
「うちの子は、どうしてこんなにこだわりが強いのだろう…」
「遊びや生活の流れを変えるとパニックになってしまう」
「集団に入ると、うまく合わせられない」
子育てをしていると、このような場面に直面するご両親は少なくありません。とくにASD(自閉スペクトラム症)の傾向を持つお子さんは、日常の中で強いこだわりを示すことがあります。例えば、同じお皿でしか食事をしたがらない、毎日同じルートで登園したがる、遊び方を変えたがらないなどです。
もちろん、こだわりを持つこと自体は「悪いこと」ではありません。むしろ強い集中力や得意分野の発見につながることもあります。ただ、そのこだわりが強すぎると、ご家庭の生活リズムが乱れたり、園や学校での集団生活に支障をきたしたりすることがあります。ご両親としては「どう対応したらいいのか」「叱るべきなのか」「受け止めるべきなのか」と悩むのは自然なことです。
この記事では、ASD傾向に役立つ療育的アプローチを中心に、「子どものこだわりが強いときの対応法」をわかりやすく解説していきます。専門用語も噛み砕いて説明し、すぐにご家庭で実践できる工夫を紹介します。さらに中盤では、家庭だけでは難しい部分を補う療育プログラムについても触れ、ご両親が安心してお子さんの育ちを支えられるように導きます。
子どものこだわりとは?
こだわりとは、特定のやり方やものに強く執着し、それを変えたり中断したりすることが難しい状態を指します。発達が気になるお子さんにとって、この「こだわり」は日常の安心感を保つための大切な行動でもあります。
こだわりが強い行動の特徴
決まった順序で物事を行わないと落ち着かない
特定の持ち物や衣服に固執する
同じテレビ番組や音楽を繰り返し見たがる・聴きたがる
予定が急に変わると強い不安や怒りを示す
これらの行動は、ただのわがままではなく、お子さんなりの「安心の方法」なのです。
ASD傾向のお子さんに見られる「こだわり」の種類
感覚へのこだわり:服のタグを嫌がる、特定の食感を避けるなど。
行動のこだわり:順番や手順に厳密で、崩れると混乱する。
興味のこだわり:特定の分野(電車、恐竜、数字など)に強い集中を示す。
こだわりが強いことで困りやすい場面
朝の身支度が進まず、登園・登校に遅れがちになる
集団行動の中で融通がきかず、友達とのトラブルが増える
ご両親が「早くして!」と叱り、親子関係がギクシャクする
「こだわりがある=問題」と考える必要はありません。ただ、その背景を理解し、適切な関わり方を知ることで、日常生活がぐっとスムーズになります。
なぜこだわりが生まれるのか?
こだわりが生まれる理由を知ることは、対応を考える第一歩です。
脳の特性や感覚の敏感さ
ASD傾向のお子さんは、脳の情報処理の特性から「予測できるもの」「繰り返しのあるもの」を好む傾向があります。感覚が敏感な場合、環境の変化や新しい刺激に強い不安を覚えるため、慣れたやり方にこだわるのです。
安心を求める心の働き
大人でも、慣れた手順や決まったルーティンがあると安心することがありますよね。お子さんにとってこだわりは「自分の世界をコントロールできている」という安心のサインでもあります。
環境や生活習慣の影響
急なスケジュール変更や説明不足は、不安を大きくし、こだわりを強めるきっかけになります。親御さんの声かけや家庭の環境が、こだわりの強さに影響することも少なくありません。
家庭でできる具体的な対応の工夫
こだわりの強さに直面すると、「やめさせなきゃ」と焦るご両親も多いかもしれません。しかし大切なのは「こだわりを取り除く」のではなく、「こだわりとうまく付き合う方法」を見つけることです。家庭で取り入れやすい工夫をいくつか紹介します。
具体的な声かけをする
「ちゃんとして」「早くして」など抽象的な言葉は、お子さんには伝わりにくいことがあります。
代わりに「パジャマをたたんでタンスに入れよう」「靴を玄関にそろえてね」と、やることを具体的に伝えると理解しやすくなります。
見える形で流れを示す
言葉だけではなく、絵カードやチェックリストで手順を示すと効果的です。たとえば「①顔を洗う → ②ご飯を食べる → ③歯をみがく」とイラストで見える化すると、次にやることをイメージしやすくなります。
小さな成功を積み重ねる
大きな課題に挑戦するよりも、「今日は靴下を一人で履けたね」と小さなできたを積み重ねていきましょう。褒められる体験が増えると、「次もがんばってみよう」という気持ちにつながります。
子どものペースを尊重する
急かすとパニックになりやすいため、数分の余裕を持って行動を促すことが大切です。タイマーを使って「あと3分で出発するよ」と伝えるのも有効です。
療育的アプローチを家庭に取り入れる
ご家庭でできる工夫に加え、専門家が提案する療育的アプローチを知っておくと対応の幅が広がります。
ABA(応用行動分析)
