
お子さんの発達について話題にするとき、「療育」という言葉を耳にする機会が増えてきました。健診で保健師さんからすすめられたり、園や保育所の先生に名前が出てきたり、ネット検索をしているうちに何度も目にしたり。「気にはなるけれど、本当に通わせるべきなのか分からない」とモヤモヤしているお父さん、お母さんも多いのではないでしょうか。
「療育に通ったほうが、この子のためになるのかな」「まだ小さいのに、レッスンだらけの生活にしてしまわないかな」。頭の中にはいろいろな不安が浮かびます。一方で、「何もしないで後悔したくない」という思いもある。祖父母からは「そんな大げさな」「そのうち追いつくよ」と言われ、ますます気持ちが揺れてしまう……。そんな親御さんの葛藤は、とても自然なものです。
幼児教育の知見をもとにすると、療育に通うことには確かにメリットがあります。ただし、それは「行けばすべて解決する」という魔法ではありません。通うことで見えてくることもあれば、通わずに家庭でできる工夫が役に立つ場合もあります。大事なのは、「行くか・行かないか」の二択で悩むのではなく、「わが家にとって、今どんなサポートが必要か」を一緒に考えていくことです。
この記事では、療育に通うメリット・デメリットを整理しながら、「どんなお子さんに向きやすいのか」「通うかどうかを判断するときのポイントは何か」「家庭療育とどう組み合わせるか」といった点を、やさしく順番にまとめていきます。専門用語はかみ砕いてご説明しますので、「難しい話は苦手」という親御さんも安心して読み進めてみてください。
最後まで読んでいただくことで、「療育に通うべきか」という問いに、白黒はっきりした正解を出すのではなく、「今のうちの子の姿を見取ったうえで、当面こうしていこう」という見通しを持てるようになるはずです。ご両親が少しでも肩の力を抜きながら、お子さんの育ちを支えるための材料として、活用していただけたらうれしいです。
療育に通うべきか迷う親御さんの本音を整理しよう
よくある迷いとモヤモヤした気持ち
まずは、「療育に通うべきかどうか」というテーマを前にしたとき、多くの親御さんが抱えがちな気持ちを整理してみましょう。
・園の先生や保健師さんに「一度相談してみてもいいかもしれませんね」と言われて、ショックを受けた
・「この子に何か問題があると言われたようで、つらかった」
・ネットを見ると「早く動いたほうがいい」とも「様子見でよい」とも書かれていて、何を信じればよいか分からない
こうした迷いやモヤモヤした気持ちは、とてもよく聞かれます。お子さんのために一生懸命考えているからこそ、「選択を間違えたくない」という不安が大きくなるのは当然のことです。
また、「療育に通わせる=この子に何か問題があると認めるようで怖い」という正直な思いを抱えるお父さん、お母さんもいます。「普通に育ってほしい」という願いと、「この子の今の困りごとを何とかしてあげたい」という願い。その両方を同時に抱えているからこそ、心の中が揺れ動くのです。
祖父母や周囲との価値観のギャップ
親御さんの悩みをさらに複雑にしているのが、祖父母や周囲の大人との価値観の違いです。
・「昔はそんなサービスなかったけど、みんな普通にやってきたよ」
・「ちょっとくらい落ち着きがないのは個性だよ」
・「そんなところに通わせたら、逆にこの子がかわいそう」
そんな言葉をかけられ、誰にも分かってもらえないような孤独感を覚えた、という声も少なくありません。もちろん、祖父母なりにお子さんを思う気持ちがあっての発言ですが、毎日いちばん近くで育ちを支えているのはお父さん、お母さんです。
お子さんと一緒に過ごす時間が長いご両親だからこそ見えている「困りごと」や「成長のペース」があります。そこには、外からは分かりにくい、揺れる親心や小さな努力もたくさんつまっています。その姿をまずは自分自身が認めてあげることが、次のステップを考えるうえで大切な土台になります。
「通う/通わない」の前に整理しておきたい視点
療育に通うメリット・デメリットを考える前に、ぜひ押さえておきたい視点があります。それは、「何のために療育に通うのか」という目的を、ご両親自身の言葉で整理しておくことです。
たとえば、
・集団生活の中で、お子さんが少しでも安心して過ごせるようにしたい
・こだわりやパニックが減って、家族みんながほっとできる時間を増やしたい
・ことばやコミュニケーションの育ちを支える具体的な方法を知りたい
