
「一人で遊ぶことが多く、一緒に遊ぼうとしてもなかなか続かない」
「お気に入りの遊びばかり繰り返しているけれど、このままでいいのかな」
「家でも発達を支えることをしてあげたいけれど、何をすればいいかわからない」
お子さんの発達が気になり、このように悩んでいるお父さん、お母さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
ASD(自閉スペクトラム症)の特性があるお子さんは、人とのやりとりや予定の変更などに戸惑いやすかったり、特定の遊びや物に強く興味を持ったりすることがあります。
ただし、ASDの特性の表れ方は一人ひとり違います。
「ASDだから、この遊びをしなければならない」と考える必要はありません。
家庭あそびで大切なのは、苦手なことを繰り返し練習することではなく、お子さんの「好き」「楽しい」を出発点にすることです。
その中で、大人と一緒に笑ったり、まねをしたり、自分の気持ちを伝えたりする経験を少しずつ増やしていきます。
この記事では、ASD特性を持つお子さんと家庭で楽しめるあそびを紹介します。
特別な道具がなくても取り入れやすいものを中心に、遊び方だけでなく、お子さんのどんな姿を見取ればよいのかもお伝えします。
全部取り入れる必要はありません。
「これなら親子で楽しめそう」と思うものを、一つ選んでみてください。
ASD特性を持つお子さんの家庭あそびで大切にしたいこと
苦手を直すより「好き」を出発点にする
発達支援という言葉を聞くと、「できないことを練習しなければ」と考えてしまうことがあります。
けれど、家庭でのあそびは訓練ではありません。
例えば、電車が大好きなお子さんなら、無理に別の遊びへ誘う必要はありません。
まずは一緒に電車を走らせてみます。
大人も「ガタンゴトン」と声をつけたり、お子さんが走らせた電車をまねしたりします。
すると、「一人で楽しんでいた電車遊び」が「誰かと一緒に楽しむ遊び」へ少しずつ広がることがあります。
お子さんの好きなことは、育ちを支える大切な入口です。
「一緒にできた」という経験を大切にする
家庭あそびでは、「何ができるようになったか」だけを見なくても大丈夫です。
お父さんの顔を見た。
お母さんの動きを一度まねした。
ボールを一回返した。
こうした小さな姿も、大切な育ちです。
特に、人とのやりとりが苦手なお子さんの場合は、「人と一緒にすると楽しい」という経験そのものが大切になります。
できた回数ではなく、「今日はどんなやりとりがあったかな」とお子さんの姿を見取ってみましょう。
すべてのお子さんに同じ遊びが合うわけではない
同じASDという診断や傾向があっても、好きなことや苦手なことは違います。
言葉でのやりとりが好きなお子さんもいれば、体を使った遊びの方が参加しやすいお子さんもいます。
遊びを嫌がったら、無理に続けなくても構いません。
「今日はこれが嫌なんだね」と受け止め、別の遊びへ変えてみましょう。
親御さんが用意した遊びより、お子さんが今夢中になっている遊びの方が、その日の発達支援につながることもあります。
子どものこだわりが強いときの対応法はこちら。
こちらもCHECK
ASD特性のお子さんと楽しむ|やりとり・まねっこ家庭あそび4選
①まねっこポーズ
まずは、お父さん、お母さんが簡単なポーズをしてみましょう。
両手を上げて「ばんざい」。
手を頭に置いて「お耳」。
そんな簡単な動きで十分です。
お子さんが同じ動きをしたら、「一緒だね」と喜びます。
まねをしなければ、大人がお子さんの動きをまねしてみてください。
お子さんが両手を広げたら、大人も両手を広げます。
くるくる回ったら、大人も一緒に回ります。
「大人の動きをまねさせる」だけではなく、「大人がお子さんをまねする」ことも立派なやりとりです。
自分の動きに相手が反応してくれた経験が、人との関わりの楽しさにつながります。
②ころころボール交代
親子で少し離れて座り、ボールを転がします。
最初は、
「どうぞ」
「ありがとう」
くらいの短いやりとりで構いません。
一往復できたら十分です。
慣れてきたら、
「お母さんの番」
「次は○○ちゃん」
と順番も伝えてみましょう。
順番を待つことが難しい場合は、大人が長く持たず、すぐ返してあげます。
最初から「待てるようにする」のではなく、「交代するとまた自分のところへ戻ってくる」という経験を楽しむことがポイントです。
③積み木まねっこ
積み木やブロックを使います。
大人が一つ積み木を置いて、「同じにしてみる?」と誘います。
最初は一個だけで構いません。
お子さんが興味を示したら、二個、三個と少しずつ増やしていきます。
正確に同じ形にできなくても大丈夫です。
少し似せようとした。
