
「同じ年齢の子はよく話しているのに、うちの子はまだ言葉が少ない」
「単語はいくつか出ているけれど、なかなか増えない」
「2歳、3歳になったけれど、このまま様子を見ていていいのかな?」
お子さんの言葉がゆっくりに感じると、心配になりますよね。
公園や園で同じくらいの年齢のお子さんが話している姿を見ると、「うちの子だけ遅いのでは?」と不安になる親御さんもいるでしょう。
ただ、子どもの言葉の育ち方には一人ひとり違いがあります。
また、言葉の発達を見るときに大切なのは、「何語話せるか」だけではありません。
大人の言葉をどれくらい理解しているか。
指さしや身振りを使って伝えようとしているか。
お父さんお母さんと気持ちを共有しようとしているか。
こうした姿も、言葉やコミュニケーションの育ちを考える大切なポイントです。
この記事では、子どもの言葉が遅いと感じる理由や、言葉の発達を見るポイント、家庭でできる関わり方、相談を考える目安まで分かりやすく紹介します。
「言葉を言わせなければ」と焦るのではなく、お子さんの今の姿を丁寧に見取りながら、言葉の育ちを支えていきましょう。
子どもの言葉が遅いとはどんな状態?
「言葉が遅い」という言葉はよく使われますが、子どもの発達は一つの数字だけで判断できるものではありません。
同じ2歳、3歳でも、話し始める時期や言葉が増えるペースには違いがあります。
言葉の発達には個人差がある
子どもの育ちは一人ひとり違います。
早くからたくさん話すお子さんもいれば、話す言葉は少なくても、大人が話していることをよく理解しているお子さんもいます。
そのため、「同じ年齢の○○ちゃんは話しているのに」と比較するだけでは、お子さんの育ちを正確に見ることはできません。
大切なのは、以前のお子さんと比べて、どのような変化があるのかを見ることです。
先月より指さしが増えた。
名前を呼ぶと振り向くようになった。
好きなものを持ってきて見せてくれるようになった。
こうした小さな変化も大切な成長です。
「話す言葉」だけでなく理解ややりとりも見る
言葉の発達というと、「何語話せるか」に目が向きやすいものです。
でも、話す前にもコミュニケーションは育っています。
たとえば、
- 「靴を持ってきて」などの簡単な言葉を理解する
- 欲しいものを指さして知らせる
- 大人の表情を見る
- 好きなものを見つけると大人にも見せようとする
といった姿です。
言葉の数だけではなく、人と関わろうとする姿も一緒に見取っていきましょう。
子どもの言葉がゆっくりに見える理由
「どうしてうちの子は言葉が遅いのだろう」と原因を探したくなることもあるでしょう。
ただ、言葉の発達がゆっくりに見える理由は一つとは限りません。
話す言葉より、理解する言葉が先に育つこともある
話す言葉よりも、理解する言葉が先に増えていくことがあります。
たとえば、自分では「くるま」と言わなくても、
「車を持ってきて」
と言われると車を持ってくる子もいます。
このような場合、話す言葉だけでなく、どれくらい理解できているかを見ることも大切です。
言葉以外の方法で気持ちが伝わっている
お子さんが指さしただけで、お父さんお母さんが、
「ジュースね」
とすぐに分かってくれることもあります。
これは親御さんの関わりが悪いということではありません。
お子さんにとって、指さしや身振りも大切なコミュニケーションの方法です。
ただ、ときには少し待って、お子さんがどのように伝えようとするかを見ることもできます。
興味や経験によって言葉の増え方が違う
子どもは、自分が興味を持ったものから言葉を覚えることがあります。
電車が好きな子が車両の名前をたくさん覚えたり、動物が好きな子が動物の名前から話し始めたりすることもあります。
そのため、お子さんの好きなものは言葉を広げる大切な入り口になります。
聴こえや発達全体が関係することもある
言葉の発達には、聴こえや人とのやりとりなど、さまざまなことが関係しています。
また、発達の特性が関係している場合もあります。
ただし、言葉が遅いという一つの姿だけで、発達障害と判断することはできません。
