「お子さんが友だちと遊ぶときにすぐにケンカになる」「順番を待てずに泣いてしまう」「自分の気持ちを言葉で伝えられない」――そんな場面を見て、どう関わればいいのか悩むパパやママは多いのではないでしょうか。
社会性は自然に育つ部分もありますが、実は繰り返しの練習や経験を通して少しずつ身についていくものです。家庭療育の一環としてソーシャルスキルトレーニング(SST)を取り入れることで、お子さんの社会性を遊びながら楽しく育むことができます。
この記事では、家庭療育でできるSSTの意味や必要性、日常生活の中で取り入れられる方法、さらにパパやママが実践できる声かけの工夫について具体的に紹介します。また、さらに学びを深めたい方のために役立つ教材もご紹介します。
なぜ家庭療育でSSTが大切なのか
現代の子育て環境の変化
昔に比べて外遊びの機会は減り、近所の子ども同士で自由に遊ぶ姿は少なくなっています。安全面の配慮や生活習慣の変化、さらにタブレットやスマートフォンの利用時間が増えたこともあり、自然に人との関わりを学ぶ機会が限られやすくなっています。
幼児期に社会性を育てるメリット
園や学校に入ると、順番を守ったり友だちに声をかけたりする場面が一気に増えます。幼児期に家庭療育としてSSTを取り入れておくことで、集団生活にスムーズに適応できるようになります。さらに、自分の気持ちを言葉で表現できるようになることで、自己肯定感が育ち、「自分はできるんだ」という自信につながります。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?
SSTの基本的な考え方
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは、社会で生活するうえで必要なスキルを練習する取り組みです。
たとえば、
あいさつをする
順番を待つ
自分の気持ちを言葉で伝える
相手の気持ちを想像して対応する
といった行動を、遊びや日常生活の中で繰り返し体験していきます。
家庭療育で取り入れる良さ
家庭はお子さんにとって最も安心できる場所です。失敗してもパパやママがすぐにフォローできるため、挑戦しやすく繰り返し練習できます。遊びを通じて自然に習慣化できるのも大きな魅力です。
パパ・ママが直面しやすい悩みと家庭でできる工夫
すぐケンカになってしまう
おもちゃを取り合ったり「自分が先!」と主張してケンカになることはよくあります。そんなときには、すごろくやカードゲームを使うと効果的です。順番を待つ経験を遊びの中で積み重ねることで、ルールを守ることの楽しさを学べます。
気持ちを言えず泣いてしまう
「貸して」「いやだ」と言葉にできず泣いてしまうお子さんには、ごっこ遊びを取り入れてみましょう。「これ貸して」「いいよ」というセリフを繰り返すことで、実際の場面でも気持ちを言葉で伝えやすくなります。
感情のコントロールが難しい
少しのことで泣いたり怒ったりするお子さんには、風船遊びや深呼吸ごっこがおすすめです。楽しみながら呼吸を整える経験をすることで、気持ちを落ち着ける方法を自然に学ぶことができます。
遊びながらできる家庭療育SSTの方法
あいさつを楽しく覚える
お店屋さんごっこで「いらっしゃいませ」「ありがとう」と言ってみましょう。人形やぬいぐるみをお客さんに見立てると、お子さんも楽しく参加できます。
順番を守る習慣をつける
カードゲームやブロック遊びでは「次は○○くんだね」と声をかけましょう。遊びの中で自然と順番を待つことを経験できます。
相手の気持ちを考える
絵本を読みながら「この子はどんな気持ちかな?」と問いかけると、相手の立場を考える練習になります。
感情を言葉にする
じゃんけんで負けたときに「くやしい!」、勝ったときに「やった!」と声に出して表現することで、感情を言葉で伝える習慣が身につきます。
パパ・ママができる声かけの工夫
否定より提案を
「ダメ!」と伝えるのではなく、「次はこうしてみよう」と声をかけることで、お子さんは前向きに受け止めやすくなります。
成功を具体的に褒める
「ありがとうが言えたね」「順番を守れたね」と、できた行動を具体的に褒めることで自信が育ちます。
モデルを見せる
パパやママ自身が「どうぞ」「ありがとう」と行動で示すことは、お子さんにとって一番わかりやすい学びになります。
さらに学びを深めたいパパ・ママへ
日常でできる工夫も大切ですが、体系的に学ぶことで家庭療育の効果はさらに高まります。
四谷学院の「療育55レッスン」 では、家庭でできる55の具体的なレッスンが紹介されています。あいさつ、感情表現、コミュニケーションなど幅広いテーマが網羅されており、パパやママが「今日はこれをやってみよう」とすぐに取り入れられる内容です。
「どんな遊びや声かけをしたらいいのか迷う」「もっと体系的に学びたい」と感じるパパやママにとって心強いサポートとなる教材です。
四谷学院ならではの、楽しくそして伸びるノウハウを生かした教材やオリジナルの55段階プログラムを用意しています。
実際の家庭での取り組み例
順番を守れるようになったケース
以前は「ぼくが先!」と泣いていたお子さんも、カード遊びを続けることで「次は○○ちゃんの番」と言えるようになりました。園でも落ち着いて順番を守れるようになり、友だちとの関わりがスムーズになったそうです。
気持ちを伝えられるようになったケース
ごっこ遊びを繰り返すことで、園で「貸して」と言えるようになったお子さんもいます。泣く時間が減り、自信を持って行動できるようになりました。
まとめ
家庭療育として取り入れられるソーシャルスキルトレーニング(SST)は、遊びを通してお子さんの社会性を育てる大切な方法です。あいさつや順番、感情表現といったスキルは、家庭での小さな積み重ねで少しずつ育っていきます。
パパやママの声かけや行動モデルは、お子さんにとって大きな学びの源です。今日から「お店屋さんごっこであいさつを楽しむ」といった身近な工夫を取り入れていただけたらと思います。家庭での小さな一歩がお子さんの大きな成長につながるとなるといいですね。