
ASD特性を持つお子さんと日々向き合っているお父さん、お母さん。
「せっかく一緒に遊ぼうと思っても、同じ遊びばかり」「こちらが誘っても、なかなか目を合わせてくれない」「つい『ダメ』『やめて』と注意ばかりになってしまう」。そんなモヤモヤした気持ちを抱えながら、「このままでいいのかな」「もっとこの子の力を伸ばしてあげたいのに」と悩んでおられる方も多いのではないでしょうか。
発達が気になるお子さんとの遊び時間は、ときにうれしく、ときに苦しいものです。周りの子どもたちがごっこ遊びやルールのあるゲームを楽しみ始める年齢になっても、「一人で同じ遊びをくり返してばかり」「マイルールから外れると怒ってしまう」姿を見ると、心配になるのは当然のことです。
一方で、お子さん自身は大好きな世界にどっぷり浸かりながら、一生懸命生きています。ご両親が「困った行動」に見えるものの中にも、「こうすると落ち着く」「こうすると安心できる」という、その子なりの工夫が隠れています。まずはその姿をていねいに見取りながら、「遊びながら伸ばす」視点に一緒に切り替えていけたらと思います。
幼児教育の知見をもとにすると、遊びは「ただの息抜き」ではありません。安心して遊べる時間は、ことば・コミュニケーション・感覚・身体づかいなど、さまざまな育ちを支える大切な場です。特にASD特性を持つお子さんにとっては、「好き」「心地よい」からスタートする遊びのほうが、新しいチャレンジにもつながりやすいと言われています。
この記事では、ASD特性の基本的な特徴をやさしく整理しながら、家庭で今日からできる具体的なあそびアイデアを紹介していきます。むずかしい専門用語はできるだけかみ砕いて、「これならわが家でもできそう」と感じてもらえるような内容を心がけています。
最後まで読んでいただくことで、
・ASD特性を持つお子さんの遊びにあらわれやすい姿
・家庭で無理なく取り入れられる感覚あそび・身体あそび・コミュニケーションあそび
・遊びを家庭療育として生かすときの考え方と注意点
がイメージしやすくなるはずです。
完璧な遊び方を目指す必要はありません。小さな一歩を重ねながら、お子さんの表情や反応の変化を見取り、「今日のこの笑顔、よかったな」と感じられる瞬間を、一緒に増やしていきましょう。
ASD特性を持つお子さんとの遊びで悩みやすいポイント
「遊びたいのに、いつも注意ばかりになってしまう」
ASD特性を持つお子さんとの日常で、いちばん多く聞かれる声の一つが、「遊び時間がいつの間にか『注意の時間』になってしまう」というものです。
たとえば、
・ソファから何度も飛び降りる
・物を高く積んでは倒すことをくり返す
・同じ動画や音声を大きな音で流し続ける
など、お子さんにとっては「楽しい遊び」でも、ご両親にとってはヒヤヒヤしたり、疲れたりする行動が続くことがあります。危険なことや周りの迷惑になることには、どうしても「やめて」「こら」「何度言ったら分かるの」と強い口調になりがちです。
「せっかく一緒に過ごしているのに、叱ってばかり」「この子のことが好きなのに、うまく関われない」。そう感じて自己嫌悪になってしまう親御さんも少なくありません。
ここで大切なのは、「叱りたくて叱っている親なんていない」ということです。危険から守りたい、周りと気持ちよく過ごしてほしい、困らないようにしてあげたい――その思いがあるからこそ、注意のことばが増えてしまうのです。
「同じ遊びばかり」で本当に大丈夫?
ASD特性を持つお子さんに多く見られる姿として、「同じ遊びをくり返す」「遊び方のパターンが決まっている」というものがあります。ミニカーを一直線に並べ続ける、電車のおもちゃを同じコースでぐるぐる走らせる、同じ動画を繰り返し見る……。
周りの子どもたちが、ごっこ遊びやルールのあるゲームを楽しみ始める年齢になると、ご両親は「このまま同じ遊びばかりで大丈夫なのかな」「もっと遊びの幅を広げないといけないのでは?」と不安になりがちです。
幼児教育の知見をもとにすると、「同じ遊びをくり返すこと」自体は、決して悪いことではありません。
・予想どおりの展開になることで安心感が得られる
・自分でコントロールできる世界を味わっている
・感覚的に心地よい刺激を、自分なりに調整している
こうした理由から、同じ遊びに何度も戻るお子さんが多いのです。大切なのは、「その遊びをやめさせること」ではなく、「その遊びを入り口に、どう育ちを支えるか」を考えていく視点です。
お子さんの姿をどう見取ればいい?
