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【解説】『窓際のトットちゃん』に学ぶ ― 子ども主体の学びを支える保育士の関わり方

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「子ども主体の保育」と聞くと、理想的だけれど現場でどう実践したらいいのか分からない、と感じる先生も多いのではないでしょうか。教育・保育要領でも「子ども主体の活動」が強調されていますが、日々の保育は時間に追われ、どうしても大人が主導になりがちです。

そんなときに参考になるのが、黒柳徹子さんの自伝的小説 『窓際のトットちゃん』 です。舞台となったトモエ学園は、子どもたち一人ひとりの個性を大切にし、自由で柔軟な学びの場を提供しました。その姿勢は、現代の保育実践における「子ども主体の学び」を考えるうえで多くのヒントを与えてくれます。

本記事では、『窓際のトットちゃん』に描かれた学びをもとに、保育士がどのように園児の姿を見取って育ちを支えられるか、事例や具体的な関わり方を交えて解説します。

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『窓際のトットちゃん』に描かれた学びの場

トモエ学園の教育方針 ― 子どもの個性を尊重する

『窓際のトットちゃん』に登場するトモエ学園は、戦時中の日本に存在した実在の小学校です。校長の小林宗作先生が「子どもは一人ひとり違っていい」という理念を掲げ、自由で柔軟な学びの場をつくりました。そのユニークな教育方針は、当時としては革新的であり、今なお多くの教育関係者や保育士に影響を与えています。

トモエ学園では「一斉に同じことをやる」のではなく、子どもたちが興味を持ったことに自由に取り組むことが奨励されました。例えば、理科が好きな子は理科を、絵が好きな子は絵を、といった具合です。これは「個性を伸ばす」ことに直結し、子どもたちが自信を持つきっかけとなりました。

自由な学びが育む主体性と自律性

「やりたいことをやっていい」と言われたとき、最初は戸惑う子もいますが、やがて自分の興味を見つけ、自ら取り組むようになります。このプロセスこそが主体性の芽生えであり、自己肯定感や自律性を育てる土台になります。

現代の保育実践に通じるポイント

今日の保育現場でも、子どもたちの主体的な活動をどう支えるか が問われています。トモエ学園の姿勢は、「子ども自身が考えて動ける保育」を目指す現代の教育・保育要領と重なります。

子ども主体の学びを支える保育士の視点

園児一人ひとりの姿を見取る大切さ

子ども主体の学びを実現するためには、まず園児の姿を丁寧に見取ることが必要です。「この子はいま何に興味を持っているのか」「どんなときに夢中になっているのか」を観察し、日誌や記録に残すことが、次の活動につながります。

「できる・できない」で判断しない関わり

子ども主体の学びでは、成果よりもプロセスが大切です。「できた・できない」で評価するのではなく、「挑戦した姿」「工夫した姿」を認めることで、子どもたちは安心して挑戦を続けられます。

子どもの選択や試行錯誤を尊重する

たとえ効率が悪くても、子ども自身が考えて行動することに意味があります。保育士がすぐに手を出すのではなく、試行錯誤の過程を支える姿勢が重要です。

日常保育で活かす『窓際のトットちゃん』のエッセンス

遊びを通して学びを支える

「遊び=学び」という視点を持つことが大切です。園児が砂場で試行錯誤して水路をつくる姿は、科学的思考や協働の基礎となります。大人の「遊びだから仕方ない」という見方ではなく、「遊びを通じて学んでいる」と捉えることが保育士の役割です。

保護者さんと連携し子どもの可能性を広げる

園で見せる姿と家庭での姿は異なることがあります。保護者さんと共有し合うことで、子どもの興味や強みを多面的に見取れます。

多様な子どもたちの背景を受け止める

『窓際のトットちゃん』でも、障害のある子やさまざまな個性を持つ子が共に学んでいました。現代の保育でも、多様性を受け入れることは重要であり、それぞれの育ちを支える視点が求められます。

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子ども主体の学びがもたらす園の変化

園児の主体性と自信が育つ

自分の選んだ活動に取り組むことで、園児は達成感や自信を得られます。これが次の挑戦へとつながります。

職員同士の協力体制が強まる

子ども主体の保育を支えるためには、職員間での連携が不可欠です。日々の振り返りや情報共有を通して、同僚同士が互いに支え合う文化が育ちます。

保護者さんからの信頼が深まる

「園でこんな姿を見せてくれました」と子どもの成長を伝えることは、保護者さんの安心につながります。信頼関係を深めることが園の基盤を強化します。

事例紹介 ― 子ども主体の保育を実践した園での変化

子どもの「やりたい」を尊重した製作活動の実践

ある園では、製作活動を「お手本通りに仕上げる」から「子どもが作りたいものを自由に作る」に変更しました。その結果、園児の発想力が広がり、作品を見せ合う姿からコミュニケーションも深まりました。

異年齢保育で子どもたちが学び合った事例

異年齢保育の場で年長児が年少児を自然に手助けする姿が見られました。保育士が「ありがとう」と声をかけることで、年長児は自分の役割に自信を持ち、年少児は安心感を得ました。

保護者さんと共に子どもの興味を広げた取り組み

園で恐竜に興味を持った子どもがいました。保育士が保護者さんに共有すると、家庭で図鑑を一緒に読む時間が生まれました。園と家庭が連携することで、学びの幅が大きく広がりました。

働きやすい職場づくりにつながるポイント

子ども主体の保育が職員の負担感を減らす

大人がすべてを準備するのではなく、子どもたち自身が工夫して活動する時間を持つことで、職員の負担が軽減されます。

保育士同士が学び合い、同僚の強みを活かす

子ども主体の保育を実践する中で、自然と職員同士が「どう関わったらいいか」を話し合うようになります。その過程で互いの強みを認め合う関係が生まれます。

園全体で「育ちを支える」文化を共有する

子ども主体の学びを支える文化が園全体に根づくことで、働きやすさとやりがいが両立した職場環境がつくられます。

まとめ

  • 『窓際のトットちゃん』に描かれた自由な学びは、現代の「子ども主体の保育」と深く結びついている。

  • 園児の姿を見取って関わり、育ちを支えることが、園児・保護者さん・職員すべてに良い循環を生む。

  • 子ども主体の保育は、園全体の雰囲気を変え、働きやすい職場づくりにもつながる。

明日からの保育で、園児の「やってみたい」「知りたい」という気持ちを大切にし、その姿を丁寧に見取って支える関わりを意識してみましょう。それが子ども主体の学びを深め、園全体をより働きやすくする一歩となるといいですね。

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  • この記事を書いた人

ポジティブ園長

田舎の自然の中で、のんびりと9歳の娘と6歳の息子と暮らすパパ。 保育 × 心理学 × 脳科学をヒントに、職員と子どもたちが共に成長できる園づくりをしています。 “答えのない時代”だからこそ、楽しみながら考え、失敗を恐れず挑戦する──そんな姿を大切に、みんなと歩んでいる園長です。

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