
「友だちと遊んでいても、順番を待つことが難しい」
「おもちゃを貸してほしいときに、うまく言葉で伝えられない」
「ゲームに負けると怒ってしまう」
そんなお子さんの姿を見て、「これから園や学校でうまくやっていけるのかな」と心配になるお父さん、お母さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
人と関わるために必要な力は、最初から身についているものではありません。
大人とのやりとりや友だちとの遊びを経験しながら、少しずつ育っていきます。
そこで発達支援の場などで取り入れられている方法の一つが、ソーシャルスキルトレーニング(SST)です。
「トレーニング」と聞くと、専門的な教材を使って練習するイメージがあるかもしれません。
でも、幼児期のお子さんの場合は、家庭での遊びや毎日の生活の中でも取り入れられます。
例えば、親子でボールを交代で転がすことも「順番を待つ」経験になります。
お店屋さんごっこで「ください」「どうぞ」とやりとりすることも、社会性を育てる遊びになります。
大切なのは、正しい行動を無理に覚えさせることではありません。
お子さんが「伝わった」「一緒にできた」「こんな方法もあるんだ」と感じる経験を少しずつ増やすことです。
この記事では、家庭でできるソーシャルスキルトレーニング(SST)について、遊びを通して社会性を育てる具体的な方法を紹介します。
全部を一度にする必要はありません。
「これなら一緒にできそう」と思うことから始めてみましょう。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?家庭でもできる?
SSTは「人とうまく関わる方法」を経験する取り組み
SSTは「Social Skills Training(ソーシャルスキルトレーニング)」の略です。
少し難しい言葉ですが、簡単にいうと、人と一緒に生活するときに必要になる方法を、実際の場面を想定しながら経験していく取り組みです。
例えば、子どもの生活には、
- 順番を待つ
- お願いする
- 断る
- 自分の気持ちを伝える
- 困ったときに助けを求める
といった場面があります。
大人にとっては自然にできていることでも、幼児期のお子さんにとっては、経験しながら少しずつ身につけていくものです。
「どうして貸してって言えないの?」
と叱るより、
「こんなときは『貸して』って言ってみようか」
と具体的な方法を経験する方が、お子さんにもわかりやすくなります。
幼児期は「教える」より遊びの中で経験する
幼児期のSSTでは、長い説明を聞いて理解することよりも、実際に経験することが大切です。
例えば、順番を待つことが苦手なお子さんに、
「順番は守らないといけません」
と何度伝えても、実際の場面では難しいことがあります。
そんなときは、ボールを使って、
「お母さんの番」
「次は○○ちゃんの番」
と交代しながら遊んでみます。
待ったあとに自分の番が来る。
その経験を繰り返すことが、「順番」という仕組みを理解するきっかけになります。
SSTは「良い子にするための練習」ではない
家庭でSSTを取り入れるときに大切にしたいことがあります。
それは、大人にとって都合のよい行動を覚えさせることを目的にしないことです。
例えば、何でも「はい」と受け入れられることが社会性ではありません。
嫌なときに「いや」と伝えることも大切です。
困ったときに「手伝って」と言えることも、人と関わりながら生活するための大切な力です。
お子さん自身が過ごしやすくなるために、どんな方法を知っておくとよいのか。
そんな視点から育ちを支えていきましょう。
家庭でのSSTで育てたい4つの社会性
「待つ・交代する」力
幼児期には、自分が遊びたいものをすぐ使いたくなることがあります。
「待って」と言われても、どのくらい待てばいいのかわからないこともあります。
家庭では、ボール遊びや簡単なゲームなどを使い、
「お父さんの番」
「次は○○ちゃん」
と短い交代から始めてみましょう。
最初から長時間待つ必要はありません。
数秒待ったら自分の番が来たという経験だけでも十分です。
「お願いする・断る」力
友だちが使っているおもちゃを使いたい。