といったイメージがあるかもしれません。逆に、「ここがまだぼんやりしている」という気づきも、大切なスタート地点です。
もう一つ大事なのは、「療育に通う=一生の決断」ではない、ということです。始めてみて合わなければ変えることもできますし、一時的に利用して、必要に応じてまた相談するという選び方もあります。「一度の選択ですべてが決まってしまう」と思うと、どうしても怖くなってしまいます。だからこそ、「今の時点でのベストを選び、あとで見直してもよい」と柔らかく考えてみることが、心の負担を減らしてくれます。
次の章では、そもそも「療育とは何か」という基本から整理していきます。言葉だけが一人歩きしないように、仕組みや目的をやさしく確認しながら、お子さんの姿を見取るヒントにつなげていきましょう。
そもそも療育とは?基本をやさしく整理
療育の目的と対象となるお子さん
療育という言葉には、少し特別な響きがありますが、もともとは「療養」と「教育」をあわせた言葉です。むずかしい定義で覚える必要はありません。「発達の気になりやすいところがあるお子さんの育ちを支えるための、専門的な関わり」とイメージしていただければ大丈夫です。
対象になるのは、診断の有無にかかわらず、「生活の中で困りごとが続いているお子さん」です。たとえば、こんな姿が気になって相談につながることが多くあります。
・ことばがゆっくりで、伝えたいことがうまく出てこない
・集団の中で、一人だけ動けなくなったり、逆に走り回ってしまったりする
・音や光、触られる感覚などに敏感で、日常生活で困る場面が多い
・こだわりが強く、切り替えがとても苦手で、ご両親もヘトヘトになってしまう
幼児教育の知見をもとにすると、こうした「困っている姿」は、お子さんの性格の問題でも、ご両親の育て方のせいでもありません。脳や感覚の特性から、今の環境ややり方ではがんばりきれない部分がある、というサインだと考えます。そのサインをていねいに受けとめ、「どうすればこの子の育ちを支えることができるか」を一緒に考えていくのが、療育の役割です。
通所施設の種類とサービスのイメージ
一口に療育と言っても、通う場所やサービスの形はいろいろあります。制度上は「児童発達支援」「放課後等デイサービス」などの名前がついていますが、ここではもう少しイメージしやすく分けてみます。
少人数の中で、一人ひとりに合わせて関わる「個別スタイル」
小集団の中で、順番待ちやルールなどを練習する「グループスタイル」
親子で一緒に参加し、関わり方を学ぶ「親子参加スタイル」
実際には、このいくつかを組み合わせている施設も多いです。お子さんの姿や年齢によって、「まずは個別で」「集団にチャレンジしてみよう」と提案されることもあります。
ここで大切なのは、「立派な訓練」をするかどうかだけではなく、「お子さんが安心して過ごせるか」「ご両親が相談しやすい雰囲気か」といった点です。見学や体験に行ったときには、お子さんの表情や、職員の方の声かけの様子をそっと観察してみてください。そこでの「この場なら、この子の姿を見取ってもらえそうだな」という直感も、とても大事な判断材料になります。
「療育に通うこと」と「診断」は別の話
親御さんからよく聞かれる不安の一つに、「療育に通ったら、この子に何かの診断がついてしまうのでは」というものがあります。この点については、少し整理しておきたいところです。
まず、療育に通うことと、医師による診断は、本来は別の話です。地域によって多少の違いはありますが、「診断がなくても利用できるサービス」もあれば、「診断が必要なサービス」もあります。また、療育の現場では、診断名よりも「今どんな困りごとがあるのか」「どんな場面で力を発揮しやすいのか」といった、具体的な姿を重視することが多いです。
もちろん、診断を受けるかどうかは、ご家庭にとって大きなテーマです。ただ、診断は「ラベル」ではなく、「この子の特性を理解し、必要な支援につなげるための情報の一つ」と捉えることもできます。療育の場で専門家と話す中で、「診断については、もう少し様子を見ましょう」「ここは一度医師に相談したほうがよさそうです」といったアドバイスをもらえることもあります。
大切なのは、「療育に通う=この子に問題がある、と決めつけること」ではない、ということです。むしろ、ご両親が感じている不安を一緒に整理し、お子さんの育ちを支えるための味方を増やしていく機会だと考えてみると、少し気持ちが軽くなるかもしれません。
療育に通うメリット|どんな良さが期待できる?
