
「発達支援について調べていたら、ABAやTEACCHという言葉が出てきた」
「感覚統合ってよく聞くけれど、どんな考え方なの?」
「家庭でも取り入れた方がいいのかな?」
お子さんの発達について調べ始めると、聞き慣れない専門用語がたくさん出てきます。
難しい言葉を見ると、「専門的な療育を家庭でもしなければいけないの?」と不安になる親御さんもいるかもしれません。
でも、家庭ですべてを専門的に行う必要はありません。
ABA・TEACCH・感覚統合は、それぞれ考え方や着目するポイントが異なります。
大切なのは、「どの方法が一番よいのか」を決めることではありません。
目の前のお子さんが何に困っているのか。どんな関わりがあると安心できるのか。その姿を丁寧に見取ることが出発点です。
この記事では、ABA・TEACCH・感覚統合の違いをできるだけ分かりやすく説明し、家庭で取り入れやすい関わり方を紹介します。
「うちの子には何が合うのかな?」と迷っているお父さんお母さんは、お子さんの育ちを支えるヒントとして参考にしてください。
ABA・TEACCH・感覚統合は何が違う?
ABA・TEACCH・感覚統合は、どれも発達支援の場面で耳にする言葉ですが、同じものではありません。
簡単に整理すると、次のように考えると分かりやすいでしょう。
- ABAは、行動の前後を見ながら、できる行動を増やしていく考え方
- TEACCHは、環境や予定を分かりやすくし、自分で行動しやすくする考え方
- 感覚統合は、音や触覚、体の動きなど、感覚の受け取り方にも目を向ける考え方
どれか一つだけを選ばなければならないわけではありません。
お子さんの困りごとによって、いくつかの考え方を組み合わせることもあります。
方法の名前から考えるのではなく、「この子は今、何に困っているのだろう?」と考えることが大切です。
ABAとは?行動の理由を考えて関わる方法
ABAは「応用行動分析」と呼ばれます。
名前だけを見ると、とても難しく感じますね。
家庭で考えるときは、子どもの行動だけを見るのではなく、その前後に何があったのかを見る考え方と理解すると分かりやすいでしょう。
ABAは「できないことを叱る方法」ではない
たとえば、着替えの時間になるとお子さんが逃げてしまうとします。
大人から見ると、
「また言うことを聞かない」
と思うかもしれません。
でも、少し立ち止まって考えてみます。
「着替えよう」という声かけが分かりにくかったのかもしれません。
着替える手順が多くて、どこから始めればよいか分からなかったのかもしれません。
服の肌触りが苦手だった可能性もあります。
ABAでは、行動そのものだけではなく、その前後の状況にも目を向けます。
子どもの行動の前後を見てみる
たとえば、
「着替えてね」と声をかける。
そのあと、お子さんが逃げる。
結果として着替えが後回しになる。
このような流れが繰り返されている場合、「逃げる」という行動だけを注意するのではなく、どうすれば取り組みやすくなるかを考えます。
「全部着替えてね」ではなく、
「まずズボンを履こう」
と一つずつ伝えるだけでも分かりやすくなることがあります。
家庭では小さな「できた」を増やしていく
お子さんがズボンを履けたら、
「ズボン履けたね」
と具体的に伝えます。
大きな目標だけを見るのではなく、小さな「できた」を積み重ねていくことがポイントです。
