子育て

【解説】療育センター・児童発達支援事業所とは?公的機関の仕組みと利用方法・メリットまとめ

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子どもの発達について、「このままで大丈夫かな?」と胸がぎゅっとなる瞬間はありませんか。ことばがゆっくり、お友だちとのトラブルが多い、じっと座っていられない…。お子さんの姿を見取るからこそ、親御さんの不安は大きくなりますよね。

一方で、「相談するほどのことなのか分からない」「どこに電話すればいいの?」と迷っているお父さん、お母さんも多くいます。周りにはなかなか聞きづらく、インターネットで調べても難しい言葉や情報が多くて、かえって不安が増えてしまうこともあります。

そこで役に立つのが、「療育センター」や「児童発達支援事業所」といった専門機関です。これらは、公的な仕組みの中でお子さんの発達をていねいに見取り、その子らしい育ちを支えることを目的とした場所です。

このページでは、幼児教育の知見をもとに、これらをできるだけ分かりやすくお伝えします。読み進めるうちに、

・自分の子どものどんな様子を見て相談したらよいか
・療育センターや児童発達支援事業所では何をしてくれるのか
・利用までの流れや、親御さんにとってのメリット・注意点

といったポイントが整理でき、「まずはここから動いてみよう」と思えるようになることを目指しています。

子どもの発達が気になるときに…ひとりで抱え込まないで

パパ・ママが感じやすい「ちょっと気になる」サインとは?

発達が気になると言っても、その表れ方はお子さんによって実にさまざまです。例えば、次のような姿に心当たりはないでしょうか。

・同じ年齢のお友だちに比べて、ことばが少ない・はっきりしない
・名前を呼んでも振り向きにくい、指示が通りにくい
・かんしゃくが強く、気持ちの切り替えに時間がかかる
・こだわりが強く、順番ややり方が変わるとパニックになってしまう
・集団での活動に入りにくい、お友だちとのトラブルが多い

こうした様子は、「性格かな」「きっとそのうち落ち着くはず」と受け止められることもあります。一方で、周りのお子さんとの違いがはっきり見えてくると、親御さんの心の中には「もしかして発達の問題?」「自分の育て方が悪かったのかな」という不安や自責の思いが生まれやすくなります。

しかし、ここでお伝えしたいのは、「不安に気づけること」自体が、お子さんの育ちを支えるうえで大切な力だということです。お子さんの姿をていねいに見取るからこそ、違和感や心配に気づけているのです。

「様子を見ましょう」で終わらせないために

健診や園で相談したとき、「もう少し様子を見ましょう」と言われた経験のある方もいるかもしれません。この言葉自体が必ずしも悪いわけではありませんが、親御さんにとっては「何をどう見ればいいの?」「結局どうしたらいいの?」とモヤモヤが残りやすい表現でもあります。

発達の凸凹や特性は、年齢が上がるにつれて見え方が変わることがあります。そのため、短い期間だけでは判断がつきにくいケースもありますが、一方で、早い段階から関わり方を整えていくことで、お子さんが過ごしやすくなる場面が増えることもたくさんあります。

「様子を見る」ときに大切なのは、ただ時間が過ぎるのを待つのではなく、

・どんな場面で困り感が出やすいのか
・どのような関わりをすると落ち着きやすいのか
・少し成長を感じられた瞬間はいつか

といった点を、親御さんや園の先生と一緒に振り返っていくことです。そのプロセスを支えてくれるのが、療育センターや児童発達支援事業所といった専門機関です。

相談してもいいタイミングの目安

「どの程度気になったら相談していいのか分からない」という声は、とてもよく聞かれます。ここではあくまで一例ですが、相談のきっかけになりやすい目安を挙げてみます。

・1〜2歳ごろになっても指さしや簡単なやりとりが少ない
・2〜3歳ごろになっても単語がほとんど増えない、二語文が出てこない
・集団に入ると極端に不安定になり、活動に参加できないことが多い
・家庭でも園でも、関わり方に困っているという声が続いている

もちろん、これに当てはまるからといって、すぐに診断やラベルがつくわけではありません。「少し気になることが続いているから、専門家の視点も聞いてみたい」という気持ちで、相談してみてかまいません。

幼児教育の知見をもとに考えても、早い段階で関わり方を整えることは、お子さんの可能性を狭めるどころか、むしろ広げていくことにつながります。「心配しすぎかな」とためらうより、「一度聞いてみてから考えよう」と動き出してみませんか。

療育センター・児童発達支援事業所とは?