専門家による客観的な視点とアセスメント
療育に通うメリットの一つは、お子さんの姿を「第三者の目」で見てくれる専門家が増えることです。ご両親は、毎日いちばん近くでお子さんの姿を見取っています。その一方で、近さゆえに見落としてしまうことや、「できているところ」よりも「できていないところ」に目が向きやすくなってしまうこともあります。
療育の現場では、保育士、児童指導員、作業療法士、言語聴覚士など、発達支援に関わる専門職が、それぞれの専門性を生かしながらお子さんと関わります。遊んでいるときの表情、友だちとの距離のとり方、指先の使い方、体のバランスのとり方……。さまざまな場面から、「この部分は力がついてきている」「ここはサポートがあると伸びやすそう」といったポイントを拾いあげます。
幼児教育の知見をもとにすると、こうした客観的なアセスメント(状態の整理)は、今後の支援方針を考えるうえで大きな手がかりになります。たとえば、
・指先の不器用さが強く、作業が進まない → 道具や手順を工夫する
・見通しが持ちにくく、不安からパニックにつながっている → スケジュールの見える化を進める
・ことばの理解はしているが、発信がむずかしい → ジェスチャーや写真カードを併用する
といったように、「困りごと」を責めるのではなく、「どう育ちを支えるか」という方向に考えを進めていけるのです。
お子さんに合った関わり方・遊びの提案
もう一つの大きなメリットは、「このお子さんに合いそうな関わり方や遊び」を具体的に提案してもらえることです。
たとえば、同じ「落ち着きがない」という様子でも、背景はお子さんによってさまざまです。
・体を動かしていないと、感覚的に落ち着かないタイプ
・次に何が起きるか分からず、そわそわしてしまうタイプ
・ことばの指示が頭に入りにくく、何をすればいいか迷っているタイプ
療育では、こうした違いを見極めながら、「この子の場合は、まずここを整えると良さそう」というポイントを教えてくれます。
具体的には、
・ブランコやトランポリンなどの身体遊びで、体の感覚を整える
・絵カードや写真で、やることの順番を見えるようにする
・短く区切った指示で、「これが終わったら次はこれ」と伝える
といった形で、家庭でも試しやすい工夫につながることが多いです。ご両親にとっても、「何をどう試せばよいか」がはっきりすると、毎日の関わりに少し自信が持てるようになります。
次の章では、療育に通うことで得られる心理的な支えや、園・学校との連携面でのメリットも含めて、さらに掘り下げていきます。そのうえで、「デメリットや注意点」についても、きれいごと抜きで正直にお伝えしていきます。
親御さんが相談できる場・味方が増える
療育に通うことで得られるのは、お子さんへの具体的な支援だけではありません。ご両親にとって、「安心して悩みを話せる場」が一つ増える、という大きなメリットもあります。
日々の困りごとは、とても小さな積み重ねです。
・朝の支度に毎日時間がかかってしまう
・お迎えのたびに、園での様子を聞くのがこわい
・寝る前にぐったりして、「今日も怒ってしまった」と自己嫌悪になる
こうした気持ちは、なかなかママ友や職場の人には打ち明けにくいものです。療育の場では、「発達が気になるお子さんの子育て」という共通の経験を持つ親御さん同士が集まります。「うちも同じですよ」「そういうことありますよね」と共感し合えるだけでも、心が少し軽くなることがあります。
また、支援者に「実はこんなことが心配で…」と話すたびに、お子さんの姿を一緒に整理してもらえます。「できていないところ」だけでなく、「ここは伸びてきていますよ」と教えてもらえるのも、励みになります。お子さんの育ちを支えるチームに、ご両親だけでなく、専門家や他の親御さんが加わるイメージを持てると、長い道のりも少し歩きやすくなります。