お子さんの今できている姿を見取りながら、次の一歩につなげていきます。
TEACCHとは?分かりやすい環境をつくる考え方
TEACCHは、自閉スペクトラム症のある方への支援として発展してきた包括的なプログラムです。
家庭で参考にしやすいポイントの一つが、環境や予定を分かりやすくすることです。
見通しがあると安心しやすい子どももいる
大人は頭の中で一日の予定をイメージできます。
しかし、お子さんによっては「次に何をするのか分からない」という状態が大きな不安につながることがあります。
たとえば、
「もうすぐお風呂だから片付けて」
と言われても、いつ遊びが終わるのか、その後何をするのか分かりにくいことがあります。
そこで、
「おもちゃを片付ける」
↓
「お風呂」
↓
「絵本」
↓
「寝る」
という流れを見えるようにします。
写真や絵を使って予定を伝える
ことばだけで理解しにくい場合は、写真や絵を使う方法もあります。
予定表を作ったり、終わった予定を外したりすることで、「今何をしていて、次は何をするのか」が分かりやすくなります。
視覚的に伝えることは、お子さんを決まった通りに動かすためではありません。
自分で状況を理解して、安心して行動できるようにするための支えです。
物の置き場所を分かりやすくする
環境を整えることも一つの方法です。
おもちゃ箱に中身の写真を貼る。
着替える場所を決める。
遊ぶ場所と机で取り組む場所を分ける。
こうした工夫によって、「何をどこですればよいか」が分かりやすくなる子もいます。
感覚統合とは?子どもの「感じ方」に目を向ける
私たちは、音や光、触った感覚、体の動きなど、さまざまな感覚を受け取りながら生活しています。感覚統合とは、こうした複数の感覚情報を脳で整理し、その場に合った行動につなげていく働きに着目した考え方です。
感覚の受け取り方や整理のしやすさには個人差があります。
お子さんの行動を見るときにも、「感覚の感じ方」という視点を持つことで理解しやすくなる場合があります。
同じ刺激でも感じ方は一人ひとり違う
たとえば、
- 掃除機やドライヤーの音を強く嫌がる
- 洋服のタグや特定の素材を嫌がる
- ブランコなど揺れる遊びを何度も求める
- 走ったり跳んだりする遊びを好む
といった姿があります。
同じ音でも、気にならない子もいれば、とても大きく感じる子もいます。
同じ服でも、肌触りを強く不快に感じる子もいます。
「困った行動」だけで考えない
落ち着きなく動いているように見える子が、体を動かすことで気持ちを整えている可能性もあります。
服を嫌がる子も、「わがまま」なのではなく、肌触りがつらいのかもしれません。
大切なのは、「どうしてこんなことをするの?」と行動だけを見るのではなく、「この子はどんなふうに感じているのかな?」と姿を見取ることです。
家庭では遊びの中で経験を広げる
家庭では、特別な訓練をする必要はありません。
公園で体を動かしたり、粘土や水、砂などに触れたりすることも、さまざまな感覚を経験する機会になります。
こうした遊びは、日常の中でさまざまな感覚を経験する一例です。専門的に行われる感覚統合への支援そのものではありません。
ただし、苦手な感覚に無理やり慣れさせる必要はありません。
強く嫌がる場合や、日常生活への影響が大きい場合には、作業療法士などの専門家へ相談することも選択肢です。
ABA・TEACCH・感覚統合を家庭でどう使い分ける?
