
「保育士資格って、取ったあとどんな仕事ができるんだろう?」
「保育園以外でも働けるって聞くけれど、具体的にイメージできない…」
そんなモヤモヤを抱えている学生さんや主婦の方、シニア世代で新しい一歩を考えている方も多いのではないでしょうか。子どもたちが好きで、育ちを支える仕事に興味はある。でも実際のところ、保育士資格があればできる仕事の種類や働き方までは、なかなか詳しく知る機会がありません。
ニュースでは「保育士不足」「保育園の待機児童」といった言葉が取り上げられますが、その裏側には、保育園だけでなくさまざまな場所で保育士資格をもつ人が求められている現実があります。幼児教育の知見をもとにすると、子どもたちの育ちを支える場は園の中だけでなく、地域・家庭・医療・企業など、どんどん広がってきています。
一方で、
・フルタイムでがっつり働くのは自信がない
・子育てや介護と両立しながら、できる範囲で関わりたい
・今の仕事を続けながら、将来にそなえて保育士資格を取りたい
という声もよく聞かれます。保育士資格は、ライフステージによってさまざまな活かし方ができる資格です。だからこそ、「自分にはどんな働き方の選択肢があるのか」を知っておくことが、とても大切になってきます。
この記事では、保育士資格があればできる仕事を、保育園の中だけでなく、園外のフィールドや子育て支援・発達支援の分野まで、できるだけ具体的に整理してご紹介していきます。あわせて、働き方やライフスタイル別のキャリアプラン、仕事を選ぶときの注意点、よくある質問も取り上げます。
読み進めていくうちに、「こんな働き方なら自分にも合いそう」「この分野の子どもたちの育ちを支えたい」というイメージが、少しずつふくらんでくるはずです。最後には、保育士資格の取り方や学び方を考えるヒントにも触れていきますので、これから資格取得を目指したい方にも役立てていただけたらと思います。
保育士資格があればできる仕事の全体像
なぜ今「保育士資格」が注目されているのか
まずは、保育士資格がなぜ今あらためて注目されているのか、背景を簡単に整理してみましょう。
少子化が進んでいるとはいえ、共働き家庭は増えています。親御さんが安心して働くためには、子どもたちを安心して預けられる場が必要です。その中心となるのが、保育園や認定こども園です。
また、働き方が多様になり、夜間や休日、短時間勤務、在宅勤務など、家庭ごとに事情はさまざまです。それに合わせて、企業内保育、病児保育、一時預かり、学童保育など、「保育のかたち」も変化し続けています。
こうした流れの中で、「子どもたちの育ちを支える専門職」としての保育士資格は、保育園の中だけでなく、多くの場所で求められるようになってきました。行政の施策としても、子育て支援・幼児教育の充実が重視されており、保育士資格をもつ人材への期待は高まっています。
保育園だけじゃない!保育士資格が活かせるフィールド
保育士資格があればできる仕事というと、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは「保育園の先生」かもしれません。もちろん、保育園や認定こども園、幼稚園で働くことは王道の選択肢です。
しかし実際には、それ以外にもこんなフィールドがあります。
・企業主導型保育や事業所内保育
・病児保育や院内保育
・学童保育や児童クラブ
・子育て支援センターや児童館
・児童発達支援・放課後等デイサービス
・ベビーシッターや一時預かり、ファミリーサポート など
どの場面でも、「子どもたちの姿を見取ること」「一人ひとりの育ちを支えること」が共通する軸になっています。ただ、関わる年齢や時間帯、保護者さんとの距離感、職員や同僚との連携の仕方は、それぞれ少しずつ違います。
ライフステージ別に見た保育士資格の活かし方
保育士資格があればできる仕事の魅力の一つは、「ライフステージに合わせて働き方を変えやすい」ことです。