でも「貸して」と言えず、取ってしまう。
こうした姿が見られることがあります。
反対に、嫌なのに「いや」と言えないお子さんもいます。
家庭のごっこ遊びの中で、
「貸して」
「いいよ」
「あとでね」
というやりとりを経験してみましょう。
断ることも社会性の一つです。
「今は使っているよ」と伝える方法を知っていることで、トラブルを減らせる場合があります。
自分の気持ちを伝える力
かんしゃくや泣いている姿だけを見ると、「どうしてそんなに怒るの?」と思ってしまうことがあります。
でも、その奥には、
「まだ遊びたかった」
「負けて悔しかった」
という気持ちがあるかもしれません。
まだうまく言葉にできないときは、大人が、
「悔しかったね」
「まだやりたかったんだね」
と気持ちを言葉にします。
少しずつ、自分の感じていることと言葉がつながっていきます。
困ったときに「助けて」と伝える力
社会性というと、「自分でできるようになること」を思い浮かべるかもしれません。
でも、人に助けを求めることも大切な力です。
難しいことに出会ったとき、黙ってしまうお子さんもいます。
できなくて怒ってしまうこともあります。
そんな場面では、
「手伝ってって言っていいんだよ」
と伝えます。
困っている姿を見取ったときこそ、「人に頼ってもいい」という経験につなげてあげましょう。
家庭でできるSST|遊びながら社会性を育てる6つの方法
①ボール交代あそび・②すごろく
ボールを使った遊びは、家庭で簡単に取り入れられます。
親子で向かい合って座り、
「どうぞ」
と言いながらボールを転がします。
お子さんが返してくれたら、
「ありがとう」
と伝えます。
最初は一往復できれば十分です。
慣れてきたら「お母さんの番」「○○ちゃんの番」と順番を言葉にしてみましょう。
簡単なすごろくも、順番を経験する遊びになります。
ただし、勝つことだけが目的にならないようにします。
「待てたね」
「順番できたね」
と、遊びの中で見られた姿を認めてあげましょう。
③お店屋さんごっこ・④ぬいぐるみごっこ
お店屋さんごっこでは、
「りんごください」
「どうぞ」
「ありがとう」
といったやりとりを自然に経験できます。
最初は言葉がすべて出なくても構いません。
お子さんが物を渡したら、「どうぞできたね」と伝えます。
ぬいぐるみを使った遊びもおすすめです。
例えば、くまのぬいぐるみがおもちゃを持っていることにします。
「うさぎさんも使いたいみたい。どうしたらいいかな?」
と聞いてみます。
お子さん自身の出来事として考えるより、ぬいぐるみを通した方が気楽に考えられることがあります。
⑤気持ち当てあそび
絵本やイラストを見ながら、
「この子、どんな気持ちかな?」
と一緒に考えてみます。
答えられなくても大丈夫です。
「うれしいかな?悲しいかな?」
と二つから選んでもらう方法もあります。
大切なのは、正解を当てることではありません。
「こんなときは、こんな気持ちになることもあるんだね」と、感情と言葉をつなげることです。
日常生活でも、「うれしかったね」「びっくりしたね」と言葉を添えていきましょう。
⑥「こんなときどうする?」ごっこ
日常生活で困りやすい場面を、人形などを使って遊びにしてみます。
例えば、お友だちが使っているおもちゃを使いたい場面です。
「くまさん、この車を使いたいみたい。どうしたらいいかな?」
と聞きます。
答えが出なければ、
「貸してって言ってみようか」
と大人がやって見せます。
実際にトラブルになってお子さんの気持ちが高ぶっているときよりも、落ち着いている遊びの時間に経験する方が取り組みやすいでしょう。
SSTを日常生活につなげるための関わり方
大人が先に「やって見せる」
幼児期のお子さんには、「こうしてください」と説明するだけでなく、大人が見本を見せることが役立ちます。
例えば、おもちゃを借りる場面なら、
「貸して」
「どうぞ」
「ありがとう」
というやりとりを、お父さん、お母さんが実際にやって見せます。
そのあとで、「一緒にやってみる?」と誘います。
できなければ、また大人が見せれば大丈夫です。
一度で覚える必要はありません。
できた行動を具体的な言葉で伝える
