子育て

【解説】家庭でできるソーシャルスキルトレーニング(SST)|遊びを通して身につく社会性の育て方

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「お友だちとの関わりがうまくいかない」「気持ちを言葉で伝えるのが苦手」「遊びの中でトラブルが増えてきた」——そんな悩みを抱えるお父さんやお母さんは少なくありません。
発達が気になるお子さんを育てる日々の中で、「この子の社会性を育てるには、どうしたらいいのだろう?」と感じる場面は多いのではないでしょうか。

幼児期から小学校低学年にかけての時期は、社会性(ソーシャルスキル)がぐんと伸びる大切な時期です。
友達と遊ぶ中で「待つ」「譲る」「ありがとう」「ごめんね」などの言葉や行動が身についていきます。
ただし、この“人と関わる力”は自然に身につくとは限りません。お子さんの発達特性によっては、少し手助けが必要なこともあります。

そんなときに役立つのが、「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」です。
SSTとは、社会性を育てるためのトレーニング。療育や発達支援の現場でも活用されており、感情のコントロールや他者理解、会話のキャッチボールなど、日常生活に欠かせない力を遊びの中で育むアプローチです。

この記事では、幼児教育の知見をもとに、家庭でできるソーシャルスキルトレーニング(SST)の方法や実践のコツを紹介します。
ご家庭で楽しく実践できる遊びや声かけの工夫を通して、「社会性をどう育てたらいいのか」が見えるようになる内容です。
そして、家庭療育をサポートするプログラムを上手に活用することで、お子さんの「できた!」が増えていく方法についても、やさしくお伝えします。

ソーシャルスキルとは?家庭で大切にしたい社会性の土台

「ソーシャルスキル」とは、人と関わるときに必要な力のことです。
たとえば、相手の気持ちを考える・自分の意見を伝える・感情をコントロールする・約束を守る、といった日常的な行動のすべてがソーシャルスキルに含まれます。

発達が気になるお子さんの中には、このスキルを身につけるのに少し時間がかかるタイプの子もいます。
しかし、環境や関わり方を工夫することで、確実に育てていくことができます。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは何か

SSTは、ソーシャルスキルを「遊び」や「対話」を通して身につけるためのトレーニングです。
専門機関では、発達支援や療育の一環として行われていますが、実は家庭でも気軽に取り入れられる要素がたくさんあります。

たとえば、「ありがとうを言ってみよう」「相手の顔を見て話そう」など、小さなステップを積み重ねていくことがSSTの第一歩です。
日常の中で繰り返し練習することで、無理なく身につけることができます。

発達段階で育つ社会性の違い

3〜4歳ごろは「自分の気持ちを言葉にする」ことが中心で、
5〜6歳ごろになると「相手の気持ちを考える」「協力する」力が育ち始めます。
小学校に入ると「集団でのルール理解」や「意見のやり取り」など、さらに複雑なスキルが必要になります。

こうした段階を意識しながら、「いまのお子さんに必要なサポートはどこか」を見取ることが、家庭での関わりの第一歩です。

SSTが家庭でも重要な理由

園や学校では、先生や友達との関わりの中で多くの学びがあります。
しかし、それを日常生活で定着させるのは家庭の時間です。
お父さん・お母さんとの安心した関わりの中で、失敗しても受け止めてもらえる環境があることが、社会性を伸ばす大きな力になります。

家庭でのSSTは、子どもの育ちを支える“根っこ”のような存在なのです。

家庭でできるソーシャルスキルトレーニングの基本ステップ

では、家庭でSSTを実践するにはどうすればいいのでしょうか?
難しい教材を使わなくても、少しの工夫で日常がトレーニングの場になります。

ステップ1:困っている場面を見取る

まずは、お子さんが困っている場面を観察することから始めましょう。
「友達とケンカしやすい」「集団遊びに入れない」「指示が通りにくい」など、具体的な状況を把握します。
これは“困りごとを見つける”というよりも、“支えが必要なタイミングを見取る”という視点が大切です。

ステップ2:お手本を見せて一緒にやってみる

SSTでは、「こうしてみよう」と教えるだけでなく、一緒にやってみることが効果的です。
たとえば「順番を待つ練習」では、親子でカードを取り合うゲームをしてみる。
「ありがとう」を練習したいときは、ぬいぐるみ遊びの中で「ありがとう」「どういたしまして」とやりとりする。
遊びながら練習することで、自然に身につきやすくなります。