療育センターとは?公的機関としての役割と特徴

まず、「療育センター」と呼ばれる場所について整理してみましょう。名称は地域によって少し違い、「発達支援センター」「発達相談センター」などと呼ばれることもありますが、多くは自治体や公的機関が関わっている相談窓口です。

療育センターでは、

  • お子さんの発達に関する相談受付

  • 発達検査や心理検査などの専門的なアセスメント

  • 必要に応じた療育や親子教室の案内

  • 児童発達支援事業所や医療機関など、ほかの支援先との連携

といった役割を担っています。

ここには、小児科医・臨床心理士・作業療法士・言語聴覚士・保育士・相談員など、さまざまな専門職が関わっていることが多く、「いろいろな視点からお子さんの姿を見取る」場になっています。

「どこに相談したらいいか分からない」というとき、まず療育センターに電話してみる、という流れはとても自然な一歩です。診断をつけることだけが目的ではなく、生活や遊びの中で、どう育ちを支えるかを一緒に考えてくれる場所だと捉えてみてください。

児童発達支援事業所とは?保育園・こども園との違い

次に、「児童発達支援事業所」についてです。こちらは福祉サービスの一つで、主に未就学のお子さんが通う「通所支援」の場です。見学に行くと、少人数で遊んでいたり、個別で活動していたり、保育園やこども園とは少し違う雰囲気を感じるかもしれません。

大きな違いは、「預かり」が目的ではなく、「発達を支える療育」が目的になっている点です。日常生活で困りやすいところに焦点をあて、

  • 身の回りのこと(着替え・食事など)の練習

  • ことばやコミュニケーションの練習

  • 体の使い方・感覚の整え方の練習

  • 集団での過ごし方に慣れていく経験

などを、遊びを通して積み重ねていきます。

保育園やこども園が「生活と遊びの場」だとすると、児童発達支援事業所は「生活と遊びの場で困りやすいお子さんを、より専門的に支える場」とイメージすると分かりやすいかもしれません。

利用できる子どもの年齢と発達の目安

療育センター・児童発達支援事業所ともに、主な対象は乳幼児から就学前のお子さんです。ただし、実際の対象年齢や利用条件は自治体や事業所によって少し異なります。

多くの場合、

  • 1〜2歳ごろから相談・利用の対象に含まれる

  • 発達障がいの診断がなくても、「気になるところがある」段階で相談できる

  • 就学後は「放課後等デイサービス」など別のサービスにつながる

といった流れになっています。

「診断がないと利用できないのでは?」と心配される親御さんも多いのですが、実際には「診断の有無」よりも、「日常生活や集団生活で困りごとがあるか」「育ちを支えるための支援が必要か」が重視される場合が少なくありません。

関わる専門職と支援内容の例

療育センターや児童発達支援事業所には、さまざまな専門職が関わっています。それぞれの専門が、お子さんの育ちのどの部分を支えているのかを、簡単に整理してみましょう。

  • 作業療法士:体の動かし方、手先の使い方、姿勢の安定などを支える専門家

  • 言語聴覚士:ことばの理解・表現、コミュニケーションの方法を支える専門家

  • 臨床心理士など:気持ちの安定や行動の背景を理解し、関わり方を考える専門家

  • 保育士・児童指導員:遊びや生活の中で、全体的な育ちを支える専門家

支援内容も、「お勉強」ではなく、基本的には遊びや生活の活動の中で進みます。

  • 絵本・ごっこ遊びを通したことばのやりとり

  • ボール遊びやサーキット遊びで、体の感覚を整える経験

  • 小さな集団でのルール遊びや、順番を待つ経験

  • 親子で一緒に活動しながら、関わり方のコツを学ぶ場

こうした関わりを通して、「できないところを直す」だけでなく、「その子がもともと持っている力を見つけて伸ばす」ことも大切にされています。このような多職種の丁寧な支えがあるのだと、イメージしていただければと思います。