お子さんがうまくできたときは、「えらいね」だけで終わらせず、何ができたのかを具体的に伝えてみましょう。
「順番を待てたね」
「貸してって言えたね」
「困ったときに手伝ってって言えたね」
そう伝えることで、お子さん自身も「これがうまくいったんだ」と理解しやすくなります。
小さな姿を見つけて伝えることが、次の挑戦につながります。
家庭と園でうまくいった方法を共有する
家庭では「貸して」と言えるのに、園では難しい。
反対に、園では順番を待てているのに、家庭では難しい。
そんなこともあります。
環境が違えば、お子さんの姿も変わります。
家庭でうまくいった声かけを園の先生へ伝えてみましょう。
園でうまくいっている方法を家庭でも聞いてみます。
家庭と園の両方からお子さんの姿を見取ることで、その子に合った方法が見つけやすくなります。
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家庭でSSTをするときの注意点・デメリット
「正しい答え」を押しつけすぎない
SSTを始めると、「正しい言い方を覚えさせなければ」と考えてしまうことがあります。
でも、人との関わりには一つだけの正解があるわけではありません。
「貸して」と伝える方法もあれば、「終わったら貸して」と伝える方法もあります。
大切なのは、お子さんが使える方法を少しずつ増やすことです。
「絶対にこうしなければならない」ではなく、「こんな方法もあるね」と伝えていきましょう。
難しすぎる課題は負担になる
まだ数秒待つことが難しいお子さんに、長時間待つことを求めるのは大変です。
まずは短い時間から始めます。
ボール遊びなら、お父さんが一回投げたらすぐお子さんの番にします。
できたら少しずつ時間を広げていきます。
今のお子さんより、「少しだけ頑張ればできそう」というところを選ぶことがポイントです。
毎日しなければと考えなくてもいい
家庭でのSSTには、親御さんが頑張りすぎてしまうという注意点もあります。
「今日はSSTをしなければ」
「毎日10分は取り組まなければ」
と考えると、お父さん、お母さん自身が疲れてしまいます。
生活の中で「貸して」「どうぞ」を一度経験しただけでも十分です。
親子で楽しく続けられることを大切にしましょう。
困りごとが強い場合は専門家にも相談する
家庭でできるSSTは、お子さんの育ちを支える方法の一つです。
一方で、園生活で大きな困りごとが続いていたり、強いかんしゃくによって本人や家族が困っていたりする場合は、ご家庭だけで抱え込む必要はありません。
園の先生や自治体の発達相談、小児科、療育機関などへ相談してみましょう。
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家庭でSSTを続けたいと思っても、「次は何をすればいいの?」「今のお子さんにはどのくらいの課題が合うの?」と迷うことがあります。
家庭での取り組みをもう少し順序立てて進めたい方は、家庭向けの療育教材を確認してみる方法もあります。
四谷学院の「療育55レッスン」
家庭でSSTを体系的に続けたいなら四谷学院「療育55レッスン」
「次は何をすればいい?」という家庭療育の迷いに
家庭でSSTを取り入れていると、
「この次は何をすればいい?」
「今のお子さんには、どのくらいの課題が合っているのかな?」
と迷うことがあります。
毎回ご両親だけで活動を考えるのは大変ですよね。
家庭での関わりをもう少し順序立てて進めたい場合には、家庭向けの療育プログラムを活用する方法もあります。
四谷学院「療育55レッスン」は、発達が気になるお子さんが家庭で取り組めるように作られたプログラムです。
年齢だけで判断するのではなく、お子さんの今の「できること」に合わせて進めていきます。
7段階・各55ステップで少しずつ取り組める
療育55レッスンはA~Gの7段階に分かれており、それぞれ55のステップで構成されています。
今のお子さんに合ったところから始められるため、
「いきなり難しい課題になってしまう」
という状況を避けやすくなります。
「次に何をすればいいのかわからない」という親御さんにとって、順番が整理されていることも安心材料になるでしょう。
1回10~15分程度だから家庭に取り入れやすい