望ましい行動を「ほめる」ことで強化していく方法です。たとえば「片づけができたらシールを貼る」という仕組みをつくり、行動とごほうびを結びつけます。小さな達成感を繰り返すことで、行動が安定していきます。
TEACCH(構造化された教育)
環境や時間の流れをわかりやすく示す方法です。机の上を区切って作業スペースを明確にしたり、活動ごとに場所を決めたりすることで、お子さんが安心して取り組めるようになります。
感覚統合あそび
ブランコ、ボール遊び、リズム遊びなどを通して、体の感覚をバランスよく育てる方法です。感覚が過敏だったり鈍かったりするお子さんにとって、遊びを通じた刺激の調整は生活全体を落ち着かせる効果があります。
これらの方法は、すべてご家庭で応用できます。ただしご両親が自己流でやろうとすると「これで合っているのかな?」と迷うことも多いため、信頼できるプログラムや専門家のアドバイスを参考にするのがおすすめです。
よくある対応の失敗と注意点
一生懸命支援しようとするからこそ、つい陥りがちな失敗もあります。事前に知っておくと、落ち着いて関われるようになります。
強引にやめさせようとする
「もうその遊びはやめなさい!」と強制的にやめさせると、反発やパニックにつながります。こだわりを否定するのではなく、「5分遊んだら次はごはんにしようね」と区切りをつけるほうがスムーズです。
叱る回数が増えてしまう
「また片づけてないの?」「どうして言うことを聞けないの?」と叱ってばかりいると、親子関係がぎくしゃくしてしまいます。叱るのではなく、「一緒にやろう」と協力の形に変えると気持ちも和らぎます。
ご両親が疲れ切ってしまう
対応に追われていると、お父さんお母さんが心身ともに疲れてしまうこともあります。ときには「今日はできなくても大丈夫」と気持ちをゆるめたり、園や学校、療育機関に相談してサポートを得ることも必要です。
自然に「詳しい対応」へ導く流れ
ここまででご紹介したように、家庭でできる工夫や療育的なアプローチはたくさんあります。しかし実際に取り組んでみると「やっぱり難しい」「続けられるか不安」と感じる親御さんも多いのではないでしょうか。
そこで、専門的なプログラムを家庭に取り入れるという方法があります。無理なく続けられる形で、毎日の生活に役立つ支援を学べる教材やサポートがあると安心ですよね。
次の章では、具体的にどのようなプログラムがあるのかをご紹介します。ご家庭の支援をさらに広げる選択肢として、参考にしていただけたらと思います。
家庭で取り入れられる療育プログラムとは
ご家庭だけで工夫するのも大切ですが、「これでいいのかな?」と迷いながらの取り組みは長続きしにくいものです。そこで役立つのが、体系的に整理された療育プログラムです。専門家が監修した内容を家庭で実践できる形にまとめているため、安心して取り入れることができます。
たとえば 四谷学院の「療育55レッスン」 は、発達が気になるお子さんとご両親のために作られた家庭療育プログラムです。55のステップを通して、「どの順番で、どんな関わりをすればいいのか」がわかりやすく示されています。
特徴1:段階的なステップアップ
7つの発達段階に分けられており、お子さんが「できるところ」から無理なく始められます。成功体験を積み重ねていくことで「もっとやりたい」という意欲が育ちやすくなります。
特徴2:短時間で取り組める
1日10〜15分を2〜3回と、生活に取り入れやすい設計です。忙しい親御さんでも続けやすく、負担感が少ないのが魅力です。
特徴3:担任制のサポート
教材だけでなく、記録シートを通じて専門家からアドバイスをもらえる仕組みがあります。「このやり方で合っているのかな?」という不安を解消しながら進められるのは大きな安心材料です。
どんな家庭に向いているのか
「療育55レッスン」は、次のようなご家庭に特におすすめです。
発達の遅れがあるかもしれないと感じているが、専門機関に通う前に家庭でできることを知りたい
子どもの得意・不得意に合わせて、具体的な声かけや遊び方を学びたい
忙しくても短時間で続けられる方法を探している
成長の過程を整理して、お子さんの育ちを支える視点を身につけたい
これらに当てはまる方には、日常生活の中で安心して取り入れられるプログラムとなるといいですね。
家庭での実践例
実際に「療育55レッスン」を取り入れたご家庭の体験談を見てみましょう。
3歳男の子のケース
言葉がなかなか出ずに悩んでいた親御さん。絵カードを使ったレッスンを始めてから、徐々に「ちょうだい」「ママ」といった単語が出るようになりました。お母さんは「小さな一歩がこんなに嬉しいのかと感じた」と語っています。
5歳女の子のケース
着替えや片づけが苦手で、毎日の生活で親子ともにストレスを感じていたケース。レッスンを通じて「手順を分けて練習する」方法を取り入れた結果、少しずつ自分から行動できるようになりました。お父さんは「叱る回数が減り、家の中の雰囲気が良くなった」と実感しています。
よくある質問とその答え
Q1. 専門的な知識がなくても取り組めますか?