遊びの中にあらわれるASD特性のサインを、どう受け止めればよいか迷うことも多いでしょう。
たとえば、
・一人で遊んでばかりいる
→「人と関わりたくない子」と決めつけたくなる
・遊び方が独特で、マイルールが強い
→「わがまま」「頑固」と見えてしまう
・大人の呼びかけにすぐ反応しない
→「聞いていない」「無視している」と感じてしまう
こうしたときに、「この子は〇〇な子だ」とラベルを貼るのではなく、「このお子さんにとって、どうすることが安心なのか」「どんな情報の受け取り方をしているのか」と、一歩引いた目線で考えてみることが大切です。
たとえば、一人遊びを好むように見えるお子さんでも、好きな遊びの世界に大人がそっと入っていくと、表情が和らいだり、ちらりと目を合わせてくれたりすることがあります。「人が嫌い」なのではなく、「どう関わればいいか分からない」「大勢の中が苦手」ということも少なくありません。
お子さんの遊びの様子を、「困った行動」としてだけでなく、「安心のとり方」「情報の整理のしかた」として見取っていくことが、遊びながら育ちを支えるうえでの出発点になります。
ASD特性の基本理解と「遊びながら伸ばす」視点
ASD特性とは?むずかしい言葉を日常の姿に置き換える
ASDという言葉は、ニュースや本などで耳にする機会が増えましたが、「なんとなくイメージはあるけれど、実際はよく分からない」という親御さんも多いと思います。
ASD(自閉スペクトラム症)の特性は、一言で言うと「情報の受け取り方や感じ方に特徴があること」です。
たとえば、
・ことばどおりに受け取りやすく、あいまいな表現が分かりにくい
・急な予定変更や予想外の出来事がとても苦手
・音や光、肌ざわりなどの感覚に、とても敏感だったり鈍感だったりする
・興味のあることには強く集中する一方で、興味のないことにはなかなか手がつかない
といった姿になってあらわれます。
これは「わがまま」でも「甘え」でもなく、そのお子さんの脳や感覚の特性によるものだと考えられています。つまり、「性格を直す」のではなく、「特性に合った環境や関わり方を工夫する」ことが大切なのです。
遊びの中にあらわれやすいASD特性のサイン
ASD特性は、日常生活のいろいろな場面に姿を見せますが、遊びの場面でも分かりやすく表れることがあります。
たとえば、
・一人でコツコツとパズルやブロックを続けるが、友だちとおもちゃを共有するのは苦手
・ごっこ遊びよりも、物の仕組みを観察したり、並べたりする遊びを好む
・遊び方がとても独創的で、大人が想定していないルールをつくる
・お話のやり取りよりも、音や動きなどの感覚そのものを楽しんでいる
などです。
こうした姿は、「他の子と違う」と気になる一方で、その子ならではの強みや興味の現れでもあります。
・細かい違いに気づく力
・同じパターンを安定してくり返す力
・一つのことに集中し続ける力
こうした力を、遊びを通して伸ばしていくことができれば、お子さんの自信や安心感にもつながっていきます。
なぜ遊びがASD特性を持つお子さんの発達支援になるのか
では、なぜ「遊びながら伸ばす」ことが、ASD特性を持つお子さんの発達支援にとって大切なのでしょうか。
幼児教育の知見をもとにすると、遊びには次のような役割があります。
・「楽しい」「おもしろい」という気持ちが、学びへの入り口になる
・成功と失敗をくり返しながら、自分なりの工夫を試せる
・大人やきょうだいとのやり取りの中で、ことば・視線・ジェスチャーが自然に育つ
・感覚をほどよく刺激しながら、自分の身体の使い方を覚えていく
ASD特性を持つお子さんは、新しいことへのハードルが高かったり、「できない」「分からない」と感じる場面で不安が大きくなりやすかったりします。そのため、「練習」や「課題」という形になると、どうしても身構えてしまうことがあります。
そこで、「好きな遊び」を入り口にしていくのです。
たとえば、ミニカーが大好きなお子さんなら、
・車を並べる遊びから、色や数のことばを増やしていく
・一緒に道を作ることで、共同作業の経験を積む
・交代で車を走らせることで、順番の練習につなげる
といった形で、「勉強」ではなく「遊びとして」さまざまな力を育てていくことができます。