学生のうちに保育士資格を取得して、保育園やこども園で経験を積む道もあれば、いったん別の仕事をしてから、子育て経験をきっかけに資格を取り直す道もあります。シニア世代になってから、「長年の子育てや仕事の経験を、今度は子どもたちのために活かしたい」と考える方もいます。
・若いうちは園児と毎日たっぷり関わる働き方
・子育て期には、短時間で子育て支援センターや学童で関わる働き方
・子どもたちの成長を見守る落ち着いた立場で、地域の子育てを支える働き方
このように、保育士資格は一度取って終わりではなく、その後の人生のいろいろな場面で使っていける「長くつき合える資格」と言えます。
次の章からは、具体的にどんな職場でどのような仕事ができるのかを、順番に見ていきましょう。
保育園・認定こども園・幼稚園でできる仕事
保育園・認定こども園での主な役割
まずは、多くの人がイメージしやすい「保育園」「認定こども園」での仕事から見ていきます。
保育園・認定こども園では、0〜5歳の園児の日々の生活と遊びを支えることが、保育士のいちばん大切な役割です。
朝の受け入れから始まり、自由遊び、戸外遊び、食事、午睡、おやつ、帰りの会…。
一日の流れの中で、保育士は子どもたちの姿を見取りながら、その子らしい育ちを支える関わりをしていきます。
例えば、
・まだ言葉にならない表情の変化から、「今日は少し疲れているかな」と感じ取る
・友だちとのけんかの場面で、「どんな気持ちがぶつかり合っているのか」を丁寧に聴く
・新しいことに挑戦しようとする姿を見つけて、さりげなく背中を押す
こうした一つひとつのやりとりが、子どもたちの安心感や自己肯定感につながっていきます。
クラス担任としてクラス全体を見る保育士もいれば、フリー保育士として複数クラスを行き来し、職員や同僚をサポートする立場の保育士もいます。どちらも、子どもたちの育ちを支えるチームの一員です。
こども園・幼稚園での教育的な関わり
認定こども園や幼稚園では、「教育」の側面もより強くなります。
といっても、机に向かってお勉強をするというよりは、「遊びの中で学びが育つ」ように環境を整えていくイメージです。
・友だちと協力して一つの作品を作る経験
・自然物を使って試行錯誤しながら遊ぶ経験
・歌やリズム、ことば遊びを通して表現する経験
こうした活動を通して、言葉、数の感覚、体の動き、社会性、想像力など、さまざまな力が育っていきます。
保育士資格を持つ人がこども園や幼稚園で働くときも、基本は「遊びや生活を通した育ちを支える」こと。
幼児教育の知見をもとに、年齢ごとの発達をふまえながら、「今この子はどんな力を伸ばそうとしているのか」という姿を見取っていく視点が求められます。
正職員・パート・派遣など雇用形態の違い
保育園・認定こども園・幼稚園で働くときには、雇用形態もさまざまです。
正職員として働く場合は、
・クラス担任として年間を通した保育計画を立てる
・行事の企画・準備・運営に深く関わる
・保護者さん対応や職員会議にも責任をもって参加する
といった役割が大きくなります。そのぶん、子どもたちの育ちを長い目で見守れるやりがいも大きい働き方です。
一方で、パートや派遣、非常勤として働く場合は、
・短時間の保育補助
・早番・遅番など特定の時間帯を担当
・行事準備の一部をサポート
といった形で、時間や負担を調整しながら働くことができます。子育て中の方や、いきなりフルタイムは不安という方にとっては、取り入れやすい働き方です。
どの形であっても、「保育士資格を持つ専門職」として、子どもたちの育ちを支える役割に変わりはありません。自分の体力や家庭の状況をふまえながら、無理のないスタイルを選べるのも、保育士資格の強みと言えます。
園で働くからこそ得られる学び
保育園やこども園で働くと、毎日のように新しい発見があります。
・昨日までできなかったことが、今日ふっとできるようになる瞬間
・苦手だった活動に少しずつ挑戦するようになる過程
・保護者さんの悩みや喜びの声から見えてくる、家庭での子どもたちの姿