同じ色を選んだ。
大人の手元を見た。
そんな姿も認めてあげましょう。
「正解を作る遊び」ではなく、「人の動きを見て、自分でもやってみる遊び」と考えると楽しみやすくなります。
④お店屋さんごっこ
ごっこ遊びができそうなお子さんには、お店屋さん遊びもおすすめです。
おもちゃの食べ物や、お子さんが好きな物を使います。
「りんごください」
「どうぞ」
「ありがとう」
という短いやりとりから始めます。
ごっこ遊びがまだ難しい場合には、お店になりきる必要はありません。
「物を渡す」「受け取る」だけでも十分です。
慣れてきたら、お子さんが店員さん、大人がお客さんになるなど、少しずつ役割を変えてみましょう。
言葉・気持ち・選ぶ力につなげる家庭あそび4選
⑤「どっちにする?」選択あそび
二つのおもちゃを用意します。
「車と電車、どっちにする?」
と聞いてみましょう。
言葉で答えられなくても構いません。
指さしをした。
手を伸ばした。
目線を向けた。
それも、お子さんからの大切な意思表示です。
選んだものを渡して、「電車がよかったんだね」と言葉を添えます。
「自分が選んだことが相手に伝わった」という経験は、コミュニケーションの育ちにつながります。
慣れてきたら、遊びだけでなく、洋服やおやつなど日常生活にも取り入れられます。
⑥表情まねっこゲーム
お父さん、お母さんが笑った顔をつくります。
「どんな気持ちかな?」
と聞いてみましょう。
難しそうであれば、「うれしいかな?かなしいかな?」と二つの選択肢にします。
怒った顔、びっくりした顔などにも広げられます。
ただし、表情を正しく当てることが目的ではありません。
日常生活で、「うれしかったね」「びっくりしたね」と気持ちに言葉を添えるきっかけにしていきます。
お子さん自身が感じている気持ちと、言葉が少しずつつながっていくことを大切にしましょう。
⑦絵本の「次はどうなる?」あそび
お気に入りの絵本を使います。
いつものように読む途中で、一度止めます。
「次はどうなるかな?」
と聞いてみましょう。
答えられなければ、大人が話しても構いません。
「車が来るかな?」
「ねこさんかな?」
と二つから選べるようにする方法もあります。
同じ絵本を繰り返し読むことが好きなお子さんなら、その特徴を活かせます。
慣れているお話だからこそ、安心して「次」を考えられることがあります。
⑧「お願い」あそび
お子さんの好きなおもちゃを、大人が手に持ちます。
欲しそうにしていたら、
「ちょうだい?」
と短く声をかけます。
発語が難しければ、手を出す、指さす、視線を向けるなどでも構いません。
お子さんが伝えようとしたら、すぐ渡します。
大切なのは、「正しく言えること」ではありません。
「伝えたら相手にわかってもらえた」という経験です。
その積み重ねが、自分から人に伝えようとする気持ちにつながります。
遊びながら「切り替える・変えてみる」経験も少しずつ増やそう
「あと1回」で遊びの終わりを経験する
ASD特性のあるお子さんの中には、好きな遊びを終えることが難しい場合があります。
楽しく遊んでいるところで突然、
「もう終わり!」
と言われれば、大人でも残念ですよね。
そこで、少し前に終わりを伝えます。
「あと1回したらおしまいだよ」
そして実際に一回遊んだら、
「一回できたね。おしまい」
と伝えます。
うまく終われたときには、「終われたね」とその姿を認めましょう。
いつもの遊びに「一つだけ違う」を加える
同じ遊びを繰り返すことが好きなお子さんもいます。
その遊びを無理にやめさせる必要はありません。
例えば、いつも赤い車だけを走らせているなら、赤い車を残したまま青い車を一台加えてみます。
いつも同じ積み木を使うなら、一個だけ違う色にします。
「いつものものをなくす」のではなく、「いつものもの+新しいもの」にするイメージです。
変化は少しだけで十分です。
大人とお子さんでルールを一回ずつ決める
いつもお子さんの方法で遊んでいる場合には、
「次はお母さんのやり方で一回やってみてもいい?」
と提案します。
一回できたら、またお子さんの好きな方法に戻します。
「自分のやり方を我慢する」のではなく、「別の方法も経験してみる」ということです。
新しいやり方を一度受け入れられたら、それも大切な育ちとして認めてあげましょう。
こだわりが強いお子さんへの具体的な関わり方を見る。
こちらもCHECK
-

子どものこだわりが強いときの対応法|ASD傾向に役立つ療育的アプローチと具体的な関わり方
「いつもと違う道を通るだけで泣いてしまう」 「お気に入りのおもちゃを決まった順番に並べないと気が済まない」 「決まった服や食器でないと嫌がる」 「予定が少し変わっただけで、怒ったり動けなくなったりする ...