A. 担任制のサポートやマニュアルが用意されているため、専門知識がなくても安心して始められます。
Q2. 続けられるか不安です…
A. 1日10分から始められるので、負担が大きくなく習慣化しやすいです。まずは「1週間続けてみよう」と小さな目標を立てるのがおすすめです。
Q3. 兄弟姉妹と一緒に取り組んでも大丈夫ですか?
A. 一緒に遊びながら取り入れると、自然に社会性や協調性も育ちます。ただし、無理に同じ課題をやらせる必要はありません。
家庭での支援をさらに広げたいご両親へ
ご家庭での工夫だけでは「正しくできているのかな?」と迷う場面も出てきます。そんなとき、体系化されたプログラムを取り入れると、毎日の関わりに自信が持てるようになります。
四谷学院の「療育55レッスン」は、家庭療育に取り組みたい親御さんの強い味方です。
もし「詳しい内容を知りたい」「うちの子に合うのか気になる」と思った方は、まずは下記の記事をご参照ください。
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療育的アプローチを取り入れるときの注意点
家庭で療育を実践するのはとても有意義ですが、いくつか気をつけておきたい点もあります。
完璧を目指さない
お子さんの成長は一人ひとり違います。プログラム通りに進まないこともありますが、それは「遅れている」ということではなく、その子のペースで歩んでいるということです。焦らずに「できている姿を見取る」ことを意識しましょう。
無理にやらせない
「今はやりたくない」というときに無理に取り組ませると、逆に嫌な印象が残ってしまいます。お子さんが自然に取り組めるような工夫をし、遊び感覚で続けていくことが大切です。
専門機関との併用も視野に
家庭での支援はとても効果的ですが、医療や福祉の支援が必要なケースもあります。気になる症状や行動がある場合は、かかりつけ医や専門機関に相談しながら進めると安心です。
デメリットや難しさも正直に
「療育55レッスン」をはじめとした家庭療育プログラムにも、課題や難しさがあります。
継続が必要:1日や2日で効果が出るものではありません。コツコツ積み重ねる姿勢が求められます。
親の関わりが必須:ご両親が主体的に取り組むため、仕事や家事との両立が大変に感じることもあります。
子どもによって合う・合わないがある:どんなプログラムも万能ではありません。わが子に合うかどうかは実際に試してみて見極めていく必要があります。
こうした点を理解したうえで取り入れると、無理のない形で続けられるといいですね。
実際に取り入れた家庭の声
ここでは、実際に家庭療育を実践している親御さんの感想を紹介します。
「叱ることが減り、子どもを肯定する声かけが増えました。親としても気持ちが楽になりました」
「小さなステップごとに進められるので、うちの子でも『できた!』を積み重ねられています」
「兄弟と一緒に楽しみながらできるのが良いです。上の子も自然と優しく関わるようになりました」
体験談を読むと、プログラムを通じてお子さんだけでなく、ご両親の気持ちにも変化が生まれることがわかります。
家庭での支援をさらに広げたいご両親へ
もし「自分たちの関わりをもっと整理したい」「遊びの中で学びを深めたい」と感じているなら、体系化されたプログラムを取り入れるのがおすすめです。
四谷学院の 「療育55レッスン」 は、日常に無理なく取り入れられるよう設計されており、1日10〜15分から始められます。さらに担任制のサポートがあるため、取り組みの方向性を見失う心配もありません。
「うちの子に合っているのかな?」と迷っている方は、こちらの記事をご覧ください。少しの一歩が、親子の大きな変化につながるかもしれません。
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まとめ
お子さんの「こだわり」や「発達の特性」は、決して悪いものではなく、その子らしさの一部です。大切なのは、その特性を理解し、育ちを支える関わり方を見つけることです。
家庭療育は、ご両親が「できている姿を見取る」力を育て、日々の子育てを前向きに変えていきます。焦らず、短時間から始めることで、小さな成功体験が積み重なり、お子さんの自信と意欲が育まれるといいですね。
そして、ご家庭だけで抱え込まず、信頼できるプログラムや専門家のサポートを活用することで、ご両親の気持ちも軽くなります。子育てを一緒に支えてくれる存在を味方につけながら、安心できる環境づくりを進めていただけたらと思います。
