
「朝の支度で、何度声をかけてもなかなか動いてくれない」
「遊びを終わりにすると、泣いたり怒ったりしてしまう」
「予定が変わると、不安そうになってしまう」
お子さんの発達が気になっていると、毎日の生活の中で「どうして伝わらないのだろう」と悩む場面がありますよね。
お父さん、お母さんは一生懸命説明している。
それでも、お子さんには伝わりにくい。
そんなとき、「もっと言い聞かせなければ」と声かけを増やす前に、少し違う視点から考えてみる方法があります。
そのヒントの一つが、TEACCH(ティーチ)の考え方です。
TEACCHというと「絵カードを使う方法」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、絵カードを使うことだけがTEACCHではありません。
大切なのは、お子さんにとって、
- どこでするのか
- 何をするのか
- どのくらいするのか
- 終わったら次は何をするのか
がわかりやすい環境をつくることです。
つまり、お子さんを環境に合わせようとするだけではなく、「お子さんが理解しやすいように環境を整える」という考え方です。
この記事では、専門施設と同じTEACCHプログラムを家庭で再現するのではなく、その考え方を毎日の暮らしへ無理なく取り入れるコツを紹介します。
朝の支度や片づけ、遊びからの切り替え、家庭療育など、今日からできる工夫を一緒に考えていきましょう。
TEACCHプログラムとは?家庭で取り入れる前に知っておきたい基本
TEACCHは「絵カードを使う方法」だけではない
TEACCH Autism Programは、自閉スペクトラム症のある人とその家族を支えるために発展してきた包括的な支援プログラムです。その中で用いられる代表的な支援アプローチの一つが「Structured TEACCHing(構造化された支援)」です。
家庭で取り入れるときは、難しく考える必要はありません。
まずは、
「お子さんにとって、今の環境はわかりやすいかな?」
と考えてみましょう。
例えば、おもちゃを片づけてほしい場面です。
大人には「片づけて」の一言で十分に思えます。
でも、お子さんからすると、
「何を?」
「どこへ?」
「全部?」
とわかりにくい可能性があります。
そんなとき、「赤い箱に車を入れよう」と伝えたり、箱に車の写真を貼ったりするだけでも、することがわかりやすくなります。
「構造化」はお子さんをルールで縛ることではない
TEACCHでよく使われる言葉に「構造化」があります。
少し難しく聞こえますが、簡単にいえば「わかりやすく整理すること」です。
例えば、
- 遊ぶ場所をわかりやすくする
- 今日することを見えるようにする
- 終わりをわかりやすくする
- 次にすることを示す
といった工夫です。
目的は、お子さんを決められたルールどおりに動かすことではありません。
お子さんが自分で状況を理解し、「次はこれをすればいいんだ」と動きやすくすることが大切です。
TEACCH・ABA・感覚統合は同じものではない
発達支援について調べると、ABAや感覚統合という言葉も出てきます。
それぞれに考え方や見るポイントが異なります。
TEACCHは、とくに環境や見通しをわかりやすく整える視点が特徴の一つです。
ABA・TEACCH・感覚統合の違いを整理してから家庭での関わり方を考えたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
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家庭で取り入れたいTEACCHの4つの考え方
場所をわかりやすくする
家庭では、同じ部屋で遊んだり、着替えたり、食事をしたりしますよね。
そのため、お子さんによっては「今ここで何をするのか」がわかりにくいことがあります。
だからといって、専用の部屋を用意する必要はありません。
例えば家庭療育のときだけ、小さなマットを机の下に敷く方法があります。
「このマットが出たら、ここで少し取り組む」
という手がかりになります。
大切なのは、きれいに区切ることではありません。