園や学校との連携のきっかけになる
療育に通うメリットとして、園や学校との連携が取りやすくなる、という点も見逃せません。療育の場で作成される記録やアセスメント(状態の整理)は、お子さんの得意・苦手を具体的な言葉で示してくれます。
たとえば、
・「見通しがあると動きやすいので、活動前に簡単な説明があると安心できる」
・「視覚的な指示(カードや絵)とことばを組み合わせると理解しやすい」
といった情報を、園や学校と共有することで、「家庭・園・療育」が同じ方向を向いてお子さんの育ちを支えることができます。先生方も、「どのように配慮すると、その子らしい姿を発揮しやすいか」のヒントを得られます。
このように、療育に通うことは、「特別な場所に行く」というだけでなく、お子さんの周りにいる大人たちが連携しやすくなるきっかけにもなります。
療育のデメリット・注意点|きれいごとだけで終わらせない
送り迎えやスケジュール調整の負担
ここからは、療育のデメリットや注意点についても、きちんと触れていきます。まず多くの親御さんが感じるのが、「送り迎えや時間のやりくりの大変さ」です。
療育の多くは、平日の日中や夕方に行われます。お仕事をしているご両親の場合、
・勤務時間を調整しなければならない
・きょうだいの送り迎えと重なり、毎日バタバタしてしまう
・通所時間と自宅からの距離を考えると、家でゆっくりする時間が減ってしまう
といった現実的な負担が出てきます。お子さんのためにと頑張りすぎるあまり、ご両親が疲れ切ってしまうと、家庭全体の雰囲気がピリピリしてしまうこともあります。
「お子さんのために動きたい」という気持ちはとても尊いものです。でも同時に、支える側の心と体のエネルギーも大切です。療育のメリットを考えるときには、「通うことで増える負担」を具体的にイメージし、無理のないペースを探る視点が欠かせません。
子どもの「遊ぶ時間」とのバランス
もう一つのポイントは、「療育に通う時間」と「自由に遊ぶ時間」とのバランスです。
発達を支える関わりは大切ですが、お子さんにとって「ただ好きなことをして過ごす時間」も、同じくらい大切な育ちの時間です。療育や習いごとでスケジュールがいっぱいになると、
・いつも「がんばる時間」ばかりになってしまう
・疲れていても、予定があるからと無理に連れて行ってしまう
・自分から遊びを広げていく余白が少なくなる
といった心配も出てきます。
幼児教育の知見をもとにすると、遊びの中でこそ伸びる力もたくさんあります。療育によってできることが増える一方で、「おうちでのんびり遊ぶ」「きょうだいや保護者とリラックスして過ごす」時間が十分にあるかどうかも、あわせて見ていきたいところです。
「レッテルが貼られるのでは」という不安
親御さんの心の中には、「療育に通うことで、この子にレッテルが貼られてしまうのでは」という不安もあるかもしれません。
・周りの目が気になる
・きょうだいや親戚にどう説明すればいいか分からない
・本人が大きくなったとき、どう受け止めるだろう
こんな思いが頭をよぎるのは、我が子を大切に思っている証拠です。
ここで大事なのは、「療育は、問題をかかえた子どものための特別な場所」というイメージから、「お子さんの育ちを支えるためのサポートの一つ」という捉え方に、少しずつ視点をずらしてみることです。
たとえば、視力が弱いお子さんが眼鏡を使うとき、「弱いからダメ」と捉える人は少ないはずです。「この子が生活しやすくなる道具」として、自然に受け止められています。療育も同じように、「今のこの子が、少し過ごしやすくなるための支え」と考えてみると、レッテルというより「サポートの一つ」として見えてくるかもしれません。
施設による質の差・相性の問題