療育センター・児童発達支援事業所の利用までの流れと費用のしくみ

まずはどこに相談する?窓口の探し方

実際に利用を考えたとき、「どこに電話すればいいの?」という壁にぶつかりやすいですよね。代表的な窓口としては、次のような場所が挙げられます。

  • お住まいの市区町村役場の子育て支援課・福祉課

  • 保健センター(健診を実施している場所)

  • すでに通っている保育園・こども園・幼稚園

  • かかりつけの小児科

電話をするときは、

  • お子さんの年齢

  • どんな場面でどのような様子が気になるか

  • 園の先生や家族から、何か指摘や心配の声があったか

などを簡単にメモしておくと、話がスムーズに進みやすくなります。「療育センターや児童発達支援事業所を紹介してもらうには、どうしたらよいですか?」と、率直に聞いてみるのも良い方法です。

見学・面談から利用開始までのおおまかなステップ

相談窓口につながったあと、実際に療育センターや児童発達支援事業所を利用するまでには、いくつかのステップがあります。地域によって違いはありますが、一般的には次のような流れが多いです。

  1. 初回相談・面談の予約
    電話や窓口で状況を伝え、相談や見学の日程を調整します。

  2. 見学・面談・簡単な発達の確認
    実際にお子さんの様子を見てもらったり、親御さんから詳しく話を聞いたりします。

  3. 必要に応じて発達検査・医師の診察など
    よりくわしくお子さんの状態を把握するための検査が行われることもあります。

  4. 支援計画の作成と利用回数の決定
    週に何回・どの時間帯に通うか、どのような育ちを支える目標をもつかを話し合います。

  5. 通所開始
    実際に通い始めてからも、「本当にこの頻度でよいか」「お子さんに合っているか」を見直しながら進めていきます。

地域によっては、利用希望が多く、待機が出てしまうこともあります。「気になるな」と感じた段階で早めに相談しておくと、選択肢が広がりやすくなります。

利用料金と公的支援制度のしくみ

次に気になるのは、「お金はいくらかかるの?」という点ではないでしょうか。療育センターや児童発達支援事業所は、公的な制度のもとで利用できるサービスです。多くの場合、「通所受給者証」と呼ばれるものを市区町村から取得し、その枠の中で利用していきます。

利用料金は、原則として「利用した日数」に応じた自己負担がありますが、多くのご家庭では「所得に応じた月額の上限額」が決められています。つまり、何回通っても、それ以上は支払わなくてよい最大金額が設定されているのです。くわしい金額は自治体や所得によって異なりますが、「思っていたより利用しやすかった」という声も少なくありません。

また、ひとり親家庭やきょうだい児がいる家庭など、条件によっては負担がさらに軽くなる場合もあります。「うちの場合はいくらくらいになりそうか」を窓口で具体的に聞いてみると、安心して利用のイメージを持ちやすくなります。

保育園・こども園や仕事との両立をどう考えるか

共働きのご家庭では、「通わせたいけれど、仕事との両立はできるのかな?」という不安も大きいですよね。児童発達支援事業所の中には、午前・午後・短時間など、さまざまな時間帯でクラスを用意しているところもあります。保育園やこども園に在籍しながら、週に数回だけ通うお子さんもいます。

具体的には、

・園をお休みして事業所に通う日をつくる
・午前中は事業所、午後から園に登園する
・長期休暇中だけ利用を増やす

など、地域や事業所によってさまざまなパターンがあります。就労状況や家族構成も含めて、担当者と一緒に「無理なく続けられる形」を探していくことが大切です。

保育園やこども園の先生と連携しながら進めることで、「園での姿」「家庭での姿」「事業所での姿」をつなげて考えることができます。お子さんの育ちを支えるチームとして、大人同士が情報を共有し合えると心強いですね。

療育センター・児童発達支援事業所を利用するメリットと注意点

子どもにとってのメリット

療育センターや児童発達支援事業所を利用する一番の目的は、お子さん自身が「生きやすくなること」「その子らしく力を発揮できる場面が増えること」です。遊びや活動を通して、

・ことばのやりとりが少しずつ増えていく
・自分の気持ちを表現する方法を覚えていく
・体の使い方が上手になり、できる遊びが増えていく
・小さな集団の中で、順番を待ったり、友だちと関わったりする経験が積み上がる

