会計

【解説】社会福祉法人の認定こども園・保育園で必要となる月次チェックとは?実務担当が押さえるべきポイント

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認定こども園や保育園を運営する社会福祉法人にとって、会計業務は単なる数字の記録ではなく、園の経営を健全に保ち、行政・保護者・地域社会に対して透明性を示すための重要な責務です。

とくに毎月の「月次チェック」は、日々の仕訳や記録の積み重ねが適正かどうかを点検する大切な機会です。

しかし現場では次のような声をよく耳にします。

「毎日の処理で手一杯で、月次で何を確認すればいいか分からない」

「補助金や利用者負担金の突合に時間がかかりすぎる」

「監査前に慌てて修正するのはもう嫌だ」

会計は専門用語や複雑な仕組みが多く、日常業務と並行して正確に処理するのは大変です。そこで月次でチェックすべき項目を仕組み化し、効率的に実行することで、決算や監査が格段にスムーズになります。

この記事では、月次チェックの必要性・必須項目・園特有のチェックポイント・効率化の工夫・よくある課題と解決策を解説します。

月次チェックが重要な理由

1. 会計の正確性と透明性を確保する

社会福祉法人は公益性の高い組織であり、資金の使い道に不正や誤りがあってはならないとされています。月次で収入・支出を確認することで、記録の抜け漏れや誤仕訳を早期に発見できます。

2. 補助金・利用者負担金の誤計上を防ぐ

保育所運営の収入の多くは、自治体からの補助金や保護者からの利用者負担金です。これらは科目区分や使途が厳密に定められているため、毎月の点検が欠かせません。

3. 決算・監査対応をスムーズにする

月次でチェックしていれば、年度末に大量の修正仕訳を行う必要がなくなります。決算の準備もスムーズに対応でき、園の信頼性を高められます。

月次チェックで必ず確認すべき項目

収入面のチェック

  • 補助金収入:自治体からの運営費交付金が正しい時期・金額で入金されているか。仕訳科目は「補助金収益」と区分されているか。

  • 利用者負担金:保護者からの徴収額と市町村からの交付額が一致しているか。未収金や過収入がないか。

  • 実費徴収(給食費・教材費など):徴収簿と入金記録が合致しているか。預かり金として処理しているか。

支出面のチェック

  • 人件費:給与計算が正確か、社会保険料の納付が仕訳されているか。

  • 事業費:教材費・給食費など、補助金対象経費と整合性が取れているか。

  • 管理費:光熱水費・修繕費・減価償却費などが正しく計上されているか。

帳簿・残高管理

  • 現金出納帳と実際の残高が一致しているか。

  • 預金残高と通帳の照合。残高試算表と一致しているか。

  • 仕訳帳・元帳に記録漏れがないか。補助簿と連携しているか。

認定こども園で特有の月次チェックポイント

1号・2号・3号認定の区分

園児の認定区分ごとに収入源や支出対象が異なるため、月次で区分が正しく仕訳されているかを確認。

実費徴収の扱い

給食費や副食費、教材費などは「利用者負担金」とは別管理。徴収額と支出額が一致しているかを月次で点検することが重要です。

自主事業収入の管理

延長保育料・一時預かり保育料などは「収益事業」として扱われるケースもあります。収入・支出の区分を誤ると監査で指摘されやすいため、毎月確認。

月次チェックを効率化する工夫

チェックリストを作成

  • 「収入」「支出」「残高」「証憑整理」など、毎月確認すべき項目をリスト化。

  • 担当者が変わっても同じ流れでチェックできるように標準化。

クラウド会計ソフトの活用

  • 銀行口座や給与システムと連携し、自動仕訳を活用。

  • 月次試算表をワンクリックで出力できる環境を整備。

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本部と園のフォーマット統一

  • 法人本部と各園で帳簿様式がバラバラだと集計が困難。統一フォーマットを導入し、園単位の月次報告を効率化。

月次報告を経営判断に活かす

  • 単なる会計点検で終わらせず、理事長や園長が「今月の収支状況」を把握できる資料にまとめる。

  • 人件費率や給食費収支を毎月比較すると、経営改善のヒントになる。

よくある課題と解決策

領収書・伝票整理が遅れがち

月末締め日を明確化し、翌月初めに必ず整理するルールを徹底。

補助金仕訳が複雑

会計ソフトで補助金科目をあらかじめ設定。仕訳時の誤りを減らす。

監査直前に慌てる

月次チェックを定例化し、毎月「自己点検」を行えば、監査前の大量修正は不要になる。

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まとめ

  • 社会福祉法人の認定こども園・保育園における会計では、月次チェックの徹底が決算と監査の質を左右する

  • 収入(補助金・利用者負担金・実費徴収)、支出(人件費・事業費・管理費)、残高(現金・預金・帳簿)の確認が基本。

  • 認定区分や実費徴収など、こども園特有のチェックポイントも月次で押さえておく必要がある。

  • 効率化の工夫として「チェックリスト」「会計ソフト」「フォーマット統一」が有効。

月次チェックは“義務”ではなく“経営を見える化するツール”。園の健全な運営を支える仕組みとして、毎月の点検を定着させたいですね。そうすることで決算や監査が格段にスムーズになります。

  • この記事を書いた人

かつおう

田舎の自然の中で、9歳の娘と6歳の息子をのびのびと育てるパパ。 IT × 脳科学 × 心理学を活かし、職員と子どもたちが共に成長できる園運営に取り組んでいます。 変化の速い“答えのない時代”において、職員と子どもたちが自ら考え、失敗を恐れず挑戦しながら答えを探究している、こども園の園長です。

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