中で、「気持ちを伝えようとする姿」「友だちの表情を気にかける姿」を見取り、育ちを支える視点をもつことが大切です。

「環境」:身近な世界に関心を広げる領域

「環境」という言葉は、少しイメージしにくいかもしれません。ここでの環境とは、自然・社会・身の回りのもの、人とのかかわりなど、子どもたちを取り巻くすべての世界のことです。

幼児期は、「なんだろう」「どうしてだろう」という小さな疑問が、毎日のように生まれる時期です。環境の領域は、その好奇心にたっぷり出会えるように、場や体験を用意していくイメージです。

活動の例としては、

  • 園庭や公園での虫さがし・草花観察

  • 水・砂・泥・光・影などの自然素材あそび

  • 散歩や地域探検(郵便局・消防署・近くのお店など)

  • 季節ごとの行事や地域の文化にふれる活動

などがあります。

たとえば、ダンゴムシを見つけた場面。
「さわっちゃダメ」「汚いからやめて」とすぐ止めるのではなく、「どこから来たのかな?」「どんな動きをしている?」と一緒に観察してみると、園児の目がきらっと光ることがあります。

保育士は、「あ、今この子は環境への興味を広げているんだな」という姿を見取りながら、「触るときはそっとね」「命があるから、大事にしようね」といった声かけを通して、育ちを支える役割を果たします。

「言葉」:思いや考えを伝え合う力を育てる領域

「言葉」の領域では、話す・聞く・読む・書くといった、ことば全体の力を広くとらえていきます。
園児や子どもたちは、日々の遊びや生活の中で、「言ってみたら伝わった」「よく聞いたらわかった」という経験を積み重ねながら、言葉の世界を広げていきます。

具体的な活動としては、

  • 絵本の読み聞かせ・紙芝居・素話

  • 帰りの会での「今日楽しかったこと」を話す時間

  • ごっこ遊びの中でのセリフややり取り

  • 絵日記や、簡単な記号・マークを使った表現

などが挙げられます。

言葉の領域で大切なのは、「きれいに話せるか」「難しい言葉を知っているか」だけではありません。
「ありがとう」「いやだ」「うれしい」「かなしい」など、自分の気持ちをシンプルな言葉で伝えられることも、大きな育ちです。

保育士は、子どもたちのつぶやきを拾いながら、

「そう思っていたんだね」
「そう言ってくれてうれしいよ」

と応答していきます。
また、絵本の後に「どんなところが面白かった?」「この子はどんな気持ちだったかな?」と問いかけることで、言葉を通した思考の世界をそっと広げていくことができます。

「表現」:感じたことを自分なりの形にする領域

「表現」の領域は、音楽・造形・身体表現などを通して、感じたことやイメージを自分なりの形にする部分です。
上手に描けたか、きれいに歌えたかよりも、「表してみることを楽しめたかどうか」がとても大切になります。

具体的な活動の例には、

  • 絵の具・クレヨン・クレイ・廃材などを使った制作

  • ダンス・リズム遊び・運動会の表現あそび

  • 季節の歌・楽器あそび・音あそび

  • 劇ごっこ・人形劇・影絵ごっこ

などがあります。

たとえば、雨の日をテーマにした絵を描いたとき、ある園児は青一色で大きな丸をぐるぐる描くかもしれません。その形だけを見ると、大人にはよくわからないこともあります。
でも、そこに「ざあざあの雨なんだよ」「いっぱい降ってるの」といった言葉が添えられたら、それは立派な表現の姿です。

保育士は、「上手だね」と言うだけで終わらず、「どんな雨なの?」「ここが特にお気に入りなんだね」と、子どもの表現の中身に関心を向けていきます。
その関わりの中で、「自分の感じたことを出してみていいんだ」という安心感が育ち、表現することが楽しくなっていきます。

このように、保育の5領域それぞれには、わかりやすい説明と、具体的な活動イメージがあります。
次の章では、これらの領域を、日々の保育の中でどう結びつけていくか。「活動」と「5領域」をつなげる考え方や、職員・同僚と共有していくコツを整理していきます。

