日々保育園やこども園で子どもたちと関わる中で、「もっと可能性を広げてあげたい」「挑戦する姿を見取りたい」と感じる場面は多いのではないでしょうか。園児の小さな一歩をどう支えるかは、職員や保育士にとって大きなテーマです。
しかし現場では、時間や安全面に配慮するあまり、つい「失敗しないように」と先回りしてしまいがちです。その結果、園児が自分で考え挑戦する機会を減らしてしまうこともあります。
そんなときに参考になるのが、植松努さんの著書『空想教室』です。この本には「思うは招く」「夢をあきらめない」といった力強いメッセージが込められており、園児の育ちを支えるための視点が詰まっています。
この記事では、『空想教室』に学ぶ保育実践のヒントを、具体的な事例や日常の工夫を交えて紹介します。
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なぜ今「空想教室」に学ぶことが必要なのか
知識偏重から非認知能力を育てる時代へ
これまで教育現場では「知識をどれだけ覚えたか」に重きが置かれてきました。しかし今、社会で求められているのは 非認知能力 ― 例えば感情をコントロールする力、人と協力する力、諦めずに挑戦する力です。
『空想教室』が伝える「夢を持ち続ける姿勢」や「挑戦する心」は、まさに非認知能力の育ちを支える基盤です。
子どもたちが「挑戦する姿」を見取る大切さ
園児は遊びや生活の中で小さな挑戦を繰り返しています。高い遊具に登る、苦手な食材を一口食べてみる、友だちに自分の思いを伝える。こうした姿を見取り、肯定的に声をかけることが、自律する力を育てます。
保育現場で直面する課題
困難に直面すると諦めてしまう園児
ブロックを高く積もうとして倒れてしまうと「もうやらない」と投げ出す子がいます。挑戦の芽をどう支えるかが課題です。
指示待ちの子どもたち
「次は何をするの?」と先生の指示を待ち、自分から動けない園児もいます。主体性をどう育てるかが求められます。
保護者さんの「もっと挑戦してほしい」という願い
「家では自分から動かないので、園では積極的に挑戦させてほしい」といった要望も少なくありません。園と家庭が協力して子どもの可能性を支えることが必要です。
『空想教室』から学ぶ子どもの可能性を伸ばす視点
「思うは招く」― 信じる気持ちが行動を変える
「思うは招く」というメッセージは、思い描いたことは現実に近づくという考え方です。園児に対して「きっとできる」「挑戦してみよう」と信じて寄り添う姿勢が、子どもたちの自信につながります。
失敗を「学び」に変える
『空想教室』は「失敗は悪いことではなく、学びそのもの」と教えてくれます。転んだときに「痛かったね。でも最後まで走ったのはすごいよ」と声をかければ、失敗も次の挑戦のエネルギーになります。
夢を持つことが育ちを支える
「パン屋さんになりたい」「宇宙飛行士になりたい」――園児の空想は大人から見ると突飛でも、夢を持つ経験は大切です。保育士が否定せずに受け止め、日常の活動につなげることが可能性を広げます。
👉 子どもたちの挑戦を支える『空想教室』
保育士ができる実践の工夫
園児が自由に挑戦できる環境づくり
工作で「見本どおりに作る」ことを求めるのではなく、自由に材料を選べるようにする。運動遊びでは難易度を複数用意して、自分で挑戦を選ばせる。こうした環境は子どもたちの主体性を伸ばします。
職員や同僚との共有
園児が挑戦する姿を記録し、職員や同僚と共有する仕組みを持つことは効果的です。「今日は自分から片づけを始めた」といった小さな姿を見取り合うことで、園全体で一貫した保育実践が可能になります。
保護者さんとの連携
「園でこんな挑戦をしていましたよ」と伝えることで、家庭でも同じ姿勢で支えてもらいやすくなります。保護者さんとの協力が、園児の挑戦の広がりを支えます。
実際の事例紹介
工作活動で挑戦を支えたケース
「ロケットを作りたい」と言った園児に対し、先生は「どうやったら飛ぶと思う?」と質問しました。子どもは試行錯誤を繰り返し、失敗しても工夫を続け、最後には「飛んだ!」という達成感を得られました。
運動会で挑戦を応援した例
かけっこで転んだ園児に「最後まで走れたね」と声をかけると、その後のリレーでは「もう一度走りたい」と自分から挑戦する姿が見られました。失敗を肯定的に受け止めることで次の挑戦につながったのです。
保護者さんと協力した夢の実現
「パン屋さんになりたい」という園児に、先生が地域のパン屋さんを見学する機会を設けました。保護者さんも協力して家庭でパン作りを楽しむようになり、夢が学びへとつながりました。
まとめ
『空想教室』は園児の可能性を信じ、夢や挑戦を支える視点を保育士に与えてくれる。
職員や同僚が子どもたちの姿を見取り、育ちを支えることで、園児は自分の可能性を広げていける。
保護者さんと協力し、園と家庭が同じ方向を向くことが挑戦を応援する力になる。
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