子育て

【解説】子どもの「こだわり」とどう向き合う?|ASD傾向に役立つやさしい関わり方

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「お子さんが同じ遊びばかり繰り返す」「予定が少し変わるだけで大きく動揺してしまう」──そんな様子に不安を感じるパパやママは少なくありません。周りのお子さんと比べて「どうしてうちの子はこんなにこだわるのだろう」と悩むこともあるでしょう。

こだわりはASD(自閉スペクトラム症)特性のひとつとして表れることがありますが、決して「悪いこと」ではなく、お子さんにとって安心を得るための大切な行動でもあります。大切なのは「やめさせること」ではなく「どう向き合うか」。

この記事では、ASD傾向を持つお子さんに見られやすいこだわりの特徴や、家庭でできるやさしい関わり方、そして環境づくりの工夫を紹介します。パパやママが少し視点を変えるだけで、お子さんにとって安心できる毎日が広がるきっかけとなるはずです。

子どもの「こだわり」とは?

ASD特性を持つお子さんは、自分の世界の秩序を守ることで安心感を得ていることがあります。それが「こだわり」として表れます。

ASD傾向に見られやすいこだわりの特徴

  • 毎日同じ順番で行動したい(朝の支度を決まった流れで行いたいなど)

  • 特定のおもちゃや遊びに強い興味を持ち、繰り返す

  • 決まった服しか着たがらない

  • 食べ物の形や色にこだわり、特定のものしか食べない

「困った行動」ではなく「安心する方法」として理解する

パパやママから見ると「なんでそんなにこだわるの?」と不思議に思える行動も、お子さんにとっては安心を得るための大切な手段です。予定が予測できることや、自分が理解できる世界を保つことが心の安定につながっています。

こだわりから見えてくるお子さんの気持ち

こだわりの裏には「安心したい」「不安を減らしたい」というお子さんの気持ちがあります。パパやママが「こだわりは心の安全基地なんだ」と理解できると、関わり方も少しずつ変わっていくはずです。

こだわりが強いときに起きやすい場面

こだわりは日常生活のさまざまな場面で表れます。

生活の中で見られるこだわり

着替えの順番や食事の仕方など、家庭のルーティンの中で強いこだわりが出ることがあります。たとえば「ズボンを履いてからシャツを着たい」と順番を変えられなかったり、「白ごはんはこのお茶碗でなければ食べない」といったこだわりです。

園や学校で起こりやすいこだわり

園や学校では、決まった場所に座りたい、同じ道具を使いたいなどのこだわりが見られることもあります。順番やルールへの強い執着がトラブルになることもあるでしょう。

きょうだいや友だちとの関わりに影響することも

一緒に遊んでいるときに「こうじゃないと嫌だ」と自分のルールを譲れず、けんかになってしまうこともあります。このような場面では、パパやママの理解とサポートが大切です。

家庭でできるやさしい関わり方

お子さんのこだわりに直面したとき、「やめなさい」と否定するのではなく、やさしく受け止めながら少しずつ広げていく工夫が必要です。

こだわりを否定せず「選択肢」を広げていく工夫

「この服しか着ない!」というこだわりがあるときには、同じ色や素材の服を少しずつ増やし、「これも赤い服だよ」と選択肢を広げてみましょう。お子さんが自分で選べることが安心感につながります。

見通しを持たせるサポート

「次に何が起こるのか」がわかると不安が減ります。予定表やイラストカード、タイマーなどを使い、流れを見える形にするとスムーズに行動できることが増えます。

小さな「できた!」を積み重ねる声かけ

「今日はこのお皿で食べられたね」「順番をちょっと変えても大丈夫だったね」といった小さな成功を認める声かけが大切です。自信につながり、少しずつ柔軟に対応できるようになります。

安心できる環境をつくる工夫

お子さんが安心できる環境を整えることも大切です。

感覚過敏への配慮

音や光に敏感なお子さんの場合は、静かな空間ややわらかい照明を準備すると安心しやすくなります。服の素材などもお子さんが心地よく感じるものを選ぶことがポイントです。

落ち着ける「安心スペース」を用意する

家の一角にクッションや毛布を置いた「安心スペース」をつくり、気持ちが落ち着かないときに過ごせる場所を用意してあげましょう。

リラックスできる方法を一緒に見つける

深呼吸やお気に入りの音楽、絵本など、お子さんがリラックスできる方法を一緒に探してみると安心感が増します。

パパ・ママが気持ちを楽にするために

こだわりへの対応を続けることは、パパやママにとって大きな負担になることもあります。

「完璧にやらなくていい」という考え方

すべてに対応しようと頑張りすぎると疲れてしまいます。「今日はうまくいかなくても大丈夫」と思える心の余裕を持つことが大切です。

周囲や園・学校と協力する

先生や専門機関とつながることで、家庭だけで抱え込まずに支援が広がります。お子さんに合った関わり方を一緒に考えてもらうのもよい方法です。

パパ・ママ自身の休息も大切

ときにはリフレッシュできる時間を意識してとることも、長く支援を続けるためには欠かせません。

家庭療育をさらに広げたいパパ・ママへ

発達が気になるお子さんとの生活には、日常でできる工夫がたくさんあります。ただ「もっと具体的な方法を知りたい」「遊びや声かけのアイデアを増やしたい」と思うこともあるでしょう。

そんなときに参考になるのが、遊びや生活の中で自然に取り入れられる教育プログラムです。こちらの記事では、ABAや感覚統合の考えを取り入れた「療育55レッスン」が紹介されています。お子さんに合った実践方法を知ることで、家庭療育の幅を広げられるきっかけになると思います。

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まとめ

子どもの「こだわり」はASD特性のひとつであり、不安を和らげるための大切な行動でもあります。

  • こだわりは否定せずに受け止めることが大切

  • 見通しを持たせる工夫や環境づくりで安心感を支えられる

  • 小さな成功を積み重ねることで柔軟性が少しずつ育つ

パパやママができることは、完璧でなくても大丈夫です。今日からできる工夫をひとつ試していただけたらと思います。お子さんが安心して成長できる毎日となるといいですね。

  • この記事を書いた人

ポジティブ園長

田舎の自然の中で、のんびりと9歳の娘と6歳の息子と暮らすパパ。 保育 × 心理学 × 脳科学をヒントに、職員と子どもたちが共に成長できる園づくりをしています。 “答えのない時代”だからこそ、楽しみながら考え、失敗を恐れず挑戦する──そんな姿を大切に、みんなと歩んでいる園長です。

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