日々の活動を5領域とつなげる考え方

一つの活動に「複数の領域」があると意識してみる

計画や記録を書くとき、「この活動は何領域か」を一つに決めようとして、悩んでしまうことはありませんか。
そんなときは、「一つの活動の中に、5領域が同時に存在している」と考えてみると、視点が少し楽になります。

たとえば、製作で紙皿を使ってお面をつくる活動なら、

  • はさみやのりを使う……健康(手先のコントロール)

  • 友だちと見せ合う……人間関係

  • 紙皿や素材に興味をもつ……環境

  • 「ここは目だよ」と話し合う……言葉

  • 出来上がったお面で変身ごっこをする……表現

といったように、さまざまな領域が重なっています。
記録にすべてを書く必要はありませんが、「どの領域も育っている」という感覚を持っておくと、子どもたちの姿を豊かに見取ることができます。

子どもの姿から逆算して領域を考えてみる

「活動から領域を考える」のではなく、「子どもの姿から領域を考える」方法もあります。
遊びや生活のあと、「どんな姿が印象に残ったか」を一つ思い浮かべてみてください。

  • 何度も転びながらも、あきらめずに平均台に挑戦していた

  • 友だちにおもちゃを貸してあげて、相手の笑顔をうれしそうに見ていた

  • 雨上がりの水たまりをじっと見つめ、「空がうつってる」とつぶやいていた

こうした姿を、「これはどの領域の育ちだろう」とそっと照らしてみます。
すると、「健康」や「人間関係」「環境」など、その子の育ちを支えるヒントが見えてきます。領域は「当てはめるもの」ではなく、「育ちを言葉にする手がかり」として使えると、少し距離感が変わっていきます。

職員や同僚と5領域のイメージをそろえるミニ対話

園内で5領域のイメージを共有するには、大がかりな研修でなくてもかまいません。
たとえば、休憩時間や会議の前後に、こんなミニ対話をしてみます。

  • 「今日の自由遊びで、どんな領域が見えた?」

  • 「さっきのトラブル、どの領域の育ちを支えた場面だったかな?」

短い時間でも、「領域」という言葉を共通で使うことで、子どもたちの姿を一緒に見取る機会になります。
新人の保育士や実習生も、「こうやって考えればいいんだ」と感覚をつかみやすくなり、園全体で育ちを支える視点がそろっていきます。

5領域を活用するときの注意点とデメリットになりやすい点

5領域に当てはめること自体が目的にならないように

保育の5領域を意識し始めたときに注意したいのが、「領域を書くこと」が目的になってしまうことです。
日案の欄を埋めることばかりに意識が向くと、子どもたちの表情やつぶやきよりも、「どの領域にしておこうかな」と悩む時間のほうが長くなってしまいます。

本来、5領域は「この活動に価値があるから、こうした育ちが見えている」という順番でとらえたいところです。
迷ったときは、「子どもたちのどんな姿がうれしかったか」「気になったか」を思い出し、それを言葉にするために領域を添えるイメージを持てると良いでしょう。

領域ごとに分断しすぎない

5領域を学び始めると、「これは健康の時間」「これは言葉の時間」と、きっちり分けたくなることがあります。
しかし、幼児期の学びは、遊びや生活の中で自然に混ざり合っています。

たとえば、散歩の途中で歌を歌いながら歩く場面は、「健康」と「言葉」と「表現」が同時に育っている時間です。
「領域ごとに時間を分ける」ことよりも、「一日の中で、さまざまな領域に自然に触れているか」を全体で見ていくほうが、子どもたちの育ちを支えることにつながります。

保育士自身の負担になりすぎないように

新しい視点を取り入れるとき、保育士自身が「完璧にやらなければ」と思い込みすぎると、苦しくなってしまいます。
5領域も同じです。すべてを一度に理解し、すべての活動を領域と結びつけて整理しようとすると、疲れ切ってしまうこともあります。