続きを見る
ASD家庭あそびを無理なく続けるためのコツと注意点
5~10分でも十分と考える
家庭で発達支援をしようと思うと、「毎日しっかり取り組まないと」と考えてしまうことがあります。
でも、長い時間でなくても大丈夫です。
5分だけボールを転がした。
絵本を一冊一緒に見た。
それでも十分です。
お子さんの体調や気分によっても、楽しめる時間は違います。
親子で「楽しかったね」と終われることを大切にしましょう。
「できた・できない」で評価しすぎない
順番を待てなかった。
まねっこをしなかった。
ごっこ遊びに興味を持たなかった。
そんな日もあります。
そのときは、「できなかった」で終わらせず、お子さんの小さな姿を見てみましょう。
大人の顔を一回見た。
ボールには触った。
絵本を最後まで一緒に見られた。
そうした小さな変化にも育ちはあります。
嫌がる遊びは無理に続けない
発達支援として紹介されている遊びだからといって、すべてのお子さんに合うわけではありません。
嫌がっている遊びを無理に続ければ、親子ともに疲れてしまいます。
難しそうなら簡単にします。
興味がなければ、お子さんの好きなものへ変えます。
家庭だからこそ、「今日はやめておこう」と柔軟に考えて大丈夫です。
うまくいった遊びを簡単に記録してみる
毎回、新しい家庭あそびを探す必要はありません。
うまくいった遊びをスマートフォンなどに短く残しておきましょう。
例えば、
- 楽しんだ遊び
- できたやりとり
- 少し苦手だったこと
- 次に試したいこと
などです。
続けていると、「ボール遊びではやりとりが続きやすい」「二つから選ぶと伝えやすそう」など、お子さんに合う方法が見えてきます。
園の先生にも共有できれば、家庭と園の両方から育ちを支えやすくなります。
四谷学院の「療育55レッスン」
家庭あそびをもっと体系的に続けたいなら四谷学院「療育55レッスン」
「次に何をすればいい?」という迷いを減らしやすい
家庭あそびを始めてみると、
「この遊びの次は何をすればいいの?」
「今のお子さんには、どのくらいの課題が合っているの?」
と迷うことがあります。
毎回ご両親が新しい遊びや課題を考えるのは大変ですよね。
そんなときには、家庭で取り組む内容が順番に整理されたプログラムを利用する方法もあります。
四谷学院「療育55レッスン」は、発達が気になるお子さんが家庭で取り組めるように作られたプログラムです。
年齢だけで決めるのではなく、お子さんの今の「できること」に合わせてスタートする段階を選べます。
7段階・各55ステップで少しずつ進められる
療育55レッスンはA~Gの7段階に分かれています。
さらに、それぞれ55のステップで課題が整理されています。
「今日は何をする?」
「次は何をする?」
と毎回一から考えなくても、順番に取り組めることが特徴です。
今のお子さんに合うところから少しずつ進められるため、「難しい課題ばかりで嫌になってしまう」という状況も避けやすくなります。
1回10~15分程度だから家庭に取り入れやすい
幼児期のお子さんが、長時間机に向かうことは簡単ではありません。
療育55レッスンは、1回10~15分程度の短い時間から取り組めます。
教材には問題プリントや絵カードなどが用意されています。
また、親御さん向けの指導書もあり、課題の目的や進め方、うまくいかない場合の考え方も確認できます。
「教材を渡して一人でやってもらう」のではなく、ご両親がお子さんと一緒に関わりながら進める家庭向けのプログラムです。
専任の担任に相談しながら進められる
家庭で取り組んでいると、
「このやり方でいいのかな?」
「ここだけなかなか進まない」