気になる場合は、言葉だけではなく、お子さんの生活全体の姿を見ていくことが大切です。
言葉の発達を見るときに大切なポイント
では、「言葉が遅いのかな?」と感じたとき、どんな姿を見ればよいのでしょうか。
言葉をどれくらい理解しているか
話す言葉が少なくても、大人の話をよく理解しているお子さんもいます。
「靴を履こう」
「お父さんに渡して」
など、日常的な言葉をどのくらい理解しているか見てみましょう。
人とやりとりしようとしているか
言葉以外にも、子どもはさまざまな方法で気持ちを伝えます。
たとえば、
- 指さしをする
- 身振りを使う
- 大人の顔を見る
- 声を出して伝えようとする
といった姿があります。
「伝えたい」という気持ちが育っていることも、コミュニケーションの大切な土台です。
一緒に楽しもうとしているか
お気に入りのおもちゃを持ってきて見せてくれる。
面白いものを見つけると、お父さんお母さんの顔を見る。
このように「一緒に見たい」「一緒に楽しみたい」という姿も、人とのやりとりの育ちにつながっています。
言葉を育てるために家庭でできる5つの関わり
言葉の育ちを支えるために、家庭で特別な教材を使わなければならないわけではありません。
毎日の生活や遊びの中でもできることがあります。
① お子さんが見ているものを言葉にする
大人が話したいことより、お子さんが今興味を持っているものに言葉を添えてみましょう。
電車を見ているなら、
「電車だね」
犬を見ているなら、
「ワンワンいたね」
と伝えます。
お子さんが見ているものと言葉が結びつきやすくなります。
② 短く分かりやすい言葉で話す
たくさん言葉を覚えてほしいと思うと、つい長く説明したくなります。
でも、言葉がまだ少ないお子さんには、短く分かりやすい言葉の方が伝わりやすいことがあります。
「赤い車が道路を速く走っているね」
ではなく、
「赤い車だね」
というところから始めてもよいでしょう。
③ 子どもの言葉を少しだけ広げる
お子さんが、
「ワンワン」
と言ったら、
「ワンワンいたね」
と少しだけ言葉を加えます。
「ブーブー」
と言ったら、
「赤いブーブーだね」
でもよいでしょう。
無理に同じ言葉を言わせる必要はありません。
大人が自然に言葉を添えることで、少しずつ表現を広げていきます。
④ 絵本や遊びの中で言葉を楽しむ
絵本も言葉を育てるきっかけになります。
ただし、最後まできちんと読むことだけが目的ではありません。
お子さんが犬の絵を指さしたら、
「ワンワンだね」
と一緒に見ます。
ページを飛ばしても構いません。
大切なのは、お父さんお母さんと一緒に楽しむことです。
⑤ 言葉以外の伝え方も受け止める
お子さんが指さしでジュースを求めたとします。
そのとき、
「ちゃんとジュースって言って」
と、言えるまで渡さないようにする必要はありません。
「ジュース欲しいんだね」
と言葉を添えて受け止めます。
指さしや身振りも、大切な「伝える力」です。
その気持ちを受け止めながら、少しずつ言葉につなげていきましょう。
言葉を増やそうとして避けたい関わり
「少しでも早く話せるようになってほしい」という思いから、つい頑張りすぎることがあります。
「言ってみて」と何度も言わせる
「りんごって言って」
「もう一回言って」
と何度も求めると、話すこと自体が負担になるお子さんもいます。
言葉は、試験のように正解させるものではありません。
まずは「人と伝え合うことは楽しい」と感じられることを大切にしましょう。
ほかの子どもと比べる
同じ年齢の子どもと比較すると、どうしても不安になります。
でも、比べたいのは周囲のお子さんではなく、以前のお子さん自身です。
少しでも増えたやりとりや理解できるようになったことを見つけてみましょう。
先回りしすぎない
お子さんの気持ちをよく分かっている親御さんほど、先回りして対応できてしまいます。
ときには数秒だけ待ってみるのもよいでしょう。
ただし、「言葉で言えるまで渡さない」と追い込む必要はありません。
伝えようとする姿を受け止めることが大切です。
2歳・3歳で言葉が遅いと感じたときは?