最後に、療育の現場には「施設ごとの違い」がある、という点も正直にお伝えしておきたいと思います。
・スタッフの人数や経験年数
・支援の方針(遊び中心か、課題中心か)
・親との情報共有の頻度やスタイル
などは、施設によってかなり違います。あるお子さんやご家庭にはとても合っていた場所が、別のお子さんにはしっくりこない、ということも珍しくありません。
そのため、「療育ならどこでも同じ」と考えるのではなく、
・見学や体験で、お子さんの表情をよく見る
・スタッフの声かけや雰囲気を観察する
・不安な点を質問したときの説明のしかたに耳を傾ける
といった視点を大切にしてみてください。「ここなら、この子の姿を見取って、一緒に育ちを支えてくれそう」と感じられるかどうか。ご両親の直感も、施設選びの大事な材料です。
次の章では、こうしたメリットとデメリットをふまえたうえで、「療育に通うかどうかを判断するためのポイント」を整理していきます。「結局どう決めればいいの?」という疑問に、少しずつ道筋をつけていきましょう。
療育に通うかどうか判断するためのポイント
通所を検討したいサイン
では、実際に「療育に通ったほうがよいかもしれない」と考え始める目安には、どのようなものがあるでしょうか。ここでは、あくまで一例として、次のようなサインを挙げてみます。
・家でも園でも、同じような困りごとが続いている
・ご両親が工夫しても、「どうしていいか分からない」と感じる場面が多い
・困りごとが原因で、お子さんが自信をなくしているように見える
・親御さん自身が、「このまま様子を見るのがこわい」と強く感じている
もちろん、これらに当てはまるからといって、必ずしもすぐ通所したほうがよい、というわけではありません。ただ、「一度、専門家に相談して話を聞いてみてもいいタイミングかもしれない」というサインとして、心にとめておいていただければと思います。
幼児教育の知見をもとにすると、「気になる」と感じた時点で相談しても早すぎることはありません。「まだこんなに小さいのに」「こんなことで相談していいのかな」と遠慮する必要はないのです。
相談先の選び方と、話すときのコツ
療育に限らず、発達や子育ての相談先はいくつかあります。
・かかりつけの小児科
・自治体の子ども家庭支援センターや保健センターの発達相談
・園やこども園、保育園の担任や園長
・地域の療育センターや児童発達支援事業所
「どこが正解か」と悩みすぎるより、「話しやすそう」と感じる場所からで構いません。話をする前に、
・気になる行動の具体例(いつ・どこで・どのくらいの頻度か)
・それに対して、家庭でどんな工夫を試してみたか
・ご両親がいちばん心配していること
などを、箇条書きでメモしておくと、相談がスムーズになります。「うまく話せる自信がない」と感じる方ほど、事前メモが心強い味方になってくれます。
「一度通ったらずっと続けなきゃ」は思い込み
いざ療育に通い始めると、「せっかく始めたのだから、やめたらいけないのでは」と感じる親御さんも多いです。しかし、本来の療育は「一定期間利用したら終わり」というものでも、「一度スタートしたら一生続けるしかない」というものでもありません。
・お子さんの成長に合わせて、内容や頻度を変えていく
・一旦お休みして、必要になったらまた相談する
・別のスタイルの支援に切り替える
といった選択肢も、本来はあってよいものです。大切なのは、「今、この時点で、わが家にとってどうか」という視点で、定期的に振り返ることです。
家庭の負担とお子さんの様子をセットで考える
療育に通うかどうかを考えるとき、つい「お子さんのために」という気持ちが前面に出て、ご両親自身の負担を後回しにしてしまいがちです。けれど、長い目で見れば、親御さんの心と体がすり減ってしまっては、結果的にお子さんの育ちを支える力も弱まってしまいます。