こうした経験を通して、「子どもの発達ってこういう流れなんだ」「こんな関わりが、育ちを支えるんだ」と、教科書だけでは分からない実感が育っていきます。
それは、将来もし別のフィールド(学童、子育て支援、発達支援など)に移ったとしても、ずっと土台として生き続ける力になります。
だからこそ、「まずは園でじっくり子どもたちと向き合ってみたい」という人にとって、保育園・認定こども園・幼稚園での仕事は、とても良いスタートラインになります。
次は、「園の外」に目を向けて、保育士資格が活かせる多彩な仕事を見ていきましょう。
保育士資格が活かせる「園外」の仕事
企業主導型保育・事業所内保育
近年増えているのが、企業主導型保育や事業所内保育とよばれる形の保育です。
これは、企業や法人が自分たちの職員のため、あるいは地域の子どもたちのために設置している小規模の保育施設です。
ここで働く保育士は、
・従業員の勤務時間に合わせた保育
・少人数で一人ひとりとじっくり関われる保育
・保護者さんとの距離が近い保育
といった特徴のある環境で、子どもたちの育ちを支えます。
園児数が比較的少ないところも多く、一人ひとりの姿を見取りやすいという声もあります。
一方で、開園時間が企業の勤務形態に合わせて長くなることもあり、早朝や夜間の保育が発生する場合もあります。
「少人数で、家庭的な雰囲気の中で保育をしたい」
「自分や家族の勤務先の近くで働きたい」
という方には、選択肢の一つとして考えやすいフィールドです。
病児保育・院内保育
保育士資格があればできる仕事の中でも、少し特別なケアが求められるのが、病児保育や院内保育です。
病児保育は、熱が出てしまった、風邪をひいてしまった、といった体調不良のお子さんを、一時的に預かる保育です。
院内保育は、病院で働く職員の子どもたちを預かる保育所のことを指します。
どちらも、
・子どもたちの体調の変化に敏感であること
・医療スタッフとの連携
・衛生管理や安全管理への高い意識
が求められる仕事です。
そのぶん、体調がすぐれない子どもたちに寄り添い、安心できる環境を整えることは、とても大きなやりがいにつながります。
「熱でしんどかったけれど、先生がそばにいてくれたから落ち着いた」
そんな瞬間に立ち会えるのは、病児保育ならではの喜びです。
注意点としては、心身への負担が大きくなりやすいことです。
自分の体調管理や、気持ちの切り替え、同僚との情報共有がとても大切になります。
医療や看護に関心がある方や、「体調の不安があるときの子どもたちを支えたい」と感じる方にとっては、保育士資格を活かせる一つの道と言えます。
学童保育・子ども向け教室での仕事
保育士資格があれば、未就学児だけでなく、小学生の育ちを支える仕事にも関わることができます。その代表が、学童保育や児童クラブです。
学童保育では、放課後や長期休みに小学生が集まり、
・宿題をしたり
・友だちと遊んだり
・おやつを食べたり
しながら過ごします。
保育士は、子どもたちが安心して過ごせる雰囲気をつくりつつ、けんかの仲裁や遊びの見守り、行事の企画などを行います。
幼児に比べて言葉でのやりとりが増える一方で、「本音をなかなか言えない」「友だちとの関係に悩む」といった年齢ならではの悩みも増えてきます。
だからこそ、一人ひとりの表情やつぶやきの姿を見取り、さりげなく声をかける関わりが大事になってきます。
また、体操教室や英語教室、プログラミング教室など、習い事の場で保育士資格を活かす人もいます。
ここでは、
・集団の前で話す力
・子どもたちが安心して挑戦できる雰囲気づくり
・子どものペースに合わせて説明をかみくだく力
などが求められます。
「未就学児だけでなく、いろいろな年齢の子どもたちの育ちを支えたい」
「勉強や習い事をサポートする形で関わりたい」
という方には、学童や子ども向け教室は魅力的な選択肢の一つになるでしょう。
ベビーシッター・ファミリーサポート・一時預かり