お子さんが「ここでは何をするのか」を理解しやすいことです。
「次に何をする?」を見えるようにする
時間は目に見えません。
大人は頭の中で「朝ごはんの次は着替えて、その後に歯みがき」と考えられます。
でも、お子さんには、その流れが見えていないことがあります。
そんなときは、
- 実物
- 写真
- 絵やマーク
- 文字
などを使って予定を示します。
例えば、朝なら「朝ごはん→着替え→歯みがき→出発」という順番を写真で見えるようにします。
毎回大人が「次は着替え!」「次は歯みがき!」と言わなくても、お子さん自身が確認できることがポイントです。
「どこまでしたら終わり?」をわかりやすくする
終わりが見えないと、不安になりやすいお子さんもいます。
例えば片づけで、
「全部きれいにして」
と言われても、どこまでしたら終わりなのかわかりにくいことがあります。
そんなときは、
「この箱の車を入れたら終わりだよ」
と終わりを具体的にします。
家庭療育でも同じです。
大量のプリントを机に置くのではなく、「今日はこの2枚が終わったらおしまい」と見えるようにすると、取り組みやすくなる場合があります。
言葉だけでなく「見てわかる」手がかりを使う
何度言っても伝わらないと、
「もっと詳しく説明しよう」
と思ってしまいますよね。
でも、お子さんによっては言葉が増えるほど理解しにくくなることもあります。
そんなときは、説明を増やすのではなく、写真や絵、実物などを見せてみます。
大切なのは「必ず絵カードを使う」ということではありません。
「この子には、何が一番わかりやすい?」
と姿を見取りながら選んでいきましょう。
TEACCHを家庭に取り入れる具体例|生活場面ごとの工夫
朝の支度は「すること」を順番に見えるようにする
朝は、ご両親にとっても忙しい時間です。
「着替えて!顔を洗って!歯を磨いて!」
と何度も声をかけてしまうこともありますよね。
そんなときは、朝の支度を一つずつ見えるようにします。
例えば、
- 着替える
- 顔を洗う
- 歯を磨く
- かばんを持つ
という4つの写真を順番に並べます。
終わった写真を外したり、裏返したりする方法もあります。
お子さん自身が「あと何が残っている?」を確認できるようになります。
遊びの終わりは「終わり」と「次」を伝える
楽しい遊びを突然終わらせるのは、大人でも嫌ですよね。
遊びを終われないお子さんを見たとき、
「わがままなのかな」
と考える前に、「終わりがわからなかったのかな」と考えてみます。
例えば、
「あと1回したらおしまい」
と伝えます。
そして終了後は、
「次はごはんだよ」
と次の活動も見えるようにします。
こだわりや切り替えの難しさが強く見られる場合には、場面ごとの具体的な関わり方も知っておくと安心です。
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歯みがき・着替えは一つの動作に分ける
「着替えて」
という一言の中にも、実はたくさんの動作があります。
例えば上着を着るだけでも、
- 上着を取る
- 袖に腕を入れる
- 反対側の腕を入れる
- 前を整える
という流れがあります。
途中で止まっているお子さんを見たら、「着替えができない」と考えるのではなく、「どこの動作で困っている?」と見てみましょう。
手順を写真や絵で見せる方法もあります。
家庭療育では「これから」と「終わった」を分ける
家庭で課題に取り組む場合には、「これからするもの」と「終わったもの」を分ける方法があります。
例えば、机の左側に今日取り組む教材を置きます。
一つ終わったら右側の箱へ移します。
すると、教材が減っていくことで「あとどのくらい?」が目でわかります。
ただし、家庭を療育施設のように整える必要はありません。
身近な箱やトレーを使うだけでも十分です。
TEACCHを家庭で無理なく続ける3つのコツ
最初から家中を構造化しない
TEACCHについて調べると、
「家中に絵カードを貼らないといけないの?」
と感じる親御さんもいるかもしれません。
その必要はありません。
まずは、一番困っている場面を一つ選びます。
例えば毎朝の着替えが大変なら、着替えだけを見えるようにしてみます。
