
園児や子どもたちの笑顔に囲まれて過ごす時間は、とても尊いものです。小さな「できた」の姿を見取るたびに、保育士としての喜びを感じる方も多いのではないでしょうか。
一方で、ふとした瞬間にこんな思いがよぎることはありませんか。
・この働き方を、あと何年続けていけるだろう
・最近、休日は寝ているだけで終わってしまう
・保護者さん対応や同僚との人間関係に、前よりも疲れを感じる
「保育をやめたいわけではない。できればずっと続けたい」。だからこそ、今のままの働き方で良いのか、モヤモヤした気持ちを抱えてしまう保育士は少なくありません。
幼児教育の知見をもとに考えると、子どもたちの育ちを支えながら無理なく働くためには、「自分の心と体」「保育観」「働く環境」の3つをバランスよく整えていくことが大切だと言われています。
この記事では、今の園でできる工夫から、働き方や園の選び方を見直すヒントまで、やさしく整理していきます。
今の自分の状態に不安を感じている方も、「少し先の未来のために知っておきたい」という方も、肩の力を抜いて読み進めてみてください。
保育士が抱えやすい「がんばりすぎ」のサイン
心と体のSOSに気づきにくい
保育士の仕事は、思っている以上に心と体を使います。朝の受け入れから夕方の降園まで、子どもたち一人ひとりの安全に気を配りながら、遊びや生活の流れを支え続けます。行事前後には準備や片付けも増え、気づけば一日があっという間に終わってしまいます。
そんな毎日のなかで、
・朝、布団から起き上がるのに時間がかかる
・仕事の日の前夜になると、胸がざわざわする
・ちょっとしたことで涙が出そうになる
こうしたサインが出ていても、「みんなも頑張っているから」「自分が弱いだけかもしれない」と、見て見ぬふりをしてしまうことがあります。
しかし、幼児教育の知見をもとにすると、大人の心と体の状態は、園児や子どもたちの安心感にも大きく影響するとされています。無理を重ねて笑顔が減ってしまう前に、「今の自分は少しがんばりすぎているかもしれない」と気づいてあげることが大切です。
「笑顔でいなきゃ」と自分を追い込んでしまう
保育士は、子どもたちや保護者さんの前では、できるだけ明るく笑顔でいたいと考える方が多い仕事です。それ自体はとても素敵なことですが、「笑顔でいなきゃ」という思いが強くなりすぎると、自分の本音を押し込めてしまう原因にもなります。
・本当は疲れているのに、「大丈夫です」と言ってしまう
・つらいと感じていても、「こんなことで弱音を吐いてはいけない」と我慢してしまう
・職員室でも、忙しさの話はしても、自分の気持ちはなかなか話せない
こうした状態が続くと、心の中にどんどん負担がたまっていきます。気づいたときには、「もう何もしたくない」と感じてしまうことも少なくありません。
子どもたちの育ちを支えながら無理なく働くためには、「いつも完璧な笑顔でいなくてもいい」「時にはしんどさを共有していい」という、自分へのやさしさも必要です。
職場の雰囲気や人間関係からくる負担
どれだけ保育士一人ひとりが工夫をしても、職場の雰囲気や人間関係によって、しんどさが生まれてしまうこともあります。
・忙しい人ほど仕事が集まりやすい
・困りごとを相談しにくい雰囲気がある
・「誰かが休むと、その分を誰かが当然のようにカバーする」空気がある
こうした状況のなかで、「自分が頑張らなきゃ」と踏ん張り続けてしまう保育士は少なくありません。ですが、本来は職員全体で仕事を分かち合い、支え合いながら、園児や子どもたちの育ちを支えることが理想です。
今の園でできる工夫もあれば、環境そのものを見直したほうがよい場合もあります。その見極めのためにも、まずは「自分がどんなところでしんどさを感じているのか」を、少しずつ言葉にしてみるところから始めてみませんか。
子どもたちの育ちを支えながら無理なく働くための3つの視点
心と体の健康をキャリアの土台と考える
子どもたちの育ちを支えながら無理なく働くためには、まず「自分の心と体を守ること」をキャリアの土台として考えることが大切です。つい後回しにしてしまいがちですが、元気でいることは特別なご褒美ではなく、仕事を続けるための条件のひとつだと言えます。