ご両親が、「この遊びなら、この子はイキイキしているな」「ここから、どんな力の芽が伸びていきそうかな」と、お子さんの姿を見取りながら関わっていけると、日常の遊び時間そのものが、豊かな発達支援の場に変わっていきます。
次の章からは、実際に家庭で取り入れやすいあそびアイデアを、「感覚・身体あそび編」と「コミュニケーション・ごっこあそび編」に分けて、具体的にご紹介していきます。
ASD特性を持つお子さんにおすすめの家庭あそびアイデア【感覚・身体あそび編】
深い感覚を満たすあそび|クッション・布団・トンネルあそび
ASD特性を持つお子さんの中には、「体をぎゅっと包まれる」「重みを感じる」と落ち着きやすいタイプがいます。言葉で気持ちを整理するのが難しいとき、身体感覚が安心のスイッチになることがあるのです。
家庭でできるシンプルな遊びとしては、
・クッションにダイブする
・布団でサンドイッチのように包む
・段ボールや布団でトンネルを作ってくぐる
などがあります。
ポイントは「お子さんが求める強さ」に合わせることです。嫌がる素振りがあればすぐにやめ、笑顔やリラックスした表情が出る強さを探していきましょう。
幼児教育の知見をもとにすると、こうした遊びは「安心の土台」を作るだけでなく、身体の輪郭を感じる経験にもなります。姿勢や動きの安定につながることもあるため、落ち着きにくさが気になるお子さんにも試しやすいアプローチです。
スイングやジャンプあそび|バランスと感覚を育てる
体を動かす遊びは、ASD特性を持つお子さんにとって「気持ちの調整」にも役立つことがあります。
たとえば、
・ブランコ
・トランポリン
・ケンケンパ
・ロープジャンプ
・おうちの中の簡単なサーキット遊び
などは、家庭でも工夫しやすい活動です。
力が有り余っているように見えるお子さんでも、実は「体の感覚が落ち着かないから動いている」場合があります。ジャンプや揺れの刺激をほどよく入れることで、その後の切り替えがスムーズになることもあります。
安全のために、
・滑りにくいマットを敷く
・時間を短く区切る
・大人がそばで見守る
といった基本の環境づくりは忘れずに。
遊びのあとに表情が柔らかくなるか、落ち着いて次の行動に移りやすいか。そんな姿を見取ることが、効果を確かめる一番のヒントになります。
水・砂・小麦粉ねんど|五感を使ったじっくり遊び
ASD特性を持つお子さんは、感覚の好みがはっきりしていることが多いです。
水の感触が大好きなお子さんもいれば、逆に濡れることがとても苦手なお子さんもいます。砂や粘土のように、触るだけで気持ちが落ち着く素材があるお子さんもいます。
家庭で取り入れるなら、
・たらいで水遊び
・お風呂での泡遊び
・室内用の砂やスライム
・小麦粉ねんど
など、場所と時間を限定して楽しめるものがおすすめです。
汚れが気になる親御さんは、
・レジャーシートを敷く
・遊ぶ場所を「ここだけ」と決める
・遊ぶ前に「終わったら手を洗う」までをセットにする
といった工夫で負担を減らせます。
「遊びの準備と片づけが大変」と感じるときは、無理に毎日やらなくても大丈夫です。週末だけ、短時間だけでも十分意味があります。
感覚あそびの注意点とデメリットも知っておこう
感覚・身体あそびは良い面が多い一方で、刺激が強すぎると逆効果になることもあります。
・興奮が高まりすぎて、切り替えが難しくなる
・やめどきが分からず、泣いたり怒ったりする
・疲れすぎて、その後の生活リズムが崩れる
こうした様子が出る場合は、
・時間を短くする
・刺激の強さを下げる
・終わりの合図を見える形にする(タイマーなど)
といった調整が有効です。
「合わないかも」と感じたら、いったん休む選択をしても問題ありません。お子さんの育ちを支える方法は一つではありませんし、時期によって合う遊びも変わっていきます。
ASD特性を持つお子さんにおすすめの家庭あそびアイデア【コミュニケーション・ごっこあそび編】
ことばが苦手でも楽しめる「並べる・見せ合う」あそび
ASD特性を持つお子さんの遊びでよく見られるのが、「並べる」「順番に置く」「同じ形をそろえる」といったスタイルです。
ミニカー、電車、ブロック、シールなど、好きなアイテムを並べる時間は、お子さんにとって安心の世界です。
ここに大人が入るときは、
・いきなり遊び方を変えようとしない
・まずは同じことを隣でやってみる
・「きれいだね」「赤が多いね」など短いコメントを添える