そこで、お子さんの反応を見ます。
少しわかりやすくなったら、次の場面へ広げていけば十分です。
お子さんにわかる方法を選ぶ
同じ年齢のお子さんでも、理解しやすい方法は違います。
写真を見るとすぐ理解できるお子さんもいれば、実物の方がわかりやすいこともあります。
文字が読めるお子さんなら、「歯みがき」「着替え」と書くだけで理解できる場合もあります。
「TEACCHだから、この方法」
と決めるのではありません。
お子さんがどんな方法なら自分で理解できるのか。その姿を見取ることが大切です。
うまくいかなければ「環境」を見直してみる
せっかく予定表を作ったのに、まったく見てくれない。
そんなこともあります。
でも、すぐに「うちの子には合わない」と考えなくても大丈夫です。
例えば、
- 見る場所がわかりにくい
- 情報が多すぎる
- 写真の意味がまだわかりにくい
可能性もあります。
「どうすれば子どもにわかりやすい?」と環境側を見直してみましょう。
家庭での環境づくりに加えて、「家庭療育では具体的に何から取り組めばいい?」と感じている方には、順序立てた教材を使う方法もあります。
四谷学院の「療育55レッスン」
TEACCHを家庭で取り入れるときの注意点・デメリット
スケジュールを守らせることが目的にならないようにする
予定表を作ると、
「この順番どおりにしなくては」
とご両親が頑張りすぎてしまうことがあります。
でも、予定を完璧に守ることが目的ではありません。
生活には急な予定変更があります。
変更するときには、
「今日はここが変わるよ」
とわかりやすく伝えることも大切です。
スケジュールはお子さんを縛るルールではなく、見通しを持つための手がかりです。
視覚支援を増やしすぎるとわかりにくいこともある
絵カードが役立ったからといって、家中にカードを増やせばよいわけではありません。
情報が多くなりすぎると、「結局どれを見ればいい?」とわかりにくくなる場合があります。
必要な場所に、必要な情報だけを置きます。
シンプルにすることも環境づくりの一つです。
すべてのお子さんに同じ方法が合うわけではない
同じ自閉スペクトラム症の特性があるお子さんでも、得意なことや困っていることは違います。
そのため、
「この方法なら必ずうまくいく」
とは考えません。
写真より実物がわかりやすい。
予定表より、一つずつ物を見せた方が理解しやすい。
そんな違いがあってよいのです。
お子さん一人ひとりに合わせて調整することが大切です。
家庭で専門的なTEACCHを再現する必要はない
家庭で専門家と同じTEACCHプログラムを実践しなければいけないわけではありません。
家庭には家庭の役割があります。
- 安心して休むこと
- ご両親と遊ぶこと
- 好きなことを楽しむこと
それも、お子さんの育ちを支える大切な時間です。
発達について強い不安がある場合や、日常生活で大きな困りごとがある場合には、家庭だけで抱えず、自治体の相談窓口や児童発達支援、医療機関などへ相談しましょう。
家庭療育を順序立てて進めたいなら四谷学院「療育55レッスン」
療育55レッスンはTEACCHだけを学ぶ講座ではない
ここは大切なポイントです。
四谷学院「療育55レッスン」は、TEACCHだけを学ぶための専門講座ではありません。
「TEACCHの記事で紹介されていたから、TEACCHの教材なのかな?」
と考えないようにしましょう。
療育55レッスンは、発達が気になるお子さんが家庭で発達段階に合わせて取り組むための通信講座です。
この記事との接点は、
「家庭で何をすればいいかわからない」
「うちの子に合わせて順序立てて取り組みたい」
という親御さんの悩みです。
7段階・各55ステップで家庭療育を進められる
療育55レッスンは、A~Gの7段階に分かれています。
年齢だけではなく、お子さんの今の「できること」を見ながら始める段階を選びます。
各段階には55の学習ステップがあり、1回10~15分程度を目安に家庭で取り組めます。
例えば、
「家庭療育をしたい。でも毎回何をするか考えるのは大変」
というご家庭にとって、取り組む順番があることは一つの安心材料になります。
いきなり受講を決める必要はありません。