幼児期のお子さんに、長時間課題へ取り組んでもらうことは簡単ではありません。
療育55レッスンは、1回10~15分程度を目安に進められます。
長時間まとめて取り組むのではなく、家庭生活の中で短い時間から始められます。
教材には問題プリントや絵カードなどがあり、親御さん向けの指導書も用意されています。
「何のためにする課題なのか」「うまくいかないときはどうするのか」を確認しながら進められることも特徴です。
専任の担任に家庭での取り組みを相談できる
家庭療育で難しいのは、
「この進め方で合っているのかな?」
と迷ったときです。
療育55レッスンでは、お子さん専任の担任へ、課題の進め方や家庭での困りごとを相談できる仕組みがあります。
ご両親だけで考え続けるのではなく、お子さんの姿を確認しながら進められることは心強いポイントです。
「わが家でも続けられそう」と感じた方は、まず無料資料で実際の教材や家庭での進め方を確認してみましょう。
四谷学院の「療育55レッスン」
まずは無料資料でお子さんに合うか確認する
家庭向けの教材にも、お子さんとの相性があります。
いきなり受講を決める必要はありません。
まずは無料資料で教材や進め方を確認してみましょう。
確認したいのは、
- 今のお子さんに合いそうか
- 親子で取り組めそうか
- 家庭で無理なく続けられそうか
という点です。
お子さんに合うスタート段階を確認するための判定テストもあります。
「これならわが家でも続けられそう」と思えるかを確認してから検討すると安心です。
四谷学院『療育55レッスン』の特徴・メリット・注意点を詳しく見てみる。
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よくある質問とまとめ|これから試してみたい工夫
SSTはASDや発達障害のあるお子さんだけがするものですか?
診断の有無だけで考える必要はありません。
順番を待つことや、自分の気持ちを伝えること、人に助けを求めることは、さまざまなお子さんの社会性の育ちに関わります。
家庭では「SSTをしよう」と構えすぎず、普段の遊びの中に取り入れてみましょう。
SSTは何歳からできますか?
「何歳になったら始める」と一律に決めるものではありません。
幼児期では、難しい説明や練習よりも、遊びや日常生活のやりとりから始めると取り入れやすくなります。
お子さんの発達や興味に合わせることが大切です。
ことばがまだ少なくてもSSTはできますか?
できます。
コミュニケーションは、言葉だけではありません。
指さしをした。
大人を見た。
手を伸ばした。
そうした姿も大切な意思表示です。
まずは「伝えたら相手にわかってもらえた」という経験を積み重ねていきましょう。
まとめ|これから試してみたい工夫
家庭でできるソーシャルスキルトレーニング(SST)は、特別な教材を使って長時間練習することだけではありません。
親子の遊びや毎日の生活の中にも、社会性を育てる機会はたくさんあります。
これから試してみたい工夫として、まずは、
- ボールを親子で一往復してみる
- 「貸して」「どうぞ」を一度やってみる
- お子さんの気持ちに短い言葉を添える
- できた行動を具体的に伝える
- うまくいった方法を園とも共有する
ところから始めてみましょう。
全部を一度にする必要はありません。
一回だけ順番を待てた。
「いや」と自分の気持ちを伝えられた。
困ったときに大人の方を見た。
そんな小さな姿も、大切な育ちです。
「まだできない」と見るのではなく、「今日はこんなことができた」とお子さんの姿を見取ってあげましょう。
そして、「家庭でもう少し順序立てて取り組みたい」「次に何をすればよいのか知りたい」と感じたときには、家庭向けの療育教材を活用する方法もあります。
四谷学院「療育55レッスン」も、まずは無料資料で教材内容や家庭での進め方を確認できます。
いきなり受講を決める必要はありません。
お子さんに合いそうか、ご家庭で無理なく続けられそうかを見てから検討してみましょう。
親子の小さなやりとりを積み重ねていくことが、人と関わる力を育て、お子さんのこれからの育ちを支えることにつながります。
四谷学院の「療育55レッスン」


