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【解説】園生活と家庭生活をつなぐ ― 要領に基づいた家庭支援の視点

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教育・保育要領では「園と家庭の連携」が繰り返し強調されています。園児にとって、園生活で学んだことや身についた生活習慣が家庭でも続くことは、安心感や自信を深め、より豊かな育ちへとつながります。

一方で現場の先生方からは、

  • 「保護者さんへの伝え方に迷う」

  • 「家庭と園で生活リズムがずれている」

  • 「園での遊びをどう家庭につなげたらいいのか分からない」

といった声も少なくありません。

この記事では、教育・保育要領に基づき、園生活と家庭生活をつなぐための家庭支援の視点と具体的な工夫を紹介します。園と家庭が一体となって子どもたちの育ちを支えるためのヒントになれば幸いです。

園生活と家庭生活をつなぐ意味とは

教育・保育要領における家庭との連携の位置づけ

教育・保育要領では「園と家庭および地域が連携して子どもの発達を支えること」が明記されています。園の生活は一日の大半を占めますが、家庭での時間も同じくらい大切です。両者が切れ目なくつながることで、子どもたちの生活習慣や学びが安定して積み重なります。

園と家庭が一体となることで生まれる効果

園での生活習慣(早寝早起き、手洗い、食事のマナーなど)が家庭でも継続されると、子どもたちは混乱せず、一貫した育ちを支えられます。また、園での遊びを家庭でも楽しむことで、自分の成長を実感し、学びがさらに広がります。

家庭支援の視点から見た日常生活習慣

食事 ― 園での食育を家庭につなげる工夫

園で学んだ「野菜を食べる」「みんなで食べる楽しさ」を家庭でも続けると、偏食の改善や食への関心につながります。例えば、給食で使った食材を保護者さんに伝え、「家庭でも同じ食材を取り入れると子どもが喜びます」と情報提供すると効果的です。

事例
園でかぼちゃを使ったスープを出したところ、苦手だった子が「おいしい」と完食しました。その話を保護者さんに伝えると、家庭でも「園と同じスープ」を作ってもらい、苦手意識が少しずつ和らぎました。

睡眠 ― 園と家庭で生活リズムを合わせる大切さ

遅寝・遅起きが続くと、園での活動に集中できなかったり、不機嫌になったりすることがあります。園での生活リズムを伝え、「家庭でも同じリズムを意識してください」とお願いするだけで、子どもたちが安定した生活を送りやすくなります。

事例
ある園では「園児はお昼寝を○時から○時までしています」と掲示物で伝え、保護者さんが夜更かしを避けるよう意識するきっかけになりました。その結果、子どもたちが午前中の活動により意欲的に参加できるようになりました。

排泄・身支度 ― 自立の芽生えを共に支える関わり方

園ではトイレトレーニングや衣服の着脱など、自立の芽生えを大切にします。家庭でも同じ声かけや援助をしてもらうと、園児は「できた!」という喜びを積み重ねやすくなります。

事例
園で「ズボンを自分であげられたね」と褒められた子を、家庭でも同じように認めてもらうと、次第に「自分でやる」という気持ちが強まりました。園と家庭が同じ方向で支えることが大きな後押しになります。

遊びの継続性を保障する工夫

園での遊びを家庭でも楽しめるように伝える

例えば「積み木で高い塔を作った」「虫探しを楽しんだ」といった遊びのエピソードを送迎時や連絡帳に書くと、保護者さんが家庭で同じ遊びを取り入れやすくなります。

事例
園で「ままごと遊び」に夢中だった子が、家庭でも同じ道具で遊び、翌日園で「お家でもやったよ!」と話す姿が見られました。この継続性が子どもたちの主体性を支えます。

家庭での遊びが園に生かされる循環

家庭で好きになった遊びを園に持ち込むことで、園児の活動がさらに豊かになります。例えば、家庭で「折り紙」に夢中になった子が園でも友達と折り紙遊びを広げると、遊びの世界が広がります。

現場でよくある悩みと対応のヒント

家庭と園で生活リズムがずれる

対応の仕方は「無理に合わせてください」ではなく、「園ではこうしています」と伝えること。小さな工夫から歩み寄る姿勢が大切です。

保護者さんへの伝え方に迷う

「教育・保育要領でこのように示されています」と根拠を持って伝えると、納得感が増します。

支援が押しつけにならないか不安

園の考えを一方的に伝えるのではなく、まず「ご家庭ではどうですか?」と聞く姿勢を持つと、信頼関係が深まります。

先生たちも同じ壁にぶつかる

  • 「連絡帳でどこまで書くか迷う」

  • 「園でできたことが家庭では続かない」

  • 「保護者さんにお願いするのは申し訳ない」

こうした思いは、多くの職員が抱えるものです。仲間と共有し、園全体で解決を探ることが大切です。

今日からできる具体的な提案

  • 連絡帳や送迎時に「園での姿」を一言添える

  • 家庭でもできる簡単な遊びを紹介する

  • 保護者さんと「子どもたちの育ちを支えるパートナー」であることを確認する

おすすめの本

  • 「幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説」 ― 家庭連携の基礎を理解するために

  • 「保育の中に心地よい暮らしをつくる」 ― 子どもがしあわせに過ごすこととは

保育の中に心地よい暮らしをつくる 新しい保育のスタイル / ユリア (へきなんこども園 園長) 【本】
  • 「保育士・幼稚園教諭のための保護者支援~保育ソーシャルワークで学ぶ相談支援【新版】 (これからの保育)」― 保護者さんとの協働を考える実践的な一冊

まとめ

園生活と家庭生活をつなぐことは、教育・保育要領に示された重要な視点です。生活習慣や遊びを継続させることで、園児は安定したリズムを持ち、主体的に学び、育ちを支えられます。

大切なのは特別な支援を始めることではなく、日々のやり取りに「園と家庭をつなぐ視点」を少し加えることです。

 今日からまず、保護者さんに子どもたちの園での姿を一言伝えることから始めてみるといいですね。

  • この記事を書いた人

ポジティブ園長

田舎の自然の中で、のんびりと9歳の娘と6歳の息子と暮らすパパ。 保育 × 心理学 × 脳科学をヒントに、職員と子どもたちが共に成長できる園づくりをしています。 “答えのない時代”だからこそ、楽しみながら考え、失敗を恐れず挑戦する──そんな姿を大切に、みんなと歩んでいる園長です。

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