睡眠時間は足りているでしょうか。食事はあわただしくかき込んでいないでしょうか。休憩時間に、ほんの数分でも椅子に座って深呼吸できているでしょうか。こうしたささやかな習慣は、一見すると保育とは関係ないように見えて、実は園児や子どもたちの安心に直結しています。
幼児教育の知見をもとにすると、大人の表情や声のトーンは、子どもたちの情緒の安定に大きな影響を与えると言われています。大人が少し余裕を持って子どもたちの姿を見取り、じっくり話を聞くことができると、子どもたちは「自分は大切にされている」と感じやすくなります。
だからこそ、「自分のために休むこと」は、決してわがままではありません。子どもたちの育ちを支えるために、あえて立ち止まり、無理を調整する選択だと考えてみてください。
自分の保育観と得意分野を言葉にしてみる
次に大切なのは、「自分がどんな保育を大切にしたいのか」「どんな場面でいきいきできるのか」を言葉にしてみることです。これは、キャリアの新しい形を描くうえで、とても重要な作業になります。
例えば、こんな問いかけを自分にしてみるのはいかがでしょうか。
・子どもたちと過ごす時間のなかで、いちばんうれしい瞬間はどんなときか
・園児や子どもたちのどんな姿を見取ったときに、「この仕事をしていてよかった」と感じるか
・得意だと感じる活動や、周りから「ありがとう」と言われやすい場面はどこか
絵本の時間が好きな人もいれば、外遊びで一緒に体を動かすことが楽しい人もいます。製作活動で子どもたちの発想を引き出すのが得意な人もいれば、保護者さんとゆっくり話をする時間にやりがいを感じる人もいます。
こうした「好き」や「得意」は、立派なキャリアの種です。自分の保育観と得意分野が見えてくると、「自分はこんなふうに育ちを支えたい」「こういう環境なら無理なく働けそう」というイメージも少しずつ具体的になっていきます。
働く環境との相性を見直す
3つめの視点は、「働く環境との相性」を見直すことです。どれだけ保育士が工夫しても、園の体制や文化によっては、どうしても無理が出てしまう場合があります。
例えば、次のようなポイントはどうでしょうか。
・園児数と職員数のバランスは適切か
・職員同士で相談しやすく、支え合える雰囲気があるか
・子どもたちの育ちを支えるための話し合いができているか
・残業や持ち帰り仕事が、当たり前になりすぎていないか
もちろん、完璧な園はありません。それでも、「ここは工夫で変えられそう」「ここは自分だけではどうにもならない」と切り分けて考えることは、とても大切です。
環境との相性を見直すことは、「今の園がダメ」という意味ではありません。むしろ、「自分が無理なく働きながら、子どもたちの育ちを支えられる状態はどこにありそうか」を探していく、前向きな作業だと言えます。
もし、「この部分はどうしても変えられそうにない」と感じることが増えてきたら、それは働き方や園を見直すサインかもしれません。そう気づけることも、キャリアの新しい形を描くうえでの大きな一歩です。
この3つの視点を持って自分の現状を見つめると、「がんばりが足りない」のではなく、「条件や環境が整っていないだけかもしれない」と気づけることがあります。その気づきは、自分を責める気持ちを少しゆるめ、これからのキャリアの新しい形を考えていく土台になっていきます。
今の園でできる「無理なく働く」ための工夫とキャリアの新しい形
クラス以外の小さな役割から経験を広げる
子どもたちの育ちを支えながら無理なく働くために、必ずしも大きな立場や役職を目指す必要はありません。今の園の中で、少しだけ視野を広げてみるだけでも、キャリアの新しい形が見えてくることがあります。
例えば、
・季節に合わせた環境構成を考える係
・運動会や発表会で、一つのコーナーや出し物を中心になって準備する役割
・園だよりやクラスだよりで、子どもたちの姿を言葉にして伝える係
といった「小さな一歩」です。どれも、園児や子どもたちの育ちを支える大事な仕事ですし、自分の得意分野を試してみるきっかけにもなります。
ポイントは、「これなら今の自分でも取り組めそう」と思える範囲で始めることです。いきなり多くを背負い込む必要はありません。できることを一つ増やしてみる感覚で、少しずつ経験の幅を広げていくと、自分らしいキャリアの新しい形が見えやすくなります。
同僚や後輩との関係を育てることもキャリアの一部