といった変化が少しずつ見られるようになります。

こうした小さな変化をコツコツ積み重ねることが、将来の園生活や学校生活を見通したときに大きな支えになっていきます。できなかったことが急にできるようになるわけではなくても、「助けてもらいながら自分なりに頑張れる」経験は、お子さんの自己肯定感にもつながっていきます。

保護者にとってのメリット

親御さんにとっての大きなメリットは、「ひとりで抱え込まなくてよくなる」という点です。定期的に専門職と話すことで、

・お子さんの姿を客観的な目で一緒に見取ってもらえる
・家庭での声かけや遊び方について、具体的なアドバイスがもらえる
・似たような悩みをもつご家族と出会い、「うちだけじゃなかった」と感じられる

といった経験が生まれやすくなります。

相談を重ねるうちに、「完璧な親でいなくては」という思いが少しずつ和らぎ、「今の自分たちにできることを続けていこう」と考えられるようになる親御さんも多くいます。幼児教育の知見をもとにしても、大人の安心感は、お子さんの育ちを支える大きな土台になります。

通ううえでの負担やデメリットも知っておこう

一方で、良い面だけを見ていると、あとから「こんなはずじゃなかった」と感じてしまうこともあります。現実的な負担やデメリットについても、正直に触れておきたいと思います。

例えば、

・送迎の時間や交通手段の確保が負担になる
・きょうだい児を連れての通所が大変に感じられる
・勤務時間の調整や、職場への理解を得る必要がある
・お子さんが「行きたくない」と感じる日もあり、対応に悩むことがある

といった点は、多くのご家庭で共通する悩みです。

また、「通い始めたのに、すぐには目に見える変化が感じられない」と焦ってしまうこともあります。療育は、どうしても時間をかけて積み重ねていく性質の支援です。だからこそ、「いつまでに何を目指すのか」「今はどんな育ちを支える時期なのか」を、担当者と共有しながら進めていくことが大切になります。

合わないと感じたときの見直し方

もし利用してみて、「どうもお子さんに合っていないかもしれない」「親としてしっくり来ない部分がある」と感じた場合は、その気持ちを大切にしてよいと思います。合う・合わないは、支援の内容だけでなく、担当者との相性や通う曜日・時間帯など、さまざまな要素が関係します。

そのようなときは、いきなりやめてしまうのではなく、

・まず担当者に、正直な気持ちや違和感を伝えてみる
・頻度や時間帯を変えることで負担が減らないか相談してみる
・必要であれば、別の事業所や支援先も提案してもらう

といったステップを踏んでみるとよいでしょう。お子さんの育ちを支えるための場は、一つではありません。「ここでなければいけない」と思い込みすぎず、「わが家に合う形」を一緒に探していけると安心ですね。

家庭での関わりと支援プログラムの上手な取り入れ方

家庭だからこそできる、子どもへのやさしい関わり方

療育センターや児童発達支援事業所を利用していても、いちばん長い時間を過ごす場所は、やはりおうちです。だからこそ、家庭での関わり方が、お子さんの育ちを支える大切な土台になります。

とはいえ、「特別なことをしなければ」と構える必要はありません。まず意識したいのは、

  • できていないところより、少しでも「できたところ」を見つけて言葉にする

  • 「ダメ」「ダメ」で終わらせず、「こうしてくれると助かるな」と伝え方を変えてみる

  • お子さんのペースを尊重しながら、ちいさなチャレンジを一緒に喜ぶ

といった、ささやかな工夫です。

例えば、服をなかなか着替えないとき。「また着替えてないでしょ!」と叱るのではなく、「ボタンを一つ自分でとめられたね」「袖に手が通ったね、すごいね」と、できた部分を一緒に喜びます。こうした声かけの積み重ねが、「ぼくもできる」「わたしもやってみよう」という気持ちにつながっていきます。

幼児教育の知見をもとにすると、子どもの行動の裏側には「できなくて困っている気持ち」や「自分なりのこだわり」が隠れていることがよくあります。その「背景」にも目を向けながら、お子さんの姿を見取ることが、家庭療育の大きな一歩になります。

通所で学んだことを家庭に生かすコツ

療育センターや児童発達支援事業所に通っていると、先生からさまざまな工夫を教えてもらうことがあります。「この遊びが好きです」「この声かけをすると落ち着きやすいです」といった情報は、家庭での関わりにも大きなヒントになります。