そこで大切なのは、「まずはここだけ」という優先順位をつけることです。
たとえば、

  • 今月は、特に「人間関係」の領域に注目して、子どもたちの姿をメモしてみる

  • 次の行事では、「表現」の領域に焦点を当てて振り返ってみる

といったように、焦点を絞った関わり方ができます。
少しずつ慣れてくると、自然と他の領域も一緒に見えてくるようになります。

5領域の理解を深めるのに役立つ関連書籍の選び方

図解やイラストで5領域を説明している本

保育の5領域を現場で活かすためには、専門書だけでなく、図解やイラストでわかりやすく説明している関連書籍がとても役立ちます。
特に、

  • 5領域の概要が一枚の図でまとまっている

  • 子どもたちの写真やイラストと一緒に領域が示されている

  • 難しい言葉よりも、現場のことばで書かれている

といった本は、忙しい合間にもサッと確認しやすく、同僚と共有しやすい一冊になります。

オンライン書店のレビューや目次をチェックしながら、「自分たちの園やクラスのイメージに合うかな?」と想像してみるのも良いでしょう。

領域別の活動例が豊富に載っている本

「具体的な活動に落とし込みたい」と感じている保育士には、領域別の活動例が充実している本がおすすめです。

  • 健康・人間関係・環境・言葉・表現ごとに、ねらいや活動例が整理されている

  • 年齢別・季節別・行事別など、場面ごとにアイデアがまとまっている

  • 計画書の書き方や記録の例文が紹介されている

といった書籍が一冊あると、「今日はどんな活動にしようかな」と迷ったときのヒントになります。
「保育の5領域のわかりやすい説明と具体的な活動」を実感しながら、日々の保育の引き出しを増やしていくことができます。

園内研修や新人指導にも使いやすい本

園全体で5領域の理解を深めたいときは、研修や新人指導に使いやすい関連書籍を選ぶのも一つの方法です。

  • ケーススタディ形式で、「この場面はどの領域?」と考えられる構成

  • ミニワークやチェックリストが付いている

  • まとめ表や一覧があり、コピーして配布しやすい

などの特徴を持つ本は、会議や研修での話し合いにぴったりです。
園として一冊を共通テキストにすれば、「この本のこのページを見てね」と話しやすくなり、職員・同僚同士のコミュニケーションもスムーズになります。

書籍を味方に、5領域を「自分のことば」で説明できるように

関連書籍を読むときのポイントは、「そのまま覚えよう」とするのではなく、「自分のクラスの子どもたちを思い浮かべながら読む」ことです。
付箋を貼ったり、余白にメモを書いたりしながら、

  • 「この説明は、あの子の姿にぴったりだな」

  • 「この活動は、今のクラスでも試せそう」

といった気づきを積み重ねていくと、自然と5領域を自分のことばで語れるようになっていきます。

関連書籍を一冊そばに置いておくことは、迷ったときに立ち返る「安心の場所」を持つことにもつながります。必要なときにいつでも開ける本があると、日々の保育で「日々の保育で試してみたい工夫」を考えるうえで、心強い味方になってくれるはずです。

実践を助ける関連書籍の紹介

保育の5領域の基本的な意味と、現場で実践できる具体的な活動例を、これらの書籍を使うことで、単に活動を「楽しくやる」だけでなく、「どの領域の育ちにつながっているのか」を意識しながら保育を進めることができます。また、保護者さんに説明するときに「要領や専門書にも書かれていることです」と伝えられると、保育の信頼性が高まります。

『幼保連携型認定こども園教育・保育要領ハンドブック (Gakken保育Books) 』の活用

保育現場で必携の一冊が 『幼保連携型認定こども園教育・保育要領ハンドブック (Gakken保育Books)』 です。要領の内容をわかりやすく整理し、日々の保育や指導計画にどう生かすかを丁寧に解説しています。園児の育ちを支える視点を確認したい新人から、中堅・ベテランの先生まで役立つ実践書です。教育・保育要領を日常の保育に落とし込みたい方にぜひおすすめです。

『0・1・2歳児の発達と保育:乳幼児の遊びと生活』で低年齢児の領域の見方を学ぶ

乳児期の育ちを理解するために役立つ一冊が 『0・1・2歳児の発達と保育:乳幼児の遊びと生活』 です。月齢ごとの発達の特徴や、遊びや生活を通した支援のポイントがわかりやすくまとめられています。授乳・睡眠・食事など日常の生活場面をどう保育に結びつけるかを学べるので、新人の方から経験を重ねた先生まで必携の実践書です。