保育士資格があれば、家庭に出向いて子どもたちを預かるベビーシッターや、地域のファミリーサポート、一時預かり事業などで働くことも可能です。
ベビーシッターの仕事は、
・保護者さんの外出時に自宅で子どもたちを預かる
・きょうだいの行事や出産など、家庭の事情に応じて一時的に関わる
といった形が中心です。
子どもたち、保護者さんと一対一で関わることが多く、信頼関係をじっくり築きやすい反面、責任の重さも感じやすい仕事です。
ファミリーサポートや一時預かりの仕事では、
・地域の親御さんがリフレッシュしたり、用事を済ませたりする間に子どもたちを預かる
・「誰かに少し頼りたい」という気持ちを受け止める
といった役割があります。
こうした仕事では、「親だから頑張れて当たり前」と考えるのではなく、「みんなで子どもたちの育ちを支える」という視点が大切になります。
保護者さんの話を丁寧に聴きながら、子どもたちの様子を共有していくことが、安心感につながります。
・少人数、あるいはマンツーマンでじっくり関わりたい
・地域の子育てを支える役割に興味がある
そんな方にとって、ベビーシッターやファミリーサポートは、保育士資格を活かしやすいフィールドとなるはずです。
このように、「園の外」に目を向けるだけでも、保育士資格があればできる仕事は想像以上に広がっています。
次は、子育て支援や発達支援といった分野で、どのように子どもたちの育ちを支えることができるのかを見ていきます。
子育て支援・発達支援の分野でできる仕事
子育て支援センター・地域子育て支援の仕事
保育士資格があれば、園だけでなく「子育て支援センター」や「地域子育て支援拠点」といった場所でも活躍できます。
ここは、乳幼児と保護者さんが一緒に遊びに来て、自由に過ごせる“居場所”のようなところです。
この場での保育士の役割は、
・親子で楽しめる遊びやわらべうたの紹介
・お子さんの発達や関わり方に関するちょっとした相談への対応
・保護者さん同士がつながれる雰囲気づくり
などです。
園児として集団の中で過ごす姿とは違い、家庭に近いリラックスした表情が見られることも多く、
「お家ではこうなんです」「こんなことで悩んでいて…」と保護者さんの本音がこぼれることもあります。
幼児教育の知見をもとに、お子さんの今の姿を見取りながら、
「この月齢なら、その姿はとても自然ですよ」「こんな遊びを取り入れてみませんか」といった形で、
専門的な知識をやさしくかみ砕いて伝えることが求められます。
一時預かり・地域型保育での働き方
一時預かりや地域型保育(小規模保育、家庭的保育など)は、少人数で子どもたちを預かる仕組みです。
保護者さんのリフレッシュや就労、通院など、さまざまな理由に応じて利用されます。
ここで働く保育士は、
・子どもたち一人ひとりのペースに合わせた関わり
・初めて預けるときの保護者さんの不安に寄り添う対話
・短い時間の中でも、その子らしい育ちを支える環境づくり
などを大切にします。
集団の中での育ちも大事ですが、少人数だからこそ見えてくるお子さんの姿もたくさんあります。
「初めての預け先で、泣きながらも少しずつ遊びに向かっていく姿」
「保護者さんと離れるときに不安そうだった表情が、迎えのときには誇らしげに変わっている姿」
そうした変化の姿を見取ることが、保育士としてのやりがいにつながります。
児童発達支援・放課後等デイサービス
発達に特性がある子どもたちの育ちを支える場として、児童発達支援や放課後等デイサービスがあります。
ここでも、保育士資格を持つ人材が多く求められています。
仕事内容は事業所によってさまざまですが、
・個別や小集団での活動(工作、運動遊び、生活スキルの練習など)の支援
・お子さん一人ひとりの得意・苦手をふまえた声かけや環境調整
・保護者さんとの面談や、家庭での関わり方の提案
などが含まれます。
「発達支援」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本は「その子のペースを尊重しながら、日々の生活や遊びの中で育ちを支える」ことです。