ステップ3:できたことを一緒に喜ぶ

SSTでいちばん大切なのは、「できた!」を共有することです。
結果だけでなく「やろうとした」「挑戦した」という姿を見取って言葉にすることで、お子さんの自己肯定感が育ちます。
「できたね!」「頑張ったね!」という声かけは、次の行動への力になります。

遊びながら社会性を育てるアイデア

ソーシャルスキルトレーニング(SST)は、勉強のように机に向かうものではありません。
むしろ「遊びの中で自然に学ぶ」ことこそが、最も効果的な方法です。
家庭の中で楽しみながらできる遊びを取り入れると、お子さんが自分のペースで社会性を伸ばしていけます。

ごっこ遊びで気持ちを理解する

ごっこ遊びは、社会性を育てる代表的な遊びです。
「先生ごっこ」「お店屋さんごっこ」「病院ごっこ」など、役割を交代しながら行うことで、“相手の立場になる力”が自然に育ちます。

たとえば「いらっしゃいませ」と言う店員役と「これください」と答えるお客さん役。
最初は言葉が出にくいお子さんでも、親御さんが少し演じてあげると、興味をもって真似をするようになります。
この“真似る”という行動自体が、SSTの初期段階におけるとても大切なステップなのです。

ごっこ遊びの途中で「お客さんが喜ぶ言葉はなんだろう?」と問いかけてみるのもおすすめです。
自然な形で、他者の気持ちに意識を向けるきっかけになります。

ボードゲームやルール遊びで順番を学ぶ

「順番を待つ」「ルールを守る」という社会性の基礎は、遊びを通じて身につきやすいスキルです。
ボードゲームやカードゲームを一緒に楽しむことで、
・勝ち負けを受け入れる練習
・「待つ」「譲る」場面での我慢の練習
・「ありがとう」「もう一回しよう」といったポジティブなやりとり
を体験的に学べます。

おすすめは「すごろく」「UNO」「どうぶつしょうぎ」など。
シンプルなルールでも、社会性を伸ばす要素がたくさん詰まっています。
お父さんやお母さんが「惜しかったね!」「次は作戦を変えてみようか」と声をかけるだけで、遊びながらもSSTの時間に変わります。

協力が必要な活動で「チーム感」を体験

「一緒に作る」活動は、協力や達成感を味わう絶好のチャンスです。
たとえばクッキングや工作など、役割を決めて一緒に進めてみましょう。

「じゃあ、ママが切る係、○○くんは盛りつけ係ね」
「ありがとう、手伝ってくれて助かったよ」
こうした言葉を交わすたびに、お子さんは「人と一緒にやると楽しい」「誰かの役に立てる」と感じることができます。
これは社会性の基礎である“自己効力感”を高める大切な体験です。

おうちでの関わり方を変えるヒント

SSTは、特別な時間を作らなくても、日常の声かけや態度の中で自然に進めることができます。
ここでは、親子の関わりを少し見直すだけで、ぐっと成長につながる工夫を紹介します。

指示より「共感」から始める

「また片づけしてないね!」とつい叱ってしまう場面、ありますよね。
でもその前に、「今はまだ遊びたい気分なんだね」とお子さんの気持ちに共感する一言を添えると、子どもは安心して行動に移りやすくなります。

共感は「行動を許すこと」ではなく、「気持ちを理解すること」。
SSTの観点でも、感情を受け止めてもらえる経験が、次の行動につながる“内側の力”を育てます。

失敗を責めず、過程をほめる

「できた」「できなかった」よりも、「やろうとしたこと」を認めることが大切です。
「最後まであきらめなかったね」「工夫したね」という言葉は、挑戦する気持ちを支えます。
子どもの行動の背景を見取り、「努力の姿」を言葉にして伝えると、自己肯定感が高まり、次へのステップにつながります。

感情のコントロールを一緒に練習する

ASD傾向のお子さんや、感受性が強いお子さんは、感情の波を感じやすいものです。
「怒る」「悲しむ」といった気持ちを抑えるのではなく、「どうしたら落ち着けるか」を一緒に考える姿勢がポイントです。