例えば、

  • 事業所でよく遊んでいるおもちゃや遊び方を、家でも取り入れてみる

  • 先生が使っている言い回しや、見通しを伝える工夫(「あと○回ね」「終わったら○○しようね」など)をまねしてみる

  • うまくいったときの様子を、手帳やスマホにメモしておき、園や先生と共有する

といった形で、通所と家庭をゆるやかにつなげていくことができます。

こうして、「通っている場所だけ」で完結するのではなく、生活全体を通して育ちを支える視点を持つことが、とても大切なポイントになります。

家庭療育をサポートするプログラムという選択肢

「通所もしているけれど、家ではどうしていいか分からない」
「仕事が忙しくて、毎回の面談でゆっくり話を聞く余裕がない」

そんなお父さん、お母さんも多いのではないでしょうか。

そのようなときに、家庭での関わり方を支えてくれる情報やプログラムを上手に活用することも、一つの方法です。専門家の知見をもとにした声かけの例や、発達の段階に合わせた遊びのアイデアがあると、「この場面では、こう関わってみよう」と具体的なイメージを持ちやすくなります。

  • 忙しくても、すきま時間で読める

  • お子さんの困りごとに寄り添った声かけや遊びのヒントが得られる

  • ご両親が同じ情報を共有しやすく、家庭の方針をそろえやすい

といった点は、家庭療育を続けていくうえで大きな助けになります。

もし「家庭での関わりをもう少し整えたい」「お子さんの特性に合わせた声かけや遊び方を知りたい」と感じている場合は、家庭で取り組みやすい形で整理されたサービスを知っておくと安心です。

家庭でできる工夫を分かりやすく紹介している記事として、こちらも参考になります。
お子さんとの関わりを深めたいと感じている方は、ぜひ一度目を通してみてください。

家庭療育について解説している記事はこちらです。

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「通所」と「家庭での工夫」の両方を組み合わせることで、お子さんの育ちを支える環境が、ぐっと整いやすくなります。

忙しいご家庭でも続けやすい工夫

とはいえ、毎日「理想通りに」関わるのは、どのご家庭にとっても簡単ではありません。だからこそ、「続けやすい工夫」を意識してみましょう。

  • 1日5分だけ、「子どもと向き合う時間」を決める

  • 朝よりも、心に余裕がある夜のほうが話しやすい場合は、その時間に絵本タイムをつくる

  • 平日は短時間、休日に少しじっくり遊ぶなど、メリハリをつける

など、「このくらいならできそう」というラインを、ご家庭ごとに探してみてください。

完璧を目指す必要はありません。幼児教育の知見をもとにしても、「少しの工夫を長く続けること」が、子どもの育ちを支えるうえで何より大切だとされています。

よくある質問Q&A

「診断がないと利用できない?」「グレーゾーンでも相談していい?」

「まだ診断はついていないけれど、相談してもいいのかな?」という疑問は、とてもよく聞かれます。結論から言うと、多くの療育センター・児童発達支援事業所では、診断の有無にかかわらず相談を受け付けています。

大切なのは、

  • 日常生活や集団生活の中で、「困り感」が続いているか

  • ご両親が、お子さんの育ちについて不安を感じているか

という点です。「グレーゾーンだから」と遠慮する必要はありません。「少し心配なので、専門の方の目で見てもらえますか?」と伝えてみてください。

「いつまで通うのがいい?」期間とやめどきの目安

「どのくらいの期間、通い続けることになるのだろう?」という不安もありますよね。通う期間はお子さんによってさまざまですが、

  • お子さんが活動に慣れて、自分なりのやり方で参加できるようになってきた

  • 困っていた場面が少しずつ減ってきた

  • 困ったときの対処法を、ご両親や園の先生がある程度イメージできるようになってきた

といったタイミングは、一つの目安になります。

担当者と相談しながら、「通う頻度を減らしてみる」「目標を確認し直してみる」といったステップを踏み、少しずつ卒業を見据えていくケースも多いです。

保育園・こども園とどう連携すればいい?