といった関わり方がスムーズです。
「一緒に遊ぶ」をゴールにしすぎず、「同じ空間で、同じ世界を共有する」ことから始めると、親子の距離が自然に近づいていきます。
ASD特性を持つお子さんにおすすめの家庭あそびアイデア【コミュニケーション・ごっこあそび編】
一言フレーズで楽しめるごっこあそび
ごっこ遊びは「やり取りの練習」としてよく紹介されますが、ASD特性を持つお子さんにとっては、自由度が高すぎてむずかしく感じることがあります。だからこそ、家庭では「短いことば」と「分かりやすい型」から始めるのがおすすめです。
たとえば、
・「どうぞ」「ありがとう」
・「いただきます」「ごちそうさま」
・「おいしい」「もういっかい」
といった一言だけで成立する遊びなら、ことばがまだ少ないお子さんでも参加しやすくなります。
お店屋さんごっこなら、品物を3つだけ並べて「これとこれ、どっち?」と選べる形にすると見通しが持ちやすいです。お医者さんごっこなら、聴診器やばんそうこうなど小道具を箱にまとめ、「①きく ②はる ③おしまい」のように流れを簡単に示しておくと安心できます。
「うまく演じる」ことが目的ではありません。親御さんがゆっくり同じフレーズをくり返し、成功体験を積み重ねることが、お子さんの育ちを支える土台になります。
交代や順番の練習になるゲームあそび
「順番を待つ」「交代する」といった力は、園生活や小学校以降の集団活動にもつながる大切な要素です。ただ、最初からルールの多いゲームに挑戦すると、負担が大きくなりすぎることがあります。
家庭では、
・ボールを転がして「あなた→わたし」を1回ずつ
・カードを1枚ずつめくる神経衰弱の“超ミニ版”
・すごろくでもマスを少なくして“5分で終わる仕様”
など、やさしい形にアレンジしてみてください。
勝ち負けよりも、「順番が回ってきた」「交代できた」という経験を大切にしたいところです。うまくいったら、「待てたね」「交代できたね」と具体的に認めることで、お子さんの自信につながります。
「無理に一緒に遊ばせない」ことも大切
親御さんが一生懸命誘っても、お子さんが乗ってこない日もあります。そんなときは、「一緒に遊べない=失敗」と考えなくて大丈夫です。
ASD特性を持つお子さんは、疲れやすさや感覚の波が大きいことがあります。頭の中がいっぱいのときに無理に関わろうとすると、遊びそのものが嫌な記憶になってしまうこともあります。
まずは、
・同じ部屋で、同じおもちゃを黙って並べてみる
・お子さんの遊びを「見るだけ参加」する
・好きな場面で短く声をかける
といった“近くにいる安心”を届ける関わりから始めてみてください。
お子さんが少し視線を向けたり、手を止めて様子をうかがったりする瞬間は、立派な変化です。その小さなサインを見取っていくことが、次のやり取りへつながります。
家庭療育として遊びを生かすために|考え方の整理
家の中の遊びが「育ちを支える時間」になる理由
「家で遊ぶだけで、本当に意味があるのかな?」と感じる親御さんもおられると思います。けれど、家庭の遊びには、療育の場では見えにくい大きな価値があります。
まず、安心できる環境でくり返し取り組めること。次に、好きな遊びを軸にして成功体験を積めること。そして、ご両親が日々の変化を一番近くで見取れることです。これらは、ASD特性を持つお子さんの育ちを支えるうえで、とても大切な条件です。
たとえば、ジャンプ遊びのあとに落ち着いて食卓に向かえた、並べ遊びに一言コメントを添えたら笑顔が増えた、そんな小さな変化は「この子に合う関わり方」を探す大きなヒントになります。
「やらせる遊び」より「一緒に楽しく続けられる遊び」
家庭での遊びが苦しくなってしまう一番の理由は、「伸ばさなきゃ」「練習させなきゃ」という気持ちが強くなりすぎることです。お子さんのペースより大人の理想が先に立つと、遊びが課題のように感じられてしまいます。
まずは、お子さんの好きな遊びを守りながら、ほんの少しだけ新しい要素を足してみる。時間は短く、ルールは少なく、成功しやすい形にする。そんな小さな調整が、親子の笑顔を増やす近道になります。
親御さんの負担を増やしすぎない工夫