「結局、うちの子にはどれがいいの?」
そう思う親御さんもいるでしょう。
大切なのは、方法から選ぶのではなく、お子さんが困っていることから考えることです。
「何に困っているのか」から考える
たとえば、やることが多いと途中で止まってしまうお子さんなら、ABAの考え方を参考にして、一つずつ小さな行動に分けてみます。
予定が変わると不安になりやすいお子さんなら、TEACCHの考え方を参考にして、写真や予定表で見通しを伝えてみます。
音や触覚への反応が強い場合には、感覚の感じ方にも目を向けます。
どれか一つだけに決める必要はありません。
方法より「お子さんの姿」を見る
「ABAをしなければ」
「TEACCHを取り入れなければ」
と考えすぎる必要はありません。
方法にお子さんを合わせるのではなく、お子さんの姿に合わせて方法を選びます。
「この子は何が分かりにくいのかな?」
「何があると安心できるかな?」
と考えることが、お子さんの育ちを支える第一歩です。
家庭で発達支援をするときに大切な3つのこと
家庭でできることを調べるほど、「あれもこれもやった方がいいのでは」と思うことがあります。
でも、毎日の生活すべてを療育の時間にする必要はありません。
一度にたくさん取り組まない
まずは一つだけ試してみましょう。
たとえば、「声かけを短くする」だけでも構いません。
しばらく続けながら、お子さんの姿を見ます。
できないことより、できていることを見る
できないことばかりに注目すると、親御さんもお子さんも疲れてしまいます。
今できていることを土台にして、次の経験へつなげていきます。
「一人では難しいけれど、声をかければできる」
という姿も大切な成長の途中です。
親御さんだけで抱え込まない
家庭だけですべてを解決する必要はありません。
園でのお子さんの姿を聞いたり、自治体の発達相談を利用したり、必要に応じて専門機関へ相談したりする方法があります。
「家庭での関わりだけでよいのかな」「一度専門家に相談した方がよいのかな」と迷っている方は、発達相談の窓口や相談前の準備をまとめたこちらの記事も参考にしてください。
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家庭で何から始めればよいか迷ったときは
ABAやTEACCH、感覚統合などの考え方を知ると、家庭でもできそうな工夫が少しずつ見えてきます。
一方で、
「今のうちの子には何から始めればいい?」
「次はどんなことに取り組めばいいの?」
と迷う親御さんもいるでしょう。
そのような場合は、お子さんの発達段階に合わせて、家庭で取り組む内容が整理された教材を活用する方法もあります。
四谷学院「療育55レッスン」は、発達が気になるお子さんが家庭で取り組める通信講座です。
ただし、すべてのお子さんや家庭に同じ教材が合うわけではありません。
内容や対象、メリットだけではなく、注意点も確認したうえで検討することが大切です。
「家庭でできることを、もう少し順序立てて取り組みたい」と感じている方は、療育55レッスンの内容やメリット・注意点を詳しくまとめたこちらの記事も参考にしてください。
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ABA・TEACCH・感覚統合に関するよくある質問
ABAとTEACCHはどちらがよいですか?
どちらか一方が優れているというものではありません。
ABAとTEACCHでは考え方や着目するポイントが異なります。
お子さんの困りごとや生活環境に合わせて考えることが大切です。
家庭だけでも取り入れられますか?
基本的な考え方は、家庭での関わりにも生かせます。
ただし、専門的な支援や評価が必要な場合もあります。
「この方法でよいのかな」と迷った場合は、園や発達相談、医療・療育の専門家などに相談してください。
発達障害の診断がなくても取り入れられますか?
短く分かりやすく声をかけたり、写真や予定表で見通しを伝えたりする工夫は、診断の有無にかかわらず、今のお子さんの姿に合わせて取り入れることができます。
一方で、ABA・TEACCH・感覚統合を専門的な支援として行う場合は、お子さんの発達や困りごとに合わせて、必要に応じて専門家へ相談することも大切です。
診断名だけで方法を決めるのではなく、「この子は今、何に困っているのか」という姿から考えていきましょう。
まとめ|方法よりもお子さんの姿から考えよう
ABA・TEACCH・感覚統合は、それぞれ違った視点から子どもの育ちを支える考え方です。
ABAでは、行動の前後を見ながら、できることを少しずつ増やしていきます。
TEACCHでは、環境や予定を分かりやすくして、お子さんが自分で行動しやすいように支えます。
感覚統合の視点では、音や触覚、体の動きなど、お子さんがどのように感じているのかにも目を向けます。
大切なのは、「どの方法が一番よいのか」を探すことではありません。
目の前のお子さんが何に困り、何があると安心できるのか。
その姿を丁寧に見取ることから始めてみてください。
家庭でできることは、小さな工夫からで大丈夫です。
声かけを少し短くする。
次の予定を分かりやすく伝える。
できたことを具体的に認める。
その積み重ねがお子さんの安心につながり、育ちを支えていきます。
ABAやTEACCHなどの考え方を家庭で生かしながら、「次に何をすればよいか」まで整理したい方は、家庭療育について詳しくまとめたこちらの記事も参考にしてください。
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