ただし、専門性が求められる分野なので、入職後も研修や勉強を続けていく姿勢が大切になります。
子どもたちの小さな変化に気づき、「昨日よりも、今日はここができるようになったね」と成長の姿を見取っていくことに喜びを感じる方には、とてもやりがいのあるフィールドです。
保護者さん支援や相談支援に関わる仕事
保育士資格を土台に、子ども家庭支援センターや相談窓口などで働く道もあります。
ここでは、子どもたちと直接関わるよりも、
・子育てに悩む保護者さんの話を聴く
・必要に応じて専門機関や地域資源につなぐ
・家庭訪問などを通じて、生活全体の中で子どもの育ちを支える
といった役割が中心になります。
保育士として現場で園児の姿を見取った経験がある人にとって、
「家庭ではどんなサポートが必要か」「園とどう連携していくか」を考えるときに、その経験は大きな強みになります。
子どもたちだけでなく、保護者さんの孤立感を和らげ、
「一緒に子育てしていきましょう」と伝えていく仕事に興味がある方は、将来的な選択肢として心に留めておくとよいかもしれません。
働き方・ライフスタイル別に見るキャリアプラン
フルタイムでしっかり働きたい場合
「せっかく保育士資格を取るなら、フルタイムでしっかり働いて、経験を積みたい」
そう考える方には、保育園・認定こども園・こども園での正職員勤務が代表的です。
フルタイムで働くメリットは、
・園児の一年間の育ちを通して見取りやすい
・職員や同僚とチームを組み、クラス運営に深く関われる
・将来的にリーダーや主任など、キャリアアップの道がひらけやすい
といった点です。
その一方で、
・早番・遅番・行事準備などで拘束時間が長くなりやすい
・保護者さん対応や書類業務もあり、時間管理が必要
・責任の重さから、心身ともに疲れをためやすい
という面もあります。
自分の体力や家庭の状況をふまえ、「この数年間はしっかり経験を積む期間にしよう」と決めると、心の準備がしやすくなります。
フルタイムでの勤務経験は、その後他のフィールドに移るときにも、大きな信頼につながります。
子育てや介護と両立しながら働きたい場合
「今は子育ての真っ最中」「親の介護もあって、長時間勤務は厳しい」という方も多いでしょう。
そんなとき、保育士資格があれば選べるのが、短時間やパートでの働き方です。
例えば、
・午前中だけ、もしくは午後だけのパート保育士
・延長保育や学童保育の時間帯だけ勤務する形
・週3日程度から始める勤務
など、園や事業所によって多様な募集があります。
また、子育て支援センターや一時預かり、地域型保育では、比較的時間帯が読みやすい勤務もあります。
自分と家族の生活リズムを書き出してみて、「ここなら働けそう」という時間帯を見つけることが第一歩です。
両立は簡単ではありませんが、「子どもたちの育ちを支える仕事に少しでも関わり続けたい」という思いを大切にしながら、無理のない働き方を選べるのは、保育士資格の大きな強みです。
シニア・セカンドキャリアとして保育士資格を活かす場合
最近は、シニア世代で保育士資格を取り、セカンドキャリアとして子どもたちと関わりたいという方も増えています。
長年の子育て経験や社会人経験は、保育の現場でも大きな財産です。
保護者さんの気持ちに寄り添ったり、職員や同僚の相談に乗ったりと、多世代だからこそできる関わりがあります。
一方で、体力面の不安を感じることもあるかもしれません。
その場合は、
・乳児クラスではなく、幼児クラスや学童保育を選ぶ
・短時間勤務やサポート的なポジションから始める
・子育て支援センターや読み聞かせボランティアなど、負担の少ない活動から関わる
といった工夫もできます。
子どもたちにとって、いろいろな世代の大人と接することは、社会の幅を知る大切な経験です。
シニアだからこそ伝えられる温かさや言葉が、子どもたちの育ちを支える力になります。
在宅ワークや副業と組み合わせるという選択肢