たとえば、
・深呼吸をしてみる
・ペットボトルにラメを入れて、ゆっくり沈む様子を見る
・「今の気持ち」を色で表す(赤=怒り、青=悲しみなど)
こうした感情表現の練習は、家庭で簡単に取り入れられるSSTの一部です。

お父さん・お母さんが落ち着いて関わることで、お子さんも安心して「感情をコントロールできる自分」に気づいていきます。

家庭療育を支えるプログラムを取り入れるという選択肢

ここまで紹介したように、ソーシャルスキルトレーニング(SST)は、日常の中で少しずつ取り入れられる関わり方です。
ただし、「自分のやり方が合っているのか分からない」「続けたいけれど、効果的な方法が知りたい」という悩みを持つご家庭も多いのではないでしょうか。

実際、発達支援の現場でも「家庭での関わり方が分からない」という声は非常に多く聞かれます。
専門家のアドバイスがあることで、お子さんの発達段階や特性に合ったサポートを無理なく続けることができるのです。

ここでは、家庭療育をサポートするプログラムをどのように活用できるのか、そのメリットを紹介します。

家庭でできる療育支援のメリット

1日10分から始められる小さな取り組みでも、家庭で継続できるというのは大きな強みです。
ご両親がお子さんの育ちを間近で見取れるため、「昨日よりも表情がやわらかくなった」「自分から話しかけることが増えた」といった変化を感じやすくなります。

家庭での療育は、単なるトレーニングではなく「親子の関係づくり」でもあります。
お父さんやお母さんが「一緒にやってみようね」と寄り添う姿勢が、お子さんに安心感を与え、「自分もできる」という気持ちを引き出します。

専門家が設計したプログラムを活用することで、無理のないステップで成長を支えることができるのも魅力です。
「これで合っているのかな?」という不安を減らし、確かな手応えを感じながら進められるのが、家庭療育の良いところです。

専門家のサポートがある安心感

療育プログラムには、発達心理学や教育学の知見が反映されています。
たとえば「どう声をかければ伝わるか」「どんな順序でスキルを練習するか」など、専門的な視点から細やかに設計されています。
ご家庭の負担を軽くしながら、子どもの「育ちを支える」構成になっているのが特徴です。

このようなサポートを取り入れることで、ご両親も「見通しをもって関われる」ようになり、焦りや不安が少なくなります。
何よりも、家庭での関わりがより前向きなものに変わることが多いのです。

家庭療育を始めたいご両親へ

「どんなプログラムを選べばいいのかわからない」
「家庭でも続けられる方法を探している」
そんなご両親に、ひとつの選択肢としておすすめしたいのが、療育プログラムを紹介しているこちらの記事です。

家庭での支援をサポートするための教材や、具体的なステップの考え方などを分かりやすくまとめています。
お子さんのペースで無理なく取り組める内容なので、家庭療育の第一歩を踏み出したい方にぴったりです。

家庭でのSSTをより効果的に進めたい方は、家庭療育をサポートするプログラムを紹介しているこちらの記事をご覧ください。

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ここでは、具体的な支援方法やご家庭での活用例が詳しく紹介されています。
「家庭でどうすればいいのか」が具体的にイメージできる内容になっています。

ご家庭の中でできることを少しずつ積み重ねていくこと。
その継続こそが、お子さんの「社会性」や「自立の力」を育てていく大きな支えになります。

家庭療育の注意点と向き合い方

一方で、家庭での支援をすべてお父さん・お母さんだけで背負い込むのは大変です。
お子さんの成長スピードは個性によって異なるため、「できないこと」に目を向けすぎず、専門機関と連携しながら進めることも大切です。

ときには息抜きをしたり、外部のサポートを頼ることも必要です。
「親ががんばらないと」と思いすぎると、お子さんもその緊張を感じ取ってしまいます。
「一緒に楽しむ」「できたところを見つける」というスタンスが、家庭療育を長く続けるポイントです。

よくある質問Q&A|家庭でSSTを続けるためのヒント

Q1. うちの子は集中が続きません。それでもSSTはできますか?