長く働いていると、自然と同僚や後輩を支える場面も増えていきます。「教えるのは苦手」と感じる方もいますが、厳しく指導することだけが支えることではありません。
・新しく入った保育士に、ちょっとしたコツや声かけの例を伝える
・行事前に不安そうな同僚に、「一緒にやってみようか」と声をかける
・一日の終わりに、「今日こんな姿が見られたね」と子どもたちの育ちを共有する
こうした関わりも、立派なキャリアの一部です。職員同士が支え合える環境は、そのまま子どもたちの安心にもつながります。幼児教育の知見をもとに考えると、「安心できる大人同士のつながり」の中で、園児や子どもたちは育っていきます。
同僚や後輩との関係を育てることは、「自分だけががんばる保育」から、「チームで育ちを支える保育」へとシフトしていく第一歩でもあります。
園児や子どもたちの「育ちを支える」視点で仕事を整理する
毎日の仕事を振り返るとき、「これはただの作業」「これは大事な仕事」と無意識に分けてしまうことがあります。しかし、そのどれもが、見方を変えると子どもたちの育ちを支える一部になっています。
例えば、連絡帳やおたよりを書く時間も、「文字を書く作業」ではなく、「保護者さんと一緒に子どもたちの育ちを見取る時間」と捉え直すことができます。片付けや環境整備も、「次の日、子どもたちが安心して過ごせる場を整える時間」と考えてみると、意味合いが変わって見えてきます。
もちろん、すべてを前向きに捉えなければならないわけではありません。「これは負担が大きいから見直したい」「ここはもう少し効率化できそう」と感じる視点も、とても大切です。そのうえで、「どの仕事が、どのように子どもたちの育ちを支えているのか」を一度整理してみると、自分が大切にしたい働き方の軸が見えてきます。
それは、「こんな役割を増やしたい」「ここは減らしたい」と考えるヒントにもなり、結果的に無理なく働くための調整にもつながっていきます。
園の外に広がる保育士のキャリアの新しい形
子育て支援・学童など、園外で子どもたちの育ちを支える仕事
保育士の仕事は、保育園やこども園の中だけにとどまりません。子どもたちやご両親を支える場は、園の外にも広がっています。
例えば、
・子育て支援センターや親子ひろばで、乳幼児と保護者さんの居場所づくりに関わる仕事
・学童保育や放課後子ども教室で、小学生の放課後の育ちを支える仕事
・児童発達支援や放課後等デイサービスで、発達が気になるお子さんの育ちを支える仕事
などがあります。どれも、園児や子どもたちの育ちを支えるという軸は変わりませんが、関わり方や一緒に過ごす時間帯、保護者さんとの距離感は少しずつ違ってきます。
今すぐ働き先を変えるかどうかは別として、「こういう場でも保育士の経験が生かせる」という知識を持っているだけで、気持ちの余裕が生まれます。「もし今の働き方が合わなくなっても、子どもたちの育ちを支えながら働ける道はいくつもある」と思えることは、心の支えになります。
働き方を変えるという選択肢(正職・非常勤・パートなど)
子どもたちの育ちを支えながら無理なく働くためには、「働き方の形」を変えるという選択肢もあります。正職員としてフルタイムで働くことだけが、保育士のキャリアではありません。
・正職から非常勤やパート勤務に切り替え、勤務時間を調整する
・早番・遅番の負担を減らし、生活リズムを整えやすい働き方を選ぶ
・週4日勤務など、少しゆとりのある働き方を選ぶ
こうした選択をすることで、心と体に余裕が生まれ、「子どもたちの姿をじっくり見取りやすくなった」という声も多く聞かれます。働く時間を減らすことは、一見キャリアの後退のように感じられるかもしれません。しかし、長期的に見れば、「無理なく続けられる形を選ぶこと」は、キャリアを守る大事な一手になります。
大切なのは、「どの働き方が正しいか」ではなく、「今の自分と、子どもたちの育ちを支えることの両方を大切にできる形はどれか」を一緒に考えていくことです。
オンライン講座や書籍で学び続けることがキャリアにつながる
忙しい毎日のなかで、まとまった勉強時間を確保するのは難しいものです。それでも、少しずつ学び続けることは、子どもたちの育ちを支えながら無理なく働くための、大きな支えになります。
・通勤時間に、保育や子どもの発達に関する記事や音声を少しだけ聞いてみる
・寝る前の10分だけ、気になる分野の本を読む
