「お子さんの発達について気になることがある」「どんな関わり方をすればよいのか迷っている」──そんな不安を抱えているパパやママは少なくありません。
発達が気になるお子さんへの関わりには、さまざまな支援方法があります。その中でもよく耳にするのが「ABA(応用行動分析)」「TEACCH(構造化教育)」「感覚統合」という3つの考え方です。
一見むずかしそうに思えるかもしれませんが、基本を知っておくと家庭療育のヒントになります。この記事では、それぞれの違いをわかりやすく解説しながら、日常の中で実践できる工夫をご紹介します。
ABA・TEACCH・感覚統合はどんな支援方法?
ABA(応用行動分析)とは
ABAは「行動を小さなステップに分け、できたら褒めて伸ばす」支援方法です。
例えば片づけが苦手なお子さんに「全部しまって」と伝えるのは大きな負担ですが、「ブロックを1つ箱に入れよう」と小さく区切ると取り組みやすくなります。そしてできたら「できたね!」と褒める。この繰り返しで「やればできる」という自信を育てていきます。
TEACCH(構造化教育)とは
TEACCHは「見通しを持たせて安心できる環境をつくる」支援方法です。
発達が気になるお子さんは「これから何をするのか」が分からないと不安を感じやすい傾向があります。たとえば「朝の準備」をイラストカードで「着替え → ごはん → 歯みがき」と示すだけで、お子さんは安心して行動できるようになります。
感覚統合とは
感覚統合は「体を通して感覚を整理し、生活や学びに活かす力を育てる」支援方法です。
発達が気になるお子さんの中には、音や光、体の揺れなどを過敏に感じたり、逆に鈍感に感じたりする子もいます。クッションジャンプやブランコ、粘土遊びなどを取り入れると、バランス感覚や集中力を育てる練習になります。
3つの違いをわかりやすく整理
目的の違い
ABA:行動を学び、「できること」を増やす
TEACCH:生活の流れを分かりやすくして安心させる
感覚統合:体の感覚を整理し、集中や行動を助ける
アプローチの違い
ABA:小さな課題と「褒める」を繰り返す
TEACCH:視覚的支援や環境づくり
感覚統合:遊びや体の動きを通した刺激
家庭での実践の違い
ABA:ステップを区切って成功体験を積ませる
TEACCH:予定や流れを「見える化」する
感覚統合:体を動かすあそびや手先のあそびを取り入れる
家庭で取り入れるときのコツ
遊びの延長で取り入れる
「練習」というより「遊び」として取り入れると、お子さんも自然に取り組めます。たとえば積み木を使ってABAのスモールステップ練習をしたり、ボール遊びを感覚統合のトレーニングにしたり。
お子さんの特性に合わせる
体を動かすのが好きなお子さんには感覚統合を中心に、生活習慣の流れに苦手さがあるならTEACCHを意識するなど、特性に応じて取り入れると効果的です。
褒めることを忘れない
ABAでもTEACCHでも感覚統合でも、共通する大切な視点は「できたね!」と褒めること。お子さんが自信を持ちやすくなり、次のチャレンジにつながります。
家庭療育をもっと広げたいパパ・ママへ
発達が気になるお子さんとの日常には、ちょっとした工夫が必要になる場面が多いものです。ABAやTEACCH、感覚統合の考え方を取り入れることで、関わりがスムーズになり、お子さんも安心して過ごせる時間が増えていきます。
とはいえ、家庭だけで工夫を考え続けるのは大変で、「もっと具体的な遊び方や声かけを知りたい」「継続できる工夫を探したい」と思うこともあるでしょう。
そんなときは、家庭で無理なく取り入れられる教育プログラムを参考にするのも一つの方法です。こちらの記事では、ABAや感覚統合の考え方を遊び感覚で実践できる「療育55レッスン」が紹介されています。お子さんの特性に合わせて取り組める内容が豊富なので、家庭療育の幅を広げたいパパやママにおすすめです。
こちらもCHECK 続きを見る【解説】発達が気になるお子さんとパパ、ママのための四谷学院「療育55レッスン」
まとめ
発達が気になるお子さんへの支援には、ABA・TEACCH・感覚統合という考え方が大きなヒントになります。
ABAは行動をスモールステップで練習し、褒めながら定着させる
TEACCHは生活の流れを分かりやすくして安心できる環境を整える
感覚統合は体の感覚を育て、集中力や学習を助ける
それぞれを知って家庭に取り入れることで、日常の遊びや生活がそのまま「支援の時間」になります。完璧を目指す必要はなく、パパやママが「これならできそう」と思えることから少しずつ始めていただけたらと思います。
小さな工夫が積み重なり、お子さんの安心と自信につながっていくとなるといいですね。