遊びを家庭療育として生かすときは、「続けられる形」が何より大切です。準備が大変なものより、家にある道具でできる遊びから始めましょう。うまくいかない日は休んで大丈夫です。ご両親の心と時間に余白があることが、結果的にお子さんの安心につながります。
家庭療育として遊びを生かすために|考え方とプログラムの上手な活用
家庭療育という考え方|特別な時間だけが支援ではない
ASD特性を持つお子さんの育ちを支えるために、「家で何かしなきゃ」と肩に力が入りすぎてしまう親御さんも少なくありません。けれど家庭療育は、特別な教材や長い練習時間を意味するものではありません。
朝の支度、食事、片づけ、そして日々の遊び。こうした生活の中で、お子さんが安心して挑戦できる環境を整え、伝え方を少し工夫することが、家庭療育の基本です。
たとえば、並べ遊びが好きなお子さんなら、
・「赤い車を3台にしてみようか」
・「次はどこに置く?」
と短い声かけを添えるだけで、数や色、順番といった学びの芽が育ちます。ジャンプ遊びのあとに落ち着く姿が見られるなら、夕方の切り替え前に短時間取り入れてみるのも一つの方法です。
「遊びを通して、お子さんの姿を見取り、育ちを支える」。この視点があるだけで、ご両親の気持ちも少し軽くなります。
また、家庭療育は“がんばる時間”より“整える工夫”が中心です。
・遊ぶ場所を決める
・終わりの合図を決める
・選択肢を2つにしぼる
こうした小さな環境調整だけでも、お子さんはびっくりするほど動きやすくなることがあります。
家庭での関わり方を整理して学べる解説の活用
とはいえ、家庭でできる工夫は幅広く、情報が多すぎて迷ってしまうこともあります。「遊びは分かったけれど、声かけや生活全体の整え方も知りたい」と感じたときは、家庭療育の考え方をやさしく整理してくれる解説を一度読んでみるのがおすすめです。 こちらもCHECK お子さんの発達について、「このままで大丈夫かな…」と胸がぎゅっとなる瞬間はありませんか。ことばがゆっくり、集団が苦手、こだわりが強い、かんしゃくが激しい…。まわりの子と比べるつもりはなく ... 続きを見る
たとえば、ASD特性を持つお子さんの行動の背景や、家庭での支援の考え方をまとめた下記記事では、遊びだけでなく日常の関わりに役立つヒントが具体的に紹介されています。
【解説】発達が気になるお子さんを伸ばす家庭療育|四谷学院「療育55レッスン」の魅力と効果
家庭療育をサポートするプログラムを選ぶときの視点
通信講座やオンラインの学びを検討する場合は、内容の分かりやすさと続けやすさを最優先にしたいところです。
・専門用語が少なく、生活場面に落とし込まれているか
・毎日の負担が大きすぎないか
・困ったときに相談できる窓口があるか
この3点を意識すると、選びやすくなります。
特にASD特性を持つお子さんの場合、「毎日やらないと効果がない」と追い込むより、生活リズムの中で自然に回る形が重要です。
たとえば、
・平日は5分の感覚遊びだけ
・休日に少し長めの親子ゲーム
というように、波のある取り組みでも十分意味があります。
通所の療育と家庭あそびのバランス
すでに療育に通っているご家庭では、「家でも同じくらい頑張らなきゃ」と感じてしまうことがあります。けれど、家庭の役割は“追加の宿題”ではありません。
通所先で教えてもらった関わりの中から、
「これなら家でもやれそう」という工夫を一つだけ選び、遊びの中で試してみる。
このくらいのペースが現実的です。
お子さんの疲れが強いときは、あえて“休む日”を作ることも育ちを支える判断です。
お子さんが安心して力を発揮できるように、家庭と外部の支援を上手に組み合わせていきましょう。
あるご家庭では、夕方になると興奮が高まりやすいお子さんに対して、帰宅後にトランポリンを3分だけ取り入れ、終わったらタイマーを一緒に止める流れを作りました。すると、その後の手洗い・おやつ・着替えが少しスムーズになり、「怒る回数が減った」と親御さんが感じたそうです。
大きな変化よりも、こうした小さな“暮らしの整い”を積み重ねることが、家庭療育の価値だと言えます。
ご両親の心の余裕も大切です。疲れている日は、遊びの質より“安心の時間”を優先して構いません。
お子さんの育ちを支えるのは、完璧な計画ではなく、続けられる温かい関わりです。
よくある質問Q&A|ASD特性を持つお子さんとの家庭あそび
Q1:同じ遊びばかりですが、変えたほうがいいですか?