・オンラインで開催される短時間の講座やセミナーに、ときどき参加してみる
こうした小さな学びの積み重ねは、やがて「子どもたちの見え方」を変えてくれます。行動の背景にある気持ちや発達の流れが見えてくると、イライラする場面が減り、「どう関わろうか」と考えられる余裕が生まれます。
また、学びを通して自分の保育観が整理されてくると、「自分はこういう育ちを支える保育がしたい」「こんなキャリアの新しい形を描きたい」と思えるようになります。その感覚は、園を選ぶときや働き方を考え直すときにも、大きな指針になってくれるはずです。
自分に合う園や働き方を見つけるステップ
「今の自分」と「これからの自分」を整理する
子どもたちの育ちを支えながら無理なく働くためには、いきなり園を変えたり大きな決断をしたりする必要はありません。まずは、「今の自分」と「これからの自分」をていねいに見つめるところから始めてみるとよいです。
おすすめなのは、紙やメモアプリに3つの項目を書き出してみることです。
今、つらいと感じていること
今も続けていきたい、好きだと思えること
本当はこうなったらうれしいと思う働き方
例えば、
・行事前の長時間勤務が続くと、体力的にも精神的にもつらい
・園児や子どもたちの小さな成長の瞬間を、一緒に喜べる時間は大好き
・早番・遅番のバランスを見直しながら、もう少し自分の時間も確保したい
といったように、うまく言葉にならなくても大丈夫です。思いついたことから、ゆっくり書いてみてください。
幼児教育の知見をもとにすると、「子どもの姿を見取る」ことと同じように、「自分の姿を見取る」こともとても大切です。自分が今どんな状態にいるかが見えてくると、必要以上に自分を責めなくてすみますし、次の一歩も考えやすくなります。
園選びでチェックしたいポイント
もし、「今の園で工夫しても、どうしても無理が続いてしまいそう」と感じている場合は、園の環境そのものを見直すことも選択肢に入ってきます。そのときに役立つのが、「園選びのチェックポイント」です。
例えば、次のような視点があります。
保育方針や大切にしていること
・子どもたちの主体性を大事にしているか
・一斉活動中心か、遊びや対話を大切にしているか職員体制や働き方のルール
・クラスの園児数と職員数のバランス
・残業や持ち帰り仕事がどのくらいあるか
・休暇が取りやすい雰囲気か保護者さんや地域との関係
・保護者さんとの連携をどう考えている園か
・クレーム対応を一人で抱え込まない仕組みがあるかチームとして子どもたちの育ちを支える姿勢があるか
・カンファレンスや職員会議で、子どもたちの姿を共有する時間があるか
・困ったときに相談できる同僚やリーダーがいるか
見学や面接の場では、「どんな一日を過ごしていますか?」「職員同士で話し合う時間はありますか?」など、実際の様子がイメージできる質問をしてみるのもおすすめです。
「ここなら、子どもたちの育ちを支えながら、自分も無理なく働けそう」と感じられるポイントがいくつあるかを目安にしてみると、自分に合う園かどうかが少し見えやすくなります。
情報を集めるときに意識したいこと
働き方を見直したいと思ったとき、つい一人で考え込んでしまうことも多いかもしれません。そんなときは、情報を集めること自体を「自分と子どもたちのための準備時間」ととらえてみると、少し気持ちが楽になります。
・口コミだけで判断せず、複数の情報源を見てみる
・ネットの情報に振り回されすぎず、自分の保育観や大切にしたいことを軸に考える
・「完璧な園」を探すのではなく、「無理なく続けられそうな園」を探す
この3つを意識しておくと、必要以上に不安にならずにすみます。
また、働き方や園選びの考え方を整理してくれている情報に触れることも、とても参考になります。子どもたちの育ちを支えながら、保育士がどのように働き方を見直していけるかをまとめたページもありますので、「自分のこれから」を考えたいときに一度目を通してみるのもよいかもしれません。
働き方のパターンや園の探し方を、もう少し具体的に知りたいときはこちらの記事も参考になります。
自分一人で答えを出そうとせず、「こういう考え方もあるんだ」と視野を広げるきっかけにしてみてください。
よくある質問と注意点
今の園を辞めるのは、子どもたちや保護者さんに申し訳ない?