「2歳なのに言葉が少ない」
「3歳だけれど会話が増えない」
と、年齢をきっかけに心配する親御さんもいます。
2歳ごろはコミュニケーション全体を見る
2歳ごろは、話している単語数だけでなく、
- 大人の言葉を理解しているか
- 指さしや身振りを使うか
- 大人とのやりとりを楽しんでいるか
なども一緒に見ます。
「何語話せるか」だけで判断しないことが大切です。
3歳ごろは園での姿も参考にする
園へ通っている場合は、家庭だけでなく、保育士や先生から見た姿も聞いてみましょう。
友だちや先生とどのように関わっているのか。
集団の中で言葉をどのように理解しているのか。
家庭と園の両方から姿を見取ることで、お子さんの育ちがより分かりやすくなります。
こんなときは発達相談を利用してみよう
言葉の発達について心配が続く場合は、相談することもできます。
たとえば、
- 言葉がなかなか増えていかない
- 呼びかけへの反応が気になる
- 言葉を理解している様子が分かりにくい
- 人とのやりとりのしにくさを感じる
- 親御さん自身の不安が大きくなっている
といった場合です。
相談することは、すぐに診断を受けることと同じではありません。
「この関わり方でいいのかな」と確認するために相談してもよいのです。
「一度相談してみたいけれど、保健センター・園・小児科のどこへ相談すればよいの?」と迷っている方は、発達相談の窓口や相談前の準備をまとめたこちらの記事も参考にしてください。
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家庭での言葉の育ちをもう少し体系的に支えたいときは
毎日の生活の中で声かけや遊びを工夫していても、
「この関わり方でいいのかな?」
「次に何をすればいいのだろう?」
と迷うことがあります。
そのような場合は、お子さんの発達段階に合わせて家庭で取り組む内容が整理された教材を活用する方法もあります。
四谷学院「療育55レッスン」は、発達が気になるお子さん向けの家庭療育用通信講座です。
ただし、すべてのお子さんや家庭に同じ教材が合うわけではありません。
教材内容や対象、メリットだけではなく、注意点も確認したうえで検討することが大切です。
言葉の育ちを含め、家庭でできる関わりをもう少し順序立てて取り組みたい方は、療育55レッスンの内容やメリット・注意点を詳しくまとめたこちらの記事も参考にしてください。
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子どもの言葉の発達に関するよくある質問
言葉が遅いと発達障害なのでしょうか?
言葉の遅れだけで、発達障害かどうかを判断することはできません。
言葉の理解や人とのやりとり、遊び方、日常生活での困りごとなども合わせて見ていくことが大切です。
心配が続く場合は、一人で判断せず、相談窓口や専門家へ相談してみましょう。
テレビや動画を見ると言葉が遅くなるのでしょうか?
「動画を見たことだけが原因で言葉が遅くなった」と単純に考える必要はありません。
一方で、言葉は人とのやりとりの中でも育っていきます。
動画だけに頼るのではなく、親子で話したり、一緒に遊んだり、絵本を見たりする時間も大切にしてみてください。
言葉を言わせる練習をした方がよいですか?
無理に復唱させるよりも、お子さんが「伝えたい」と感じる場面を大切にしましょう。
指さしをしたら言葉を添える。
好きなものを見ていたら一緒に名前を言う。
日常の中で自然に言葉と出会える環境をつくっていきます。
まとめ|言葉の数だけでなく「伝えたい姿」を見ていこう
子どもの言葉の発達がゆっくりに感じると、「もっと話しかけた方がいいのかな」「何かしなければ」と焦ることがあります。
でも、言葉の育ちを見るときに大切なのは、話せる単語の数だけではありません。
お子さんが、
- 人に伝えようとしている
- 大人の言葉を理解しようとしている
- 一緒に楽しもうとしている
という姿も、大切な育ちです。
家庭では、お子さんが興味を持っているものに短い言葉を添えてみてください。
指さしや身振りも大切に受け止めましょう。
言葉を無理に言わせるのではなく、「伝えると分かってもらえる」「一緒に話すと楽しい」という経験を積み重ねていくことが、言葉の育ちを支えることにつながります。
そして、「このまま様子を見ていてよいのかな」と不安が続く場合は、園や地域の相談窓口などへ相談することもできます。
親御さんだけで抱え込まず、いろいろな人と一緒にお子さんの姿を見ていきましょう。
日々の声かけや遊びに加えて、「家庭で何をどの順番で取り組めばよいか知りたい」と感じている方は、家庭療育について詳しくまとめたこちらの記事も参考にしてください。
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