A:無理に変える必要はありません。
同じ遊びをくり返すのは、お子さんにとって「安心できる形」を自分で作っているサインでもあります。
大切なのは、その安心の土台を守りながら、ほんの少しだけ幅を広げてみることです。
たとえばミニカーなら、
・並べる場所を少し変える
・色をそろえるルールを“ふんわり”足す
・道路や駐車場を一緒に作ってみる
など、遊びの核を壊さない小さな変化がおすすめです。
Q2:こちらが誘っても、一緒に遊んでくれません
A:その日のエネルギーや感覚の状態で、誘いに乗れない日もあります。
「関わりたくない」と決めつけず、距離の工夫をしてみてください。
おすすめは、
・同じ部屋で、同じ遊びを静かにやってみる
・お子さんの遊びを“じゃましない範囲で”そっと真似する
・短い一言だけ添える
という形です。
「見るだけ参加」からでも、十分に価値があります。
目が合った、少し近づいてきた。
そんな小さな変化を見取ることが、次の関わりへつながります。
Q3:遊びの中で、つい注意や指示が多くなってしまいます
A:親御さんのその気持ちはとても自然です。
安全や生活リズムを守ろうとするほど、注意は増えやすくなります。
少しラクにするコツは、
・ルールを一つに絞る
・「ダメ」の前に「こうしよう」を短く伝える
・終わりの合図を見える形にする
です。
たとえば、
「走らない!」ではなく
「歩こうね。ここまで歩けたらOKだよ。」
という伝え方にすると、お子さんに届きやすいことがあります。
Q4:感覚あそびで興奮しすぎることがあります
A:刺激量が合っていない可能性があります。
これはよくあることです。
対策としては、
・時間を短くする(まずは1〜3分)
・終わりをタイマーで見える化する
・落ち着く遊びをセットにする(絵本・深呼吸・ぎゅっと遊びなど)
が役立ちます。
「うちの子には合わないのかも」と感じたら、
別の素材や別の遊びに変えて大丈夫です。
家庭で取り入れるときの注意点とデメリット
家庭あそびは心強い味方ですが、良い面ばかりではありません。
ここは正直に押さえておきたいところです。
・親御さんの準備負担が増えすぎることがある
・刺激が強い遊びは、興奮や睡眠の乱れにつながることがある
・「遊び=訓練」になってしまうと、親子ともに苦しくなる
だからこそ、
「短く・少なく・成功しやすく」
を合言葉にしてみてください。
遊びの質よりも、
「安心して終われた」
「笑顔で終われた」
を大切にするだけで、十分に育ちを支える時間になります。
まとめ|これから試してみたい工夫
ASD特性を持つお子さんとの遊びは、
「一緒に楽しみたいのにうまくいかない」
「このまま同じ遊びばかりでいいのかな」
と悩みがつきものです。
でも、遊びは“直すための時間”ではなく、
お子さんの安心と得意を土台に、育ちを支える時間です。
これから試してみたい工夫としては、次の3つがおすすめです。
・お子さんが一番落ち着く遊びを一つ決める
・その遊びに、ほんの少しだけ新しい要素を足してみる
・終わりの合図を決めて、短く気持ちよく終える
そして、遊びだけでなく、
声かけや生活全体の整え方も合わせて整理したくなったら、
家庭でできる関わりをやさしくまとめた
のような解説を、ゆっくり読んでみるのも一つの手です。
「わが家で試せそうな工夫」に印をつけながら読むと、
次の一歩が自然に見えてくるはずです。
完璧な遊び方は必要ありません。
お子さんの小さな変化を見取り、
「今日のこの笑顔、うれしかったね」と一緒に喜ぶこと。
その積み重ねが、親子の安心と自信を育てていきます