最近は、在宅ワークや別の仕事と組み合わせながら、保育の現場に関わる人も増えています。
例えば、
・平日は在宅の事務仕事をしつつ、週末だけ一時預かりや子ども向け教室で働く
・フリーランスとして働きながら、週に数回、学童保育に関わる
・子ども向けの記事執筆やオンライン講座制作に、保育士資格で培った知識を活かす
といった形です。
複数の仕事を組み合わせる場合は、時間管理や体調管理が大きなポイントになりますが、
「子どもたちの育ちを支える仕事を、自分のペースで続けたい」という希望を叶えやすい働き方でもあります。
保育士資格があればできる仕事は、一つの型にしばられません。
自分が大切にしたい暮らし方や家族との時間をふまえながら、柔軟に選べるのがこれからの時代の特徴です。
次は、実際に仕事を選ぶときに押さえておきたい注意点や、よくある質問を見ていきましょう。そのうえで、どのように資格取得や学び直しの一歩を踏み出していくかを考えていきます。
保育士資格があればできる仕事を選ぶときの注意点とよくある質問
給与・勤務時間・休日のリアルを知っておく
保育士資格があればできる仕事は増えていますが、「どこでも同じ働きやすさ」というわけではありません。
求人票を見るときは、給与や勤務時間、休日の取りやすさなど、できるだけ具体的に確認しておくことが大切です。
・月給制か時給制か
・早朝・夜間・土曜勤務の有無
・残業代や各種手当の扱い
・有給休暇の取得状況
などをチェックしておくと、後から「思っていたのと違った…」というギャップを減らせます。
また、「保育士は給与が低い」というイメージだけで判断してしまうと、自分に合う環境を見落としてしまうこともあります。地域や法人によって差があるので、複数の求人を見比べながら、「自分が大切にしたい条件」を紙に書き出して優先順位をつけてみるのがおすすめです。
心身の負担やバーンアウトを防ぐための視点
保育士資格があればできる仕事の多くは、子どもたちの命と育ちを支える仕事です。やりがいが大きい一方で、どうしても心身への負担がかかりやすい面もあります。
・行事前の準備が続いて、睡眠時間が削られてしまう
・園児や保護者さん、職員や同僚との人間関係に気をつかい続けて疲れてしまう
・「もっとこうしてあげたい」と頑張りすぎて、自分の気持ちのケアが後回しになる
といった経験は、多くの現場で聞かれます。
大切なのは、「自分だけで頑張り続けない」ことです。
・園内で相談できる相手がいるか
・複数担任やチーム保育の体制が整っているか
・心の不調を感じたときに相談できる窓口があるか
こうした点も、仕事を選ぶときに意識しておきたいポイントです。
自分の心と体の状態を大切にしながら、子どもたちの育ちを支える。
そのバランスを守ることが、保育を長く続けていくための土台になります。
よくある質問Q&A
Q:保育士資格があれば、未経験でもどの仕事からでも始められますか?
A:多くの職場で未経験歓迎の募集がありますが、園児の年齢や業務の内容によって求められるスキルは少しずつ違います。最初は、研修やOJTが充実している保育園や認定こども園、子育て支援センターなどからスタートし、少しずつ自信をつけていくと安心です。
Q:ブランクが長くても大丈夫でしょうか?
A:出産や育児、介護などでブランクがあっても、保育士資格があれば再チャレンジは可能です。復職支援研修や、短時間勤務でのスタートを用意している園もあります。最初から責任の重いポジションを目指すのではなく、「まずは保育の感覚を取り戻す」ことを目標にしてみるとよいでしょう。
Q:体力にあまり自信がありません。続けられるでしょうか?
A:保育の仕事は立ち仕事や抱っこ・外遊びも多く、体力を使う面があります。ただ、すべての仕事が同じ負荷というわけではありません。少人数の地域型保育や子育て支援センター、学童保育、相談支援など、体への負担を調整しやすいフィールドもあります。自分の体調と相談しながら、無理のない働き方を選ぶことが大切です。
Q:将来のキャリアアップはありますか?