もちろん大丈夫です。
SSTは“長時間集中して行うもの”ではなく、“短時間で積み重ねるもの”です。
1日5分〜10分でも十分効果があります。

たとえば、着替えのときに「袖を通す順番を確認する」、食事のときに「いただきますを言ってから食べる」など、生活の中で自然に練習できます。
「できること」「続けられる時間」を基準に、短く区切ることがコツです。

Q2. 下のきょうだいがいると、一緒に取り組むのが難しいです…。

きょうだいの存在は、実はSSTのチャンスでもあります。
上の子がリーダー役になったり、下の子が真似っこ遊びをしたりと、自然な関わりが生まれます。
ただし、競争や比較がストレスになる場合は、個別の時間を確保することも大切です。

「今は○○くんの時間ね」「次は○○ちゃんの番」と、順番を決めて取り組むだけでも、安心感が生まれます。
きょうだい同士のやり取りそのものが、“社会性を学ぶ場”になることを忘れずにいたいですね。

Q3. 家ではうまくいくのに、園や学校では難しいようです。

家庭と園(または学校)では、環境や関わる人が違うため、行動に差が出ることは自然なことです。
大切なのは「家庭でできている」ことを積み重ね、自信を育てること。
小さな成功体験を続けることで、外の環境にも少しずつ行動が広がっていきます。

必要に応じて、担任の先生や支援員の方に「家庭ではこういう声かけが合っているようです」と伝えると、支援の方向性をそろえやすくなります。

これから試してみたい工夫|家庭で無理なく続けるために

1. 「今日のSST」を一緒に決める

「今日は“ありがとう”を言う練習をしてみよう」など、その日のテーマを決めて取り組むと、目的が明確になります。
小さな達成を積み重ねると、次への意欲も自然にわいてきます。

2. 成功体験を“見える化”する

お子さんの「できた!」を記録してみましょう。
カレンダーにシールを貼る、ノートにほめ言葉を書くなど、目に見える形にすると親子の励みになります。
この「見える化」は、継続を支える強力なモチベーションになります。

3. 家庭療育プログラムを活用してステップアップ

日常の中で工夫するだけでも効果はありますが、より体系的に学びたいと感じたときには、家庭療育をサポートするプログラムを検討してみてください。

「どんな教材を使えばいいのか」「どの順序で教えたらいいのか」が整理されていると、ご両親の負担も減り、お子さんに合った支援を無理なく続けられます。

詳しくは、家庭療育をサポートするプログラムを紹介しているこちらの記事をご覧ください。

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実際に取り組んだご家庭の声や、家庭での活用法も紹介されています。
「できた!」というお子さんの表情を引き出したいご両親には、きっと参考になるはずです。

4. 「親の頑張りすぎ」を防ぐ工夫も大切に

お子さんのために頑張るお気持ちは何より大切ですが、親御さん自身が疲れすぎてしまうと、支援が長続きしません。
「今日はできなくてもいい」「明日やってみよう」という余白を持つことも大切です。

お子さんのペースを尊重しながら、親御さんも「自分を休ませる時間」を意識的に取っていただけたらと思います。
それが結果的に、お子さんの安心にもつながります。

まとめ|お子さんの社会性を育てる毎日は、親子の絆を深める時間

ソーシャルスキルトレーニング(SST)は、特別なことをしなくても家庭で始められる取り組みです。
お父さん・お母さんのあたたかい関わりが、お子さんの「人とつながる力」を育てます。

大切なのは、「できていない部分」ではなく、「できた瞬間の姿を見取る」こと。
どんなに小さな変化でも、それを見つけて言葉にすることが、お子さんの育ちを支える一番の力になります。

そして、もし家庭での療育をもう少し具体的に進めたいと感じたら、先ほど紹介した記事を参考に、家庭療育のサポートプログラムを取り入れてみてください。
専門的な知見をもとにした支援は、日常の工夫をより豊かにし、親子の笑顔を増やしてくれます。

親子で楽しく社会性を育む時間が、これからの成長の大きな土台となるといいですね。

  • この記事を書いた人

ポジティブ園長

田舎の自然の中で、のんびりと9歳の娘と6歳の息子と暮らすパパ。 保育 × 心理学 × 脳科学をヒントに、職員と子どもたちが共に成長できる園づくりをしています。 “答えのない時代”だからこそ、楽しみながら考え、失敗を恐れず挑戦する──そんな姿を大切に、みんなと歩んでいる園長です。

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