園と連携するときに「どこまで話していいのか分からない」という声もよく聞かれます。基本的には、

  • お子さんが日中を過ごす場での様子を知ることは、とても大切

  • 園と事業所、家庭が連携することで、一貫した関わりをしやすくなる

というメリットがあります。

園の先生に伝えるときには、

  • 「療育センター(または児童発達支援)に相談しています」

  • 「園での様子を教えていただけるとうれしいです」

という形で、情報共有のお願いをしてみると良いでしょう。プライバシーや伝え方が心配な場合は、療育センター側にも相談しながら進めると安心です。

引っ越しや転園のときはどうなる?

引っ越しや転園の予定があると、「せっかく慣れてきたのに、また一からになるの?」と不安になりますよね。多くの地域では、

  • 現在の事業所やセンターから、新しい地域の窓口へ情報を引き継ぐ

  • 通所受給者証などの手続きを、引っ越し先の自治体でやり直す

といった流れになります。

引っ越しが決まりそうな時点で、担当者に早めに相談しておくと、新しい地域での利用先がスムーズに見つかりやすくなります。

これから試してみたい工夫

今日からできる「小さな一歩」を決めてみる

ここまで読んで、「やってみようかな」と感じたことはありましたか。もし少しでも心が動いたなら、今日からできる小さな一歩を、一つだけ決めてみましょう。

  • まずは市区町村の窓口に電話してみる

  • 園の先生に、「家で気になっていること」を一度伝えてみる

  • 家庭での声かけを、一つだけ変えてみる

など、どんな一歩でもかまいません。「行動してみること」そのものが、お子さんの育ちを支える大切なスタートになります。

わが子の様子を整理するメモの作り方

相談するときに役立つのが、「お子さんの様子をまとめたメモ」です。例えば、次のような項目を、スマホやノートに簡単に書き留めておきます。

  • 気になる行動が出やすい場面(朝・登園前・集団活動など)

  • そのときのお子さんの様子(表情・言葉・行動)

  • 落ち着きやすかった関わり方(抱っこ、言葉かけ、環境を変えたなど)

  • うれしかった成長の場面

こうしたメモは、専門家が「お子さんの姿を見取る」うえでも大きなヒントになります。親御さん自身も、お子さんの育ちを客観的に振り返るきっかけになります。

家庭で取り入れたい遊び・声かけを一つ決める

本記事や、先ほどご紹介した家庭向けの記事・サービスの中から、「これならできそう」という遊びや声かけを、一つだけ選んでみてください。

  • 「寝る前に、1冊だけ一緒に絵本を読む」

  • 「困ったときには、まず気持ちを言葉にしてあげる」

  • 「うまくいった場面を、その日のうちに一言ほめる」

といった、シンプルなもので十分です。たくさん目標を立てるより、「これだけは続けてみる」という工夫を一つもつほうが、結果的に継続しやすくなります。

不安な気持ちを抱え込まないためのサポート先をリストにしておく

最後に、ご両親自身の心を守る工夫も大切にしてほしいと思います。

  • 療育センター・児童発達支援事業所

  • 園の先生や、信頼できる保健師さん

  • 家族やパートナー

  • 必要に応じて相談できる民間の支援サービス

といった「相談先リスト」を、頭の中だけでなく、紙やスマホにメモしておくと、「つらくなったときには、ここに相談しよう」と考えやすくなります。

まとめ

療育センターや児童発達支援事業所は、公的な仕組みのなかで、お子さんの発達をていねいに見取り、育ちを支えるための心強いパートナーです。

  • 「少し気になる」「このままで大丈夫かな」と感じたら、早めに相談してみること

  • 通所での支援だけでなく、家庭での関わりや支援プログラムも組み合わせること

  • ご両親自身が、ひとりで抱え込まない工夫をもつこと

この三つを意識するだけで、お子さんとご家族にとって、毎日が少しずつ過ごしやすくなっていきます。

これらの視点を手がかりにしながら、できそうなところから、一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。

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  • この記事を書いた人

ポジティブ園長

田舎の自然の中で、のんびりと9歳の娘と6歳の息子と暮らすパパ。 保育 × 心理学 × 脳科学をヒントに、職員と子どもたちが共に成長できる園づくりをしています。 “答えのない時代”だからこそ、楽しみながら考え、失敗を恐れず挑戦する──そんな姿を大切に、みんなと歩んでいる園長です。

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