まず無料判定テストや教材内容を確認し、お子さんに合いそうか考えてみましょう。
四谷学院の「療育55レッスン」
指導書と専任担任が家庭での取り組みを支える
家庭療育では、
「課題を嫌がったらどうする?」
「どこまで手伝えばいい?」
と、関わり方に迷うことがあります。
療育55レッスンには、ご両親が課題の進め方を確認するための指導書があります。
さらに、お子さん専任の担任へ教材の進め方などを相談できる個別サポートもあります。
無料判定テストでは、指導書やカードのサンプルも確認できます。
「わが家で取り組めそうかな?」と実際の内容を見ながら考えてみるとよいでしょう。
療育55レッスンの料金やメリットだけでなく、注意点やデメリットも確認してから判断したい方は、詳しい解説記事も参考にしてください。
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【解説】四谷学院「療育55レッスン」は発達が気になる子に合う?家庭療育の始め方・特徴・注意点を解説
「療育には通っているけれど、家では何をしてあげればいいの?」 「年齢に合わせて市販のドリルを買ったけれど、難しすぎて続かなかった」 「家庭療育を始めたいけれど、自分の教え方で合っているの ...
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よくある質問とまとめ|これから試してみたい工夫
TEACCHは発達障害の診断がないと家庭で使えませんか?
TEACCHは、自閉スペクトラム症のある人への支援として発展してきた考え方です。
一方、
「予定を見えるようにする」
「することを一つずつ伝える」
といった工夫は、お子さんが生活を理解しやすくする環境づくりとして家庭でも取り入れられます。
診断の有無だけで考えるのではなく、「このお子さんには何がわかりやすい?」という視点を大切にしましょう。
絵カードを嫌がる場合はどうすればいいですか?
無理に絵カードを使う必要はありません。
写真の方がわかりやすいお子さんもいますし、実物を見せた方が理解しやすい場合もあります。
文字が理解できるなら、文字を使ってもよいでしょう。
大切なのは「絵カードを使うこと」ではなく、お子さんが自分で理解できる方法を見つけることです。
スケジュールを使うと予定変更に弱くなりませんか?
スケジュールの目的は、予定を固定することではありません。
まず「今日はどうなる?」という見通しを持ちやすくします。
そのうえで変更がある場合には、「ここが変わるよ」とわかりやすく示します。
予定の変更も、見える形で知らせることで経験しやすくなる場合があります。
まとめ|これから試してみたい工夫
TEACCHプログラムについて知ると、
「絵カードをたくさん作らなければ」
「家の中を全部構造化しなければ」
と思ってしまうかもしれません。
でも、家庭で最初からそこまで取り組む必要はありません。
これから試してみたい工夫として、まずは、
- 一番困っている生活場面を一つ選ぶ
- お子さんにとって何がわかりにくいか考える
- 写真や絵など、わかりやすい方法を一つ試す
- 「終わり」と「次」をわかりやすくする
- お子さんの反応を見ながら環境を調整する
ところから始めてみましょう。
TEACCHの考え方を家庭に取り入れるとき、大切なのは「正しい絵カード」を作ることではありません。
- 何がわかりにくいのか
- どんな方法なら見通しを持てるのか
- どんな環境なら自分で動きやすいのか
そんな一つひとつの姿を見取ることが、お子さんにとってわかりやすい環境づくりにつながります。
そして、環境を整えることに加えて、
「家庭療育そのものをもう少し順序立てて進めたい」
と感じたときには、家庭向け教材を活用する方法もあります。
四谷学院「療育55レッスン」はTEACCH専門教材ではありませんが、お子さんの発達段階に合わせて家庭で順序立てて取り組める選択肢の一つです。
すぐに受講を決める必要はありません。
まず無料資料や判定テストで実際の教材を確認し、
「うちの子に合いそうかな?」
と考えるところから始めてみましょう。
四谷学院の「療育55レッスン」