判断するときには、
・通い始めてから、ご両親の疲れが限界に近づいていないか
・きょうだいとの時間にしわ寄せがいきすぎていないか
・通所の後、お子さんがぐったりしすぎていないか
といった点も一緒に見てみてください。「お子さんのため」と「家族全体の暮らし」を、セットで考えることが何より大切です。
家庭療育の役割と、プログラムを上手に取り入れる
療育に通っても「家庭での関わり」が土台になる
どれだけ充実した療育に通っていても、その時間は一週間のうちのほんの一部です。多くの時間を過ごすのは、やはり家庭と園・学校です。だからこそ、療育に通う・通わないにかかわらず、「家での関わり」がお子さんの育ちを支える大切な土台になります。
たとえば、療育で教えてもらった工夫を、家庭の中に少しずつ取り入れていくと、
・「できたね」と伝える場面が増える
・お子さんの得意なスタイル(見て分かる、体を動かしながら、など)が見えてくる
・ご両親が「前よりも落ち着いて対応できるようになった」と感じやすくなる
といった、小さな変化が積み重なっていきます。療育は「特別な場所でだけ完結するもの」ではなく、家庭での関わりを支えるヒントをくれる存在だと考えると、通う意味も見えやすくなります。
家庭療育の考え方を学ぶメリット
とはいえ、「家庭でどう関わればいいか分からない」「ネットの情報が多すぎて選べない」と感じている親御さんも多いでしょう。そこで役立つのが、「家庭療育」という考え方をやさしく整理してくれる情報です。
家庭療育とは、「特別な訓練の時間」だけを指すのではなく、日常生活の中での声かけや遊び方、環境の整え方を工夫しながら、お子さんの育ちを支えることを指すイメージです。
・なぜこの行動が起きているのか
・どんな伝え方なら、お子さんに届きやすいのか
・ご両親が無理なく続けられる工夫は何か
といった視点を学ぶことで、「困った行動」だけに注目するのではなく、背景にある気持ちや特性を想像しやすくなります。
家庭での関わり方を整理してくれる情報の活用
療育の考え方を土台にしながら、「家庭でどんな関わりができるか」を整理してくれる解説を読むことは、親御さんにとって大きな支えになります。
たとえば、感覚やコミュニケーションの特性もふまえながら、「家庭での関わり方」を整理して紹介している記事として、
のようなページがあります。お子さんの行動の背景を理解しながら、家庭でできる具体的な工夫を知りたいときに、一度じっくり読んでみる価値があります。
こうした情報を一度読んでみることで、「わが家に合いそうな関わり方」「すぐに試してみたい工夫」が少しずつ見えてきます。療育に通うかどうかを考えるときにも、「家庭でできること」と「外部の支援」でできることを整理する手がかりとして役立つでしょう。
家庭療育をサポートするプログラムを選ぶときの視点
最近は、家庭療育をサポートするプログラムや教材も増えてきました。オンラインで学べる講座や、郵送で届く教材など、形もさまざまです。選ぶときには、次のような点をチェックしてみてください。
・内容が難しい専門用語ばかりでなく、日常場面に落とし込まれているか
・ご両親の時間や気力を考えた現実的な分量か
・質問や相談ができる窓口があるか
・「こうしなければならない」という押しつけではなく、「わが家なりに取り入れられる」スタンスか
また、「療育に通っているから、家庭療育プログラムはいらない」「家庭療育をしているから、療育には通わなくていい」と、どちらか一方に決めつける必要もありません。家庭の状況やお子さんの姿を見ながら、必要なものを必要な分だけ、柔軟に組み合わせていけるとよいですね。
よくある質問Q&A|療育に通うか迷うとき
Q1:まだ小さいのに、療育に通わせてもいいのでしょうか?