と迷うことがあります。
療育55レッスンでは、お子さん専任の担任へ、家庭での様子や取り組みについて相談できる仕組みがあります。
ご両親だけで悩み続けず、お子さんの姿を見ながら進められることは、家庭療育を続けるうえで心強いポイントでしょう。
四谷学院の「療育55レッスン」
まずは無料資料でお子さんに合うか確認する
家庭向けの教材は、すべてのお子さんに同じように合うわけではありません。
いきなり申し込む必要はありません。
まずは無料資料や教材内容を確認してみましょう。
そのうえで、
- お子さんが興味を持てそうか
- 親子で取り組めそうか
- 家庭で無理なく続けられそうか
を考えてみます。
お子さんに合うスタート段階を確認するための判定テストもあります。
「これならわが家でもできそう」と感じてから検討すれば大丈夫です。
こちらもCHECK
-

【解説】四谷学院「療育55レッスン」は発達が気になる子に合う?家庭療育の始め方・特徴・注意点を解説
「療育には通っているけれど、家では何をしてあげればいいの?」 「年齢に合わせて市販のドリルを買ったけれど、難しすぎて続かなかった」 「家庭療育を始めたいけれど、自分の教え方で合っているの ...
続きを見る
よくある質問とまとめ|これから試してみたい工夫
ASDの診断がなくても家庭あそびを取り入れていいですか?
もちろん大丈夫です。
まねっこやボールのやりとり、二つから選ぶ遊びなどは、診断の有無に関係なく親子で楽しめます。
ASDかどうかを家庭だけで判断する必要もありません。
発達について気になる状態が続く場合は、園の先生や自治体の相談窓口、医療機関などへ相談してみましょう。
同じ遊びばかり繰り返していても大丈夫ですか?
好きな遊びを繰り返すことを、すぐにやめさせる必要はありません。
むしろ、その好きな遊びを育ちの入口として活用できます。
大人が一緒に遊ぶ。
一つだけ違うものを加える。
交代してみる。
小さな変化から遊びを広げていきましょう。
遊びを嫌がったらどうすればいいですか?
無理に続ける必要はありません。
難しすぎる場合は簡単にします。
興味がなければ好きな遊びに変えましょう。
「発達のためだからやらなければ」と考えすぎず、親子が楽しめることを大切にしてください。
まとめ|これから試してみたい工夫
ASD特性を持つお子さんとの家庭あそびでは、特別な教材や難しい方法から始める必要はありません。
大切なのは、お子さんの「好き」を出発点にして、人と一緒に楽しむ経験を少しずつ増やしていくことです。
これから試してみたい工夫として、まずは、
- お子さんの好きな遊びに大人も入ってみる
- 一回だけまねっこしてみる
- ボールを一往復してみる
- 二つから好きなものを選んでもらう
- いつもの遊びに小さな変化を一つ加える
ところから始めてみましょう。
一度、大人の顔を見た。
ボールを一回返した。
「もう一回」と自分から伝えた。
そんな小さな姿も、大切な育ちです。
できなかったことではなく、「今日はどんな姿が見られたかな」と見取ってあげてください。
そして、「家庭でもう少し体系的に取り組みたい」「次に何をすればよいか知りたい」と感じたときには、家庭向けのプログラムを活用する方法もあります。
四谷学院「療育55レッスン」も、まずは無料資料で教材や進め方を確認できます。
いきなり申し込む必要はありません。
お子さんに合いそうか、ご家庭で無理なく続けられそうかを見てから検討してみましょう。
親子で「楽しかったね」と感じる時間を重ねること。
その小さな積み重ねが、お子さんの育ちを支える家庭での関わりにつながっていきます。
四谷学院の「療育55レッスン」