A:経験を積んでいくことで、園のリーダー・主任・園長、児童発達支援や子ども家庭支援分野の専門職、研修講師やスーパーバイザーなど、さまざまなキャリアの道がひらけます。「今はどんな子どもたちの育ちを支えたいか」「どんな年齢・分野に興味があるか」を整理しておくと、選択肢が見えてきやすくなります。
仕事選びに迷ったときに整理したいポイント
保育士資格があればできる仕事が多いからこそ、「結局、自分にはどれが合うんだろう?」と迷ってしまうこともあります。そんなときは、次の3つの問いをノートに書き出してみてください。
- どんな年齢の子どもたちの育ちを支えたいか
乳児、幼児、小学生、発達支援が必要な子どもたち…心が動く対象を書き出してみます。 - どのくらいの時間・曜日なら無理なく働けるか
自分や家族の生活リズムをふまえ、「ここなら子どもたちと向き合える」と感じる時間帯を探します。 - 収入・やりがい・家族との時間のバランスをどうしたいか
どれか一つだけに偏らないように、「今の自分にとって何がいちばん大事か」を整理します。
この3つの軸をもとに求人情報や働き方を見ていくと、「なんとなく良さそう」ではなく、「自分の優先順位に合っているかどうか」で判断しやすくなります。
次は、こうした整理をふまえて、保育士資格の取り方や学び直しの方法をどう選んでいくかを考えていきましょう。
自分に合う仕事に就くために|保育士資格取得・学び直しの一歩
「どんな子どもの育ちを支えたいか」を言葉にしてみる
保育士資格があればできる仕事の選択肢を見てきましたが、最後はやはり「自分がどんな子どもたちと、どんな時間を過ごしたいか」という思いが大きな軸になります。
・赤ちゃんの小さな変化の姿を見取りながら、ゆったり関わりたい
・自分の考えを言葉にし始める幼児期の子どもたちの育ちを支えたい
・友だち関係や学校生活に悩む小学生を支えたい
・発達に特性のある子どもたちの、できることが少しずつ増えていく姿を見取りたい
心が動く場面を書き出してみることで、自分の中の保育観が少しずつ見えてきます。
幼児教育の知見をもとにすると、年齢や発達段階によって、支え方や環境づくりのポイントが変わってきます。だからこそ、「どこで働くか」を考える前に、「どんな育ちを支えたいか」を一度言葉にしてみることが、とても大切なステップになります。
働き方のイメージから保育士資格の取り方を考える
「保育士資格があればできる仕事」のイメージが少し見えてきたら、次は資格の取り方を考える段階です。
・これから進路を決める学生さんなら、短大・専門学校・大学などの養成校ルート
・すでに社会人として働いている方や主婦・シニアの方なら、保育士試験ルート
というように、自分の状況によって選び方は変わってきます。
特に、仕事や子育てと並行して保育士資格を目指す場合は、独学だけでなく「保育士資格 通信講座」を組み合わせる人も増えています。
通信講座を利用することで、
・試験範囲が効率よく整理されたテキストで学べる
・過去問対策や模擬試験で、合格ラインとの距離感をつかみやすくなる
・わからないところを質問できるサポートがある
といったメリットを得やすくなります。
「どのくらいの期間で合格を目指したいか」「1週間のうち、どのくらいの時間を勉強に使えそうか」をイメージしながら、自分に合うルートを考えてみてください。
通信講座を比較して、自分に合う学び方を見つける
保育士資格 通信講座といっても、内容やサポートは講座によってさまざまです。
・紙のテキスト中心で、じっくり読み込みたい人向け
・スマホやタブレットで動画を見ながら学べるスタイル
・添削課題・質問サポート・模擬試験が手厚いコース
など、自分の学び方のクセやライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
複数の通信講座を比較したいときには、保育士資格の取り方や、厳選通信講座の特徴をまとめて紹介している下記情報ページを参考にすると、全体像がつかみやすくなります。
一度に決めなくて大丈夫です。
まずは気になる講座をいくつかピックアップし、資料請求やウェブサイトで詳しいカリキュラム、サポート体制、料金などを確認してみてください。
「ここなら自分の生活リズムの中でも続けられそう」と感じられる講座が見つかると、一歩を踏み出しやすくなります。
これから試してみたい工夫(まとめ)
最後に、今日から少しずつ始められる「これから試してみたい工夫」をまとめておきます。
・気になる「保育士資格があればできる仕事」を3つ書き出し、それぞれの魅力と不安な点を整理してみる
・自分や家族の1週間のスケジュールを書いてみて、「勉強や情報収集に使えそうな時間帯」を探してみる
・保育士資格の取り方や通信講座の違いをまとめたページを一度じっくり読み、自分に合いそうな学び方を1つ選んでみる
・身近な家族や友人に、「子どもたちの育ちを支える仕事に興味がある」と素直な気持ちを話してみる
保育士資格があればできる仕事は、保育園だけにとどまりません。
子どもたちの育ちを支える場が広がっている今だからこそ、自分の思いや暮らしに合った道を選んでいくことができます。
「いつかできたらいいな」ではなく、「まずは情報を集めてみよう」「一つ資料を取り寄せてみよう」と、小さな一歩を動かしてみてください。
その積み重ねが、未来の子どもたちと出会い、育ちを支える日々につながっていくはずです。