A:年齢が低いからといって、療育が「早すぎる」ということはありません。小さいうちは、遊びの延長のような関わりの中で、体の使い方やことばのやりとりを育てていくことが多いです。
大事なのは、「年齢」だけで判断するのではなく、「今の生活でどのくらい困っているか」「ご両親がどれくらい不安を感じているか」を一緒に見ていくことです。「少し話を聞いてみようかな」という気持ちが芽生えたときが、相談のタイミングだと考えてみてください。
Q2:療育に通うと、普通の園や学校に行けなくなりませんか?
A:療育の利用そのものが、進学先を直接制限することは基本的にありません。むしろ、早い段階からお子さんの特性や困りごとを把握しておくことで、「どのような環境や配慮があれば力を発揮しやすいか」が見えやすくなります。
その結果として、「この園なら少人数で過ごせそう」「この学校は支援体制が整っていそう」といった具体的な選択がしやすくなることもあります。療育は、「選択肢を狭めるもの」ではなく、「選び方のヒントを増やすもの」と考えていただければと思います。
Q3:きょうだいへの影響が心配です
A:療育の送り迎えや、親御さんの時間配分がきょうだいに影響するのでは、と心配になるのは自然なことです。「下の子(上の子)にがまんさせてばかりいる」と感じて、胸が痛くなる親御さんも多くおられます。
完璧なバランスを取ることは、どの家庭でもむずかしいものです。その中でできる工夫としては、
・短い時間でも、きょうだいと一対一で向き合う時間を意識してつくる
・療育に通っていることを、きょうだいにも分かる言葉でていねいに説明する
・ときには、「今日は家族でゆっくりする日」にして、あえてお休みする選択も認める
といったことが挙げられます。きょうだいも家族の一員として、お子さんの育ちを支える大切な存在です。その気持ちを尊重しながら、親御さん自身も自分を責めすぎないようにしてほしいと思います。
Q4:療育に通うか、自宅で様子を見るか、どちらが正解ですか?
A:結論から言うと、「絶対の正解」はありません。お子さんの状態、年齢、家庭の状況、地域の支援体制などによって、最適な選択は変わります。
大切なのは、「白か黒か」で考えすぎないことです。
・今は情報を集める時期として、相談だけしてみる
・週1回通ってみて、半年後に改めて振り返る
・一定期間通ったあと、家庭療育中心の時期に切り替える
こうした段階的な選び方も、立派な選択です。その時々の状況の中で、「わが家なりのベスト」を選び、必要に応じて見直していく。その柔らかさこそが、お子さんの育ちを支えるうえで大きな力になります。
まとめ|これから試してみたい工夫
療育に通うメリット・デメリットを見てきました。どちらにも面があり、「絶対に行くべき」「絶対にやめるべき」と言い切れるものではないからこそ、親御さんの悩みは深くなります。
そんな中で、これから試してみたい工夫として、たとえば次のような一歩があります。
・気になることを3つだけメモにして、信頼できる相談先に話してみる
・園やこども園の先生に、「家ではこういう姿があって…」と率直に共有してみる
・一つだけ、家庭での関わり方を見直してみる(ほめ言葉を増やす、見通しを伝えるなど)
家庭での関わりのヒントをもう少し知りたいと感じたら、先ほどご紹介した
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のような情報も活用しながら、「わが家に合いそうな工夫はどれかな」と考えてみてください。記事を読みながら、「これならできそう」「これは今度試してみたい」と印をつけていくだけでも、気持ちが少し前向きになるはずです。
療育に通う・通わないという選択は、親御さんが一人で抱え込むべきものではありません。お子さんの今の姿を見取りながら、家族や専門家、周りの支えも借りて、その時々のベストを選び続けていくことこそが、お子さんの育ちを支える大切なプロセスです。
ゆっくりでかまいません。一歩ずつ、一緒に歩んでいきましょう。