多くの保育士が、「自分が園を離れることは、園児や子どもたち、保護者さんを裏切ることなのでは」と悩みます。それだけ、日々の関係を大切にしている証拠でもあります。
ただ、幼児教育の知見をもとにすると、子どもたちの育ちは「一人の先生」だけで支えられているわけではありません。園全体のチームで育ちを支えることが大切だと言われています。
無理を重ねて心と体が疲れ切ってしまうと、子どもたちの姿を見取る余裕もなくなってしまいます。結果的に、自分にも子どもたちにも苦しい時間が増えてしまうかもしれません。
自分が元気でいられる働き方を選ぶことは、長い目で見れば、子どもたちや保護者さんのためにもなります。「申し訳ない」と感じる気持ちも大切にしつつ、「今できる精一杯をしたうえで、自分と家族、子どもたちのために選ぶ」と考えてみても良いのではないでしょうか。
年齢が上がっても、保育士として続けていける?
年齢とともに体力に不安を感じ、「この先も保育士としてやっていけるのだろうか」と心配になる方もいます。しかし、経験を重ねた保育士だからこそ持っている強みもたくさんあります。
・子どもたちの小さな変化に気づきやすい
・保護者さんの不安や迷いに寄り添いやすい
・同僚や後輩の悩みを受け止め、チームの雰囲気をやわらげられる
こうした力は、短期間では身につきにくいものです。体力的に難しい部分は工夫で補いながら、経験をいかす役割にシフトしていくことも、キャリアの新しい形だといえます。
例えば、体を動かす活動の指揮は若い職員に任せ、全体の様子を見取りながら、さりげなくフォローに回るといった関わり方もあります。「前と同じ働き方」を続ける必要はありません。「今の自分だからこそできる働き方」を探していけると良いですね。
働き方を変えるのは“逃げ”にならない?
「働き方を変える」という言葉に、どこか後ろめたさを感じてしまう方もいます。「もう少し頑張れるはず」「ここで辞めたら負け」と、自分を追い込みすぎてしまうこともあるかもしれません。
けれど、子どもたちの育ちを支えながら無理なく働くという視点から見ると、働き方を見直すことは“逃げ”ではなく、「環境を整えるための前向きな選択」です。
・勤務時間を調整する
・職員体制の整った園を選ぶ
・自分の保育観に近い保育方針の園を選ぶ
こうした調整によって、表情や声かけに余裕が生まれ、子どもたちの姿を見取りやすくなるのであれば、それはむしろ、より良い保育につながっています。
大切なのは、「逃げかどうか」を気にすることではなく、「自分と子どもたちの育ちを守る選択になっているかどうか」です。
キャリアの新しい形を考えるときの注意点
キャリアの新しい形を考えるときには、いくつかの注意点もあります。
・あせって結論を出そうとしない
・情報だけを見て決めず、自分の気持ちや生活とのバランスも大切にする
・役割や資格を増やしすぎて、かえって自分を追い込まない
また、資格取得や講座参加には、時間や費用がかかります。興味のあるものを少しずつ試しながら、「これは自分に合いそう」「これは今はタイミングではない」という感覚を育てていけると安心です。
キャリアの新しい形は、誰かが用意してくれるものではなく、自分自身が少しずつ形づくっていくものです。「完璧な答えを見つけよう」とするよりも、「今の自分にとって心地よい次の一歩は何か」を考えていく姿勢を大切にしていきたいですね。
まとめ ー これから試してみたい工夫
子どもたちの育ちを支えながら無理なく働くことは、決して特別な人だけができることではありません。
・心と体の状態を大事にしながら働くこと
・自分の保育観や得意分野を言葉にしていくこと
・働く環境との相性を見直し、ときには形を変えることも選択肢に入れること
これらを少しずつ積み重ねていくことで、保育士が描くキャリアの新しい形は、ゆっくりと形になっていきます。
今日からできる「これから試してみたい工夫」として、例えば次のようなことがあります。
・一日の終わりに、「うれしかった子どもたちの姿」を3つメモしてみる
・自分が好きな保育の場面を一つだけ決めて、明日その時間をいつもより少し丁寧に味わってみる
・信頼できる同僚や家族に、「最近の働き方について考えていること」を少しだけ話してみる
・働き方や園選びについて、こちらのページを読みながら、自分のペースで情報を集めてみる
すべてを一度に変える必要はありません。子どもたちの育ちを支えるのと同じように、自分自身のキャリアも、ゆっくり育てていけば大丈夫です。
「子どもたちと一緒に笑っていたい」「これからも保育を続けていきたい」という思いを大切にしながら、無理なく働ける道を少しずつ探していけるといいですね。