『3・4・5歳児の発達と保育:乳幼児の遊びと生活』で年齢別の具体的活動を確認

就学前の子どもたちを支える先生におすすめの一冊が 『3・4・5歳児の発達と保育:乳幼児の遊びと生活』 です。年齢ごとの発達の特徴や、遊びや生活を通じた支援のヒントがわかりやすくまとめられており、日々の保育実践にすぐ役立ちます。新人の方から経験を重ねた先生まで、子どもたちの育ちを深く理解し保育の質を高めたい方にぜひ読んでほしい一冊です。

どれも専門的な内容をやさしく解説しており、新しい視点で明日からの保育の質を高めたい方にぜひ読んでほしい本となっています。

よくある質問とその回答(保育の5領域編)

Q1:一つの活動に複数の領域を書いても良いですか?

もちろん問題ありません。
むしろ、一つの活動に複数の領域が関わっているのが自然な姿です。記録や計画上は、「特に大切にしたい領域」を一つ中心に書き、必要に応じて他の領域も補足すると整理しやすくなります。

「全部書かなきゃ」と頑張りすぎると負担になりますので、「今回の活動で一番育ちを支えたかったのはどこか?」を自分なりに決めておくと良いでしょう。

Q2:領域ごとに時間を分けたほうが良いのでしょうか?

「この時間は健康、この時間は言葉」ときっちり分ける必要はありません。
ただ、年間を通して振り返ったときに、「どの領域も偏りなく経験できているか」を見直すことは大切です。

週案や月案を書くとき、「最近、人間関係や表現の領域が少ないかもしれない」と感じたら、少し意識して活動を考えてみる。そんな柔らかい使い方がおすすめです。

Q3:保護者さんに5領域をどう説明すれば伝わりやすいですか?

専門用語をそのまま使うよりも、「〇〇な力」「△△が育つ遊び」といった表現が伝わりやすくなります。

たとえば、
「今日の鬼ごっこでは、走る力だけでなく、友だちとのやり取りや、ルールを守る力も育っています」
「この制作活動では、手先の動きだけでなく、『こうしたい』という気持ちを形にする表現の力も育っています」

といったように、具体的なエピソードとセットで伝えると、保育の5領域がぐっと身近に感じてもらえます。

Q4:5領域のどれかが弱いと感じる子には、どう関わればよいですか?

「弱い」と決めつけてしまうと、子ども自身も周りも苦しくなってしまいます。
その子にとって得意な領域を入り口にしながら、他の領域へ橋渡ししていくイメージを持つとよいでしょう。

たとえば、表現の領域が豊かな子には、絵やごっこ遊びを通じて言葉のやり取りを増やす。人間関係が得意な子には、友だちと一緒に自然探検をすることで環境への興味を広げる。
一人で抱え込まず、職員や同僚と話し合いながら、その子の育ちを支える関わりを模索していきましょう。

まとめ:日々の保育で試してみたい工夫

ここまで、「保育の5領域のわかりやすい説明と具体的な活動」を軸に、考え方や実践のヒントを見てきました。最後に、明日から取り入れやすい「日々の保育で試してみたい工夫」をシンプルにまとめます。

  • 一日のどこかで、「この活動ではどの領域を特に育てたいか」を一つだけ意識してみる

  • 活動のあと、心に残った子どもの姿を一つメモし、「これはどんな育ちが見えていたかな」と振り返ってみる

  • 職員室や会議の中で、「今日の5領域ポイント」を短く共有してみる

  • 関連書籍を一冊そばに置き、迷ったときに開いて、「次にどんな工夫を試してみようか」と考える時間をつくる

保育の5領域は、完璧に扱うための枠組みではなく、園児や子どもたちの姿を前向きに見取り、育ちを支えるためのやさしいレンズです。
日々の小さな工夫を少しずつ重ねながら、自分らしい保育の中に、自然な形で5領域を生かしていけると良いですね。

  • この記事を書いた人

ポジティブ園長

田舎の自然の中で、のんびりと9歳の娘と6歳の息子と暮らすパパ。 保育 × 心理学 × 脳科学をヒントに、職員と子どもたちが共に成長できる園づくりをしています。 “答えのない時代”だからこそ、楽しみながら考え、失敗を恐れず挑戦する──そんな姿を大切に、みんなと歩んでいる園長です。

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